)” の例文
というのは、ハイドラと来ちゃ、一つ頭をちょんったと思うと、すぐそのあとから二つの頭が生えて来るというわけですからね。
手許てもと火鉢ひばちせた薬罐やかんからたぎる湯気ゆげを、千れた蟋蟀こおろぎ片脚かたあしのように、ほほッつらせながら、夢中むちゅうつづけていたのは春重はるしげであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
へいからおつかぶさりました、おほきしひしたつて、半紙はんしりばかりの縱長たてながい——膏藥かうやくでせう——それ提灯ちやうちんうへかざして、はツはツ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
困りますね私も心配するなと云いきかせて置きますが、う云うものか彼処あすこへ引籠ったりで、気がれぬから庭でも見たらかろうと云うと
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大地だいちは自然につゞいてゐるけれども、其上にいへてたら、忽ち/\ぎれになつて仕舞つた。いへなかにゐる人間にんげんも亦れになつて仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おれは一文いちもんなしになって、皆にばかにされて、うえ死にをしなければならないんだ。五分り、一寸いっすんだめしも同様だ。
かたわ者 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
焼けのこりの板れなぞをひろいあつめて道ばたにかり小屋をつくり、その中にこごまっていたりして、たき出しをもらって食べたりしていたのです。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
しかもれにさけぶのをけば、あなたがぬかをつとぬか、どちらか一人ひとりんでくれ、二人ふたりをとこはぢせるのは、ぬよりもつらいとふのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
幕府が倒れると私はスグ帰農して、り双刀を廃して丸腰になると、塾の中でも段々廃刀者が出来る。所がこの廃刀と云う事は中々容易な事でない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ばあさんは、今日けふもうれしさうにはたけ見廻みまはして甘味うまさうにじゆくしたおほきいやつを一つ、庖丁ほうてうでちよんり、さて、さも大事だいじさうにそれをかゝえてかえつてきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「姉ちゃんほんまに寝てはるねんやろか。」「眼エ覚ましたらいかん。」いうて、ヒソヒソしゃべってるのんがれに聞えますのんを、私はうとうとしながら聞いてて
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『だから総計そうけい八十六えんもうしているのです。それわたしは一もん所有っちゃおらんので。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「贅澤などしやせん!」お鳥は憎々しさうにさへつた。が、千代子はそれに搆はず
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
それは、世阿弥よあみが、死のまぎわに、口に洩らしかけてことれた謎のことばであった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たった今向こうの森の中で捕虜いけどりにされたものと見えて、頬の辺に生々しい切り傷の跡がついていてそこから生血が流れている。純白の服はズタズタに千れ肌さえ露骨あらわに現われている。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
笠太 (さえつて)お言葉中でがすが、区長さん、あんた甚次の伯父かね?
妻恋行 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
って、はさみでしたをちょんってしまいました。そして
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それから次には首をちょんられ、体を四つにぶつ切られる。
チヨンおとしてあをかほ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
大地は自然に続いているけれども、その上にいえを建てたら、たちまれになってしまった。家の中にいる人間もまた切れ切れになってしまった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんだか私は恟りしましたよ、私をポンと突飛ばして二階からドン/\駈下かけおりて、私はまアうなすったかと思って居りましたら、それりでお帰りも無し
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
黒繻子くろじゆすえりのかゝつたしま小袖こそでに、ちつとすきれのあるばかり、空色そらいろきぬのおなじえりのかゝつた筒袖こひぐちを、おびえないくらゐ引合ひきあはせて、ほつそりとました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その事は横浜の新聞紙にも出て居たのであるが、ソレり少しも消息が分らない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
さぬと、はさみでちょんるぞ。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
夏向座敷へ出ます姿なりでも縮緬ちりめんでも繻袢じゅばんなしの素肌すはだへ着まして、汗でビショぬれになりますと、直ぐに脱ぎ、一度りであとは着ないのが見えでございましたと申しますが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
進で行く中に、何も見えるものはないその中でもって、一度帆前船ほまえせんうたことがあった。ソレは亜米利加アメリカの船で、支那人を乗せて行くのだと云うその船を一艘見たり、ほかには何も見ない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ならぬと、はさみでちょんるぞ。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これはわし良人おやじの形見でございまして、七ヶ年あと出た行方ゆくえが知れませんが、大方死んだろうと考えていますから、良人の出た日を命日として此の観音さまへ線香を上げ
ならぬと、はさみでちょんるぞ。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
十五両一分で御用達ったのはわずか三十金でございますが、あれり何とも御沙汰がございませんから、再度参りました所が、何分なにぶん御不都合の御様子でございますから遠慮致してるうちに
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
朝参りに平常ふだん姿なりで出ましたり帰りませんから、方々探しても知れませんでしたが、貴方様の所へっていると知れゝば着替えでも届けるものを、何時いつまでもお置きなすって下さいまし
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私に話もしないで此方様こちらさまへ書入れにして金をかりるとはあんまりではないか、お前のような不人情な人に附いていても、どんな目に逢うか知れないから、何卒どうぞ夫婦の縁は是れりにしておくんなさい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一方かた/\は前橋の竪町で、清水助右衞門と云って名高い富豪ものもちでありましたが、三千円の金を持って出たり更に帰って来ませんので、借財方から厳しくはたられついに身代限りに成りまして、微禄びろくいたし
という是れが決闘状はたしじょう取遣とりやりでございますが、むこうは盗賊の同類が多人数たにんず居りますから、其等それらが取巻いて飛道具でも向けられゝば其れり、左もない所が相手も粥河圖書だからおめ/\とも討たれまい
國「これりかえ」