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田楽
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でんがく
ふりがな文庫
“
田楽
(
でんがく
)” の例文
旧字:
田樂
なぞと考えまわす
中
(
うち
)
に、元来屈託のない平馬は、いよいよ気安くなって五六本を傾けた。
鯉
(
こい
)
の洗い、木の芽
田楽
(
でんがく
)
なぞも珍らしかった。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼らの主張するところによれば、その支配の下には猿舞わしもおりますれば、
田楽
(
でんがく
)
や
猿楽
(
さるがく
)
・
舞々
(
まいまい
)
・
幸若
(
こうわか
)
、その他種々の遊芸人もおります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
とんと竜宮の
田楽
(
でんがく
)
で、
乙姫様
(
おとひめさま
)
が
洒落
(
しゃれ
)
に
姉
(
あね
)
さんかぶりを遊ばそうという処、また一段の
趣
(
おもむき
)
だろうが、わざとそれがために忍んでも出られまい。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
呉楽がいかなるものであったかということは、
猿楽
(
さるがく
)
・
田楽
(
でんがく
)
より能にまで至った仮面の伝統と結びついて興味ある問題である。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
塩焼きの焼き方は、誰でも知っているから略するが、鮎
田楽
(
でんがく
)
にするには本焼きにして枯らしたものにほんとうの味がある。
香気の尊さ
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
▼ もっと見る
さんしょの芽の青くもえ出す時分になって、においのいい
田楽
(
でんがく
)
なぞをかいでみる心持は、山の上の冬ごもりをしたものでなければわかりません。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
風花
(
かざばな
)
の空に
顕
(
た
)
ちて、
日和
(
ひより
)
うららよとの。遠山は霜月祭、
新野
(
にひの
)
にては
睦月
(
むつき
)
、
西浦
(
にしうれ
)
は
田楽
(
でんがく
)
、
北設楽
(
きたしだら
)
は花祭とよの。さてもめでたや、雪祭のとりどり。
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
猿楽
(
さるがく
)
、
田楽
(
でんがく
)
、その他武藝や遊藝の
催
(
もよお
)
し物のあった折などに、幾度か侍臣の列に連なる此の青年の頼もしそうな人品骨柄を
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「冗談だろう、親分。二本差が怖かった日にゃ、
田楽
(
でんがく
)
が喰えねえ、こうみえても江戸の御用聞だ、矢でも鉄砲でも——」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おでん元来
田楽
(
でんがく
)
の略、随って味噌おでんが本当だが、いつの間にか煮込みに押されて明治末以来、坊間には姿を見せぬ。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
万太郎も、
田楽
(
でんがく
)
屋の小女の景気のいい声をうしろに聞き、早速、そこを飛び出して、ピタピタと三人の影について歩く。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これと同時に
厨
(
くりや
)
にては
田楽
(
でんがく
)
を焼き初む。味噌の
臭
(
におい
)
に鬼は逃ぐとぞいふなる。撒きたる豆はそを
蒲団
(
ふとん
)
の下に敷きて
寐
(
いぬ
)
れば腫物出づとて必ず拾ふ事なり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
...
捕
(
つら
)
まえてなもした何だ。
菜飯
(
なめし
)
は
田楽
(
でんがく
)
の時より外に食うもんじゃない」とあべこべに遣り込めてやったら「なもしと菜飯とは違うぞな、もし」と云った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その日には榛軒の
妻
(
さい
)
飯田氏しほと
女
(
むすめ
)
かえとが
許多
(
あまた
)
の
女子
(
おなご
)
を
役
(
えき
)
して、客に
田楽
(
でんがく
)
豆腐などを供せしめた。パアル・アンチシパションに園遊会を催したのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
歌
(
うた
)
連歌
(
れんが
)
の者、さては
田楽
(
でんがく
)
、ばさらの者、入り代り立ち代りに詰め切って、ひたすらその機嫌を取ることに努めているが、彼の病いはいよいよ嵩じるばかりで
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
味覚としての「いき」は「けもの
店
(
だな
)
の
山鯨
(
やまくじら
)
」よりも「
永代
(
えいたい
)
の
白魚
(
しらうお
)
」の方向に、「あなごの
天麩羅
(
てんぷら
)
」よりも「
目川
(
めがわ
)
の
田楽
(
でんがく
)
」の方向に
索
(
もと
)
めて行かなければならない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
此所にはまた
菜飯
(
なめし
)
茶屋という
田楽
(
でんがく
)
茶屋がありました。
小綺麗
(
こぎれい
)
な
姉
(
ねえ
)
さんなどが店先ででんがくを
喰
(
く
)
ってお愛想をいったりしたもの、万年屋、
山代屋
(
やましろや
)
