武家ぶけ)” の例文
ですからお武家ぶけさま、失礼しつれいなことをうかがいますが、あなたがたはいったいなんのために、こんなところで日がれるのにたむろを
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
引込ひつこませる、とみづのでばなとふのでも、おくみはさすがに武家ぶけ女房にようばう中間ちうげんはだいたものを無理むりようとはしなかつた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここへ、三味線堀からいろは屋がまわって来たが、店にお武家ぶけの客がおると見ると、横手の露路ろじについて勝手口へ顔を出した。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と両人はすぐに駈出して小田原迄逃げたと云うが、其様そんなに逃げなくっても宜しい。此の武家ぶけ莞爾にっこり笑って直其の足で京橋鍛冶町へ参りました。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その時分じぶん鎌倉かまくら武家ぶけ住居やしきならんだ、物静ものしずかな、そしてなにやら無骨ぶこつ市街まちで、商家しょうかっても、品物しなものみな奥深おくふか仕舞しまんでありました。
折目高おりめだかなる武家ぶけ挨拶あいさつ」と云う様な切口上で挨拶をするのが癖である。今日も朝方あさがた蓄音器招待のれいに、季節には珍らしいたけのこ二本持て来てくれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そんなら、名前なまえはともかく、どんなおとこなんだか、それをいっとくれ。お武家ぶけか、商人あきんどか、それとも職人しょくにんか。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
二十二三のちょっと良い男だ、——町人風には相違ないが、出は武家ぶけらしいな。雪駄せったの金が鳴り過ぎるし、月代さかやきが狭いし、腰が少し淋しそうだ、——あの若い男を
わずか一年ほどはんの大きな武家ぶけ見習奉公みならいぼうこうに出て、朋輩ほうばいも多かったということだから、そこの正月のあそびで学んだのかも知れぬが、多分はそれよりもずっとまえ
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
江戸の都会より諸侯の館邸と武家ぶけの屋敷と神社仏閣を除いたなら残る処の面積は殆どないくらいであろう。
武家ぶけそだちらしいぞ、と冗談をおっしゃったら、あなたは真面目まじめに、はあ、これの母が士族でして、などといかにも誇らしげに申しますので、私は冷汗を流しました。
きりぎりす (新字新仮名) / 太宰治(著)
行列の道筋にあたる武家ぶけ町家ちょうかでは、もう十三日から家の前に桟敷さじきをかまえ、白幕しらまくやら紫幕。
武家ぶけに在ては國家の柱石ちうせき商家しやうかで申さば白鼠しろねずみなる番頭久八は頃日このごろ千太郎の容子ようす不審いぶかししと心意こゝろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もんを染めた古帷子ふるかたびらに何か黒い帯をしめた、武家ぶけの女房らしい女である。これはまだ三十代であろう。が、ちょいと見たところは年よりはずっとふけて見える。第一妙に顔色が悪い。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ロミオ (傍の給仕に對ひて)あの武家ぶけりあうてござるあのひめ何誰どなたぢゃ?
そして佛教ぶつきようさかんになつててからは御陵ごりよういつそう簡單かんたんになり、またのちには火葬かそうおこなはれまして、ちひさな御堂おどういしとう御陵ごりようてることになり、ことに武家ぶけ勢力せいりよくめるにいたつた時代じだいからは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
『昔々物語』によれば、昔は普通の女が縫箔ぬいはく小袖こそでを着るに対して、遊女が縞物を着たという。天明てんめいに至って武家ぶけに縞物着用が公許されている。そうして、文化文政ぶんかぶんせいの遊士通客は縞縮緬しまちりめんを最も好んだ。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
「おとうさんを助けてくださいませ! もし、おとうさん、あやまってください、お武家ぶけさま、堪忍かんにんしてあげてくださいませ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
引込ひつこませる、とみづ出花でばなふのでもおきみはさすがに武家ぶけ女房にようばう仲間ちうげんはだいたものを無理むりようとはしなかつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ドーレ。と木綿もめんはかまけた御家来ごけらいが出てましたが当今たゞいまとはちがつて其頃そのころはまだお武家ぶけえらけんがあつて町人抔ちやうにんなど眼下がんか見下みおろしたもので「アヽ何所どこからたい。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
日雇取ひようとりの子で金を目當てにさらはれる筈もなく、お新の母親のお豊は武家ぶけの後家で、少しはたくはへもあるやうですが、長い間賃仕事をして、これも細々とした暮しです。
なにひとつ心願しんがんなんぞのありそうもない、五十をした武家ぶけまでが、雪駄せったをちゃらちゃらちゃらつかせてお稲荷詣いなりもうでに、御手洗みたらし手拭てぬぐいは、つねかわくひまとてないくらいであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
勸請し奉つり本朝ほんてう武家ぶけの祖神なり就中源家に於てはことほか御尊敬ごそんきやうあること御先祖ごせんぞ八幡太郎義家公此御神おんかみの御寶前に於て御元服あつて八幡太郎としよう奧羽あうう夷賊いぞく安倍貞任同宗任を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
塵塚談ちりづかだん』という書物は、ちょうどこれから少し後に生まれた老人の、若いころの見聞をしるしたものだが、これには目抜めぬきの大通りだけでなく、山の手はしばしの武家ぶけ町家ちょうかともに
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そりゃア奥州浪人和田宗右衛門とおっしゃるりっぱなお武家ぶけの娘御と生まれた身が、こうして芸者風情ふぜいに——と思うとね、お前さんだっていろいろおもしろくないこともあろうけれど、サ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「そうそう、藺笠いがさをかぶっておりましたが、年は十五、六、スラリとして、観音かんのんさまがお武家ぶけになってきたようなおすがた」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
己は何処どこの何う云う武家ぶけし咎められた時にゃア己が遣ったと云えって名前でもあかしておけいのに、無闇に金を呉れやアがったって、なさけにも何もなりアしねえ
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
人仕事ひとしごとなどをしたのであるが、つゞまやかにして、物綺麗ものぎれいに住んで、お辻も身だしなみく、髪形かみかたちを崩さず、容色きりょうは町々の評判、以前五百石取こくどり武家ぶけしかるべきひんもあつた
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かわものじゃァねえ。そういうおめえのほうが、かわってるんだ。——四かくめんにかしこまっているお武家ぶけでも、おとこうまれたからにゃ、おんなきらいなものッ、ただの一人ひとりもありゃァしめえ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「二十二三の一寸良い男だ、——町人風には相違ないが、出は武家ぶけらしいな。雪駄せつたの金が鳴り過ぎるし、月代さかやきが狹いし、腰が少し淋しさうだ、——あの若い男を、お前は怪しいとは思はなかつたのか」
堂上方だうじやうかたに奉公致し候と申しければ大岡殿堂上方だうじやうかた勤仕きんしせしと云ふか生國は何方にて武家ぶけか町人か百姓か有體ありていに申せと云はるゝに平左衞門ヘイ決していつはりは申し上ず私し生國は相州なれ共京都へ參り久々ひさ/″\奉公仕つりをりしと申立ればナニ生國は相州となすれば大久保家の家中の者なるかと問るゝに平左衞門いな樣には之無私し親は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)