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羨
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うら
ふりがな文庫
“
羨
(
うら
)” の例文
傍
(
そば
)
に
夫
(
をつと
)
のゐる
事
(
こと
)
は
殆
(
ほと
)
んど
忘
(
わす
)
れて
眞面目
(
まじめ
)
に
聽
(
き
)
いてゐるらしかつた。
宗助
(
そうすけ
)
は
羨
(
うら
)
やましい
人
(
ひと
)
のうちに
御米
(
およね
)
迄
(
まで
)
勘定
(
かんぢやう
)
しなければならなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
掛り
人
(
うど
)
のやうな奉公人のやうな、店中の者に
羨
(
うら
)
やまれる樂な奉公をさして頂き、それから引續いて、今の御主人の厄介になつて居ります。
銭形平次捕物控:275 五月人形
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なんという
羨
(
うら
)
やましいお
嗜
(
たし
)
なみだろう、あきつは忘れていた自分の家へでも帰ったような、殆んど懐かしいと云いたい気持でそう思った。
日本婦道記:萱笠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ところが、お前さん方になると、入った人が出てくるまでどうにか食って行けるだろうし、色んなものが充分差入も出来るから
羨
(
うら
)
やましい。
母たち
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
カヤノの子供のないのんきさをミチが
羨
(
うら
)
やましがると、カヤノはカヤノの夫の作太郎が酒を呑まないだけに気むずかしくて
気骨
(
きぼね
)
の折れる話をし
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
▼ もっと見る
しめて、
錠
(
じょう
)
をおろして、それから雨戸もしめてしまいなさい。人に見られて、
羨
(
うら
)
やましがられても具合いが悪いからな。
禁酒の心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「ほんに
羨
(
うら
)
やましいのはそなたの身じゃ、その美くしさとその若かさとを持っていたら、あらゆる此の世の楽しみ、何ひとつ
叶
(
かな
)
わぬことはない筈だ」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ヘルン自身も、もちろんまたそれを意識して書いてるので、『どうだ。
羨
(
うら
)
やましかろう』という
自誇
(
じこ
)
の情が、そうした手紙の言外によく現われてる。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
男というのは当時某会社に出勤していたが、何しろこんなにまで望んで
嫁
(
と
)
った
妻
(
かない
)
のことでもあるから、若夫婦の一家は近所の者も
羨
(
うら
)
やむほど
睦
(
むつま
)
じかった。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
諸君の真面目な研究は外国語の智識に乏しい私の
羨
(
うら
)
やみ且つ敬服するところではあるが、諸君は其研究から利益と共に或禍ひを受けて居るやうな事はないか。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「たわけたちめがっ。おれをどうする! 見せつけるのかっ。
羨
(
うら
)
やましがらせをするのかっ。それへ出い!」
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
其
(
その
)
我
(
わが
)
まゝの
徹
(
とほ
)
らぬ
事
(
こと
)
もあるまじきなれど、
愁
(
つ
)
らきは
養子
(
やうし
)
の
身分
(
みぶん
)
と
桂次
(
けいじ
)
はつく/″\
他人
(
たにん
)
の
自由
(
じゆう
)
を
羨
(
うら
)
やみて、これからの
行
(
ゆ
)
く
末
(
すゑ
)
をも
鎖
(
くさ
)
りにつながれたるやうに
考
(
かんが
)
へぬ。
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かういふ少年が彼を見ると、巡査を見たやうに赤面したのである。主人は、その二人と自分との間に
溝
(
みぞ
)
を感じた。そしてAさんと中学生との間柄を
羨
(
うら
)
やむやうな気持になつた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「お
羨
(
うら
)
やましいことですよ。前世から持ってきなすった福運なんですからね。」
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
玉の
輿
(
こし
)
にのった同性の幸福を
羨
(
うら
)
やんだり、ねたんだり、中には、せめてその幸せにあやかりたいものと、妓王の妓をとって、妓一、妓二などと名前を変える者まで出るほどの評判であった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
(死んだ母は苦労のしどおしだった。)まあ自身の人間を思うと、こういう目にあうのは当然な風には思えたのだ。——はや寒さに身も心も震えて、出所してゆく者のうえをただ
