トップ
>
爾
>
なんぢ
ふりがな文庫
“
爾
(
なんぢ
)” の例文
爾
(
なんぢ
)
地にのぞみて水そゝぎ、大に之をゆたかにし玉へり。神の川に水満ちたり。
爾
(
なんぢ
)
かくそなへをなして、
穀物
(
たなつもの
)
をかれらにあたへたまへり。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
殿
(
との
)
よツく
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
し、
呵々
(
から/\
)
と
笑
(
わら
)
はせ
給
(
たま
)
ひ、
余
(
よ
)
を
誰
(
たれ
)
ぢやと
心得
(
こゝろえ
)
る。コリヤ
道人
(
だうじん
)
、
爾
(
なんぢ
)
が
天眼鏡
(
てんがんきやう
)
は
違
(
たが
)
はずとも、
草木
(
くさき
)
を
靡
(
なび
)
かす
我
(
われ
)
なるぞよ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
我々は——少くとも自分は氏によつて、「驢馬の子に乗り
爾
(
なんぢ
)
に来る」
人道
(
ユウマニテエ
)
を迎へる為に、「その衣を
途
(
みち
)
に
布
(
し
)
き或は樹の枝を伐りて途に布く」
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
偖招待券は首尾よく手に入りぬ。一難
纔
(
わづか
)
に去りて一難また到る、招待券には明記して曰く、燕尾服着用と。燕尾服、燕尾服、あゝ燕尾服、
爾
(
なんぢ
)
を
如何
(
いかん
)
。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「主よ。もし御心に適ふならば、この苦き
酒盃
(
さかづき
)
を離し給へ。されど
爾
(
なんぢ
)
にして欲するならば、御心のままに爲し給へ。」
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
吾れ一たびはこの矛盾に泣きぬ。而してやがて「世にある限り
爾
(
なんぢ
)
が最善を
竭
(
つ
)
くすべし、神を見たるもの竟に死なず」
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
爾
(
なんぢ
)
の Longing を空際に投げよ、空際より、爾が人間に為すべきの天職を
捉
(
と
)
り来れ、
嗚呼
(
あゝ
)
文士、何すれぞ局促として人生に相渉るを之れ求めむ。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
彼はこの色を売るの
一匹婦
(
いつひつぷ
)
も、知らず
誰
(
たれ
)
か
爾
(
なんぢ
)
に教へて、死に
抵
(
いた
)
るまで
尚
(
なほ
)
この
頼
(
よ
)
り
難
(
がた
)
き義に
頼
(
よ
)
り、守り
難
(
かた
)
き節を守りて、
終
(
つひ
)
に奪はれざる者あるに泣けるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「此の事
爾
(
なんぢ
)
にありしに
因
(
よ
)
る、また
汝
(
なんぢ
)
わが契約をわが爾に命じたる
法憲
(
のり
)
を守らざりしによりて、我必ず爾より国を裂きはなして、これを爾の
臣僕
(
けらい
)
に与ふべし。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
われは
爾
(
なんぢ
)
を愛す——さうだ、要するに唯それだけではなかつたらうか。私はこんなことに頭をくり返しながら、下に横へられた静かな日影のチラチラした沼を眺めた。
あさぢ沼
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
諺
(
ことわ
)
ざに其事
爾
(
なんぢ
)
に出て爾に
復
(
かへ
)
ると
宜
(
むべ
)
なる哉此言や
所化
(
しよけ
)
願山の
白状
(
はくじやう
)
に因て再度日野家の一件委
細
(
さい
)
吟味有るべしと大岡殿
差※
(
さしづ
)
あつて平左衞門を呼び出されしに平左衞門は又何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さあ是から時刻だから、お前は出て行つて、嫁の家に往つて
爾
(
なんぢ
)
の相手を迎へて來たれ、そして我が家の宗の事を承けよ、宗廟の事務を疎かにしないやうにせよといふのです。
支那の古代法律
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
いよいよ深き所に到れば、一異人の遮りて大呵するに遇ふ、曰く——ここより進まば再び世に帰ることあたはざらむ、
爾
(
なんぢ
)
はすみやかに黄泉の国に到らむなり、やよ、舟をかへせ。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
彼女に
聖力
(
みちから
)
を注ぎて、
爾
(
なんぢ
)
の
聖旨
(
みむね
)
を地に成さしめ給へ、篠田は
歩
(
ほ
)
を転じて表の
方
(
かた
)
に出でぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
われ若し我拳の、一たび
爾
(
なんぢ
)
を怒らしむるを知らば、われは必ず爾を打つべし。汝は人に本性を見するときなきか。わが汝を嘲るとき、汝は何故に拳を
揮
(
ふる
)
ひて我面を
撲
(
う
)
たんとせざる。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
今や二個の岐路は襄の前に横はれり、一は小学近思録の余り多く乾燥せる道なり、一は空詩虚文の余り多く湿潤せる道なり。憐れなる少年よ、
爾
(
なんぢ
)
若し右に行かば爾の智慧は化石せん。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
僕
(
ぼく
)
は一
念
(
ねん
)
こゝに
及
(
およ
)
べば
世
(
よ
)
の
倫理學者
(
りんりがくしや
)
、
健全先生
(
けんぜんせんせい
)
、
批評家
(
ひゝやうか
)
、なんといふ
動物
(
どうぶつ
)
を
地球外
(
ちきうぐわい
)
に
放逐
(
はうちく
)
したくなる、
西印度
(
にしいんど
)
の
猛烈
(
まうれつ
)
なる
火山
(
くわざん
)
よ、
何故
(
なにゆゑ
)
に
爾
(
なんぢ
)
の
熱火
(
ねつくわ
)
を
此種
(
このしゆ
)
の
動物
(
どうぶつ
)
の
頭上
(
づじやう
)
には
注
(
そゝ
)
がざりしぞ!
