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二月
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ふたつき
ふりがな文庫
“
二月
(
ふたつき
)” の例文
二月
(
ふたつき
)
ばかりは全く夢のように過ぎた。入梅が明けて世間は
俄
(
にわか
)
に夏らしくなり、慶三が店の
窓硝子
(
まどガラス
)
にもパナマや麦藁帽子が並び始めた。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
久々ぶりの挨拶を濟してから、此の
二月
(
ふたつき
)
の間、寒い夜、暑い夜を過して來た狹い船室にみんなを導いて、心置き無い話をし始めた。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
それから
二月
(
ふたつき
)
ほどたつと、仮面の恐怖王があらわれたのだ。変装のしかたで、きみが二十面相だということは、だいたいわかっていた。
仮面の恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
最
(
もつと
)
も
当坐
(
たうざ
)
二月
(
ふたつき
)
ばかりは、
何
(
ど
)
うかすると
一室
(
ひとま
)
に
籠
(
こも
)
つて、
誰
(
たれ
)
にも
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
かないで、
考事
(
かんがへごと
)
をして
居
(
ゐ
)
たさうですが、
別
(
べつ
)
に
仔細
(
しさい
)
は
無
(
な
)
かつたんです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
馴々
(
なれなれ
)
しく
詞
(
ことば
)
をかける
位
(
ぐらい
)
を
切
(
せめ
)
てもの
心遣
(
こころや
)
りに、
二月
(
ふたつき
)
三月
(
みつき
)
を
過
(
すご
)
す
中
(
うち
)
に、飛騨の涼しい秋は早くも別れを告げて、寒い冬の山風が吹いて来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
二月
(
ふたつき
)
の後、たまたま家に帰って妻といさかいをした紀昌がこれを
威
(
おど
)
そうとて
烏号
(
うごう
)
の弓に
綦衛
(
きえい
)
の矢をつがえきりりと
引絞
(
ひきしぼ
)
って妻の目を射た。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そうすると
二月
(
ふたつき
)
でも
三月
(
みつき
)
でも持ちます。それを使う時は水へ鮎を入れて
南天
(
なんてん
)
の葉を
交
(
ま
)
ぜておきますと二、三時間で塩が抜けます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「願わくば、ここ
二月
(
ふたつき
)
のご
猶予
(
ゆうよ
)
を、この入道にお与えくださりませ。きっとその宝物と、伊那丸の
塩漬
(
しおづ
)
け首とを、ともにごらんに
供
(
そな
)
えまする」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一年のうちで、七、八の
二月
(
ふたつき
)
をその中に
包
(
くる
)
まれて、穴に入った
蛇
(
へび
)
のように
凝
(
じっ
)
としているのは、私に取って何よりも温かい
好
(
い
)
い心持だったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
堀尾君は○○新聞社へ入ってから
二月
(
ふたつき
)
、無事平穏に勤めている。尤も苦手の
鳧
(
けり
)
さんがいた○○紡績でも三月続いたのだから、未だ首になるには早い。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
此の家に移ってからも、
二月
(
ふたつき
)
と経たないうちに、上野で平和博覧会が開かれた。続いて又、プリンス・オブ・ウェルスが四月十二日に来朝される。——
二つの家を繋ぐ回想
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
三人で
二月
(
ふたつき
)
三月、事に依ったら半歳か一年、それだけ厄介に相成るとして、その間に宿代の催促されてはちょっと困る。それが承知ならこのままに腰を
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
私共が村入りの
二月
(
ふたつき
)
目に下曾根さんは来て、信者仲間の歓迎会には私共も共々お客として招かれたのでありました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ポーセがせっかく
植
(
う
)
えて、水をかけた小さな
桃
(
もも
)
の木になめくじをたけておいたり、ポーセの
靴
(
くつ
)
に
甲虫
(
かぶとむし
)
を
飼
(
か
)
って、
二月
(
ふたつき
)
もそれをかくしておいたりしました。
手紙 四
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
寄越したりしてゐたのに、
二月
(
ふたつき
)
も
三月
(
みつき
)
も家を離れてゐるんだもの。祖母さんが夜も眠れないほどに案じてゐるのは無理はないわね。貴女さう思はなくつて?
