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烏瓜
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からすうり
ふりがな文庫
“
烏瓜
(
からすうり
)” の例文
松やもっこくやの庭木を愛するのがファシストならば、
蔦
(
つた
)
や藤やまた
朝貌
(
あさがお
)
、
烏瓜
(
からすうり
)
のような蔓草を愛するのがリベラリストかもしれない。
KからQまで
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
庭の隅に取り忘れられた
石榴
(
ざくろ
)
の実や藪の中なる
烏瓜
(
からすうり
)
、または植込のかげの
梔子
(
くちなし
)
の実に、冬の夕陽の反映を賞するのも十二月である。
写況雑記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
竹むらにからまる
烏瓜
(
からすうり
)
をつつきに来る
鴉
(
からす
)
、縁側の上まで寄って来る雀、庭木の細かい枝をくぐる
鶸
(
ひわ
)
や
四十雀
(
しじゅうから
)
の姿も目に止った。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
秋の更けたことは、あたりの草陰に真っ赤な
烏瓜
(
からすうり
)
だの
草紅葉
(
くさもみじ
)
をみても知れる——。やがて、山の
彼方
(
むこう
)
は、霜にもなろうに——と考えられたりする。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、女の
頭髪
(
かみのけ
)
の乱れたような
蔦
(
つた
)
などが下っているところもあった。赤い、
烏瓜
(
からすうり
)
の吊下っているところもあった。
過ぎた春の記憶
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
「何でもない。これは白山千鳥の根と
烏瓜
(
からすうり
)
を粉末にして、外に二つ三つの薬味を併せたただの痛み止めですよ」
銭形平次捕物控:052 二服の薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
塀の中から立ち上った大きな欅の樹に、二つ三つ赤い実をつけた
烏瓜
(
からすうり
)
が
繞
(
から
)
み上って、風に吹かれて揺れている。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
兩側
(
りやうがは
)
に
大藪
(
おほやぶ
)
があるから、
俗
(
ぞく
)
に
暗
(
くら
)
がり
坂
(
ざか
)
と
稱
(
とな
)
へる
位
(
ぐらゐ
)
、
竹
(
たけ
)
の
葉
(
は
)
の
空
(
そら
)
を
鎖
(
とざ
)
して
眞暗
(
まつくら
)
な
中
(
なか
)
から、
烏瓜
(
からすうり
)
の
花
(
はな
)
が
一面
(
いちめん
)
に、
白
(
しろ
)
い
星
(
ほし
)
のやうな
瓣
(
はなびら
)
を
吐
(
は
)
いて、
東雲
(
しのゝめ
)
の
色
(
いろ
)
が
颯
(
さつ
)
と
射
(
さ
)
す。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日誤ってもいだ
烏瓜
(
からすうり
)
を
刳
(
く
)
って細君が鶴子の為に
瓜燈籠
(
うりどうろう
)
をつくり、帆かけ舟を
彫
(
ほ
)
って縁につり下げ、しば/\風に吹き
消
(
け
)
されながら、小さな蝋燭をともした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そのまん中をもう
烏瓜
(
からすうり
)
のあかりもない川が、わずかに音をたてて灰いろにしずかに流れていたのでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私もなあ、この通り年は寄るし、弱くはなるし、
譬
(
たと
)
えて見るなら丁度
干乾
(
ひから
)
びた
烏瓜
(
からすうり
)
だ——その烏瓜が細い
生命
(
いのち
)
の
蔓
(
つる
)
をたよりにしてからに、お前という枝に懸っている。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
烏瓜
(
からすうり
)
を
煎
(
せん
)
じて飲んで見た事もある。鼠の
尿
(
いばり
)
を鼻へなすって見た事もある。しかし何をどうしても、鼻は依然として、五六寸の長さをぶらりと唇の上にぶら下げているではないか。
鼻
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
翌
(
あく
)
る朝、私が行って見ると、梯子は
根下
(
ねもと
)
から見事に折れて、その隣の垣を倒していた。その垣には
烏瓜
(
からすうり
)
が真赤に熟して、
蔓
(
つる
)
や葉が
搦
(
から
)
み合ったままで、長い梯子と共に
横
(
よこた
)
