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口上
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こうじょう
ふりがな文庫
“
口上
(
こうじょう
)” の例文
「
宿屋
(
やどや
)
へ帰っておいで」とかれは言った。「犬といっしょに待っておいで。あとで
口上
(
こうじょう
)
で言って
寄
(
よ
)
こすから(ことずてをするから)」
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それはな、首へ市蔵と書いたふだをぶらさげて、私は以来市蔵と申しますと、
口上
(
こうじょう
)
を云って、みんなの所をおじぎしてまわるのだ。
よだかの星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ふたりのものは
腰
(
こし
)
もかけないで、おまえが
口上
(
こうじょう
)
を
申
(
もう
)
してくれ、いやおまえがと、
小声
(
こごえ
)
に
押
(
お
)
し
合
(
あ
)
ってる。老人はもとより
気軽
(
きがる
)
な人だから
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
あの方が、好意をもって出てくださることを、『虫』は
別番附
(
べつばんづけ
)
にしますから、あの方の待遇は別に御出演下さる
口上
(
こうじょう
)
を書いて添えます。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「日蓮記」のあいだで、特にかれが快癒出勤の披露をすることになって、師匠の団十郎が羽織袴で登場して彼のために長い
口上
(
こうじょう
)
をのべた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
こういって、ちいさなたにしが、りっぱに、ごあいさつの
口上
(
こうじょう
)
をのべたので、
長者
(
ちょうじゃ
)
屋敷の人たちも、ほんとうにびっくりしてしまいました。
たにしの出世
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
と
腹
(
はら
)
からかまえどりをきめて
蛾次郎太夫
(
がじろうだゆう
)
、
邪念
(
じゃねん
)
をはらって
独楽
(
こま
)
を持ちなおし、
恬然
(
てんぜん
)
として四どめの
口上
(
こうじょう
)
を
反
(
そ
)
り
身
(
み
)
でのべたてた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
留じいさんが
口上
(
こうじょう
)
をのべますと、正坊はクロのせなかから、コロリところげ落ちてみせました。見物人はどっとわらって、手をたたきました。
正坊とクロ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「チョンチョンチョン。とざい、とーざい。」と一寸法師は、
胸
(
むね
)
を
張
(
は
)
り、あたりを見まわしながら
口上
(
こうじょう
)
をのべはじめました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
口上
(
こうじょう
)
とともに、釜は舞台の上をはなれて、見物席の上へとんでいった。そこでひらりひらりと、まるでこうもりのように飛びまわるのであった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御城代さまごけらいのお話によれば、かくかくしかじかで……と、佐平治からきかされたとおりの、
口上
(
こうじょう
)
だったのです。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
いや、三度目には打ち合せて置こうと思って電話をかけたが、御主人は一切電話口へお出になりませんという
口上
(
こうじょう
)
で
要領
(
ようりょう
)
を得ない。威張っていやがる。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「御前試合の下命があったから、この使者と同道で登城されたい、悪くは計らわぬから……」そういう
口上
(
こうじょう
)
だった。
薯粥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
半井広明はやむことをえず、こういう
口上
(
こうじょう
)
を以て『医心方』を出した。
外題
(
げだい
)
は同じであるが、筆者
区々
(
まちまち
)
になっていて、誤脱多く、
甚
(
はなは
)
だ疑わしき
麤巻
(
そかん
)
である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
……
口上
(
こうじょう
)
で
申通
(
もうしつう
)
じたばかり、
世外
(
せがい
)
のものゆえ、名刺の用意もしませず——住所もまだ申さなんだが、実は、あの稲荷の
裏店
(
うらだな
)
にな、堂裏の
崩塀
(
くずれべい
)
の中に
住居
(
すまい
)
をします。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
義理堅い旧舗で、父が
歿
(
な
)
くなってからも、急に止めたらこちらも御不自由でしょう、まあ当分はという
口上
(
こうじょう
)
を添えて呉れるものはいつまでも続けられていました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
丁髷鬘
(
ちょんまげかずら
)
の
赤陣羽織
(
あかじんばおり
)
に
裁付袴
(
たっつけばかま
)
の
爺
(
おやじ
)
どもが拍子木に
鉦
(
かね
)
や太鼓でライン
酒
(
しゅ
)
とかの
広告
(
ひろめ
)
の
口上
(
こうじょう
)
をまくし立てる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
若者は口にメガフォンを当てて、
