“乙女椿”の読み方と例文
読み方割合
おとめつばき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
梅の枝なぞは殊に延び放題延びて、黒ずんだ旧葉ふるはの上に更に新しい葉を着けていた。庭の片隅かたすみには乙女椿おとめつばきと並んだ、遅咲のあかい椿もあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この時ちらちらと降りかかり、冬牡丹ふゆぼたん寒菊かんぎく白玉しらたま乙女椿おとめつばき咲満さきみてる上に、白雪しらゆきの橋、奥殿にかかりて玉虹ぎょっこうの如きを、はらはらと渡りづる、気高けだかく、世にも美しき媛神ひめがみの姿見ゆ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
杉の木の二、三本あった庭には、赤坂からもって来た、乙女椿おとめつばきや、紅梅や、海棠かいどうなどが、咲いたり、つぼみふくらんだりした。清子の大好きな草花のさまざまな種類が、植えられたり種をかれたりした。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)