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駿馬
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しゅんめ
ふりがな文庫
“
駿馬
(
しゅんめ
)” の例文
逞しい
駿馬
(
しゅんめ
)
の鞍に、ゆらと、乗りこなしよく
据
(
すわ
)
って、
茶筅
(
ちゃせん
)
むすびの大将髪、
萌黄
(
もえぎ
)
の
打紐
(
うちひも
)
で巻きしめ、
浴衣染帷子
(
ゆかたぞめかたびら
)
、片袖をはずして着け
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
命ぜられた采女以下の近侍も、もとよりそれなる浪人網は熟知してのこと、たちまちそこへ引き出した馬は、いずれも
駿馬
(
しゅんめ
)
の八頭でした。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かれは馬にまたがって
傲然
(
ごうぜん
)
と出て行ったが、門は閉じてある、垣は甚だ高い。かれは馬にひと
鞭
(
むち
)
くれると、
駿馬
(
しゅんめ
)
は
跳
(
おど
)
って垣を飛び越えた。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
駿馬
(
しゅんめ
)
痴漢を乗せて走るというが、それにしてもアノ美貌を誇る孔雀夫人が択りに択って
面胞面
(
にきびづら
)
の不男を対手にするとは余り物好き過ぎる。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それが十八世紀になりますと、
競馬用
(
けいばよう
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
を
飼
(
か
)
っている
飼養場
(
しようじょう
)
や、いく百という
羊
(
ひつじ
)
のむらがっている
飼羊場
(
しようじょう
)
となりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
▼ もっと見る
大江ノ
匡衡
(
まさひら
)
は、と御尋ねあれば、鋭士数騎、
介冑
(
かいちゅう
)
を
被
(
こうむ
)
り、
駿馬
(
しゅんめ
)
に
鞭
(
むち
)
打
(
う
)
って、粟津の浜を過ぐるにも似て、其
鉾
(
ほこさき
)
森然
(
しんぜん
)
として当るものも無く見ゆ、と申す。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
芸術の信念を
涵養
(
かんよう
)
するに先立ちてまづ猛烈なる精力を作り、
暁明
(
ぎょうめい
)
駿馬
(
しゅんめ
)
に鞭打つて山野を
跋渉
(
ばっしょう
)
するの意気なくんばあらずと思ひ、続いて
厩
(
うまや
)
に駿馬を養ふ資力と
矢立のちび筆
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ペタルの上を踏まえた二本の脚は、まるで
駿馬
(
しゅんめ
)
のそれのように
逞
(
たくま
)
しかったが、
生憎
(
あいにく
)
とズボンを履いていない。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すると、女が何か外出する用事はないかと
訊
(
き
)
いたので、ちょっとあると答えると、しばらくして一頭の
駿馬
(
しゅんめ
)
に、
水干装束
(
すいかんしょうぞく
)
をした下人が二、三人付いてやって来た。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかし
不思議
(
ふしぎ
)
なことには、どの
馬
(
うま
)
もどの
馬
(
うま
)
も
皆
(
みな
)
逞
(
たく
)
ましい
駿馬
(
しゅんめ
)
ばかりで、
毛並
(
けなみ
)
みのもじゃもじゃした、イヤに
脚
(
あし
)
ばかり
太
(
ふと
)
い
駄馬
(
だば
)
などは
何処
(
どこ
)
にも
見
(
み
)
かけないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
古歌にちなんで足曳と命名されたこの
駿馬
(
しゅんめ
)
は、野に放したが最後、山鳥のように俊敏に、草を踏みしだき、林をくぐり、いや、鳥のごとく天空をも
翔
(
か
)
けんず
尤物
(
ゆうぶつ
)
。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
かくいひつつ
被
(
かぶ
)
りし帽を
脱棄
(
ぬぎす
)
てて、こなたへふり向きたる顔は、
大理石脈
(
だいりせきみゃく
)
に熱血
跳
(
おど
)
る如くにて、風に吹かるる金髪は、
首
(
こうべ
)
打振りて長く
嘶
(
いば
)
ゆる
駿馬
(
しゅんめ
)
の
鬣
(
たてがみ
)
に似たりけり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
項王
則
(
すなわ
)
チ夜起キテ帳中ニ飲ス。美人有リ。名ハ
虞
(
ぐ
)
。常ニ幸セラレテ従フ。
駿馬
(
しゅんめ
)
名ハ
騅
(
すい
)
、常ニ
之
(
これ
)
ニ騎ス。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
昨日
(
きのう
)
まで
笑
(
わら
)
っていた友だちは、
朝月
(
あさづき
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
ぶりを見て、心からかんぷくしてしまったのであった。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
平野氏は
平常
(
へいぜい
)
から馬が好きで、アラブ種の
駿馬
(
しゅんめ
)
を三頭持っている。交通が不便な場所だし、軽馬車を一台造らせて、この馬をつけては折々のドライブを
娯
(
たのし
)
みにしていた。
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
数日の後、長羅の顔は
蒼白
(
あおじろ
)
く
痩
(
や
)
せたままに輝き出した。そうして、
