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寝覚
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ねざめ
ふりがな文庫
“
寝覚
(
ねざめ
)” の例文
旧字:
寢覺
そうでしたか。景蔵さんには
寝覚
(
ねざめ
)
で行きあいましたっけ。まあ、お役所の方も、お
叱
(
しか
)
りということで済みました。つまらない疑いを
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
では、宿場茶屋の端をかりて、早目な昼めしを喰べたので、事なく済んだが、やがて一峠越えて、
上松
(
あげまつ
)
のあたりへかかると
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鐘も響かぬ
山家
(
やまが
)
にさえ、
寝覚
(
ねざめ
)
に
跫音
(
あしおと
)
轟
(
とどろ
)
いたが、
哄
(
どっ
)
と伊豆の国を襲ったので、熱海における大地震は、すなわち
渠等
(
かれら
)
が予言の計略。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
の床を左に見て、悠々一行が進んで行った時、
貧弱
(
みすぼら
)
しい一人の老人が、ひどく何かに驚いたように、つと行列の先を切った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わが名をさえも
三彦
(
みつひこ
)
と書き、いつかは
老
(
おい
)
の
寝覚
(
ねざめ
)
にも忘れがたない思出の夢を
辿
(
たど
)
って年ごとに書綴りては出す
戯作
(
げさく
)
のかずかず。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
河口はとにかく、犬山からこの笠松までの
悠容
(
ゆうよう
)
たる大景を下流にして、初めて中流の日本ライン、上流の
寝覚
(
ねざめ
)
、
恵那
(
えな
)
の諸峡が生きるのである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
睡
(
ねむり
)
さめて見れば眼
明
(
あきら
)
かにして
寝覚
(
ねざめ
)
の感じなく、眼を
塞
(
ふさ
)
ぎて静かに
臥
(
ふ
)
せばうつらうつらとして妄想はそのままに夢となる。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
二人の仲はあまりにも
深間
(
ふかま
)
過ぎて、暗討まで仕掛けられた吾妻屋永左衛門にしても、
寝覚
(
ねざめ
)
のよくなかったことでしょう。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これから皆様御案内の通り福島を離れまして、
彼
(
か
)
の名高い
寝覚
(
ねざめ
)
の里を
後
(
あと
)
に致し、
馬籠
(
まごめ
)
に掛って
落合
(
おちあい
)
へまいる間が、
美濃
(
みの
)
と信濃の
国境
(
くにざかい
)
でございます。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「隠れなき御匂ひぞ風に従ひて、
主
(
ぬし
)
知らぬかと驚く
寝覚
(
ねざめ
)
の家々ぞありける」と記された
薫
(
かおる
)
大将の
美
(
び
)
、「扇ならで、これにても月は招きつべかりけり」
『新訳源氏物語』初版の序
(新字新仮名)
/
上田敏
(著)
「だが、重右衛門ナア、貴様も此村で生れた人間ぢや無えか、それだアに、
此様
(
こんな
)
に
皆々
(
みんな
)
に
爪弾
(
つまはじき
)
されて……悪い事べい為て居て、それで
寝覚
(
ねざめ
)
が好いだか」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
仏国革命の当時物好きな御医者さんが改良首きり器械を発明して飛んだ罪をつくったように、始めて鏡をこしらえた人も定めし
寝覚
(
ねざめ
)
のわるい事だろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一条兼良
(
いちじょうかねら
)
公の『秋の
寝覚
(
ねざめ
)
』下にも「猪と申す獣は猛なる上に、松の脂もて身を堅め候故矢も立つ事候はぬ由なれば、その心は武士の眼として猪の目すかす事になん」
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
宿引
(
やどひき
)
の声。それには用がない。竜之助は神宮の方へは行かないで、浜の鳥居から右に
寝覚
(
ねざめ
)
の里。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
から駒ヶ岳に登って、玉窪の小屋に一泊し、
宮田
(
みやだ
)
に下り、
三峰
(
みぶ
)
川に沿うて高遠に至り、更に黒川を遡りて、忘れもせぬ八月十八日、暴風雨を突いて戸台から甲斐駒に登った。
北岳と朝日岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「へえ、こっちも意地だす。こんど蠅男にやられてしもたら、それこそ警察の威信地に墜つだす。完全包囲をやらんことには、良かれ悪しかれ、どっちゃにしても
寝覚
(
ねざめ
)
がわるおます」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
寝つかれない場合と見るか、
夜半
(
よわ
)
の
寝覚
(
ねざめ
)
と見るかは、この句を読む人の随意である。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
夜はいつでも宵の口から
臥床
(
ふしど
)
に入ることにしている父親の寝言などが、ふと
寝覚
(
ねざめ
)
の耳へ入ったりすると、それが不幸な旅客の亡霊か何ぞに
魘
(
うな
)
されている
苦悶
(
くもん
)
の声ではないかと疑われた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あわれ
室香
(
むろか
)
はむら雲迷い
野分
(
のわけ
)
吹く
頃
(
ころ
)
、少しの風邪に冒されてより
枕
(
まくら
)
あがらず、秋の夜
冷
(
ひややか
)
に虫の音遠ざかり行くも観念の友となって独り
寝覚
(
ねざめ
)
の床淋しく、自ら露霜のやがて
消
(
きえ
)
