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怜悧
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れいり
ふりがな文庫
“
怜悧
(
れいり
)” の例文
れいの
俗諺
(
ぞくげん
)
の「さわらぬ神にたたりなし」とかいう
怜悧
(
れいり
)
狡猾
(
こうかつ
)
の処生訓を遵奉しているのと、同じ形だ、という事になるのでしょうか。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
鶴輔からなった今の鶴枝も、しかし、けっして
愚昧
(
ぐまい
)
でもない。第一、楽に時代と一緒に歩いているところに、先代同様の
怜悧
(
れいり
)
を感じる。
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「甚五郎は
怜悧
(
れいり
)
な若者で、武芸にも
長
(
た
)
けているそうな。手に合うなら、
甘利
(
あまり
)
を討たせい」こう言い放ったまま、家康は座を
起
(
た
)
った。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それぢやお前は、
俺
(
おれ
)
は馬鹿でお前が
怜悧
(
れいり
)
だといふんだね。
宜
(
よろ
)
しい、弱い者いぢめといふんなら、
俺
(
おれ
)
は、ま、馬鹿になツてねるとしやう。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
右衛門は如何に
聡明
(
そうめい
)
怜悧
(
れいり
)
な女でも、矢張り女だから、
忌々
(
いまいま
)
しくもあり、勘忍もしがたいから、定石どおり焼き立てたにちがい無い。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
魂の輝きを浮かべてる
憔悴
(
しょうすい
)
したその顔、熱い炎が燃えてるビロードのような美しいその眼、
怜悧
(
れいり
)
そうな長いその手、無格好なその身体
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
かくいえば
怜悧
(
れいり
)
なるものは必ず気弱でなければならぬという結論に達するらしく
思
(
おも
)
われるが、決してそう一定せるものとは思われない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
まことに
怜悧
(
れいり
)
な性質で、くる人くる人が、こんなかしこい猫は見たことがないと、口をそろえてほめそやすほど利巧な猫でした。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
人物も
怜悧
(
れいり
)
で何の学問にも通じたりっぱな公子であった。つまらぬ事までも二人は競争して人の話題になることも多いのである。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
怜悧
(
れいり
)
に見えても
未惚女
(
おぼこ
)
の事なら、
蟻
(
あり
)
とも
螻
(
けら
)
とも
糞中
(
ふんちゅう
)
の
蛆
(
うじ
)
とも云いようのない人非人、利の
為
(
た
)
めにならば人糞をさえ
甞
(
な
)
めかねぬ
廉耻
(
れんち
)
知らず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
これを考えることなくしては
殺鼠剤
(
さっそざい
)
・駆鼠薬を売る者は、物売りとしては
怜悧
(
れいり
)
であったかも知れぬが、少なくとも憂国の志士ではなかった。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
さようじゃ。お腰元としてお城中へ上がりこみ、
怜悧
(
れいり
)
にもご城内の様子までかぎ出したのだろうわい。おれときさまの江戸から下ることまでを
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
捨吉は市川を知る前に、先ず涼子の方を知った。その意味から言っても、あの
怜悧
(
れいり
)
な娘が
択
(
えら
)
んだ未知の青年に逢いたかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
狐
(
きつね
)
のごとき
怜悧
(
れいり
)
な本能で自分を救おうとすることにのみ急でないかぎり、自分の心の興奮をまで、一定の
埓
(
らち
)
内に慎ませておけるものであろうか。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お増は
怜悧
(
れいり
)
そうな
曇
(
うる
)
んだ目をして、自分の顔を眺める静子に、そういって訊ねたりなどしたが、子供からは、何も聴き取ることが出来なかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
怜悧
(
れいり
)
なる商人を作り、
敏捷
(
びんせふ
)
なる官吏を作り、寛厚にして利に
聡
(
さと
)
き地主を造るに在り。彼は常に地上を歩めり、彼れは常に尋常人の行く所を行けり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
多勢を
恃
(
たの
)
む猿どもはいよいよ
驕慢
(
きょうまん
)
でありました。けれど
怜悧
(
れいり
)
な彼等は、いつも相手の実力を見るのに鋭敏でありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夜が明くるにおよんで、彼は
怜悧
(
れいり
)