など五、六軒もあった。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
大和
(
やまと
)
の
春日
(
かすが
)
神社に奉仕していた大和
猿楽師
(
さるがくし
)
の中、
観世座
(
かんぜざ
)
の
観阿弥
(
かんなみ
)
・
世阿弥
(
ぜあみ
)
父子が義満の
寵
(
ちょう
)
によって、京都に進出し、
田楽
(
でんがく
)
の座の能や、諸国の猿楽の座の芸を追い抜いて
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
ジャボ(天狗)を相手に
田楽
(
でんがく
)
を舞つた狂将の幽魂、今は全く
瞑
(
めい
)
すべしであらうか。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
神社の祭礼行列に
田楽
(
でんがく
)
を演じ、その重要な一曲たる「
中門口
(
ちゅうもんぐち
)
」を舞った場所を、もとは中門口と呼んでいたのを、多分はその地に
樟
(
くす
)
の
神木
(
しんぼく
)
があったためか註文楠と書いている村もある。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
執権
(
しっけん
)
高時ともあろうお方が、
田楽
(
でんがく
)
が好きで田楽を舞い、アッハッハッ、ヘッヘッヘッ、それを天狗にからかわれ、天狗などとは夢にも知らず、新座本座の田楽法師が、伺候したものと思い込み
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
丁度、その時、
梁田
(
やなだ
)
政綱が放った斥候が、沓掛方面から帰って、「義元は今から大高に移ろうとして桶狭間に向った」旨を報じた。間もなく更に一人が義元の
田楽
(
でんがく
)
狭間に屯した事を告げ来った。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
鮎の作身と塩焼、
牛蒡
(
ごぼう
)
と新芽の
胡麻和
(
ごまあ
)
え、椀は山三つ葉と
鮒
(
ふな
)
、
煎鳥
(
いりとり
)
に
銀杏
(
ぎんなん
)
の鉢と、
田楽
(
でんがく
)
、ひたしといった献立だった。——今日は食事をするだけ、という約束で、ほかのことには話は触れなかった。
鵜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
松茸
田楽
(
でんがく
)
は串へ刺して焼いて
山椒味噌
(
さんしょうみそ
)
なんぞをつけたのです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「うるせえや。舌抜いて、
田楽
(
でんがく
)
にでもしておきな」
右門捕物帖:25 卒塔婆を祭った米びつ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
田楽
(
でんがく
)
、狂言、民謡、又は神楽、雅楽、
催馬楽
(
さいばら
)
なぞいうものの中から、芸術的に高潮した……イイナア……と思われる処だけを抜き
萃
(
あつ
)
めて
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そんな寄合やら、
立花
(
りっか
)
、
聞香
(
ぶんこう
)
、
田楽
(
でんがく
)
の会などが、彼の邸では月々何回も開かれているという。……遊び仲間はおなじ
放埒
(
ほうらつ
)
仲間を決して悪くはいわぬものだ
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
釣った山女魚を白焼きにして、まだ温かいうち
生
(
き
)
醤油で食べれば、舌先に溶ける。さらに
田楽
(
でんがく
)
焼きの魅惑的な味は、晩酌の膳に山の酒でも思わず一献を過ごす。
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
台所の戸に白い
李
(
すもも
)
の花の匂うも
僅
(
わずか
)
の間です。山家の春は短いもので、
鮨
(
すし
)
よ
田楽
(
でんがく
)
よ、やれそれと
摺鉢
(
すりばち
)
を鳴しているうちに、
若布売
(
わかめうり
)
の女の群が参るようになります。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
神業
(
かむわざ
)
ぞ雪祭、鬼の子の出でて遊ぶは、ひたぶるぞ雪の上の
田楽
(
でんがく
)
、
鎮
(
しづ
)
みこそ
四方
(
よも
)
に響くに、まことのみぞ神と遊ぶに、おもしろとこれをや聴く、をかしとよそをや
笑
(
ゑ
)
ららぐ。
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
広小路に
菜飯
(
なめし
)
と
田楽
(
でんがく
)
を食わせるすみ屋という
洒落
(
しゃれ
)
た家があるとか、駒形の御堂の前の
綺麗
(
きれい
)
な
縄暖簾
(
なわのれん
)
を下げた
鰌屋
(
どじょうや
)
は
昔
(
むか
)
しから
名代
(
なだい
)
なものだとか、
食物
(
くいもの
)
の話もだいぶ聞かされたが
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし昔の
申楽
(
さるがく
)
とか
田楽
(
でんがく
)
とか言ふものの趣味は能楽よりもかへつて狂言の方に多く存して居るかも知れぬ、少くとも彼ら古楽の趣味が半ばは能楽となつて真面目なる部分を占領し
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
人形舞
(
にんぎょうま
)
わしとか、猿舞わしだとか、
祭文
(
さいもん
)
・ほめら・
大神楽
(
だいかぐら
)
・うかれ節などを始めとして、
田楽
(
でんがく
)
・
猿楽
(
さるがく
)
等の類まで、もとはみなこの仲間でありまして、遂には歌舞伎役者とまでなって参ります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
