近來きんらい)” の例文
新字:近来
近來きんらい世界せかい文運ぶんうん急激きふげき進展しんてんしたのと、國際的交渉こくさいてきかうせふいそがしくなつたのとで、わがくににおいても舊來きうらい言語げんごだけでははなくなつた。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
御米およね近來きんらいきんはどういたつけね」とたづねた。細君さいくんべつあきれた樣子やうすもなく、わかをんな特有とくいうなけたゝましい笑聲わらひごゑてず
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ近來きんらいつてからとなり主人しゆじんはやし改良かいりやうするため雜木林ざふきばやしを一たん開墾かいこんしてはたけにするといふことにつたのでの一擔當たんたうした。かれちひさな身體からだである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
中西屋なかにしや結構けつかうです、近來きんらい益〻ます/\いやうです。さうだねきみ。』と兔角とかく言葉ことばすくない鈴木巡査すゞきじゆんさ贊成さんせいもとめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
たれしも新開しんかい這入はいるほどのものきくのおりきらぬはあるまじ、きくのおりきか、おりききくか、さても近來きんらいまれのひろひもの、あののおかげ新開しんかいひかりがはつた
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女房かみさん料簡れうけんぢやあ、廓外そとて——それこそ新橋しんばしなぞは、近來きんらい吉原よしはらおの大勢おほぜいつてるから——彼處等あすこらつて待合まちあひでもすれば、一番いちばん間違まちがひいとおもつたのだが、此議これまたそのむすめ大反對だいはんたい
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうしてもまちとほはなれたうつくしい自然しぜん森林しんりんかけるにしたことはないのです。この意味いみ近來きんらいやすみを利用りようして各地かくちひらいてゐる林間野營りんかんやえいや、それから山岳旅行さんがくりよこうなどはまことに結構けつこうなことです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
好まるゝと雖も御同行どうかうなされし御兩卿りやうきやう方の手前もある故餘儀よぎなく斯は御談じ申せしなりさりながら爰に一つお頼み申度儀御座候其事御承知に候はゞ拙者共何とか工夫くふう致し取り扱ひ申すべく其のわけ近來きんらい當家も勝手向かつてむきいたつ不手廻ふてまはりに付殊の外御難儀成れ見らるゝ如く御殿の普請ふしん打捨置うちすておき候次第ゆゑ此度の御謝物しやもつの御心得にて少々金子きんす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
身體からだあたまらくがないので、何時いつでもうはそら素通すどほりをすることになつてゐるから、自分じぶんそのにぎやかなまちなかいきてゐると自覺じかく近來きんらいとんおこつたことがない。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ近來きんらいにない晨起はやおきをしたので、しもしろにはつてこはばつたあし爪先つまさきいたくなるほどつめたいのをかんじた。火鉢ひばちそばすわつても煙草たばこもないのでかれ自分じぶんかまどしたえさしをはひまゝとつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この印刷術いんさつじゆつ近來きんらい英國えいこく發明はつめいになつたもので、根本的こんぽんてきにいふと矢張やは電氣でんき利用りようぎなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
主人しゆじんからあたへられた穀物こくもつかれの一あたゝめた。かれ近來きんらいにないこころ餘裕よゆうかんじた。しかしさういふわづかかれさいはひした事柄ことがらでもいくらか他人たにん嫉妬しつとまねいた。百姓ひやくしやうにも悶躁もがいてものいくらもある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)