逞
(
たく
)
ましく前に
蹲
(
かが
)
んだ彼の長躯は、
駿馬
(
しゅんめ
)
のように兵士たちの間を馳け廻っていた。出陣の用意は整った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
なんにしても
大業
(
おおぎょう
)
なこと、わずか二三の人を送るに
駿馬
(
しゅんめ
)
に乗り、飛び道具を用意するとは。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
君達のうちには、多分、このペガッサスというのは、美しい銀色の翼をした、真白な
駿馬
(
しゅんめ
)
で、大抵はヘリコン山の
頂
(
いただき
)
で暮らしているのだということを聞いた人があるでしょう。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
外套
(
がいとう
)
のついた
軽騎兵
(
けいきへい
)
の軍服を着て、
泡
(
あわ
)
をふいた黒馬に乗っている。
駿馬
(
しゅんめ
)
は首を振り振り、鼻息を立てて、
踊
(
おど
)
りはねている。乗り手は、
手綱
(
たづな
)
を引いたり、
拍車
(
はくしゃ
)
を当てたり、
大騒
(
おおさわ
)
ぎだ。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
十ヤードもさきに、たしかに薄黒い影がぼんやりと火のともっている廊下に動いているのを目撃したが、その速さは、あたかも闇夜に馬車のランプの光りを受けた
駿馬
(
しゅんめ
)
の影のようであった。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
人よ、
攀
(
よ
)
じ難いあの山がいかに高いとても、飛躍の念さえ切ならば、恐れるなかれ不可能の、金の
駿馬
(
しゅんめ
)
をせめたてよ。——実につまらない詩だけれども、才子と見えて実に
巧
(
うま
)
い言葉を知っている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
やがて定刻間近く
檸檬
(
シトロン
)
と
夾竹桃
(
ロオリエ・ロオズ
)
におおわれたるボロン山の
堡塁
(
ほうるい
)
より、漆を塗ったるがごとき南方
藍
(
あい
)
の
中空
(
なかぞら
)
めがけて、
加農砲
(
キャノン
)
一発、
轟然
(
どうん
)
とぶっ放せば、
駿馬
(
しゅんめ
)
をつなぎたる花馬車、宝石にも
紛
(
まご
)
う花自動車
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
音も立てず、神々しい絶大な力で、白熱と烈火と
炎々
(
えんえん
)
たるほのおとが、もくもくと立ちのぼってくる。そしてひずめをかいこみながら、女神の兄弟の御する神聖な
駿馬
(
しゅんめ
)
が、高く地をこえて昇ってくる。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
なつかしい微妙な
薫
(
かおり
)
は
駿馬
(
しゅんめ
)
いななく
大宛
(
だいえん
)
のものである。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
そのうち槍組二百人が突進して来るし、
駿馬
(
しゅんめ
)
にまたがって祝彪が、これまた
雷光
(
いなずま
)
のごとく出没して、ひとつ所になどとどまっていない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
パッカ、パッカと街道のうしろから近づいて来たのは、どうやら
駿馬
(
しゅんめ
)
らしい
蹄
(
ひづめ
)
の音です。釣に心を奪われているかに見えたが、さすがに武人の
嗜
(
たしな
)
みでした。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
が、彼らにもようやくチャンスは
巡
(
めぐ
)
り
来
(
きた
)
り今や彼等は
駿馬
(
しゅんめ
)
の
尻尾
(
しっぽ
)
の一条を
掴
(
つか
)
んだような状況にあった。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
清兵衛は一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
になって、朝月を養ったので、その
翌年
(
よくねん
)
には見ちがえるような
駿馬
(
しゅんめ
)
になった。
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
其文章の英気があって、当時に水際だっていたことは、保胤の評語に、鋭卒数百、堅甲を
擐
(
ぬ
)
き
駿馬
(
しゅんめ
)
に
鞭
(
むち
)
うって、粟津の浜を過ぐるが如し、とあったほどで、前にも既に其事は述べた。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
考えることの
嫌
(
きら
)
いな彼は、イライラしてくると、いつも独り
駿馬
(
しゅんめ
)
を駆って
曠野
(
こうや
)
に飛び出す。
秋天一碧
(
しゅうてんいっぺき
)
の下、
嘎々
(
かつかつ
)
と
蹄
(
ひづめ
)
の音を響かせて草原となく丘陵となく狂気のように馬を駆けさせる。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そこで行逢ったのが
駿馬
(
しゅんめ
)
に乗った二人の武士。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あわてて引っ返してゆく大将曹仁のまえに、さながら火焔のような尾を振り流した赤毛の
駿馬
(
しゅんめ
)
が、
莫
(
ばく
)
と、砂塵を蹴って横ぎった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
栗色の
駿馬
(
しゅんめ
)
に乗り、大斧をふりかぶって、
郭汜
(
かくし
)
の人数を蹴ちらして来た。それに当る者は、ほとんど血煙と化して、満足な
形骸
(
むくろ
)
も止めなかった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その芝生のいろの中に、男性的な
