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乙女
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おとめ
ふりがな文庫
“
乙女
(
おとめ
)” の例文
片方は十八の青年、片方は十七の
乙女
(
おとめ
)
。二人は外界をみな敵にして秘密の中で出会うのです。自然と
恋
(
こい
)
が芽生えて来たのも当然です。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして、そこに、男のではなくて、豊満なる
乙女
(
おとめ
)
の肉体を見出した時、私が男であったことをうち忘れて、さも当然の様にほほえんだ。
火星の運河
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あきづけば、をばなが上に、おく露の、けぬべくもわは、おもほゆるかもと
長良
(
ながら
)
の
乙女
(
おとめ
)
の歌を、繰り返し繰り返すように思われる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『美しき水車小屋の
乙女
(
おとめ
)
』(JD一〇一—三、JE一〇一—七)と『白鳥の歌』(JE一一四—七、JD一〇五七—九、名曲集六六八)
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
京も荒れて、盗賊の多いこの頃の秋の夜に、
乙女
(
おとめ
)
ひとりの夜道は心もとないと父も最初はしきりにとめたが、藻はどうしても
肯
(
き
)
かなかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
母親と
乙女
(
おとめ
)
との心をそなえてひそかに恋に燃えている、
嫉
(
ねた
)
み深いまたやさしいキャスルウッド夫人は、彼女にとっては姉妹のように思われた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
健気
(
けなげ
)
な
乙女
(
おとめ
)
ごころを天もあわれんだものか、彼女はゆくりなくも、きょう
伊那丸
(
いなまる
)
と一
党
(
とう
)
の人々に落ちあうことができた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
兄妹
(
きょうだい
)
のように話をまじえて、彼女を人間らしく、
乙女
(
おとめ
)
らしく思わせようとするようなある者と、相並んで歩いているのではないかと思った。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
が、姿は天より
天降
(
あまくだ
)
つた
妙
(
たえ
)
に
艶
(
えん
)
なる
乙女
(
おとめ
)
の如く、国を囲める、其の赤く黄に
爛
(
ただ
)
れたる
峰
(
みね
)
嶽
(
たけ
)
を
貫
(
つらぬ
)
いて、高く柳の
間
(
あいだ
)
に
懸
(
かか
)
つた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
言わずともわが身——
世馴
(
よな
)
れぬ
無垢
(
むく
)
の
乙女
(
おとめ
)
なればこうもなろうかと、彼女自身がそうもなりかねぬ心の
裏
(
うち
)
を書いて見たものと見ることが出来よう。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そこで、宿禰は奴国の宮の
乙女
(
おとめ
)
たちの中から、優れた美しい乙女を選抜して、長羅の部屋へ導き入れることを計画した。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
酔いしれたようにその
頑丈
(
がんじょう
)
な、日に焼けた、男性的な顔を見やる葉子の、
乙女
(
おとめ
)
というよりももっと子供らしい様子は
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして八月の炎天にもかかわらず、わが空想のその
乙女
(
おとめ
)
は
襟附
(
えりつき
)
の
黄八丈
(
きはちじょう
)
に赤い
匹田絞
(
ひったしぼり
)
の帯を締めているのであった。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
明け放したる障子に
凭
(
よ
)
りて、こなたを向きて立てる一人の
乙女
(
おとめ
)
あり。かの唄の
主
(
ぬし
)
なるべしと辰弥は直ちに思いぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
歌舞伎
(
かぶき
)
の舞台では大判事清澄の息子
久我之助
(
こがのすけ
)
と、その
許嫁
(
いいなずけ
)
の
雛鳥
(
ひなどり
)
とか云った
乙女
(
おとめ
)
とが、一方は背山に、一方は妹山に、谷に
臨
(
のぞ
)
んだ
高楼
(
たかどの
)
を構えて住んでいる。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ふと
皆鶴
(
みなづる
)
姫に
扮
(
いで
)
たちました
乙女
(
おとめ
)
の姿をながめたとき、私の心はまるで夢現になって
了
(
しま
)
ったのでございます。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
わたくしは
此
(
ここ
)
に前記を
続
(
つ
)
いで抽斎歿後第四十一年以下の事を挙げる。明治三十三年には五月二日に保の三女
乙女
(
おとめ
)
さんが生れた。三十四年には脩が
吟月
(
ぎんげつ
)