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
あの新聞の切り抜きは必ずしも東京の新聞と限らず、また
一月
(
ひとつき
)
前の新聞やら、
二月
(
ふたつき
)
前のものやら分からぬから、捜しだすのは容易なことでないと思いました。
紅色ダイヤ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
銀之助の不平は
最早
(
もう
)
二月
(
ふたつき
)
前からのことである。そして
平時
(
いつ
)
も
此
(
この
)
不平を
明白
(
あからさま
)
に口へ出して言ふ時は『下宿屋だつて』を
持出
(
もちだ
)
す。決して腹の底の
或物
(
あるもの
)
は出さない。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
アーストロフ もし
一月
(
ひとつき
)
か
二月
(
ふたつき
)
前に、今の話を伺ったのだったら、あるいは僕も考えてみたかもしれません。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
職人の手間を差引くと、
幾許
(
いくら
)
も残らないような苦しい
三十日
(
みそか
)
が、
二月
(
ふたつき
)
も三月も続いた。家賃が滞ったり、順繰に時々で借りた
小
(
ちいさ
)
い借金が
殖
(
ふ
)
えて行ったりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
少くとも本職とは信じていない。彼はとにかく創作を一生の事業と思っている。現に教師になってからも、たいてい
二月
(
ふたつき
)
に一篇ずつは短い小説を発表して来た。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
凡
(
およ
)
そ
其処
(
そこ
)
に
二月
(
ふたつき
)
か
三月
(
みつき
)
通うたけれども、どうにも暇がない。
迚
(
とて
)
もこんな事では何も覚えることも出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「そうね。
巴里
(
パリ
)
を立ってから、もう
幾日
(
いくんち
)
か知ら」「もうそろそろ
二月
(
ふたつき
)
だね。海峡でお前
反吐
(
へど
)
ついたでないか。西洋人の尼の奴もお前の側で反吐ついていたったね」
リギ山上の一夜
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
二月
(
ふたつき
)
ほど前にあの子を、わたしが四谷の神尾様という旗本のお邸へ御奉公に上げましたところが、そのお邸に与太郎とか与八とかいう馬鹿がいて、どうでしょう
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二月
(
ふたつき
)
近く静かな田舎に暮して見ると、
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
へ来てから
以来
(
このかた
)
のことばかりでなく、国を出た当時のことまでが何となく岸本の胸に
纏
(
まと
)
まって来た。彼はそう思った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一月
(
ひとつき
)
二月
(
ふたつき
)
とたつうちに、学校の窓からのぞいた人生と実際の人生とはどことなく違っているような気がだんだんしてきた。第一に、
父母
(
ふぼ
)
からしてすでにそうである。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
二月
(
ふたつき
)
三月
(
みつき
)
とたつうちに、まるまる肥ってくるうちに、子供に対する私の愛は俄に深くなっていった。
理想の女
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その
後
(
のち
)
のことで……左様さ
二月
(
ふたつき
)
も経ってからだッたでしょうよ、鳶頭が
慌
(
あわ
)
てくさッて飛びこみ、私がお前さんのいなさる根岸へ毎晩忍んで逢いに
行
(
ゆ
)
くてえじゃないか
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
せっかくよくなったと喜んだ
甲斐
(
かい
)
もなく、暑くなりかけてきた
二月
(
ふたつき
)
後の六月半ば頃から、またからだの違和を感じて、父と母の厳命で、その年の夏から秋へかけては
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
浪子の病すでに
二月
(
ふたつき
)
に及びてはかばかしく
治
(
ち
)
せず、叔母の
機嫌
(
きげん
)
のいよいよ
悪
(
あ
)
しきを聞きし四月の末、武男はあらず、執事の田崎も家用を帯びて旅行せしすきをうかがい
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
此
(
この
)
前
二月
(
ふたつき
)
程日本に滞在して居る
中
(
うち
)
母堂の
訃
(
ふ
)
に接して
巴里
(
パリイ
)
へ帰つたシヤランソン嬢が再び予と前後して東京へ
行
(
ゆ
)
く
筈
(
はず
)
だ。シベリヤを経るのだから予よりも先に着くであらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
しかるに生れて
二月
(
ふたつき
)
とはたたざる内に、小児は
毛細気管支炎
(
もうさいきかんしえん
)
という難病にかかり、とかくする中、危篤の有様に陥りければ、苦しき時の神頼みとやら、夫婦は愚にかえりて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「最近まで邸におりましたが、この
二月
(
ふたつき
)
程前から近所に小さい家を一軒借りておられます」
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
一月
(
ひとつき
)
、
二月
(
ふたつき
)
とたつにつれて、ますますお
母
(
かあ
)
さんや、
田舎
(
いなか
)
のことが
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
