トップ
>
奈何
>
いか
ふりがな文庫
“
奈何
(
いか
)” の例文
他の
奈何
(
いか
)
なる芸術作品に較べて見ても、最も形式が狭小であり作品の数もすくないのに、それの市価の決定されてゐないのはどうか。
俳句は老人文学ではない
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
アンドレイ、エヒミチは
奈何
(
いか
)
にも
情無
(
なさけな
)
いと
云
(
い
)
ふやうな
聲
(
こゑ
)
をして。『
奈何
(
どう
)
して
君
(
きみ
)
、
那樣
(
そんな
)
に
可
(
い
)
い
氣味
(
きみ
)
だと
云
(
い
)
ふやうな
笑樣
(
わらひやう
)
をされるのです。 ...
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これは単に興行したと云うだけを汚涜だと見たのであるが、進んで
奈何
(
いか
)
に興行したかと云う側から汚涜を見出した人があるらしい。
訳本ファウストについて
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
許をも受けで校外に出で、士官と倶に酒店に入りしは、輕からぬ罪なれば、若し事
露
(
あらは
)
れなば
奈何
(
いか
)
にすべきと、安き心もあらざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
此男の白つぽい顔や黄いろい髪と、死だのなんのと云ふ、深刻な、偉大な思想とは、
奈何
(
いか
)
にも不吊合に感ぜられたからである。
死
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
▼ もっと見る
私達は必要な場合には
奈何
(
いか
)
に疑ふべきかを知らねばならない。又、必要な場合には奈何に確むべきか、奈何に從ふべきかを知らねば成らない。
パスカルの言葉
(旧字旧仮名)
/
ブレーズ・パスカル
(著)
故に余は以上の条件を備へざる人生相渉論ならば、
奈何
(
いか
)
なる大家先生の所説なりとも、是に対して答弁するの権利なきなり。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
奈何
(
いか
)
に頭を
熱
(
ほて
)
らせて靈魂の存在を説く人でも、其の状態を
眼前
(
まのあたり
)
見せ付けられては、靈長教の
分銅
(
ふんどう
)
が甚だ輕くなることを感得しなければなるまい。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
適確な記述の文章を背地に置いて
奈何
(
いか
)
に
肯綮
(
こうけい
)
に当り、手に入ったものであるかは、原文が簡単であるだけになおよく分る。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
忽
(
たちま
)
ち一人の導者が僕の手を
捉
(
とら
)
へて雲霧の
濛々
(
もうもう
)
たるなかを行く、それが
奈何
(
いか
)
にも慌てふためいた様子であり、僕に
前行
(
ぜんかう
)
した数人の紅毛人を追ひ越して行く。
ヴエスヴイオ山
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この刹那に、スタニスラウスは一同の目が自分の一身に集注してゐるのを感じて、それと同時に自分が
奈何
(
いか
)
にも老衰して、たよりなくなつてゐるやうに思つた。
祭日
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
問題は『近代の結婚制度は善良にして果してよく社会の需要に応ずるものなりや』と云ふのではなく『
奈何
(
いか
)
にせば吾人は種族改善の為め現在のそれより更らに有効なる道徳律を ...
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
此村あたりの娘には、これ程
好
(
うま
)
い話はない。二人は、白粉やら油やら元結やら、月々の入費を勘定して見たが、それは
奈何
(
いか
)
に諸式の高い所にしても、月一円とは要らなかつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恰
(
あだか
)
も
昔物語
(
むかしがたり
)
の
亞剌比亞
(
アラビヤ
)
の
沙漠
(
さばく
)
の
大魔神
(
だいましん
)
に
魅
(
みゐ
)
られたる
綿羊
(
めんよう
)
のごとく、
遁
(
のが
)
れんとして
遁
(
のが
)
るゝ
能
(
あた
)
はず、
鬪
(
たゝか
)
はんか、
速射砲
(
そくしやほう
)
もガツトリング
砲
(
ほう
)
も
到底
(
とうてい
)
力
(
ちから
)
及
(
およ
)
ばぬ
海底
(
かいてい
)
の
此
(
この
)
大怪物
(
だいくわいぶつ
)
を
奈何
(
いか
)
せん。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
孝孺いよ/\奮って曰く、すなわち十族なるも我を
奈何
(
いか
)
にせんやと、声
甚
(
はなは
)
だ
厲
(
はげ
)
し。帝もと雄傑剛猛なり、
是
(
ここ
)
に於て
大
(
おおい
)
に
怒
(
いか
)
って、刀を以て孝孺の口を
抉
(
えぐ
)
らしめて、
復
(
また
)
之を獄に
錮
(
こ
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すべてに徹底を願い、真実を慕うおのが心のかの過ちによりて
奈何
(
いか
)
ばかりの苦痛を重ねしか。そは今更
云々
(
うんぬん
)
致すまじ。最後の苦汁の一滴まで
呑
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
すべき当然の責ある身にて候えば。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
因つて校修を加へて以て改刻せんと欲すること一日に非ざるなり。独り