と号した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その夕方のことであるが、艶かしい十八九の
乙女
(
おとめ
)
が一人、
洵
(
まこと
)
に上品な
扮装
(
みなり
)
をして、魚屋方へ訪れて来た。
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
まだ十七の
乙女
(
おとめ
)
には。めずらしきまでさとりたる顔はすれども。しかすがに弟の心。
亡
(
な
)
き親のことを思えば。思わずもそらにしられぬ袖の雨。顔をそむくる折も折。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
そのはにかんでいる様子は、今日まで多くの男をだまして来た女とは露ほども見えないで、
清浄無垢
(
しょうじょうむく
)
の
乙女
(
おとめ
)
がその衣物を一枚一枚
剥
(
は
)
がれて行くような優しさであった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
誰も知る人はないが、このきゃしゃな神殿は、私が嬉しくも愛した一人のコリントの
乙女
(
おとめ
)
の数学的形像だ。この神殿は彼女独自の釣合を忠実に現わしているのだ{5}
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
忽
(
たちま
)
ち
聽
(
き
)
く
盤上
(
ばんじやう
)
玉
(
たま
)
を
轉
(
まろ
)
ばすが
如
(
ごと
)
き
響
(
ひゞき
)
、ピアノに
神
(
かみ
)
宿
(
やど
)
るかと
疑
(
うたが
)
はるゝ、
其
(
その
)
妙
(
たへ
)
なる
調
(
しら
)
べにつれて
唱
(
うた
)
ひ
出
(
いだ
)
したる
一曲
(
ひとふし
)
は、これぞ
當時
(
たうじ
)
巴里
(
パリー
)
の
交際
(
かうさい
)
境裡
(
じやうり
)
で
大流行
(
だいりうかう
)
の『
菊
(
きく
)
の
國
(
くに
)
の
乙女
(
おとめ
)
』
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
勿論
(
もちろん
)
、
彼女
(
かれ
)
の
夫
(
をつと
)
は、
彼女
(
かれ
)
以上
(
いじやう
)
、あきらめてゐるに
違
(
ちが
)
ひない。
彼
(
かれ
)
は、
松葉杖
(
まつばつえ
)
にすがつた、
淋
(
さび
)
しい
乙女
(
おとめ
)
であつた
彼女
(
かれ
)
あはれな
妻
(
つま
)
である
彼女
(
かれ
)
よりも、
知
(
し
)
らないのであつたから。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
されど治子は一度われをこの泉の
潯
(
ほとり
)
に導きしより
二年
(
ふたとせ
)
に近き月日を経て今なおわれを思いわれを恋うてやまず、昨夜の手紙を読むものたれかこの清き
乙女
(
おとめ
)
を
憐
(
あわれ
)
まざらん。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
いそがしぶる
乙女
(
おとめ
)
のなまじいに
紅染
(
べにぞめ
)
のゆもじしたるもおかしきに、いとかわゆき小女のかね黒々と
染
(
そめ
)
ぬるものおおきも、むかしかたぎの残れるなるべしとおぼしくて
奇
(
き
)
なり。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
泣きのなみだのうちに
乙女
(
おとめ
)
となったこの青春の日に、また、たった一人の、頼りに思う父に死に別れたのみか、わが夫へときまった人をこんなにおもっているのに、それも
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうしてそのあとに豊富な果樹の収穫の山の中に死んで行く「過去」の老翁の微笑が現われ、あるいはまた輝く
向日葵
(
ひまわり
)
の花のかたわらに「未来」を夢みる
乙女
(
おとめ
)
の凝視が現われる。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
船室に持って帰って、前の
頁
(
ペエジ
)
を
繰
(
く
)
ってみますと、——
乙女
(
おとめ
)
の君の夢よ、安かれ。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
加世子が純白な
乙女
(
おとめ
)
心に父を憎んでいるということも解っていた。そしてそれがまた一方銀子にとって、何となし好い気持がしないので、彼女の前では加世子の話はしないことにしていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
空にはつんとした
乙女
(
おとめ
)
のような
冴
(
さ
)
えた美しい雲が飛んだ。しかし失望のような黒い長い影を地上にひいて過ぎて行った。さらに調べを変えて戦いを歌い、
剣戟
(
けんげき
)
の響きや
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の音を歌った。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
夢としか思われなかった海の神の美しい
乙女
(
おとめ
)
、それを母とする霊なる童児、
如意
(
にょい
)
の
宝珠
(
ほうじゅ
)
や
知慧
(
ちえ
)
の言葉というような数々の贈り物なども、ただ
卒然
(
そつぜん
)
として人間の空想に生まれたものではなくて
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
愛する
乙女
(
おとめ
)