されてなりません。
真吉とお母さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たった一度、
二月
(
ふたつき
)
ばかりかかってこしらえた五寸四方ばかりの
小袱紗
(
こぶくさ
)
を、私の塾の展覧会に出した事がありましたが二十円という値段付けだったので売れ残ってしまいました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何も悪いことはなかったんだから、それにまた分別のつく
年齢
(
とし
)
でもなかったからよ。
二月
(
ふたつき
)
だけ不足だったのよ。まあどんなにあなたをさがしたでしょう。もう六週間にもなるわ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
好きでもない女と同棲して
二月
(
ふたつき
)
すぎると、自分でもわけが分らず
這々
(
ほうほう
)
の体で逐電した。
蒼茫夢
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
あの人だってまだ若いのだし、それは無理もないと言えるかも知れぬけれど、そんなら私だって同じ年だ。しかも、あの人より
二月
(
ふたつき
)
おそく生れているのだ。若さに変りは無い筈だ。
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
最
(
も
)
うズッと以前だが
博賭徒
(
ばくちうち
)
を探偵する事が有て己が自分で
博賭徒
(
ばくちうち
)
に見せ掛け
二月
(
ふたつき
)
ほど築地の博徒宿に入込んだ事が有る其頃丁度築地カイワイに支那人の
張
(
はっ
)
て居る宿が二ヶ所あった
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そうでなければ大昔神に仕えた清い女が、泉のほとりに
忌機殿
(
いみはたどの
)
を建てて、
三月
(
みつき
)
二月
(
ふたつき
)
その中に
忌籠
(
いみごも
)
りして、神の衣を織っていたという伝説は、これを理解することができぬのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もう
二月
(
ふたつき
)
もすれば
紅
(
あか
)
く染まりさうな
楓
(
かへで
)
の樹や、春になれば見事な花を持ちさうな
椿
(
つばき
)
の木や、そんなものが、河原のやうに小石を敷いた
神苑
(
しんゑん
)
ともいふべき場所に、行儀よく植ゑてあつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「おやおや、貴女まで愚痴っぽくなったのね。だって、これ
二月
(
ふたつき
)
分よ、私もっと買いたい本があるのを辛抱しているんですもの。その代り、私着物なんか一枚だって買わないじゃないの?」
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
現在のところ、僕は人並みの家庭をもつことはできません。しかし今年じゅうには、僕は石にかじりついても何とか生活の道をたてます。それまで、もう
二月
(
ふたつき
)
です。二月だけ待って下さい。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そんなこと
云
(
ゆ
)
つたつておめえ、
彼
(
あれ
)
だつて
獨
(
ひとり
)
でゝも
居
(
ゐ
)
んぢやなし
持
(
も
)
つもの
持
(
も
)
つて
働
(
はたら
)
くのに三十
錢
(
せん
)
や五十
錢
(
せん
)
の
家賃
(
やちん
)
の
拂
(
はら
)
へねえことも
有
(
あ
)
んめえな、それも
何
(
なん
)
ならおめえ
一月
(
ひとつき
)
でも
二月
(
ふたつき
)
でも
見試
(
みため
)
して
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『誰って事はないんです……
二月
(
ふたつき
)
ばかり
前
(
めえ
)
から二人で相談してたんです』
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
さて以上のような次第で、その後コペイキンの行先は杳として分らなかったのですがね、いいですか、それから
二月
(
ふたつき
)
もたたない中にリャザーニの森林地帯に物取り強盗の一団が現われたのです。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「
一月
(
ひとつき
)
でも
二月
(
ふたつき
)
でも、休暇を上げるから田舎へ行って来てはどうだ?」
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
維
(
い
)
あたれる
歳次
(
さいじ
)
、
治承
(
じしょう
)
元年
丁
(
ひのと
)
の
酉
(
とり
)
、月の並びは
十月
(
とつき
)
二月
(
ふたつき
)
、日の数、三百五十余カ日、吉日
良辰
(
りょうしん
)
を選んで、かけまくも、かたじけなく、霊顕は日本一なる
熊野
(
ゆや
)
三所権現、
飛竜大薩埵
(
ひりゅうだいさった
)
の
教令
(
きょうりょう
)
のご神前に
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
二月
(
ふたつき
)
まへ、
三月
(
みつき
)
まへからの借りが
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
今
二月
(
ふたつき
)
もゐたかつた
沙上の夢
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
あれから
二月
(
ふたつき
)
赤倉
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
“二月”の意味
《名詞》
(にがつ)一年の中の二番目の月。
(ふたつき)二つの月に相当する期間。
(出典:Wiktionary)
二
常用漢字
小1
部首:⼆
2画
月
常用漢字
小1
部首:⽉
4画
“二月”で始まる語句
二月堂
二月目
二月越
二月三日
二月三月
二月四日
二月弥生
二月二十二日