奈何
(
いか
)
んせん、老衰日に
逼
(
せま
)
り、志ありて未だ果さず、常に以て
憾
(
うら
)
みとなす。
乃
(
すなわ
)
ち門人茂質に命じて改訂に当らしむ。
杉田玄白
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
然れども
奈何
(
いか
)
にせん、歌麿と北斎とは今日の油画よりも遥によく余の感覚に向つて日本の婦女と日本風景の含有する秘密を語るが故に、余はその以上の新しき天才の制作に接するまで
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
奈何
(
いか
)
なる
事情
(
わけ
)
と
訊問
(
たずね
)
しに、昨夜
廿一二
(
にじゅういちに
)
のこうこう云う
当家
(
こなた
)
のお弟子が見えて、
翌日
(
あす
)
仏事があるから十五軒前
折詰
(
おりづめ
)
にして、
持
(
もっ
)
て来てくれと
誂
(
あつら
)
えられましたと話され、家内中顔を見合せて驚き
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
わが思には形なきを
奈何
(
いか
)
にすべき。恋か、あらず、
望
(
のぞみ
)
か、あらず……。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
是
(
ここ
)
ニ
於
(
おい
)
テ項王
乃
(
すなわ
)
チ悲歌
慷慨
(
こうがい
)
シ自ラ詩ヲ
為
(
つく
)
リテ
曰
(
いわ
)
ク「力山ヲ抜キ気世ヲ
蓋
(
おお
)
フ、時利アラズ騅
逝
(
ゆ
)
カズ、騅逝カズ
奈何
(
いかん
)
スベキ、虞ヤ虞ヤ
若
(
なんじ
)
ヲ
奈何
(
いか
)
ニセン」ト。歌フコト数
闋
(
けつ
)
、美人之ニ和ス。項王
泣
(
なみだ
)
数行下ル。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「
玲瓏
(
れいろう
)
々々老いたるを
奈何
(
いか
)
にせん」
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人皆
奈何
(
いか
)
にせましと思ひ惑ひ
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
唯喰ツてゐると謂ツては、何んの意味も無ければ不思議も無いが、其が
奈何
(
いか
)
にも樂しさうで、喰ツてゐる間、氣も心も
蕩々
(
とけどけ
)
してゐるかと思はれた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
棭斎の少時
奈何
(
いか
)
に保古に遇せられたかは、わたくしの
詳
(
つまびらか
)
にせざる所であるが、想ふに保古は棭斎の学を好むのに掣肘を加へはしなかつたであらう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ソロモンとヨブとは、
奈何
(
いか
)
なる人よりも人間の悲みを知つて居たし、又、語りもした。前者は人として最も幸福であつた。後者は最も不幸であつた。
パスカルの言葉
(旧字旧仮名)
/
ブレーズ・パスカル
(著)
あるいは「明治四十五年十月五日武島天洋。」などと無意味にかいてあるのもあった。ただ、その年号というものが
奈何
(
いか
)
に寂しくあたまにひびくことであろう。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
さるを怪むべきは此女優の
擧止
(
たちゐ
)
のさま
都雅
(
みやびやか
)
にして、いたく他の二人と異なる事なり。われは心の中に、若し
少
(
わか
)
き美しき娘に此行儀あらば
奈何
(
いか
)
ならんとおもひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこで
慌
(
あわ
)
てて大阪医科大学の療治を乞うたけれども
奈何
(
いか
)
にも思わしくない、そのうち一
眼
(
がん
)
はつぶれてしまった。それのみではなく、片方の眼もそろそろ見えなくなって来た。
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
余は決して邦人の制作する現代の油画を
嫌
(
きら
)
ふものにあらず、然れども
奈何
(
いか
)
にせん、歌麿と北斎とは
今日
(
こんにち
)
の油画よりも遥によく余の感覚に向つて日本の婦女と日本風景の含有する秘密を語るが故に
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
たとへ
奈何
(
いか
)
なる場合があらうと、大切な戒ばかりは破るまいと考へた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
又
(
また
)
今更
(
いまさら
)
考
(
かんが
)
へれば
旅行
(
りよかう
)
に
由
(
よ
)
りて、
無慘々々
(
むざ/\
)
と
惜
(
あた
)
ら千
圓
(
ゑん
)
を
費
(
つか
)
ひ
棄
(
す
)
てたのは
奈何
(
いか
)
にも
殘念
(
ざんねん
)
。
酒店
(
さかや
)
には
麥酒
(
ビール
)
の
拂
(
はらひ
)
が三十二
圓
(
ゑん
)
も
滯
(
とゞこほ
)
る、
家賃
(
やちん
)
とても
其通
(
そのとほ
)
り、ダリユシカは
密
(
ひそか
)
に
古服
(
ふるふく
)
やら、
書物
(
しよもつ
)
などを
賣
(
う
)
つてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
必然
(
きっと
)
餓鬼
(
がき
)
が
着
(
き
)
たのだ何か食うと
直
(
す
)
ぐ治ると云って、
持
(
もっ
)
ている
饅頭
(
まんじゅう
)
を
呉
(
く
)
れた、僧は
悦
(
よろこ
)
んで一ツ
食
(
くっ
)
たが、
奈何
(
いか
)
にも不思議、気分が平常に復してサッサッと歩いて無事に登山が出来たと話した事があった