ぬべきを悟り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
どうも、
貴方
(
あなた
)
も人間が悪くていけない。あんないゝ方を
苛
(
いじ
)
めるなんて、
何
(
ど
)
うも甚だ
宜
(
よろ
)
しくない。貴方が、持って行けと
云
(
い
)
ったから、つい持って行ったものゝ、どうも
寝覚
(
ねざめ
)
が悪くっていけない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『
寝覚
(
ねざめ
)
物語絵巻』では十六、七、八、九、などが普通である。草紙ということを頭に置き、紙の大きさや書き方が草紙にふさわしい方をとれば、源氏や紫式部のがちょうど適当なように見える。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
ことに『伊勢物語』や『源氏物語』や『
夜半
(
よわ
)
の
寝覚
(
ねざめ
)
』がつくられているではないか、それにまた『
蜻蛉日記
(
かげろうにっき
)
』や『
枕草紙
(
まくらのそうし
)
』や『
更級日記
(
さらしなにっき
)
』やのような美しい日記随筆の類が生れているではないか
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
ほととぎす聴きたまひしか聴かざりき水のおとするよき
寝覚
(
ねざめ
)
かな
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
や
御豆
(
みず
)
の
小家
(
こいえ
)
の
寝覚
(
ねざめ
)
がち
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
わが性格を思ふ
寝覚
(
ねざめ
)
かな。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
旅のやどりの
寝覚
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
県歌 信濃の国
(新字新仮名)
/
浅井洌
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
を
照
(
てら
)
す、窓の中。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
この、筆者の友、
境賛吉
(
さかいさんきち
)
は、実は
蔦
(
つた
)
かずら
木曾
(
きそ
)
の
桟橋
(
かけはし
)
、
寝覚
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
などを見物のつもりで、
上松
(
あげまつ
)
までの切符を持っていた。霜月の半ばであった。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あんまり
寝覚
(
ねざめ
)
がよくねえから、ちょッと、お別れをいいに戻ったが……、お綱、ここはなんにもいわないで、お前は一ツ、別に考えなおしてくれ
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偶然にも、半蔵はそんな帰村の途中に、しかも
寝覚
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
の入り口にある蕎麦屋の奥で、反対の方角からやって来た友人と一緒になることができた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
で、上流の福島や
寝覚
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
探勝の予定も中止すると、どうでも
明
(
みょう
)
十三日の朝には
此処
(
ここ
)
を立たねばならなくなった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
上松
(
あげまつ
)
を過ぐれば程もなく
寝覚
(
ねざめ
)
の里なり。寺に到りて案内を乞へば小僧絶壁のきりきはに立ち遙かの下を指してこゝは浦嶋太郎が竜宮より帰りて後に釣を垂れし跡なり。
かけはしの記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「人殺しも多くしたが今日ほど
寝覚
(
ねざめ
)
の悪い事はまたとあるまい」と高き影が低い方を向く。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
清「まア黙ってお
出
(
い
)
でなせえ、旦那え、今三千円の金があれば清水の家も元のように立ちやす、そうすれば
貴方
(
あなた
)
も
寝覚
(
ねざめ
)
がいゝから、どうか返して下せえ、親子三人、
浮
(
うか
)
び
上
(
あが
)
ります」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これにて愚僧が犯せる罪科の跡は自然
立消
(
たちぎ
)
えになり候事とて、ほつと一息付き候ものゝ、実はまんまとわが身の悪事を他人に
塗付
(
ぬりつ
)
け候次第に候間、
日数
(
ひかず
)
経
(
たち
)
候につれていよいよ
寝覚
(
ねざめ
)
あしく
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
持参の
瓢箪
(
ひょうたん
)
の中へいっぱい清酒を詰めさせた客人があるという手がかりがあって、それから問いただしてみると、それは多分
件
(
くだん
)
の一瓢を携えて
寝覚
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
へおいでになったのだろうとのことです。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
木曾路
(
きそじ
)
に入りて
日照山
(
ひでりやま
)
桟橋
(
かけはし
)
寝覚
(
ねざめ
)
後になし
須原
(
すはら
)
の
宿
(
しゅく
)
に
着
(
つき
)
にけり。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ハイ
妾
(
わたくし
)
は城外
上松
(
あげまつ
)
、
寝覚
(
ねざめ
)
の床の
畔
(
ほとり
)
の者、名は六と申します」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ものうき
寝覚
(
ねざめ
)
!
