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たち
ふりがな文庫
“
館
(
たち
)” の例文
この
館
(
たち
)
には一人として我を憎むものなし。されど尼寺の心安きには似ず。こは
小尼公
(
アベヂツサ
)
の獨り我に對し給ふとき、屡〻宣給ひし詞なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「しかしまたことによると、この
館
(
たち
)
に
擒人
(
とりこ
)
となっている咲耶子を助けだそうという考えで、この
甲府
(
こうふ
)
に
潜伏
(
せんぷく
)
しているようにも考える」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、国司や、
奥方
(
おくがた
)
の身のまわりの用を足してやりました。これがために国司の
館
(
たち
)
などでは、「宇賀の老爺」「浜の宇賀」などと云って、非常に重宝がりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ストラアセなる
館
(
たち
)
をたずねて、さきにフォン、ビュロオ伯が娘イイダ姫に誓いしことを果さんとせしが、もとよりところの習いにては、冬になりて交際の時節来ぬうち
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
助の
館
(
たち
)
の人々此の事を聞きて大いに
異
(
あや
)
しみ、先づ
箸
(
はし
)
を
止
(
や
)
めて、十郎掃守をも
召具
(
めしぐ
)
して寺に到る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
降
(
ふ
)
り
暮
(
くら
)
す
昨日
(
きのふ
)
今日
(
けふ
)
、
千騎
(
せんき
)
の
雨
(
あめ
)
は
襲
(
おそ
)
ふが
如
(
ごと
)
く、
伏屋
(
ふせや
)
も、
館
(
たち
)
も、
籠
(
こも
)
れる
砦
(
とりで
)
、
圍
(
かこ
)
まるゝ
城
(
しろ
)
に
似
(
に
)
たり。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
氷川なる邸内には、
唐破風造
(
からはふづくり
)
の昔を
摸
(
うつ
)
せる
館
(
たち
)
と相並びて、帰朝後起せし三層の
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の
異
(
あやし
)
きまで目慣れぬ式なるは、この殿の
数寄
(
すき
)
にて、独逸に名ある古城の
面影
(
おもかげ
)
を
偲
(
しの
)
びてここに
象
(
かたど
)
れるなりとぞ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
花の
館
(
たち
)
われ住むべくもあらぬかな
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
亜刺比亜
(
アラビヤ
)
の
魔法
(
まはふ
)
の
館
(
たち
)
の
薄笑
(
うすわらひ
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
領主の
館
(
たち
)
の
太刀試合
(
たちじあひ
)
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
荒
(
あれ
)
たる
館
(
たち
)
の花妻の
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
館
(
たち
)
の
姫
(
ひめ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
松をすかしてチラチラ見えるいくつもの
灯
(
ひ
)
は、
館
(
たち
)
の
高楼
(
こうろう
)
であり
武者長屋
(
むしゃながや
)
であり
矢倉
(
やぐら
)
の
狭間
(
はざま
)
であり、
長安歓楽
(
ながやすかんらく
)
の
奥殿
(
おくでん
)
のかがやきである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暑き二箇月の間は、
館
(
たち
)
の人々チヲリに遊び給ひぬ。わがその群に入ることを得つるは、恐らくは小尼公の
緩頬
(
くわんけふ
)
に由れるなるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこには
館
(
たち
)
の
内
(
うち
)
と云う小字があって、祐泰の
宅趾
(
やしきあと
)
と云われ、祐泰の力持をしたと云う石もあった。
火傷した神様
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
祖父
(
おほぢ
)
は
播磨
(
はりま
)
の
一四
赤松に仕へしが、
去
(
さ
)
んぬる
一五
嘉吉
(
かきつ
)
元年の
乱
(
みだれ
)
に、
一六
かの
館
(
たち
)
を去りてここに来り、庄太夫にいたるまで
三代
(
みよ
)
を
経
(
へ
)
て、
一七
春
耕
(
たがや
)
し、秋
収
(
をさ
)
めて、家
豊
(
ゆた
)
かにくらしけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
柳の
館
(
たち
)
あとを左右に見つつ、
俥
(
くるま
)
は三代の
豪奢
(
ごうしゃ
)
の亡びたる、草の
径
(
こみち