な二人の手下を残して見張りをさせ、あたかも盗人に捕えられた
間諜
(
かんちょう
)
のように恥じ入って、警視庁へ引き上げた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
小女は浅草清島町という所の
細民
(
さいみん
)
の娘なり。形は小さなれど年は十五にて
怜悧
(
れいり
)
なり。かの事ありしのち、この家へ
小間使
(
こまづかい
)
というものに来りしとなり。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
二人を
対手
(
あひて
)
に
喋々
(
てふ/\
)
喃々
(
なん/\
)
する
未
(
ま
)
だ廿六七なる
怜悧
(
れいり
)
の相、眉目の間に浮動する青年は同胞新聞の記者の一人
吾妻俊郎
(
あづまとしらう
)
なり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
淡路守の眼尻に、皮肉な鋭い、しかし
怜悧
(
れいり
)
そのもののような小皺が寄る時は、かれ淡路、重大なことを事もなげに言い出すときである。今がそれだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
飽くまでも人間に対して親切で
怜悧
(
れいり
)
でありますから、仏教の信仰を通して語る私の言葉は、殆んど絶対な理解や同情をみな様にお贈りすることが出来
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
怜悧
(
れいり
)
な
快活
(
くわいくわつ
)
な、
大
(
おほ
)
きい
眼
(
め
)
を
持
(
も
)
つてゐた
美
(
うつく
)
しい
彼女
(
かのぢよ
)
、
今
(
いま
)
は
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
として
力限
(
ちからかぎ
)
り
鬪
(
たゝか
)
つた。そして
遂
(
つひ
)
に
安
(
やす
)
らかに
睡
(
ねむ
)
つた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
お夏が無邪気なる意気地と
怜悧
(
れいり
)
なる恋の智慧を見るに足るべし、「あの
立野
(
たちの
)
の
阿呆顔
(
あはうづら
)
、
敷銀
(
しきがね
)
に目がくれて、嫁に
取
(
とら
)
うといやらしい」と
云
(
いふ
)
一段に至りては
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
なるほど今日の青年はなかなか
怜悧
(
れいり
)
である。我輩も時々
鎗込
(
やりこ
)
められる事があるが、しかし色々の人と接触してみなければ広く智識を得られるものではない。
我輩は何故いつまでもすべてに於て衰えぬか
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
日本人との短日月の交渉によっても、彼らがどんなに
怜悧
(
れいり
)
であるかということがわかった。しかも
悪賢
(
わるがしこ
)
いといってもよいほど、怜悧であることがわかった。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
敏捷
(
びんしょう
)
で、
自由
(
じゅう
)
で、
怜悧
(
れいり
)
で、なんでもよく
知
(
し
)
っているみつばちは、きっと
昨夜
(
ゆうべ
)
のできごとも
知
(
し
)
っているであろう。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いかに彼女がそう
云
(
い
)
うことに敏感であり、器用であり、
怜悧
(
れいり
)
であったかを語らないものとてはないのでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
敏捷に
怜悧
(
れいり
)
にすきもなく動いてる、黒みがちの睫のながい子供の瞳をぢっと見てゐると、どうしたらいゝだらうといふやうに、やがて顔一ぱいな
微笑
(
ほゝゑみ
)
を持って
晩餐
(新字新仮名)
/
素木しづ
(著)
怜悧
(
れいり
)
なる手塚はすぐ一
策
(
さく
)
を案じて阪井をたずねた、阪井は
竹刀
(
しない
)
をさげて友達のもとへいくところであった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あの子は
怜悧
(
れいり
)
でもなければ、才能を持つてゐるのでもない、しかし一寸の間に大した進歩をしたものです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
且つ労働多きに
由
(
よ
)
りて消化機能も盛なるを以て、かかる喰料にても
却
(
かえっ
)
て都下の人より健康を増加するのみならず、
生出
(
せいしゅつ
)
する処の
児輩
(
こら
)
は却て健康と
怜悧
(
れいり
)
たるが如し。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
次に軍略から云う時は、我が国人は
怜悧
(
れいり
)
である。軍略もうまいに相違ない。第三に地勢から云う時は、敵は谷底、我は山上、我らに利あることは云うまでもない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
神はこの哀れな孤児に
怜悧
(
れいり
)
と美貌を与えたのみならず、さらに何物にもいじけない楽天性を付与した。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
小柄で丸ポチャで、笑顔の美しい、眉の霞んだ、八重歯のある——そう言った
怜悧
(