の君よ。君のいわゆるボーイなる私が、頭の狂った船長のもとに、わずか数週間の食物しかなくて、氷のうちにとじこめられているのが、君にはむしろ見えないほうがいいのである。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
その間にも、月日はいつか過ぎて、三年ばかり経った頃、
加賀国
(
かがのくに
)
の生れだと名乗る一人の年若い白拍子が、
彗星
(
すいせい
)
のように現れた。
仏
(
ほとけ
)
という変った名前を持つ、まだ十六歳のうら若い
乙女
(
おとめ
)
であった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
花恥かしい
乙女
(
おとめ
)
が、鈴の輪を持ちまして、足ぶり面白く踊ります。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は「いざ、
乙女
(
おとめ
)
よ、
若人
(
わこうど
)
よ。
(註六五)
」と口笛を吹いていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
頭の上に花籠をのせた花売の
乙女
(
おとめ
)
二人、左より右へ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
女には、二十九までは
乙女
(
おとめ
)
の
匂
(
にお
)
いが残っている。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一個の婦人のようにながむる
乙女
(
おとめ
)
である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
有るものを摘み来よ
乙女
(
おとめ
)
若菜の日
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それとても花の
乙女
(
おとめ
)
の変え姿よ。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
しとやかなこの
乙女
(
おとめ
)
なら
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
用いてさまで
華
(
はな
)
あるものとも覚えぬものから句ごとに文ごとにうたゝ活動する
趣
(
おもむき
)
ありて
宛然
(
さながら
)
まのあたり
萩原某
(
はぎわらそれ
)
に
面
(
おもて
)
合わするが如く
阿露
(
おつゆ
)
の
乙女
(
おとめ
)
に
逢見
(
あいみ
)
る心地す
相川
(
あいかわ
)
それの
粗忽
(
そゝっか
)
しき
義僕
(
ぎぼく
)
孝助
(
こうすけ
)
の
忠
(
まめ
)
やかなる
読来
(
よみきた
)
れば
我知
(
われし
)
らず
或
(
あるい
)
は笑い或は感じてほと/\
真
(
まこと
)
の事とも想われ
仮作
(
つくり
)
ものとは思わずかし是は
怪談牡丹灯籠:01 序
(新字新仮名)
/
坪内逍遥
(著)
傑作は「美しき水車小屋の
乙女
(
おとめ
)
」二十曲、「冬の旅」二十四曲、「白鳥の歌」十四曲のほかに、一曲ずつ独立したものとしては
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
信玄の孫むすめという可憐な
乙女
(
おとめ
)
や、一門の妻女やその召使の女たちなど、みな簾中の乗物にとりついて泣き沈むやら、抱きおうて嘆くやら
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長良
(
ながら
)
の
乙女
(
おとめ
)
が振袖を着て、
青馬
(
あお
)
に乗って、峠を越すと、いきなり、ささだ男と、ささべ男が飛び出して両方から引っ張る。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
美しい博学のベアトリーチェも、きっと父と同様に、
乙女
(
おとめ
)
の息のようないい匂いのする薬を、患者にあたえることだろう。それを飲む者こそ災難だ
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
自分が貰った新鮮で健康でカルシュームの匂いのする
乙女
(
おとめ
)
、それを生むために何代かの人が倹約、常識、忍耐、そういうような胎盤を用意したのだ。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのとき、一人の
乙女
(
おとめ
)
が垂れ下った柳の糸の中から、
慄
(
ふる
)
える両腕に
水甕
(
みずがめ
)
を持って現れた。それは兵部の宿禰の命を受けた訶和郎の妹の
香取
(
かとり
)
であった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
葉子は張りのあるその目を無邪気に(ほんとうにそれは罪を知らない十六七の
乙女
(
おとめ
)
の目のように無邪気だった)
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あらず、なお一人の
乙女
(
おとめ
)
知れり、その美しき
眼
(
まなこ
)
はわが鈍き眼に映るよりもさらに深く二郎が
氷
(
こお
)
れる胸に刻まれおれり。刻みつけしこの
痕跡
(
あと
)
は深く、凍れる心は血に染みたり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
“乙女”の意味
《名詞》
乙女(おとめ)
年の若い女性。むすめ。
処女、生娘。
(出典:Wiktionary)
乙
常用漢字
中学
部首:⼄
1画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“乙女”で始まる語句
乙女椿
乙女心
乙女尼
乙女峠
乙女氣