)
を
静
(
しずか
)
に進む。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「正月十一日(阿部侯
正寧
(
まさやす
)
の
館
(
たち
)
に)罷出候。御手のし頂戴は相すみ、又御目通に出よとのこと、さむさはさむし、腹はつかへる、御断申帰候。」亦「無奈衰躬負我情」の句の註脚とすべきものである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
菊の
館
(
たち
)
五男それ/″\手をついて
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
領主の
館
(
たち
)
の太刀試合
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
むろんそれは、
手組
(
てぐみ
)
の
筏
(
いかだ
)
にのって
濠
(
ほり
)
をこえ、
館
(
たち
)
のそうどうに
乗
(
じょう
)
じて、ここへ
潜入
(
せんにゅう
)
してきた、
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
と
巽小文治
(
たつみこぶんじ
)
のふたりである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
車はボルゲエゼの
館
(
たち
)
の前に
駐
(
と
)
まりぬ。
僮僕
(
しもべ
)
は我を
誘
(
いざな
)
ひて館の最高層に登り、相接せる二小房を指して、我行李を
卸
(
おろ
)
さしめき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
今歳
(
ことし
)
の正月、長者が宇賀の
老爺
(
おじい
)
を
伴
(
つ
)
れて、
国司
(
こくし
)
の
館
(
たち
)
に往って四五日
逗留
(
とうりゅう
)
している留守に、
女
(
むすめ
)
は修験者の神秘に
侵
(
おか
)
されていたが、その
比
(
ころ
)
になってその反動が起っておりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
守、此の
賊
(
ぬすびと
)
を
探
(
さぐ
)
り
捕
(
とら
)
ふために、
一六五
助の君
文室
(
ふんや
)
の
広之
(
ひろゆき
)
、大宮司の
館
(
たち
)
に来て、今
専
(
もつぱら
)
に此の事を
一六六
はかり給ふよしを聞きぬ。此の太刀
一六七
いかさまにも
下司
(
したづかさ
)
などの
帯
(
は
)
くべき物にあらず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
草庵を菊の
館
(
たち
)
とも誇りけり
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
知りての願いあり。かくいわばきのうはじめて相見て、ことばもまだかわさぬにいかでと怪しみたまわん。されどわれはたやすく惑うものにあらず。君演習すみてドレスデンにゆきたまわば、王宮にも招かれ国務大臣の
館
(
たち
)
にも迎えられたもうべし
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
土豪にしては無能なほど、隣郡との
軋轢
(
あつれき
)
なども避け、ただ無事を守っている
水分
(
みくまり
)
ノ
館
(
たち
)
だったが、それにしてさえ、敵はあった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下顎
(
したあご
)
の出た猿のようなこの老人は、どこへでもしゃあしゃあと押しだして往って、
何人
(
たれ
)
とでも
顔馴染
(
かおなじみ
)
になりました。
国司
(
こくし
)
の
館
(
たち
)
などに往くと、十日も
二十日
(
はつか
)
もそこにいることがありました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
花の
館
(
たち
)
謡の会もありぬべし
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
新兵衛たちは一
行
(
こう
)
四、五十人の徴税使をつれて世良田へ入った。といっても、義貞の居館へではない。その隣の“
館
(
たち
)
ノ
坊
(
ぼう
)
”とよぶ寺だった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらく清高の島後の
館
(
たち
)
では、彼も鎌倉の特使にじきじき会っていただろう。それが急遽、別府へ帰されてきた理由の一ツは
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
火は、本丸の
館
(
たち
)
にも燃え移っていた。
大廂
(
おおびさし
)
の
雨樋
(
とい
)
を
奔
(
はし
)
る火の
迅
(
はや
)
さといったらない。長政は、そのあたりを
潜
(
くぐ
)
って来る一隊の
鉄甲
(
てつかぶと
)
をみとめて
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山腹や麓の部落には、さくらも桃も一しょに咲いてきたし、
下赤坂
(
しもあかさか
)
の城、また、かつての
水分
(
みくまり
)
の
御本屋
(
ごほんや
)
(
館
(
たち
)
)も、みな新しく建て直っている。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はばかって、寄せつけてはくれませぬ。……というて、道誉の
