トップ
>
構
>
かまえ
ふりがな文庫
“
構
(
かまえ
)” の例文
羽織の裾を払って、長いのを側へ置くと、扇を斜に、少し気取った
構
(
かまえ
)
になるのでした。年の頃二十五六、何んと言っても若い三之丞です。
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大きい洋風の建物が目についたり、東京にもみられないような奥行の深そうな美しい店屋や、
洒落
(
しゃれ
)
た
構
(
かまえ
)
の料理屋なども、物珍しく
眺
(
なが
)
められた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
父蘭軒の時からの居宅で、頗る広大な
構
(
かまえ
)
であった。庭には
吉野桜
(
よしのざくら
)
八
株
(
しゅ
)
を
栽
(
う
)
え、花の頃には
親戚
(
しんせき
)
知友を招いてこれを賞した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
言淀
(
いいよど
)
んで見えたので、ここへ来い、と
構
(
かまえ
)
を崩して、
透
(
すき
)
を見せた
頬杖
(
ほおづえ
)
し、ごろりと横になって、小松原の顔を
覗込
(
のぞきこ
)
みつつ
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの
構
(
かまえ
)
で電話があるように見えますかね」と答えた岡田の顔には、ただ
機嫌
(
きげん
)
の
好
(
い
)
い浮き浮きした調子ばかり見えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
細田氏の宏壮な
構
(
かまえ
)
の前には広い
空地
(
あきち
)
があって其の中を一本の奇麗な道が三十間程続いてその向うに小ぢんまりとした
借家
(
しゃくや
)
が両側に立ち並んでいました。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
役所らしい
構
(
かまえ
)
は見当らない。男はどれも煤黒い顔をして鍔の広い帽子をかぶり、女は裾の開いた袴のようなものを穿き、耳に小さな金輪をつけている。
重吉漂流紀聞
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
丈「千円の方は遅くも来月中旬までには相違なく算段するよ、これだけの
構
(
かまえ
)
をしていても金のある道理はない、七ヶ年の間皆
遣
(
や
)
り
繰
(
く
)
りでやって来たのだからよ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
婦人若し智
無
(
なく
)
して是を信じては必ず
恨
(
うらみ
)
出来易し。
元来
(
もとより
)
夫の家は皆他人なれば、
恨
(
うらみ
)
背
(
そむ
)
き恩愛を捨る事易し。
構
(
かまえ
)
て下女の
詞
(
ことば
)
を信じて大切なる
嫜
(
しゅうとしゅうとめ
)
姨の
親
(
したしみ
)
を
薄
(
うすく
)
すべからず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
夜、湯に入りに来た
構
(
かまえ
)
内の家を貸りて居る小学の校長をつかまえてまで今日の菊太の事を話した。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
温泉宿は一軒だが二階建の大きな
構
(
かまえ
)
だ。川に臨んだ左岸の崖の上を切り開いて
流
(
ながれ
)
に沿うて縦に長く建ててある。入口は横にあって、這入ると右の帳場の前から長い廊下が続いている。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
長崎表での蘭館への
出入
(
でいり
)
は、常法があって、かなり厳しく取り締られていたが、カピタンが江戸に逗留中の旅館であるこの長崎屋への出入は、しばらくの間のこととて、自然何の
構
(
かまえ
)
もなき姿であった。
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
左手にはそそり立つ大杉
一幹
(
ひともと
)
、その下に
愛宕
(
あたご
)
の社、続いて宮司の
構
(
かまえ
)
。竜之助はそのいずれへも行かず、正面から鳥居を
潜
(
くぐ
)
って杉の大木の下の石段を踏む。引返したとていくらの道でもあるまいものを。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小県は草に、
伏
(
ふせ
)
の
構
(
かまえ
)
を取った。これは西洋において、いやこの頃は、もっと近くで
行
(
や
)
るかも知れない……爪さきに
接吻
(
キス
)
をしようとしたのではない。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
笑談
(
じょうだん
)
いっちゃいけない。これだけの
構
(
かまえ
)
をしていて、その位の融通が利かないなんて、そんなはずがあるもんか」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは
口入
(
くちいれ
)
の婆あさんが、こん度越して来た家の窓から、指さしをして教えてくれたのである。見れば、なる程立派な
構
(
かまえ
)
で、高い土塀の外廻に、
殺竹
(
そぎだけ
)
が
斜
(
ななめ
)
に打ち附けてある。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くかと、見え
隠
(
がく