れいり
)
で清純な少女と想像して見て下さい。それが即ち十九になる美保子の肖像なのです。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
相貌
怜悧
(
れいり
)
、挙止敏捷、言語明晰、彼は確かに野卑遅鈍なる衆童を圧して一異彩を放っておった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
倘
(
も
)
し、この危機に処して、一家の女房たるものが、少しく
怜悧
(
れいり
)
であつたならば、
狂瀾
(
きやうらん
)
を既に倒るゝに
翻
(
ひるがへ
)
し、危難を
未
(
いま
)
だ来らざるに
拒
(
ふせ
)
ぐは、さして難い事では無いのである。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
私は児供たちに「魔子ちゃんのお父さんの咄をしてはイケナイよ、」と固く封じて
不便
(
ふびん
)
な魔子の小さな心を少しでも
傷
(
いた
)
めまいとしたが、
怜悧
(
れいり
)
な魔子は何も彼も承知していた。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
安宿は天性の
麗質
(
れいしつ
)
であり
怜悧
(
れいり
)
であった。年齢も亦首皇子に相応し、生れながらにして、天皇の夫人たるべき宿命をあらわしていた。けれども三千代は更に一つの慾念があった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
仮令
(
たとえ
)
それがふとした気紛れであつたとはいへ、つい此間の或る男性との失敗した関係、それらの事情を、
怜悧
(
れいり
)
な眼でとつくに見抜いてゐて、決して表面にはあらはさないものの
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
または個人の力は伝統の力より弱いからとも云えよう。個性はいかに強くとも自然の前にはなお狭く小さい。実際凡庸な民衆はあの
怜悧
(
れいり
)
な個人より、さらに驚くべき作を産んだ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
武蔵は童の
胆力
(
たんりょく
)
に感じて、共に手伝って、屍体を裏山へ運んで厚く葬ってやった。そしてこの孤児の胆力と
怜悧
(
れいり
)
を愛して、永く手許に養い、遊歴中も連れ歩いていたそうである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妾
(
しょう
)
は八、九歳の時、
屋敷内
(
やしきうち
)
にて
怜悧
(
れいり
)
なる娘と
誉
(
ほ
)
めそやされ、学校の先生たちには、活発なる無邪気なる子と可愛がられ、十一、二歳の時には、県令学務委員等の
臨
(
のぞ
)
める試験場にて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
すなわち先のごとくにして軒ごとを見舞いあるき、
怜悧
(
れいり
)
に
米塩
(
べいえん
)
の料を稼ぐなりけり。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかして、縞はよく既往を察し、未来を知り、
怜悧
(
れいり
)
にして、またよく教えを受く。字義を解し、数理をさとり、義を守り理を弁じ、また、よく人をして勧善懲悪の観念を起こさしむ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その目には
怜悧
(
れいり
)
な光を、その口には敏感な心の
微
(
かす
)
かな
慄動
(
りつどう
)
を、その
頬
(
ほお
)
には消ゆることなき情熱のこまやかな陰影を。しかしこの十一面観音の面相はそういう期待に応ずるものではない。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
含
(
ふく
)
み
物事
(
ものごと
)
柔和
(
やはらか
)
にして名にし負ふ大和詞なれば
人
(
ひと
)
愛
(
あい
)
ありて
朋輩
(
ほうばい
)
の中も
睦
(
むつま
)
しく
怜悧
(
れいり
)
ゆゑ
僅
(
わづ
)
かの中に
廓言葉
(
さとことば
)
外
(
そと
)
八文字の
踏樣迄
(
ふみやうまで
)
も覺えしかば松葉屋の
喜悦
(
よろこび
)
大方ならず近き中に
突出
(
つきだし
)
にせんとて名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あなたは冷たいくらい
怜悧
(
れいり
)
な頭をもっていらっしゃるのに、唯ひとつの事だけには
愚昧
(
ぐまい
)
のように眼がおみえにならない、それはあなたがご自分を美しくないとお信じになっていることだ。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのへり下る心をさえも、受けとってもらえぬ悲しみ。それを貞子はその
怜悧
(
れいり
)
さで分ってくれるだろう。だが分っている貞子自身もその美しさが文名と共に聞えている作家なのであった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
武家の家庭のことで
教育
(
しつけ
)
は充分、生まれつき
怜悧
(
れいり
)
で、母人はまたよろしい方、今は瓦解をして士族になって、多少は昔の威光が薄くなっているけれども、まだまだ品格は昔のままである。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
怜
漢検準1級
部首:⼼
8画
悧
漢検1級
部首:⼼
10画
“怜悧”で始まる語句
怜悧者
怜悧相
怜悧想
怜悧小僧