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
なぜだといえば、あの
娘
(
こ
)
が
活
(
い
)
きている
中
(
うち
)
は、二人の
寝覚
(
ねざめ
)
が悪いから、殺した、いや照子に殺させたに違いありません。ほんとうに許されないのは貴女です。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御順路の日割によると、六月二十六日鳥居峠お
野立
(
のだ
)
て、
藪原
(
やぶはら
)
および
宮
(
みや
)
の
越
(
こし
)
お小休み、木曾福島御一泊。二十七日
桟
(
かけはし
)
お野立て、
寝覚
(
ねざめ
)
お小休み、
三留野
(
みどの
)
御一泊。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
カーン、カーン、と何処かで
鍛冶
(
かじ
)
の
鎚音
(
つちおと
)
がたかく響くのも、
寝覚
(
ねざめ
)
の耳には、快かった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よべの
泊
(
とま
)
りの
十六小女郎
(
じゅうろくこじょろ
)
、親がないとて、
荒磯
(
ありそ
)
の千鳥、さよの
寝覚
(
ねざめ
)
の千鳥に泣いた、親は船乗り波の底」「うまいのねえ、感心だ事、話せるじゃありませんか」「話せますかな」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは毎年冬の
寝覚
(
ねざめ
)
に、落葉を掃く同じようなこの響をきくと、やはり毎年同じように、「老愁ハ葉ノ如ク
掃
(
ハラ
)
ヘドモ尽キズ蔌蔌タル声中又秋ヲ送ル。」と言った
館柳湾
(
たちりゅうわん
)
の句を心頭に思浮べる。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「いや、いや、私が聞いただけでも、何か、こうわざと
邪慳
(
じゃけん
)
に取扱ったようで、
対手
(
あいて
)
がその
酔漢
(
よいどれ
)
を
労
(
いたわ
)
るというだけに、黙ってはおられません。何だか
寝覚
(
ねざめ
)
が悪いようだね。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
の
蕎麦屋
(
そばや
)
であった時の友人の口から聞いて来た言葉が、
枕
(
まくら
)
の上で彼の胸に浮かんだ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
背中が重くなる、痛くなる、そうして腰が曲る。
寝覚
(
ねざめ
)
がわるい。社会が
後指
(
うしろゆび
)
を
指
(
さ
)
す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……夜汽車が更けて
美濃
(
みの
)
と
近江
(
おうみ
)
の
国境
(
くにざかい
)
、
寝覚
(
ねざめ
)
の里とでもいう処を、ぐらぐら
揺
(
ゆす
)
って
行
(
ゆ
)
くようで、例の、大きな腹だの、
痩
(
や
)
せた肩だの、帯だの、胸だの、ばらばらになったのが
遠灯
(
とおあかり
)
で
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
まで行くと、
上松
(
あげまつ
)
の宿の方から荷をつけて来る牛の群れが街道に続いた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あなたは
寝覚
(
ねざめ
)
が悪かありませんか」
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寝
常用漢字
中学
部首:⼧
13画
覚
常用漢字
小4
部首:⾒
12画
“寝”で始まる語句
寝
寝衣
寝台
寝床
寝室
寝転
寝惚
寝所
寝呆
寝起