嗄声
(
しわがれごえ
)
をふりしぼり、夢中になって客寄せの
口上
(
こうじょう
)
を呶鳴っている。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
運んできたという例は一つも無いにかかわらず、きまって迎えの使者の
口上
(
こうじょう
)
の中には、ニルヤでは今ちょうど正月の松が無くて、もしくは花なり薪なりが手に入らぬので
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人が集りますと、何やら
口上
(
こうじょう
)
をいいながら、袋から一握りの砂を出して、人の方へ向けてずんずん書き始めますが、字もあり絵もあり、その器用なのに誰も感心いたします。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
延宝元禄の頃
続狂言
(
つづききょうげん
)
道具
(
どうぐ
)
口上
(
こうじょう
)
など始まり俳優には中村伝九郎、中村
七三
(
しちさ
)
、
永島茂右衛門
(
ながしまもえもん
)
、宮島伝吉、藤田小三郎、山中平九郎、市川団十郎ら声名ありし時代を
中昔
(
なかむかし
)
となしぬ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
例によって
口上
(
こうじょう
)
が思いのほか長引いたが、先年僕の
滞米
(
たいべい
)
中諸方の卒業式の演説の中について、最も僕の面白く思ったものは実業的道徳に関するもののはなはだ多い一条である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私は、それ以来九里丸の頭が少し怖ろしくなって、つい、いも助の方へ、なるべく賛助して歩くようになってしまった。そして同じ
口上
(
こうじょう
)
を幾度でも暗記するまで、ついてあるいた。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
と、娘は私を見上げながら、
切
(
き
)
り
口上
(
こうじょう
)
でいった。私は、しばらく思い出せなかった。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
拍子木を打っているのは、
幇間
(
たいこもち
)
の胡蝶屋豆八、頓狂な黄色い声で、
口上
(
こうじょう
)
を述べる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
野々宮君はただはあ、はあと言って聞いている。その様子がいくぶんか汽車の中で
水蜜桃
(
すいみつとう
)
を食った男に似ている。ひととおり
口上
(
こうじょう
)
を述べた三四郎はもう何も言う事がなくなってしまった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
従兄は
切
(
き
)
り
口上
(
こうじょう
)
にこう言ったりした。僕は従兄を見つめたまま、この言葉には
何
(
なん
)
とも答えなかった。しかし何とも答えなかったことはそれ自身僕に息苦しさを与えない
訣
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かなかった。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お艶にこれだけスラスラと初対面の
口上
(
こうじょう
)
を言わせたのだったが、そのあとで
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
塚本の
口上
(
こうじょう
)
では、連れ添ふ女房を追ひ出して
余所
(
よそ
)
の女を引きずり込むやうな不実な男に、何の未練もないと云ひたいところだけれども、やつぱり今も庄造のことが忘れられない、恨んでやらう
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
口上
(
こうじょう
)
まがいで叫ぶ者がある。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この老人は
応対
(
おうたい
)
のうまいというのが
評判
(
ひょうばん
)
の人であったから、ふたりの
使
(
つか
)
いがこの人にむかっての
告
(
つ
)
げ
人
(
びと
)
の
口上
(
こうじょう
)
はすこぶる
大役
(
たいやく
)
であった。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
これはうちの親方の使う
口上
(
こうじょう
)
の一つであった。わたしはなるべくかれと同じようなしかつめらしい言い方でやろうと
努
(
つと
)
めた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
かれは
城下
(
じょうか
)
の
馬場
(
ばば
)
はずれに立って、
皿
(
さら
)
まわしの
大道芸人
(
だいどうげいにん
)
の
口上
(
こうじょう
)
をまね、れいの
竹生島
(
ちくぶしま
)
で
菊村宮内
(
きくむらくない
)
からもらってきた
水独楽
(
みずごま
)
の
曲廻
(
きょくまわ
)
しをやりだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
往来
(
おうらい
)
の人たちは、ふしぎな
看板
(
かんばん
)
とおもしろそうな
口上
(
こうじょう
)
に
釣
(
つ
)
られて、ぞろぞろ
見世物小屋
(
みせものごや
)
へ
詰
(
つ
)
めかけて
来
(
き
)
て、たちまち、まんいんになってしまいました。
文福茶がま
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
まるで見世物の
口上
(
こうじょう
)
いいのように、石太郎はよく
屁
(
へ
)
をひること、どんな屁でも注文どおりできること、それらには、それぞれ名まえがついていること
等等
(
とうとう
)