駿馬
(
しゅんめ
)
と騎手とが個々に持つ、ユニホームの赤、紫、白、青などの洋画的な色彩がすぐ眼の中にとびこんで来る。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
李雲は
牧夫
(
ぼくふ
)
小屋の牧夫を呼び出し、八頭の
駿馬
(
しゅんめ
)
を目の前に揃えさせた。そして、
李逵
(
りき
)
、朱貴、朱富、自分——と四人四頭の背にまたがったうえ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仮屋
(
かりや
)
の
幕
(
まく
)
をしぼって、陣をでた木隠龍太郎は、みずから「
項羽
(
こうう
)
」と名づけた
黒鹿毛
(
くろかげ
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
にまたがり、雨ヶ岳の
山麓
(
さんろく
)
から
真
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に北へむかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きょうで四日目の
陽
(
ひ
)
は、まさに沈もうとしているのに
小太郎山
(
こたろうざん
)
へむかって、
駿馬
(
しゅんめ
)
項羽
(
こうう
)
をとばせた
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
はそも、どこになにしているのだろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこにはまだ源氏の
輩
(
ともがら
)
が多くいるという。また、富士山があって、
駿馬
(
しゅんめ
)
が多く産まれて、野は
際涯
(
さいがい
)
もなく広いという。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
熱い眼がしらを、じっと、ふさいだ一瞬に、
駿馬
(
しゅんめ
)
月輪
(
つきのわ
)
は、もう城外へ駈けていた。疾風のように、暁闇を駈けていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒谷の
法然
(
ほうねん
)
上人など、なかなかよいことを申されるそうな、
北嶺
(
ほくれい
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
といわれる聖光院範宴どのの
女性
(
にょしょう
)
に対してのお考えをうかがいたいものじゃ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駿馬
(
しゅんめ
)
の快足をほこって、野戦や山岳戦には自信のある源軍も、水上の
戦
(
いくさ
)
には、ほとんど訓練もないし兵船も持たない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
キラと夜目にもしるき
獅子頭
(
ししがしら
)
の
兜巾
(
ときん
)
と、
霜花毛
(
しもげ
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
にまたがった一壮漢の姿を、その一勢のうちに見て、宋江はおもわず地獄で仏のような声を発した。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『……貴様は、どう見たか、あの
青毛
(
あお
)
の
四歳
(
よんさい
)
を。どうだ、あの
駿馬
(
しゅんめ
)
は。すばらしいものだろうが』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
小文治
(
こぶんじ
)
がききかえすまに、
駿馬
(
しゅんめ
)
項羽
(
こうう
)
のかげは木隠をのせて、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく遠ざかってしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五尺六、七寸はあるだろう、
武蔵
(
たけぞう
)
は背がすぐれて高かった、よく駈ける
駿馬
(
しゅんめ
)
のようである。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その青二才で、一院の門跡となり、少僧都となり、やれ秀才の
駿馬
(
しゅんめ
)
の、はなはだしきは
菩薩
(
ぼさつ
)
の再来だとかいって、ちやほやいう奴があるが、それが皆、あの男のためには毒になっているのだ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
朶
(
だ
)
の雲かと見えたのが、近づくに従って、一
颷
(
ぴょう
)
の軍馬と化し、敵か味方かと怪しみ見ているいとまもなく、その中から馳けあらわれた一人の大将は
漆艶
(
うるしつや
)
のように光る真っ黒な
駿馬
(
しゅんめ
)
にうちまたがり
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、利家は、
二口
(
ふたふり
)
の
銘刀
(
めいとう
)
に、
駿馬
(
しゅんめ
)
一頭を、成政に贈った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信長がこの日の馬は、
月輪
(
つきのわ
)
とよぶ南部
牧
(
まき
)
の
駿馬
(
しゅんめ
)
だった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勿論、往復ともに快足の
駿馬
(
しゅんめ
)
に鞭打っているのだ。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“駿馬”の意味
《名詞》
駿足の優れた馬。
(出典:Wiktionary)
駿
漢検準1級
部首:⾺
17画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
“駿”で始まる語句
駿河
駿河台
駿府
駿
駿足
駿州
駿河守
駿河台下
駿河臺
駿河町