わっていた。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と昔は
種々
(
いろ/\
)
のものを持って往ったもので、小さい軽石が有りまして
朴木炭
(
ほうのきずみ
)
、
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
の大きいのが一つ、小さいのが一つ、其の中に昔は
鶯
(
うぐいす
)
の
糞
(
ふん
)
、また
烏瓜
(
からすうり
)
などを入れたものでございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夏の夕暮れ、ややほの暗くなるころに、月見草や
烏瓜
(
からすうり
)
の花がはらはらと花びらを開くのは、我々の見なれていることである。しかしそれがいかに不思議な現象であるかは気づかないでいる。
寺田寅彦
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
土橋
(
どばし
)
に白き
烏瓜
(
からすうり
)
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
大きな
蛾
(
が
)
がいくつとなくとんで来て垣根の
烏瓜
(
からすうり
)
の花をせせる。やはり夜の神秘な感じは夏の夜に尽きるようである。
夏
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そのまん中をもう
烏瓜
(
からすうり
)
のあかりもない川が、わずかに音をたてて
灰
(
はい
)
いろにしずかに
流
(
なが
)
れていたのでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
棚
(
たな
)
して
架
(
かく
)
るとにもあらず、
夕顏
(
ゆふがほ
)
のつる
西家
(
せいか
)
の
廂
(
ひさし
)
を
這
(
は
)
ひ、
烏瓜
(
からすうり
)
の
花
(
はな
)
ほの/″\と
東家
(
とうか
)
の
垣
(
かき
)
に
霧
(
きり
)
を
吐
(
は
)
きぬ。
強
(
し
)
ひて
我
(
われ
)
句
(
く
)
を
求
(
もと
)
むるにはあらず、
藪
(
やぶ
)
には
鶯
(
うぐひす
)
の
音
(
ね
)
を
入
(
い
)
るゝ
時
(
とき
)
ぞ。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
細君が鶴子の為に
母屋
(
おもや
)
の小さな床に
茄子馬
(
なすうま
)
をかざり、黒い
喪章
(
もしょう
)
をつけたおもちゃの国旗をかざり、ほおずきやら
烏瓜
(
からすうり
)
やら小さな栗やら色々
供物
(
くもつ
)
をならべて、
于蘭盆
(
うらぼん
)
の遊びをさせた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
翌
(
あく
)
る朝、私が行ってみると、梯子は根もとから見事に折れて、その隣りの垣を倒していた。その頃には
烏瓜
(
からすうり
)
が真っ赤に熟して、
蔓
(
つる
)
や葉が
搦
(
から
)
み合ったままで、長い梯子と共に横たわっていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
庭木に
烏瓜
(
からすうり
)
の下つたのは
鋳物師
(
いもじ
)
香取秀真
(
かとりほづま
)
の家。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
壁天井
(
かべてんじやう
)
、
煤
(
すゝ
)
のたゞ
黒
(
くろ
)
い
中
(
なか
)
に、
火
(
ひ
)
は
却
(
かへ
)
つて
鮮
(
あざや
)
かである。この
棟
(
むね
)
にかゝる
蔦
(
つた
)
はいち
早
(
はや
)
くもみぢしよう。この
背戸
(
せど
)
の
烏瓜
(
からすうり
)
も
先
(
さき
)
んじて
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
めよう。
東京
(
とうきやう
)
は
遥
(
はるか
)
に、
家
(
いへ
)
は
遠
(
とほ
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それはこんやの
星祭
(
ほしまつ
)
りに青いあかりをこしらえて川へ
流
(
なが
)
す
烏瓜
(
からすうり
)
を
取
(
と
)
りに行く
相談
(
そうだん
)
らしかったのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
二十年前の我家のすぐ隣りは叔父の屋敷、
従兄
(
いとこ
)
の信さんの
宅
(
うち
)
であった。裏畑の竹藪の中の小径から我家と往来が出来て、垣の向うから熟柿が覗けばこちらから
烏瓜
(
からすうり
)
が笑う。
森の絵
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それはこんやの星祭に青いあかりをこしらえて川へ流す