羨
(
うら
)
やむ心でいた。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
あまりに上品とはいえないが私のような胃病患者から見るとなんとそれは
幸
(
さ
)
ち多過ぎる人であるかと思って
羨
(
うら
)
やましき次第とも見えるのだ、全く何も食えずにいる時、
沢庵
(
たくあん
)
と茶漬けの音を聞く事は
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
それはなんという
羨
(
うら
)
やむべき境地であろう! 多少でも何ものかに強制された気持でそういう立場を固守しなければならず、無理にでもそこに心を落ちつけなければ安心ができないというのであれば
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
人の
賛
(
ほ
)
めるのも
羨
(
うら
)
やむのも
悦
(
うれ
)
しいとは思召さないのでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いつまでもお若くてお
羨
(
うら
)
やましいことだ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
されば何しに
羨
(
うら
)
やむものぞ
忘春詩集:02 忘春詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
私が
羨
(
うら
)
やましがるほど純潔です。けれどもあなたの純潔は、あなたの未来の夫に対して、何の役にも立たない武器に過ぎません。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊達政宗がひどく
羨
(
うら
)
やんで、岩代半國と代へようと申込んだが、到頭讓らなかつたと言ふ、天下
稀覯
(
きこう
)
の大名物です。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その我ままの
徹
(
とほ
)
らぬ事もあるまじきなれど、
愁
(
つ
)
らきは養子の身分と桂次はつくづく他人の自由を
羨
(
うら
)
やみて、これからの行く末をも鎖りにつながれたるやうに考へぬ。
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
諸君のまじめな研究は外国語の知識に
乏
(
とぼ
)
しい私の
羨
(
うら
)
やみかつ
敬服
(
けいふく
)
するところではあるが、諸君はその研究から利益とともにある
禍
(
わざわ
)
いを受けているようなことはないか。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
あの人たちは、どんな、みだらな言葉でも、気軽に口にするので、私には、かえって
羨
(
うら
)
やましい。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ひっ
提
(
さげ
)
て、政道の一線に立つものはああいう最期を遂げたいものじゃ。
羨
(
うら
)
やましい事よ喃
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その豊富な美音は弟子達の誰もが
羨
(
うら
)
やむところだった。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
傍
(
そば
)
に夫のいる事はほとんど忘れて、
真面目
(
まじめ
)
に聴いているらしかった。宗助は
羨
(
うら
)
やましい人のうちに、御米まで
勘定
(
かんじょう
)
しなければならなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「怨んでいる者ばかりが、命を狙うとは限りません。私を
羨
(
うら
)
やむ者、私が生きていると邪魔になるもの、世の中には、いろいろの敵があると思わなきゃなりません」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いと
嬉
(
うれ
)
しうて、今やこの事かたり
出
(
いで
)
ん、しばししてや
驚
(
おどろ
)
かすべき、さこそは人の
羨
(
うら
)
やましがるべきをと、嬉しきにも
猶
(
なほ
)
はゞかられつゝ、あらぬ事ども言ひかはすほどに
すゞろごと
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そうしてこう小ぢんまり片づいて暮している須永を
軽蔑
(
けいべつ
)
すると同時に、閑静ながら
余裕
(
よゆう
)
のあるこの友の生活を
羨
(
うら
)
やみもした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒
(
くろ
)
ぬり
塀
(
べい
)
の
表
(
おもて
)
かまへとお
勝手
(
かつて
)
むきの
經濟
(
けいざい
)
は
別
(
べつ
)
ものぞかし、
推
(
をし
)
はかりに
人
(
ひと
)
の
上
(
うへ
)
は
羨
(
うら
)
やまぬ
物
(
もの
)
よ、
香月左門
(
かうづきさもん
)
といひし
舊幕臣
(
きうばくしん
)
、
彼
(
か
)
の
學士
(
がくし
)
の
父親
(
ちヽおや
)
とは
𧘕𧘔
(
かみしも
)
の
肩
(
かた
)
をならべし
間
(
あいだ
)
なるが
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
病
(
やまい
)
が
癒
(
なお
)
るに
伴