)
れに跡を附けてまいりますと、
一人
(
ひとり
)
は川口町四十八番地の
店蔵
(
みせぐら
)
で、
六間間口
(
ろっけんまぐち
)
の立派な
構
(
かまえ
)
の
横町
(
よこちょう
)
の方にある
内玄関
(
ないげんかん
)
の所を、ほと/\と叩くと、内から
開
(
ひら
)
きを明け
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それでも
構
(
かまえ
)
はなか/\に堂々たるものでした。
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斬りつける
構
(
かまえ
)
ではない。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
はて心得ぬ、これだけの
構
(
かまえ
)
に、乳母の他はあの女中ばかりであろうか。主人は九州へ旅行中で、夫人が七日ばかりの留守を、彼だけでは覚束ない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうち
俥
(
くるま
)
の
梶棒
(
かじぼう
)
が一軒の宿屋のような
構
(
かまえ
)
の門口へ横づけになった。自分は何だか
暖簾
(
のれん
)
を
潜
(
くぐ
)
って土間へ
這入
(
はい
)
ったような気がしたがたしかには覚えていない。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
隣の福地さんなんぞは、己の内より大きな
構
(
かまえ
)
をしていて、
数寄屋町
(
すきやまち
)
の芸者を連れて、池の端をぶら附いて、書生さんを
羨
(
うらや
)
ましがらせて、好い気になっていなさるが、内証は火の車だ。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
君が是だけの
構
(
かまえ
)
をして
居
(
い
)
るに、僕が鍋焼饂飩を売って歩き、成程金を
遣
(
つか
)
ったから困るのは自業自得とは云うものゝ、君が
斯
(
こ
)
うなった元はと云えば、清水助右衞門を殺し、三千円の金を取り
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その時、角燈をぱっと見せると、その手で片手の手袋を取って、
目前
(
めさき
)
へ、ずい、と
掌
(
てのひら
)
。
目潰
(
めつぶし
)
もくわせる
構
(
かまえ
)
。で、葛木という男は、ハッと一足さがった。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
魚勝と云う
肴屋
(
さかなや
)
の前を通り越して、その五六軒先の
露次
(
ろじ
)
とも横丁ともつかない所を曲ると、行き当りが高い
崖
(
がけ
)
で、その左右に四五軒同じ
構
(
かまえ
)
の貸家が並んでいる。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鋼鉄
(
はがね
)
いろの馬のり
衣
(
ごろも
)
裾長
(
すそなが
)
に着て、白き薄絹巻きたる黒帽子を
被
(
かぶ
)
りたる身の
構
(
かまえ
)
けだかく、今かなたの森蔭より、むらむらと打出でたる猟兵の勇ましさ見むとて、人々騒げどかへりみぬさま心憎し。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
但しまだ独身であるから、女は居ても何となく書生が寄合ったという
遣放
(
やりっぱな
)
しな処があって、悪く片附かない
構
(
かまえ
)
の、
秘
(
かく
)
さず明らさまなのが一際奥床しい。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれどもその主人はたいてい月給を取って衣食するものとしか受け取れない
構
(
かまえ
)
である。新市街という名はあるにしても、その
実
(
じつ
)
は閑静な
寂
(
さび
)
れた屋敷町に過ぎない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平たき肩を
窄
(
すぼ
)
めながら向う
屈
(
かが
)
みに背を円くし、いと寒げなる
状
(
さま
)
見えつつ、黒き影法師小さくなりて、
突
(
つき
)
あたり
遥
(
はるか
)
なる、門高き
構
(
かまえ
)
の内に薄霧
籠
(
こ
)
めて見えずなりぬ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてこの
構
(
かまえ
)
と設備では、帰りがけに思ったより高い療治代を取られるかも知れないと
気遣
(
きづか
)
った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いずれ、
山挊
(
やまかせ
)
ぎのものか、乞食どもの
疎匇
(
そそう
)
であろう。焼残った一軒も、そのままにしておいては物騒じゃに因って、上段の床の間へ御仏像でも据えたなら、
構
(
かまえ
)
は
大
(
おおき
)
い。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その他の特色を云うと、玄関の前に大きな鉄の
天水桶
(
てんすいおけ
)
があった。まるで下町の質屋か何かを
聯想
(
れんそう
)
させるこの
長物
(
ちょうぶつ
)
と、そのすぐ横にある玄関の
構
(
かまえ
)
とがまたよく釣り合っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
故
(
かるがゆえ
)
に君子は
庖厨
(
ほうちゅう