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
爾
(
なんぢ
)
、
海
(
うみ
)
にゆきて
鉤
(
はり
)
を
垂
(
た
)
れよ。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
飛衞
(
ひゑい
)
は
昔
(
いにしへ
)
の
善
(
よ
)
く
射
(
い
)
るものなり。
同
(
おな
)
じ
時
(
とき
)
紀昌
(
きしやう
)
といふもの、
飛衞
(
ひゑい
)
に
請
(
こ
)
うて
射
(
しや
)
を
學
(
まな
)
ばんとす。
教
(
をしへ
)
て
曰
(
いは
)
く、
爾
(
なんぢ
)
先
(
まづ
)
瞬
(
またゝ
)
きせざることを
學
(
まな
)
んで
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
に
可言射
(
しやをいふべし
)
。
術三則
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
バビロンの淫婦は
爾
(
なんぢ
)
の
妃
(
ひ
)
、
七頭
(
しちとう
)
の毒竜は爾の馬、火と煙と
硫黄
(
いわう
)
とは
汝
(
なんぢ
)
が
黒檀
(
こくたん
)
の
宝座
(
みくら
)
の前に、不断の
香煙
(
かうえん
)
を
上
(
のぼ
)
らしめん。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何となれば仏人は国利の為に戦ふよりも、寧ろ戦ひの為に戦ふ。平和、平和、遂に
爾
(
なんぢ
)
を
煩
(
わづら
)
はさざるを得ず。
想断々(2)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
爾
(
なんぢ
)
畎
(
たみぞ
)
を大にうるほし、
畝
(
うね
)
をたひらにし、
白雨
(
むらさめ
)
にてこれをやはらかにし、その
萌
(
も
)
え出づるを祝し、また
恩恵
(
めぐみ
)
をもて年の
冕弁
(
かんむり
)
としたまへり。
爾
(
なんぢ
)
の途には
膏
(
あぶら
)
したゝれり。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「お前の言ふ事は能う解つたさ。
然
(
しか
)
し、
爾
(
なんぢ
)
は爾たり、吾は吾たりじや」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
イエス忽ちユダに
一撮
(
ひとつまみ
)
の食物を与へ、静かに彼に云ひけるは、「
爾
(
なんぢ
)
が為さんとする事は速かに為せ。」ユダ一撮の食物を受け、直ちに出でたり。時既に
夜
(
よ
)
なりき。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「神よ
爾
(
なんぢ
)
は我等を爾の為に造りたまへり、故に我等は爾を得るまでは我等の心に安みを得る能はず」
トルストイ伯
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
然
(
さ
)
るにても
其
(
そ
)
の
餘
(
あま
)
りの
美
(
うつく
)
しさに、ひととなりて
後
(
のち
)
國
(
くに
)
を
傾
(
かたむ
)
くる
憂
(
うれひ
)
もやとて、
當時
(
たうじ
)
國中
(
こくちう
)
に
聞
(
きこ
)
えたる、
道人
(
だうじん
)
何某
(
なにがし
)
を
召出
(
めしいだ
)
して、
近
(
ちか
)
う、
近
(
ちか
)
う、
爾
(
なんぢ
)
よく
此
(
こ
)
の
可愛
(
かはゆ
)
きものを
想
(
さう
)
せよ、と
仰
(
おほ
)
せらる。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
爲
(
な
)
し、おのれ
毒龍
(
どくりよう
)
、
爾
(
なんぢ
)
が
魯鈍
(
うつけ
)
の
故
(
ゆゑ
)
を
以
(
もつ
)
て、
股肱
(
ここう
)
の
臣
(
しん
)
を
喪
(
うしな
)
ひ
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
イエス彼に云ひけるは、「ユダよ。我誠に
爾
(
なんぢ
)
を知る。爾は
荒野
(
あらの
)
の
獅子
(
しし
)
よりも強し。
但
(
ただ
)
小羊
(
こひつじ
)
の心を忘るる
勿
(
なか
)
れ。」ユダ、イエスの言葉を悦べり。されどその意味を
覚
(
さと
)
らざりき。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
爾
(
なんぢ
)
は躰健かに美形なりと雖、他家に寓して人となれり、我は躰弱く形又た醜くしと雖、祖先の家を守りて暫らくも爰を離れず、誇るべきところ我にあり、何ぞ爾の下にあらんやと。
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
招
(
まね
)
きて、かかる
爾
(
なんぢ
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然れども常に無言にして常に雄弁なるは、自然に加ふるものなきなり。人間に若し自然の如く無言なるものあらば、愛山生一派の論士は其の傍に来りて、
爾
(
なんぢ
)
何ぞ能く言はざると嘲らんか。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
都城繁労の人を
羨
(
うらや
)
む
勿
(
なか
)
れ、人間
縦心
(
しようしん
)
の境は
爾
(
なんぢ
)
にあり。
客居偶録
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
爾
漢検準1級
部首:⽘
14画
“爾”を含む語句
莞爾
爾後
徒爾
爾来
爾時
聊爾
哈爾賓
爾々
云爾
卒爾
莞爾々々
率爾
爾今
爾來
蕞爾
自然法爾
爾曹
甘珠爾
爾迦夷
撒里矢爾酸曹達
...