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太息
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といき
ふりがな文庫
“
太息
(
といき
)” の例文
「初めにこっちの出した案だ」と宗兵衛は
太息
(
といき
)
をつきながら云った、「全額の三分の二を貰えば訴訟を取りさげたいと云っている」
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
聴水は
可笑
(
おか
)
しさを
堪
(
こら
)
えて、「
慌
(
あわただ
)
し何事ぞや。
面
(
おもて
)
の色も常ならぬに……物にや追はれ給ひたる」ト、
問
(
とい
)
かくれば。黒衣は初めて
太息
(
といき
)
吻
(
つ
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
呼
(
よび
)
に
遣
(
つかは
)
したり必らず/\
心配
(
しんぱい
)
するに及ばず早々
此所
(
ここ
)
へ
合
(
あふ
)
べき
鑰
(
かぎ
)
を持參して
此錠前
(
このぢやうまへ
)
を
開
(
あけ
)
よと申されしかば
漸々
(
やう/\
)
吉五郎はホツと
太息
(
といき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
話が一段落と見るや、平次はツイと座を立つて、縁側の雨戸を一枚引あけ、水の如く入つて來る月明りの中に、ホツと
太息
(
といき
)
を漏らしたのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はほッと
太息
(
といき
)
をもらして呟きました。そうして傍らにあった椅子に腰をかけ、気を静めようとしましたが、何だか頭がぼーっとしてきました。
玉振時計の秘密
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
指して定まらぬ
行衛
(
ゆくえ
)
に結ぼるる胸はいよいよ苦しく、今ごろはどこにどうしてかと、打ち向う鏡は
窶
(
やつ
)
れを見せて、それもいつしか
太息
(
といき
)
に曇りぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
そのお帰りになった後のお
面
(
かお
)
の色は、打沈んで、
太息
(
といき
)
をついておいでなさるのが、今までの兵馬さんとはまるっきり違う。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と膳の下へ
突込
(
つッこ
)
むように
摺
(
す
)
り寄った。膝をばたばたとやって、歯を
噛
(
か
)
んで
戦
(
おのの
)
いたが、寒いのではない、脱いだ
膚
(
はだ
)
には気も着かず。
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いて
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
太息
(
といき
)
吐き『それ程事情が聞きたけりやあ、話すまいものでもないが。一体手前は、あの深井と、いつから
懇
(
ねんごろ
)
したんだい』
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
何に驚きてか、垣根の蟲、
礑
(
はた
)
と泣き止みて、空に
時雨
(
しぐ
)
るゝ落葉
散
(
ち
)
る響だにせず。
良
(
やゝ
)
ありて瀧口、顏色
和
(
やは
)
らぎて握りし拳も
自
(
おのづか
)
ら緩み、只〻
太息
(
といき
)
のみ深し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「お師匠さまはそのように申されたか」と、玉藻の瞳はまた動いたが、やがて感嘆の
太息
(
といき
)
をついた。「卜占に嘘はない。お師匠さまは神のようなお人じゃ」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と生不動は、答えるでもなく
太息
(
といき
)
を洩らして、重蔵の飛脚状を前に、いつまでも腕ぐみの中へ顔を埋めていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
態
(
わざ
)
と多助に荒々しくいいつゝ引立てゝ太左衞門は帰りました。跡に丹治はおかめと顔見合わして
太息
(
といき
)
つき
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし感じの鈍い單四嫂子も魂は返されぬものくらいのことは知っているから、この世で寶兒に逢うことは出来ぬものと諦めて、
太息
(
といき
)
を洩らして
独言
(
ひとりごと
)
をいった。
明日
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
ややありて浪子は
太息
(
といき
)
とともに、わなわなとふるう手をさしのべて、枕の下より一通の封ぜし
書
(
もの
)
を取り
出
(
いだ
)
し
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
アア
曾
(
かつ
)
て身の油に根気の
心
(
しん
)
を浸し、眠い眼を
睡
(
ね
)
ずして得た
学力
(
がくりき
)
を、こんなはかない馬鹿気た事に使うのかと、思えば悲しく情なく、我になくホット
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
翌
(
あく
)
る十七日の夕方左柳高次が早馬で馳せ付け私の前へ平伏して、姉さん、と云つたきり
太息
(
といき
)
をついて居りますから、
扨
(
さ
)
ては愈々と覚悟して、こみ上げる涙をじつと抑へ
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
お島はこの二三日、気が狂ったような心持で、有らん限りの力を振絞って、母親と闘って来た自分が、不思議なように考えられた。時々顔を上げて、彼女は
太息
(
といき
)
を
洩
(
もら
)