。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
あとは前芸のお花がすこし繋いでいて、それから太夫病気の
口上
(
こうじょう
)
を述べて、いつもより早目に打ち出した。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
一向
(
いっこう
)
気のない、
空
(
くう
)
で覚えたような
口上
(
こうじょう
)
。
言
(
ことば
)
つきは
慇懃
(
いんぎん
)
ながら、
取附
(
とりつ
)
き
端
(
は
)
のない会釈をする。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見世物の熊娘にひきつけられた
体
(
てい
)
で、くしまきに、
唐桟
(
とうざん
)
の
半纏
(
はんてん
)
で、
咽喉
(
のど
)
に静脈をふくらませて、真赤になって
口上
(
こうじょう
)
を
喋
(
しゃべ
)
っている、汚い
姉御
(
あねご
)
の弁舌に、じっと聞き惚れているんだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
突然
(
いきなり
)
松浦さんに会ってしまったものだから、教えられた
口上
(
こうじょう
)
を考え出す暇がなかった。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
浅黄
(
あさぎ
)
幕が落ちて、
口上
(
こうじょう
)
から
世話場
(
せわば
)
があいたというところだな」栄二はなにも聞かなかったような口ぶりで云った、「——うちで心配しているといけないから帰る、ありがとうよ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
里で
散々
(
さんざん
)
練習をして来たよい
口上
(
こうじょう
)
で、新たな家の姥と対談している姿を、眼をまん
円
(
まる
)
くして傍聴していた小娘たちが、それを自分たちの遊戯の名とし、または中心としようとした気持は
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
中村座
(
なかむらざ
)
と
市村座
(
いちむらざ
)
の
櫓
(
やぐら
)
にはまだ足場がかかっていたけれど、その向側の
操人形座
(
あやつりにんぎょうざ
)
は
結城座
(
ゆうきざ
)
薩摩座
(
さつまざ
)
の二軒ともに早やその木戸口に彩色の絵具さえ生々しい看板と
当
(
あたる
)
八月
(
はちがつ
)
より興業する旨の
口上
(
こうじょう
)
を掲げていた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と雨谷が、ここぞと声をはりあげての
口上
(
こうじょう
)
だ。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
歳にはませた
口上
(
こうじょう
)
ぶりで
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いざ
小手
(
こて
)
しらべは
虹渡
(
にじわた
)
りの
独楽
(
こま
)
!
見物人
(
けんぶつにん
)
は
傘
(
かさ
)
のご用心! そんな
口上
(
こうじょう
)
をはりあげて
蛾次郎
(
がじろう
)
、いよいよ
独楽
(
こま
)
まわしの
芸
(
げい
)
にとりかかろうとしていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
口上
(
こうじょう
)
を聞いていると、よくもきまりが悪くないと思われるほど親方は思い切って大げさなふいちょうをした。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ようやくのこと、すこし
年上
(
としうえ
)
らしいほうの男が、顔のようすをつくろうて、あらたまった
口調
(
くちょう
)
に
口上
(
こうじょう
)
をのべる。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
まず
町
(
まち
)
の
盛
(
さか
)
り
場
(
ば
)
に一
軒
(
けん
)
見世物小屋
(
みせものごや
)
をこしらえて、
文福
(
ぶんぶく
)
茶
(
ちゃ
)
がまの
綱渡
(
つなわた
)
りと
浮
(
う
)
かれ
踊
(
おど
)
りの
絵
(
え
)
をかいた
大看板
(
おおかんばん
)
を
上
(
あ
)
げ、
太夫元
(
たゆうもと
)
と
木戸番
(
きどばん
)
と
口上
(
こうじょう
)
言
(
い
)
いを
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
兼
(
か
)
ねました。
文福茶がま
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
市川
海老蔵
(
えびぞう
)
の名を継いだので、「川中島」の狂言のなかで団十郎と菊五郎とが猟夫になってその改名の
口上
(
こうじょう
)
を述べ、海老蔵が山賊になって
山神
(
さんじん
)
の
社
(
やしろ
)
からあらわれて
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
翌朝、母親が手ずから着物を着せて、父親が
口上
(
こうじょう
)
を教えてくれた。嫁を貰う息子を未だ子供だと思っている。新太郎君は羽織袴に昨夜散髪の
帰途
(
かえり
)
大徳
(
だいとく
)
へ廻って特に
吟味
(
ぎんみ
)
して来たタスカン帽。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“口上”の意味
《名詞》
口 上(こうじょう)
口頭で述べたり、伝えたりすること。また、そのような内容。
口ぶり。話し方。
(出典:Wiktionary)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“口上”で始まる語句
口上役
口上手
口上書
口上覚
口上言