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
東京に行けば、言ふまでもなく女中奉公をする考へなので、それが
奈何
(
いか
)
に辛くとも野良稼ぎに比べたら、朝飯前の事ぢやないかとお八重が言つた。日本一の東京を見て、食はして貰つた上に月四円。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして頭を振つたが、その様子が
奈何
(
いか
)
にも心細げに見えた。
駆落
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
「
玲瓏
(
れいろう
)
々々老いたるを
奈何
(
いか
)
にせん」
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
其の動機は事業の
失敗
(
しつぱい
)
で、
奈何
(
いか
)
に
辛辣
(
しんらつ
)
な
手腕
(
しゆわん
)
も、一度
逆運
(
ぎやくうん
)
に向ツては、それこそ
鉈
(
なた
)
の力を
苧売
(
おがら
)
で防ぐ
有様
(
ありさま
)
であつた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
迷庵の考証学が
奈何
(
いか
)
なるものかということは、『読書指南』について見るべきである。しかしその要旨は自序一篇に尽されている。迷庵はこういった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
されども技藝の聲價、技藝の光榮は、
縱令
(
よしや
)
其極處に
詣
(
いた
)
らんも、昔のアヌンチヤタが境遇の上に出づべくもあらず。而るにそのアヌンチヤタが末路は
奈何
(
いか
)
なりしぞ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこで慌てて大阪医科大学の療治を
乞
(
こ
)
うたけれども
奈何
(
いか
)
にも思はしくない、そのうち一眼はつぶれてしまつた。それのみではなく、片方の眼もそろそろ見えなくなつて来た。
遍路
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
亀山を
奈何
(
いか
)
にせばや。
谷崎潤一郎氏の作品
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
諸子は
縦
(
たと
)
ひ
奈何
(
いか
)
なる事に遭遇するとも、従容としてこれに処し、
妄
(
みだり
)
に言動すること無く、天下をして柏軒門下の面目を知らしむる様に心掛けるが好い。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「嫌な天氣だな。」と俊男は、
奈何
(
いか
)
にも
倦
(
う
)
んじきツた
躰
(
てい
)
で、
吻
(
ほ
)
ツと
嘆息
(
ためいき
)
する。「そりや
此樣
(
こん
)
な不快を與へるのは自然の威力で、また權利でもあるかも知れん。 ...
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
わたくしの敬愛する所の抽斎は、
角兵衛獅子
(
かくべえじし
)
を
観
(
み
)
ることを好んで、
奈何
(
いか
)
なる用事をも
擱
(
さしお
)
いて玄関へ見に出たそうである。これが風流である。詩的である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
とブツ/\いふ。其の態度が
奈何
(
いか
)
にも
冷
(
ひやゝか
)
で、
謂
(
い
)
ふこともキチンと
條理
(
でうり
)
が立ツてゐる。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
わたくしの求むる所の証拠は、
縦
(
たと
)
ひ今藤陰の裔孫の手に無くとも、他日何処からか現れて来はすまいかと云ふのである。証拠とは
奈何
(
いか
)
なるものであるか。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
姿にしても
其通
(
そのとほり
)
だ、
奈何
(
いか
)
にもキチンと
締
(
しま
)
ツて、
福袢
(
じゆはん
)
の
襟
(
えり
)
でも
帯
(
おび
)
でも、または
着物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
でもひツたり體にくツついてゐるけれども、
些
(
ちつ
)
とだツて
氣品
(
きひん
)
がない。別の
言
(
ことば
)
でいふと、
奥床
(
おくゆか
)
しい點が無いのだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
併し此の断定には何の根拠も無い。磯貝は魔睡の間に
奈何
(
いか
)
なる事をもサジエストすることを得たのである。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
周三は
奈何
(
いか
)
なる場合にも「自己」を忘れなかツた。そして何處までも自己の權利を
主張
(
しゆちやう
)
して、家または
家族
(
かぞく
)
に就いて少しも考へなかツた。無論家の
興廢
(
こうはい
)
などゝいふことは
頭
(
てん
)
で
眼中
(
がんちゆう
)
に置いてゐなかた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
奈何
(
いか
)
に敵を憎むことの出来ない博士でも、それを平気で自分の家に当て
嵌
(
は
)
めて考へることは出来ない。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
奈
常用漢字
小4
部首:⼤
8画
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“奈何”で始まる語句
奈何云
奈何様
奈何樣
奈何為