烏瓜
(
からすうり
)
を取りに行く相談らしかったのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今年は庭の
烏瓜
(
からすうり
)
がずいぶん勢いよく繁殖した。中庭の
四
(
よ
)
ツ
目垣
(
めがき
)
の
薔薇
(
ばら
)
にからみ、それから更に
蔓
(
つる
)
を延ばして手近なさんごの樹を侵略し、いつの間にかとうとう樹冠の全部を占領した。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
烏瓜
(
からすうり
)
、夕顔などは分けても
知己
(
ちかづき
)
だろうのに、はじめて咲いた月見草の黄色な花が
可恐
(
こわ
)
いらしい……
可哀相
(
かわいそう
)
だから
植替
(
うえか
)
えようかと、言ううちに、四日めの夕暮頃から、
漸
(
や
)
っと出て来た。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの持って行った
烏瓜
(
からすうり
)
のあかりのようだとも思いました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一つ腰を
伸
(
の
)
して、
杖
(
つえ
)
がわりの
繻子張
(
しゅすばり
)
の
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
の柄に、何の
禁厭
(
まじない
)
やら
烏瓜
(
からすうり
)
の
真赤
(
まっか
)
な実、
藍
(
あい
)
、
萌黄
(
もえぎ
)
とも五つばかり、
蔓
(
つる
)
ながらぶらりと提げて、コツンと
支
(
つ
)
いて、面長で、人柄な、
頤
(
あご
)
の細いのが
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この四つ目垣には野生の白薔薇をからませてあるが、夏が来ると、これに一面に朝顔や花豆を
這
(
は
)
わせる。その上に自然に生える
烏瓜
(
からすうり
)
も
搦
(
から
)
んで、ほとんど隙間のないくらいに色々の葉が密生する。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある
葉
(
は
)
は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの
持
(
も
)
って行った
烏瓜
(
からすうり
)
のあかりのようだとも思いました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
さては婆さんに試されたか、と
一旦
(
いったん
)
は存じましたが、こう笠を傾けて遠くから
覗込
(
のぞきこ
)
みました、勝手口の戸からかけて、棟へ、高く
烏瓜
(
からすうり
)
の一杯にからんだ
工合
(
ぐあい
)
が、何様、何ヶ月も
閉切
(
しめきり
)
らしい。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうそう、まだ明るくならないうちにね、谷の上の方をまっ赤な火がちらちらちらちら通って行くんだ。
楢
(
なら
)
の木や樺の木が火にすかし出されてまるで
烏瓜
(
からすうり
)
の
燈籠
(
とうろう
)
のように見えたぜ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
烏瓜
(
からすうり
)
でございます。
下闇
(
したやみ
)
で暗がりでありますから、日中から、一杯咲きます。——あすこは、いくらでも、ごんごんごまがございますでな。
貴方
(
あなた
)
は何とかおっしゃいましたな、スズメの
蝋燭
(
ろうそく
)
。」
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
沓脱
(
くつぬぎ
)
をつかつかと、真白い
跣足
(
はだし
)
で背戸へ出ると、母屋の
羽目
(
はめ
)
を、軒へ掛けて、森のように
搦
(
から
)
んだ
烏瓜
(
からすうり
)
の
蔓
(
つる
)
を
手繰
(
たぐ
)
って、
一束
(
ひとつか
)
ねずるずると引きながら、
浅茅生
(
あさぢう
)
の露に膝を
埋
(
うず
)
めて、
背
(
せな
)
から袖をぐるぐると
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
柏の木の
烏瓜
(
からすうり
)
ランタン
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“烏瓜(カラスウリ)”の解説
カラスウリ(烏瓜、学名: Trichosanthes cucumeroides)はウリ科の植物。花は夜間だけ開き、秋枯れが始まった雑木林の林縁などでよく目立つ朱色の果実をつける、つる性の多年草である。地下には塊根を有する。
(出典:Wikipedia)
烏
漢検準1級
部首:⽕
10画
瓜
漢検準1級
部首:⽠
6画
“烏”で始まる語句
烏
烏帽子
烏賊
烏滸
烏合
烏羽玉
烏有
烏丸
烏金
烏山