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穿
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ほ
ふりがな文庫
“
穿
(
ほ
)” の例文
暗道
(
ポテルン
)
の光沢のある橄欖石の側壁が、そこだけ花の
萼
(
うてな
)
のようなかたちに
穿
(
ほ
)
れ、その中にあふれるばかりの水をひっそりと
湛
(
たた
)
えていた。水。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その橋材の両端のツツラを通す穴の
穿
(
ほ
)
り方は、筏の材木の穴と同じであるらしいが、これも鉄線を代用する時代が来たらどう変るか分らぬ。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
掏摸の指で
突
(
つつ
)
いても、倒れるような石垣や、蟻で崩れる
濛
(
ほり
)
を
穿
(
ほ
)
って、河野の旗を立てていたって、はじまらねえ話じゃねえか。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そう
穿
(
ほ
)
じくらないで、ついて行くのならさあ行こう! その代り私はあとで
美味
(
おい
)
しいものをあなたにご馳走してあげる」
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
仮令
(
たとへ
)
ば
木匠
(
こだくみ
)
の道は小なるにせよ其に一心の誠を委ね生命を懸けて、慾も
大概
(
あらまし
)
は忘れ
卑劣
(
きたな
)
き
念
(
おもひ
)
も起さず、唯只鑿をもつては能く
穿
(
ほ
)
らんことを思ひ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
そういう
溝
(
みぞ
)
のような長い穴が二間四面の内に二つあるいは三つ位
穿
(
ほ
)
ってあって、一つの穴でも二人あるいは三人位列んで出来得るようになって居るのですから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「この砂利がこの壺穴を
穿
(
ほ
)
るのです。水がこの上を流れるでせう、石が水の底でザラザラ動くでせう。まはったりもするでせう、だんだん岩が穿れて行くのです。」
イギリス海岸
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
草鞋や杖で
穿
(
ほ
)
り返された雪は、橇でも拽いたように生々しい傷がついている、その雪も大石に挟まれたところは、石の熱のためか、溶けて境界線が
一寸
(
ちょっと
)
した溝になっている
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
仏
(
ほとけ
)
造
(
つく
)
る
真朱
(
まそほ
)
足
(
た
)
らずは
水
(
みづ
)
たまる
池田
(
いけだ
)
の
朝臣
(
あそ
)
が
鼻
(
はな
)
の
上
(
うへ
)
を
穿
(
ほ
)
れ 〔巻十六・三八四一〕 大神朝臣
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「それを、
穿
(
ほ
)
じり出す気なら、何も
朱実
(
あけみ
)
に前触れはさせておかぬ。野武士の
掟
(
おきて
)
がある手前、一応は、家捜しもするが、今度のところは大目に見て
宥
(
ゆる
)
しているのだ。お慈悲だと思え」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拳
(
こぶし
)
で
胸
(
むね
)
を
打
(
う
)
つて
祈
(
いの
)
るかと
思
(
おも
)
へば、
直
(
すぐ
)
に
指
(
ゆび
)
で
戸
(
と
)
の
穴
(
あな
)
を
穿
(
ほ
)
つたりしてゐる。
是
(
これ
)
は
猶太人
(
ジウ
)
のモイセイカと
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
で、二十
年計
(
ねんばか
)
り
前
(
まへ
)
、
自分
(
じぶん
)
が
所有
(
しよいう
)
の
帽子製造場
(
ばうしせいざうば
)
が
燒
(
や
)
けた
時
(
とき
)
に、
發狂
(
はつきやう
)
したのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
こう考えると、無限にこの笛が懐かしい、恋しい、
何
(
ど
)
うしたらいいだろうかと笛を取上げて彼は
雀躍
(
こおどり
)
をした。
而
(
そ
)
して割らないようにと念に念を入れて、
只
(
ただ
)
一つまだ開けない孔を
穿
(
ほ
)
り始めた。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
或る幼虫は簡単にその体を地中に
匿
(
か
)
くすし、他のものは壁の磨いた面を
穿
(
ほ
)
る。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
素人
(
しろと
)
にはむづかしいといふ、鰻釣の
糸捌
(
いとさば
)
きは中でも得意で、一晩出掛けると、湿地で
蚯蚓
(
みみず
)
を
穿
(
ほ
)
るほど一かゞりにあげて来る。
夜釣
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
船津
(
ふなつ
)
の阪本の弘法井は、今でも路通る人が花を上げお
賽銭
(
さいせん
)
を投げて行きます。
高家
(
たかいえ
)
の
水飲谷
(
みずのみだに
)
にあるのは、弘法大師が指先で
穿
(
ほ
)
ったといって結構な水であります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「この砂利がこの壺穴を
穿
(
ほ
)
るのです。水がこの上を流れるでしょう、石が水の
底
(
そこ
)
でザラザラ
動
(
うご
)
くでしょう。まわったりもするでしょう、だんだん岩が穿れていくのです。」
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しかしともかく今の私はそんな話の種の
穿
(
ほ
)
じくりや好奇心なぞを満足させに来たのではない。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ただただ
鑿
(
のみ
)
をもってはよく
穿
(
ほ
)
らんことを思い、
鉋
(
かんな
)
を持ってはよく削らんことを思う心の
尊
(
たっと
)