館
(
たち
)
へ引っ立てられて行くほどなら、死んだがましでございまする。高氏さま……
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「前の月には、西美濃の
津島祭
(
つしままつり
)
で
堀田道空
(
ほったどうくう
)
が
館
(
たち
)
まで、祭見に参って、
儂
(
み
)
も忍びすがたで、踊りぬいたが、踊りはよいもの、日吉祭が待ち遠いのう」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
笙
(
しょう
)
やひちりきの音から伊勢の宮の
稚児
(
ちご
)
の
館
(
たち
)
が
憶
(
おも
)
い出され、
腫
(
う
)
んだ足をひき摺って登った鷲ヶ岳の樹々の
氷花
(
つらら
)
が、ふと考え出されたのであろう。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲斐
(
かい
)
、
信濃
(
しなの
)
を駈けまわり、さらに、その時は脚をのばして、奥州平泉の
館
(
たち
)
に、藤原
秀衡
(
ひでひら
)
を訪ね、そこに成人している源九郎義経ともひそかに会った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
甲
(
こう
)
ノ
尾
(
お
)
の
館
(
たち
)
は、祖先義清いらい、一世紀余も住み古してきた代々の家だった。北の彼方に、国分寺の
址
(
あと
)
がある。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父子は連れだって、さらに
館
(
たち
)
の奥の、孤立した一殿へ入って行った。持仏堂だろうか、一僧が出て来て手をつかえ
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下野国、田沼の
郷
(
さと
)
、田原の
館
(
たち
)
では、右馬允貞盛が、年の暮から正月にかけて、さいごの決断をうながしに来ていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勿論、三好家の
館
(
たち
)
までは、いつものような東国侍の
微行
(
しのび
)
すがたで、そこで式服に改め、室町の
柳営
(
りゅうえい
)
へ出向いたので、まったく誰も知らぬ会見であった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と聞いていたが、しかし
当
(
とう
)
の脇屋義助は、いつまで見えはしなかった。のみならずその夕、義貞の
館
(
たち
)
では、いよいよにぎやかな
端午
(
たんご
)
遊びの笛太鼓だった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日が暮れて——どれ姫山の
館
(
たち
)
へ帰ろうか——とその
人
(
ひと
)
が家の裏戸へ駒を寄せると、小娘のお菊はいつも、ひとりでに涙がわいてならなかったものだった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれはさしあげただけですが、もし何でしたら、成田に申しつけて、甲ノ尾の
館
(
たち
)
へ求めにやらせましょうか」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういう状況をつぶさに聞いては、
躑躅
(
つつじ
)
ヶ崎の
館
(
たち
)
にあった信玄も、眼を熱うせずにいられなかった。が、彼は
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岩井の
館
(
たち
)
は
猿島
(
さしま
)
郡だ。相馬から
渡船
(
わたし
)
で一水を越える地にある。船中で酒を酌みあい、寒いが、気は晴れてきた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信濃では「信濃ノ宮」と人みな申し上げて、大川原の
香坂
(
こうざか
)
高宗の
館
(
たち
)
に多年お身をひそめておられたのだった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の旅舎は、もと足利
義昭
(
よしあき
)
のいた二条の
館
(
たち
)
を改築して宛てていた。日々、
公卿
(
くげ
)
、武人、茶家、文雅の
輩
(
ともがら
)
、
浪華
(
なにわ
)
、
堺
(
さかい
)
などの
商賈
(
しょうこ
)
の者まで、訪問客は
市
(
いち
)
をなした。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたたび、馬上の人となって、十二月十一日、豊田の
館
(
たち
)
を発向し、下野の国府へ攻めて行ったのが、彼として、今や公然たる叛軍の旗を挙げた第一歩だった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鶴ヶ岡の元神官屋敷そのままの営所で、まだ新田の
館
(
たち
)
というものを、他に新築しようとしてもいなかった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
館
常用漢字
小3
部首:⾷
16画
“館”を含む語句
旅館
美術館
御館
博物館
茶館
城館
鹿鳴館
白堊館
居館
別館
飯館
大英博物館
会館
領事館
函館
古館
大館
紅葉館
博文館
高館
...