)
を遠ざく……こりゃ分るまいが、
大尽
(
だいじん
)
は茶屋の
構
(
かまえ
)
の
大
(
おおき
)
からんことを望むのだとね。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
われ切られじと思うところに心を置けば、切られじと思うところに心を取らるるなり。人の
構
(
かまえ
)
に心を置けば、人の構に心を取らるるなり。とかく心の置きどころはないとある
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家は表から
引込
(
ひっこ
)
んでいる上に、少し右側の方へ片寄っていたが、往来に面した一部分には
掛茶屋
(
かけぢゃや
)
のような雑な
構
(
かまえ
)
が
拵
(
こしら
)
えられて、常には二、三脚の
床几
(
しょうぎ
)
さえ
体
(
てい
)
よく据えてあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
半ば西洋づくりの
構
(
かまえ
)
は、日本間が
二室
(
ふたま
)
で、四角な縁が、名にしおうここの名所、三湖の雄なる
柴山潟
(
しばやまがた
)
を見晴しの露台の
誂
(
あつらえ
)
ゆえ、
硝子戸
(
がらすど
)
と二重を隔ててはいるけれど、霜置く月の冷たさが
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丸い
瓦斯
(
ガス
)
に
田口
(
たぐち
)
と書いた門の中を
覗
(
のぞ
)
いて見ると、思ったより奥深そうな
構
(
かまえ
)
であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無いとも限らん——有れば急病人の
許
(
とこ
)
から
駈着
(
かけつ
)
けて、門を
敲
(
たた
)
いても、内で寝入込んで、車夫をはじめ、玄関でも起さない処から、
等閑
(
なおざり
)
な田舎の
構
(
かまえ
)
、どこか垣の隙間から自由に入って来て
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
母の宿はさほど大きくはなかったけれども、自分の泊っている所よりはよほど上品な
構
(
かまえ
)
であった。
室
(
へや
)
には扇風器だの、
唐机
(
とうづくえ
)
だの、特別にその唐机の
傍
(
そば
)
に備えつけた電灯などがあった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と声ばかり沢山で、
俄然
(
がぜん
)
として蜂の腰、竜の口、させ、飲もうの
構
(
かまえ
)
になる。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
始めのうちは
小
(
ち
)
さい横町を右へ折れたり左へ曲ったり、濡れた
枳殻
(
からたち
)
の垣を
覗
(
のぞ
)
いたり、古い
椿
(
つばき
)
の
生
(
お
)
い
被
(
かぶ
)
さっている墓地らしい
構
(
かまえ
)
の前を通ったりしたが、松本の家は容易に見当らなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや、下宿の三階建の
構
(
かまえ
)
だったのですが、頼む木蔭に冬空の雨が漏って、
洋燈
(
ランプ
)
の笠さえ破れている。ほやの
亀裂
(
ひび
)
を紙で繕って、崩れた壁より、もの寂しい。……第一石油の底の方に
淀
(
よど
)
んでいる。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仮に差置いたような庵ながら
構
(
かまえ
)
は縁が高い、
端近
(
はしぢか
)
に
三宝
(
さんぼう
)
を二つ置いて、一つには横綴の帳一冊、一つには奉納の米袋、ぱらぱらと少しこぼれて、おひねりというのが捧げてある、真中に硯箱が出て
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
辺
(
あたり
)
家の
構
(
かまえ
)
は、
件
(
くだん
)
の長い土間に添うて、
一側
(
ひとかわ
)
に座敷を並べ、
鍵
(
かぎ
)
の手に鍵屋の店が一昔以前あった、片側はずらりと板戸で、外は直ちに
千仭
(
せんじん
)
の
倶利伽羅谷
(
くりからだに
)
、
九十九谷
(
つくもだに
)
の一ツに臨んで、雪の備え厳重に
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
穴水の俳友の
住居
(
すまい
)
は、千石の
邸
(
やしき
)
の
構
(
かまえ
)
で、大分
懇
(
ねんごろ
)
にもてなされた。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とろんこの目には似ず、キラリと出刃を
真名箸
(
まなばし
)
の
構
(
かまえ
)
に取って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“構”の意味
《名詞》
(かじ) 梶の木の古名。
(かじ) 襲の色目の名。表裏ともに萌葱色。秋に着用。
(出典:Wiktionary)
“構”の解説
構(かまえ)とは、漢字の少なくとも二辺にまたがる構成要素であり、上と左にまたがる垂および左と下にまたがる繞を除いたものである。漢字を外側から包むような形をしている。
(出典:Wikipedia)
構
常用漢字
小5
部首:⽊
14画
“構”を含む語句
構造
結構
虚構
構内
門構
構成
心構
機構
大構
面構
身構
一構
構外
立構
御構
結構人
店構
無構
差構
家構
...