(
つ
)
れ、自己がしだいに実世間に押し出されるに伴れ、こう云う議論を公けにして得意なオイッケンを
羨
(
うら
)
やまずにはいられなくなって来た。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人
(
ひと
)
の
不幸
(
ふこう
)
は
生
(
うま
)
れながらに
後家
(
ごけ
)
さまの
親
(
おや
)
を
持
(
も
)
ちて、すがる
乳房
(
ちぶさ
)
の
甘
(
あま
)
へながらも
父
(
ちヽ
)
といふ
味夢
(
あぢゆめ
)
にも
知
(
しら
)
ず、
物
(
もの
)
ごヽろ
知
(
し
)
るにつけて
親
(
おや
)
といへば
二人
(
ふたり
)
ある
他人
(
ひと
)
のさまの
羨
(
うら
)
やましさに
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
職員閲覧室へ行く人である。
中
(
なか
)
には必要の本を
書棚
(
しよだな
)
から取り
卸
(
おろ
)
して、胸一杯にひろげて、立ちながら調べてゐる人もある。三四郎は
羨
(
うら
)
やましくなつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
我れ一度お峯への用事ありて
門
(
かど
)
まで行きしが、千両にては出来まじき土蔵の普請、
羨
(
うら
)
やましき富貴と見たりし、その主人に一年の馴染、気に入りの奉公人が少々の無心を聞かぬとは申されまじ
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お秀の
器量望
(
きりょうのぞ
)
みで
貰
(
もら
)
われた事は、津田といっしょにならない前から、お延に知れていた。それは一般の女、ことにお延のような女にとっては、
羨
(
うら
)
やましい事実に
違
(
ちがい
)
なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
抱
(
かか
)
へ
主
(
ぬし
)
は神棚へささげて置いても
宜
(
い
)
いとて軒並びの
羨
(
うら
)
やみ
種
(
ぐさ
)
になりぬ。
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
津田は自分の父がけっしてこれらの人から
羨
(
うら
)
やましがられているとは思わなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
抱
(
かゝ
)
へ
主
(
ぬし
)
は
神棚
(
かみだな
)
へさゝげて
置
(
お
)
いても
宜
(
い
)
いとて
軒並
(
のきなら
)
びの
羨
(
うら
)
やみ
種
(
ぐさ
)
になりぬ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は人の
羨
(
うら
)
やむ程
光沢
(
つや
)
の好い皮膚と、労働者に
見出
(
みいだ
)
しがたい様に柔かな筋肉を
有
(
も
)
った男であった。彼は生れて以来、まだ大病と名のつくものを経験しなかった位、健康に
於
(
おい
)
て幸福を
享
(
う
)
けていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
峯
(
みね
)
が
主
(
しゆう
)
は
白金
(
しろかね
)
の
臺町
(
だいまち
)
に
貸長屋
(
かしながや
)
の百
軒
(
けん
)
も
持
(
も
)
ちて、あがり
物
(
もの
)
ばかりに
常
(
じやう
)
綺羅
(
きら
)
美々
(
びゝ
)
しく、
我
(
わ
)
れ一
度
(
ど
)
お
峯
(
みね
)
への
用事
(
ようじ
)
ありて
門
(
かど
)
まで
行
(
ゆ
)
きしが、千
兩
(
りやう
)
にては
出來
(
でき
)
まじき
土藏
(
どざう
)
の
普請
(
ふしん
)
、
羨
(
うら
)
やましき
富貴
(
ふうき
)
と
見
(
み
)
たりし
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は
人
(
ひと
)
の
羨
(
うら
)
やむ程
光沢
(
つや
)
の
好
(
い
)
い
皮膚
(
ひふ
)
と、労働者に見出しがたい様に柔かな筋肉を
有
(
も
)
つた男であつた。彼は生れて以来、まだ大病と名のつくものを経験しなかつた位、健康に於て幸福を
享
(
う
)
けてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
羨
(
うら
)
やましいな。どうかして——どうもいかんな」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして広島や福岡の暖かい冬を
羨
(
うら
)
やんだ。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さうして
廣島
(
ひろしま
)
や
福岡
(
ふくをか
)
の
暖
(
あたゝ
)
かい
冬
(
ふゆ
)
を
羨
(
うら
)
やんだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と東風君はしきりに
羨
(
うら
)
やましがっている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
羨
常用漢字
中学
部首:⽺
13画
“羨”を含む語句
羨望
可羨
御羨
物羨
健羨
艶羨
欣羨
羨怨
気羨
遠羨
羨道
羨渓
羨涎
羨殺
羨望者
羨敷
乗羨
歆羨
欽羨
御羨敷
...