これが決まれば
田楽
(
でんがく
)
ざし! と、体形斜めに揺れ、開きを作った宗三郎、相手の太刀のセメルの位置、それを目掛けてサッと
下
(
くだ
)
した。チャリンという太刀の音! すなわち一合、合ったのである。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
狂言のふるさとといってよい
田楽
(
でんがく
)
の発祥地で、例の有名な「釣り狐」の狂言は、この寺の縁起から興ったもので——と住持は語りながら私たちへ抹茶をすすめた。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「平気ですよ。
往
(
ゆ
)
きを思うと、帰りは実に楽でした。わたしもこれから
田楽
(
でんがく
)
を焼くお手伝いです。お師匠さまに食べさせたいッて、今
囲炉裏
(
いろり
)
ばたでみんなが大騒ぎしているところです。」
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
現執権高時の
田楽
(
でんがく
)
(土俗的な歌舞)ずきも、
狂
(
きょう
)
に近いが、闘犬好みは、もっと度をこしたものである。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、寧子が手ずから一
椀
(
わん
)
の汁に入れて良人の食膳に供する
青味
(
あおみ
)
ともなり、時には、
田楽
(
でんがく
)
にした茄子の新鮮さを、秀吉から
賞
(
ほ
)
めてもらえる
欣
(
うれ
)
しさにはなるのであった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三の家臣の間で「おそらく、元の
田楽
(
でんがく
)
村へ帰ったものであろうよ」などとささやかれたのみだった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薬師の横丁をのぞくと、
菜飯
(
なめし
)
、奈良茶飯、木の
芽
(
め
)
田楽
(
でんがく
)
、
蒲焼
(
かばやき
)
など、軒並びの八
間
(
けん
)
が
団扇
(
うちわ
)
をハタかせて、春の淡雪のような灰を綺麗な火の粉の流れる往来へ叩いております。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
串
(
くし
)
へさしたお
芋
(
いも
)
の
田楽
(
でんがく
)
、左につかんでいるのは黒い
飴
(
あめ
)
ン
棒
(
ぼう
)
、ひゃらりこドンと
踊
(
おど
)
りながら、
芋
(
いも
)
をたべては
飴
(
あめ
)
をなめ、
飴
(
あめ
)
をなめては
芋
(
いも
)
をくい、かわりばんこに
舌
(
した
)
を楽しませて
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……わたしばかりじゃない、そこにいる法師も
工匠
(
たくみ
)
も、また向うにいる
田楽
(
でんがく
)
役者の一と組も。かわいそうに、隅の方で寝こんでいるあの十五、六の子供までがそうなんですからな
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
胸
(
むね
)
や口のまわりには、
田楽
(
でんがく
)
の
味噌
(
みそ
)
だの、
黄粉
(
きなこ
)
だの、あまくさい
蜜糖
(
みつ
)
の
粘
(
ねば
)
りだのがこびりついていて、いかに、かれの
胃袋
(
いぶくろ
)
が、きょう一日をまんぞくにおくっていたかを物語っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娑婆
(
しゃば
)
の夜景にのびのびとして、
雪踏
(
せった
)
を軽く擦りながら町の軒並を歩きますに、茶屋の赤い灯、
田楽
(
でんがく
)
屋のうちわの音、
蛤鍋
(
はまなべ
)
、
鰻屋
(
うなぎや
)
の薄煙り、
声色屋
(
こわいろや
)
の
拍子木
(
ひょうしぎ
)
や影絵のドラなど、目に鼻に耳に
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それよ、その若夫婦を、祝うてくりょうと、
華雲殿
(
げうんでん
)
に招いてやったこともある。……ところが
這奴
(
しゃつ
)
め、大酒に食べ酔うて、
田楽
(
でんがく
)
どもの
烏天狗
(
からすてんぐ
)
の姿を借り、この高時をしたたかな目にあわせおった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蜆汁
(
しじみじる
)
の
椀
(
わん
)
、鯉のあらい、
木
(
き
)
の
芽
(
め
)
田楽
(
でんがく
)
、それに酒。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田楽
(
でんがく
)
村の
長
(
おさ
)
、花夜叉だ。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
犬、
田楽
(
でんがく
)
は関東の
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
田楽
(
でんがく
)
か」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“田楽”の意味
《名詞》
平安時代に起きた民俗芸能の一つ。農耕儀礼の舞楽で鎌倉時代から室町時代に流行した。
「田楽豆腐」の略。
「田楽焼き」の略。
(出典:Wiktionary)
“田楽”の解説
田楽(でんがく)は、平安時代中期に成立した日本の伝統芸能。楽と躍りなどから成る。「田植えの前に豊作を祈る田遊びから発達した」「渡来のものである」などの説があり、その由来には未解明の部分が多い。
(出典:Wikipedia)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
“田楽”で始まる語句
田楽女
田楽刺
田楽狭間
田楽村
田楽舞
田楽屋
田楽能
田楽串
田楽歌
田楽魔