妻恋行つまこいゆき
さびれ切つた山がかりの宿のはづれ、乗合自動車発着所附近。上手に待合小屋、下手に橋。奥は崖、青空遠く開け、山並が望まれる。 夏の終りの、もう夕方に近い陽が、明る過ぎる。よそ行きの装をした百姓爺の笠太郎が、手紙らしいものを右手に掴んで、待合の前 …
作品に特徴的な語句
悉皆しつきやあ