した。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
女子
(
をなご
)
の
太息
(
といき
)
に
胸
(
むね
)
の
雲
(
くも
)
を
消
(
け
)
して、
月
(
つき
)
もる
窓
(
まど
)
を
引
(
ひき
)
たつれば、
音
(
おと
)
に
目
(
め
)
ざめて
泣出
(
なきい
)
づる
稚兒
(
をさなご
)
を、あはれ
可愛
(
かはゆ
)
しいかなる
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
つる
乳
(
ちゝ
)
まゐらせんと
懷
(
ふところ
)
あくれば
笑
(
ゑ
)
みてさぐるも
憎
(
にく
)
からず
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
忍藻
(
おしも
)
、
和女
(
おこと
)
の物思いも
道理
(
ことわり
)
じゃが……この母とていとう心にはかかるが……さりとて、こやそのように、忍藻
太息
(
といき
)
吐
(
つ
)
くようでは、太息のみ吐いておるようでは
武士
(
もののふ
)
……
実
(
まこと
)
よ
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
「えらいところへ案内してすみませんでしたね。」青年は元気よく
太息
(
といき
)
をつきながら笑った。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
彼は弾んだ呼吸をすっかり
太息
(
といき
)
に吐き出すと、ベッシェール夫人は冗談のように言った。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ジルベールがたちまち高手籠手に
縛
(
いまし
)
められたのでルパンも
太息
(
といき
)
して起ち上った。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
行燈を
点
(
とも
)
してその前に
太息
(
といき
)
つきぬ、「何ゆえ死にしか和主がほかに知る人なし」「憐れ憐れ誰が殺せしぞ」「伯父よ佐太郎主が縊り殺せしとか」ああ怨めしき阿園、情なきことせしものぞ
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
私は夢から醒めたように深い
太息
(
といき
)
をつくと両手で頭を押えた。私は気が狂ったんじゃないか知ら、しかし
慥
(
たし
)
かに宮本夫人を見た。小田切大使を見た。この目で見たんだから間違うはずはない。
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
戸口
(
とぐち
)
から
第
(
だい
)
一の
者
(
もの
)
は、
瘠
(
や
)
せて
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い、
栗色
(
くりいろ
)
に
光
(
ひか
)
る
鬚
(
ひげ
)
の、
眼
(
め
)
を
始終
(
しゞゆう
)
泣腫
(
なきは
)
らしてゐる
發狂
(
はつきやう
)
の
中風患者
(
ちゆうぶくわんじや
)
、
頭
(
あたま
)
を
支
(
さゝ
)
へて
凝
(
ぢつ
)
と
坐
(
すわ
)
つて、一つ
所
(
ところ
)
を
瞶
(
みつ
)
めながら、
晝夜
(
ちうや
)
も
別
(
わ
)
かず
泣
(
な
)
き
悲
(
かなし
)
んで、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
り
太息
(
といき
)
を
洩
(
もら
)
し
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
慎九郎は眼をぱちりとさせた、妻きいは夫の顔をみて、
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
狭山は
徐々
(
おもむろ
)
に目を
転
(
うつ
)
して、
太息
(
といき
)
を
呴
(
つ
)
いたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それからやおら体ぜんたいに曲線の波をうたせながら、熱い
太息
(
といき
)
といっしょにもうひと膝すり寄せて、清純無邪気にこう囁やいた。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
話が一段落と見るや、平次はツイと座を立って、縁側の雨戸を一枚引あけ、水の如く入って来る月明かりの中に、ホッと
太息
(
といき
)
を漏らしたのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
偖質屋よりは今日中
猶豫
(
いうよ
)
致し明日は是非とも
質物
(
しちもつ
)
相流し候旨
斷
(
ことわ
)
りに來りければ文右衞門は
途方
(
とはう
)
にくれ如何はせんと女房お政に
相談
(
さうだん
)
なしけるにお政も
太息
(
といき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
鷹を逃がした前後の事情を聞かされて、老人は
太息
(
といき
)
をついていた。かれは殆ど途方に暮れたように其の首をうなだれたまま、しばらくは何にも云わなかった。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御溝を
挾
(
はさ
)
んで今を盛りたる櫻の色の見て
欲
(
ほ
)
しげなるに目もかけず、物思はしげに小手
叉
(
こまぬ
)
きて、少しくうなだれたる頭の重げに見ゆるは、
太息
(
といき
)
吐く爲にやあらん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
主人はしばしその細き目を閉じて、
太息
(
といき
)
つきしが、またおもむろに開きたる目を冊子の上に注ぎつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
笹村は視力が
萎
(
な
)
えて来ると、アアと胸で
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いて、畳のうえにぴたりと骨ばった