さは金にも銀にも
比
(
たぐ
)
えがたきを、わずかに残す
便宜
(
よすが
)
もなくていたずらに
北邙
(
ほくぼう
)
の土に
没
(
うず
)
め
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
拳
(
こぶし
)
で
胸
(
むね
)
を
打
(
う
)
って
祈
(
いの
)
るかと
思
(
おも
)
えば、
直
(
すぐ
)
に
指
(
ゆび
)
で
戸
(
と
)
の
穴
(
あな
)
を
穿
(
ほ
)
ったりしている。これは
猶太人
(
ジウ
)
のモイセイカと
云
(
い
)
う
者
(
もの
)
で、二十
年
(
ねん
)
ばかり
前
(
まえ
)
、
自分
(
じぶん
)
が
所有
(
しょゆう
)
の
帽子製造場
(
ぼうしせいぞうば
)
が
焼
(
や
)
けた
時
(
とき
)
に、
発狂
(
はっきょう
)
したのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
幅が
闊
(
ひろ
)
く、辷りもするので、人の鳶口に
扶
(
たす
)
けられて上った、雪のおもては旋風にでも
穿
(
ほ
)
り返された跡らしく、亀甲形の斑紋が、おのずと出来ている、その下には雪解の蒼白い水が、澄みわたって
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
老人田舎もののしょうがには、山の芋を
穿
(
ほ
)
って
鰻
(
うなぎ
)
とする法を飲込んでいるて。
拙者
(
せっしゃ
)
、足軽ではござれども、(
真面目
(
まじめ
)
に)松本の藩士、士族でえす。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斯様
(
かう
)
截
(
き
)
れ
彼様
(
あゝ
)
穿
(
ほ
)
れ、此処を何様して何様やつて其処に是だけ勾配有たせよ、孕みが何寸凹みが何分と口でも知らせ
墨縄
(
なは
)
でも云はせ、面倒なるは板片に矩尺の仕様を書いても示し
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と頭を抱えて、狂気のように
紙屑籠
(
かみくずかご
)
を
穿
(
ほ
)
じくり出した。
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
また、それだけに
釣
(
つり
)
がうまい。
素人
(
しろうと
)
にはむづかしいといふ、
鰻釣
(
うなぎつり
)
の
絲捌
(
いとさば
)
きは
中
(
なか
)
でも
得意
(
とくい
)
で、
一晩
(
ひとばん
)
出掛
(
でか
)
けると
濕地
(
しつち
)
で
蚯蚓
(
みゝず
)
を
穿
(
ほ
)
るほど
一
(
ひと
)
かゞりにあげて
來
(
く
)
る。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こう
截
(
き
)
れああ
穿
(
ほ
)
れ、ここをどうしてどうやってそこにこれだけ
勾配
(
こうばい
)
もたせよ、
孕
(
はら
)
みが何寸
凹
(
くぼ
)
みが何分と口でも知らせ
墨縄
(
なわ
)
でも云わせ、面倒なるは
板片
(
いたきれ
)
に矩尺の仕様を書いても示し
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
穿当
(
ほりあ
)
てました。海の中でも
紅
(
べに
)
色の
鱗
(
うろこ
)
は
目覚
(
めざま
)
しい。土を
穿
(
ほ
)
って出る水も、そういう場合には紫より、黄色より、青い色より、その紅色が一番見る目を驚かせます。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はて、何んであろうと、
親仁殿
(
おやじどの
)
が固くなって、もう二、三度
穿
(
ほ
)
り拡げると、がっくり、うつろになったので、山の腹へ
附着
(
くッつ
)
いて、こう
覗
(
のぞ
)
いて見たそうにござる。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは東海道横浜にござった、
葛原
(
くずはら
)
(八郎の母方の姓)の妹娘の
骨
(
こつ
)
を入れて、——仲仙道上田にござる姉娘がの、去年供養に見えた一具じゃが、寺で葬るのに墓を
穿
(
ほ
)
った時よ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ずかずか山の
裾
(
すそ
)
を、
穿
(
ほ
)
りかけていたそうでありますが、
小児
(
こども
)
が呼びに来たについて、
一服
(
いっぷく
)
遣
(
や
)
るべいかで、もう
一鍬
(
ひとくわ
)
、すとんと入れると、急に土が
軟
(
やわら
)
かく、ずぶずぶと
柄
(
え
)
ぐるみにむぐずり込んだで。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
磯
(
いそ
)
へ出ると、砂を
穿
(
ほ
)
って小さく囲って、そこいらの
燃料
(
もえくさ
)
で
焚附
(
たきつ
)
ける。バケツへ
汐汲
(
しおくみ
)
という振事があって、一件ものをうでるんだが、波の上へ
薄
(
うっす
)
りと煙が
靡
(
なび
)
くと、富士を
真正面
(
まっしょうめん
)
に、奥方もちっと参る。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの
空
(
そら
)
が
紫立
(
むらさきだ
)
つてほんのり
桃色
(
もゝいろ
)
に
薄
(
うす
)
く
見
(
み
)
えべい。——
麻袋
(
あさふくろ
)
には
昼飯
(
ひるめし
)
の
握
(
にぎ
)
つた
奴
(
やつ
)
、
余
(
あま
)
るほど
詰
(
つ
)
めて
置
(
お
)
く、ちやうど
僥幸
(
さいはひ
)
、
山
(
やま
)
の
芋
(
いも
)
を
穿
(
ほ
)
つて
横噛
(
よこかじ
)
りでも
一日
(
いちにち
)
二日
(
ふつか
)
は
凌
(
しの
)
げるだ。
遣
(
や
)
りからかせ、さあ、ござい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
根
穿
(
ほ
)
り葉穿りして、聞いたんだそうですがね。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
穿
漢検準1級
部首:⽳
9画
“穿”を含む語句
草鞋穿
雪駄穿
穿鑿
草履穿
穿山甲
穿物
穿索
下駄穿
足駄穿
穿替
靴穿
穿過
股引穿
狭穿
庭穿
脛穿
麻裏穿
上穿
穿孔
脚絆穿
...