背
(
せなか
)
を延ばした。そこから廊下を二、三段階段を降りると、さらに
離房
(
はなれ
)
が二タ間あった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
心に物を思えばか、
怏々
(
おうおう
)
たる顔の色、
動
(
ややと
)
もすれば
太息
(
といき
)
を吐いている折しも、表の
格子戸
(
こうしど
)
をガラリト開けて、案内もせず
這入
(
はい
)
ッて来て、
隔
(
へだて
)
の障子の
彼方
(
あなた
)
からヌット顔を差出して
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そうしてお君は、やっとお嬢様の手からその写真を取り上げて、
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
きながら
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十三分! 彼女は「ああ」と
太息
(
といき
)
をもらしました。私は思わず叫びました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「行き届きたる
卿
(
おんみ
)
の情しみじみかたじけのう存ずるぞかし、して人間はただ前の方に進むばかり跡には返らず、まして墓に入ればそれまでのこと」と、阿園も
太息
(
といき
)
し、暫時はともに無言なりき
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
戸口
(
とぐち
)
から
第
(
だい
)
一の
者
(
もの
)
は、
瘠
(
や
)
せて
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い、
栗色
(
くりいろ
)
に
光
(
ひか
)
る
鬚
(
ひげ
)
の、
眼
(
め
)
を
始終
(
しじゅう
)
泣腫
(
なきは
)
らしている
発狂
(
はっきょう
)
の
中風患者
(
ちゅうぶかんじゃ
)
、
頭
(
あたま
)
を
支
(
ささ
)
えてじっと
坐
(
すわ
)
って、一つ
所
(
ところ
)
を
瞶
(
みつ
)
めながら、
昼夜
(
ちゅうや
)
も
別
(
わ
)
かず
泣
(
な
)
き
悲
(
かなし
)
んで、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
り
太息
(
といき
)
を
洩
(
もら
)
し
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
女子
(
おなご
)
は
太息
(
といき
)
に胸の雲を消して、月もる窓を
引
(
ひき
)
たつれば、音に目さめて
泣出
(
なきいづ
)
る
稚児
(
おさなご
)
を、「あはれ
可愛
(
かあい
)
し、いかなる夢をか見つる。乳まいらせん」と
懐
(
ふところ
)
あくれば、
笑
(
え
)
みてさぐるも憎くからず、「
勿躰
(
もつたい
)
なや、 ...
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
謙造は
太息
(
といき
)
ついて
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の
蒔
(
ま
)
いた
咎
(
とが
)
が自分に返ってきたのだから、……ああ、ああと絞めつけられるように
太息
(
といき
)
をつき、身もだえをしたい気持で面を
掩
(
おお
)
った。
日本婦道記:萱笠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
聞て思ず
太息
(
といき
)
を
吐
(
つき
)
驚き入たる
大膽
(
だいたん
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
其性根
(
そのしやうね
)
ならんには
首尾
(
しゆび
)
よく
成就
(
じやうじゆ
)
なすべしと
偵
(
さすが
)
の天忠も
密
(
ひそか
)
に
舌
(
した
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
提灯
(
ちょうちん
)
の火はちょろちょろ道の上に流れて、
車夫
(
くるまや
)
は時々ほっほっ
太息
(
といき
)
をつきながら引いて行くのです。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
思はず
深々
(
ふかぶか
)
と
太息
(
といき
)
つきしが、何思ひけん、一聲高く胸を叩いて躍り
上
(
あが
)
り、『嗚呼
過
(
あやま
)
てり/\』。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
笹村は
太息
(
といき
)
を
吐
(
つ
)
いた。そしておそろしいような気持で、心のうちに二、三度月を繰って見た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
手代の喜三郎は
斯
(
か
)
う言ひ切つて、安心したやうにホツと
太息
(
といき
)
をつくのです。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さぶは力なくうなだれ、肩をちぢめて
太息
(
といき
)
をついた。悲しげな、頼りなげな姿である。どうしておれはこうだ、と栄二は思った。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
土竈
(
へつゝひ
)
の
埃
(
ほこり
)
を冠つた、赤つ毛の背の高い娘、着物も洗ひざらしの木綿物ですが、この見るかげも無い下女が、三尺のところへ來て、恐る/\顏を擧げたのを見て、平次も思はず
太息
(
といき
)
をつきました。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
太
常用漢字
小2
部首:⼤
4画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
“太息”で始まる語句
太息吐
太息嘘