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余
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あんま
ふりがな文庫
“
余
(
あんま
)” の例文
旧字:
餘
ところが娘の顔つきでは、麦粉や小麦を積んだ荷車のあひだを潜るやうにしてあちこちと歩き𢌞るのは
余
(
あんま
)
りうれしくないらしかつた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「
余
(
あんま
)
り
酷
(
ひど
)
すぎる」と
一語
(
ひとこと
)
僅
(
わず
)
かに
洩
(
もら
)
し得たばかり。妻は涙の泉も
涸
(
かれ
)
たか
唯
(
た
)
だ自分の顔を見て血の気のない
唇
(
くちびる
)
をわなわなと
戦
(
ふる
)
わしている。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
みね「大きな声をしたっていゝよ、お前はお國さんの
処
(
ところ
)
へお
出
(
い
)
でよ、行ってもいゝよ、お前の方で
余
(
あんま
)
り大きな事を云うじゃアないか」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それを
種々
(
さまざま
)
に思ふて見ると
父
(
とと
)
さんだとて私だとて孫なり子なりの顔の見たいは
当然
(
あたりまへ
)
なれど、
余
(
あんま
)
りうるさく出入りをしてはと控へられて
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私が
余
(
あんま
)
りポチばかり可愛がって勉強をしなかったから、父が
万一
(
ひょっと
)
したら
懲
(
こら
)
しめのため、ポチを何処かへ
匿
(
かく
)
したのじゃないかと思う。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
大事にも為る事だらうと思つたら、もうもう悲くなつて、悲くなつて、
如何
(
いか
)
に何でも
余
(
あんま
)
り情無くて、私はどんなに泣きましたらう。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
はあ、
私
(
わたし
)
。あなた、
余
(
あんま
)
りですわ。
余
(
あんま
)
りですわ。どうして来て下さらないの。
怨
(
うら
)
んでいますよ。あの、あなた、
夜
(
よ
)
も寝られません。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突然
(
いきなり
)
来て、太郎さんは
余
(
あんま
)
りだなんて、
若
(
も
)
し耳が取れたら
如何
(
どう
)
する。鳥や魚のようになってしまっちゃ見っともないじゃないか。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
余
(
あんま
)
りだわ」と云う声が手帛の中で聞えた。それが代助の聴覚を電流の如くに冒した。代助は自分の告白が遅過ぎたと云う事を切に自覚した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「え、十両おくんなさる?」さもさも感心したように、「いやもくれっぷりのよいことだの。それじゃ
余
(
あんま
)
り気の毒だ」
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そうか。
併
(
しか
)
し狭い土地だから、お前が角川の息子だと云うことは、
先方
(
むこう
)
でも知ってるだろう。あんな
許
(
ところ
)
へ
余
(
あんま
)
り
出入
(
ではいり
)
するなよ。世間の口が
煩
(
うる
)
さい。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ハア吾々なんざア駄賃取りでもして
適
(
たま
)
に
一盃
(
いっぱい
)
やるより外に楽しみもないんですからな。民子さん、いやに見せつけますね。
余
(
あんま
)
り罪ですぜ。アハハハハハ」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「さあ、私の威勢は
這
(
こ
)
んなものですよ。それだのにお前さんは、這んなめそっ子と道行をするんですか。濡れたん坊と裸では、
余
(
あんま
)
り
粋
(
いき
)
じゃあ有りませんぜ」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
『大将細君には頭が上らないんですよ。——
聟
(
むこ
)
ですからね。それに
余
(
あんま
)
り子供が多過るもんですからね。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
墓地向うの
家
(
うち
)
の久さんの
子女
(
こども
)
が久さんを馬鹿にするのを見かねて、
余
(
あんま
)
りでございますねと
訴
(
うった
)
えた。唖の子の
巳代吉
(
みよきち
)
とは
殊
(
こと
)
に懇意になって、
手真似
(
てまね
)
で
始終
(
しじゅう
)
話して居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
云いかけた所を、澄子の笑ってる眼付で見られて、辰代は自分の
余
(
あんま
)
りな白々しさが胸にきて、文句につまってしまった。それへ向って、学生はまた一つお辞儀をした。
変な男
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
わたしを何だとおもっておいでのだエ、こっちは馬鹿なら馬鹿なりに気を
揉
(
も
)
んでるのに、何もかも茶にして
済
(
す
)
ましているたあ
余
(
あんま
)
り人を
袖
(
そで
)
にするというものじゃあ無いかエ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
余
(
あんま
)
りだ、そんな馬鹿なことをする位ひなら、あたしは競馬場へなんか店は出さない、好い加減にするが好い! と斯う女房がつむぢを曲げ出した、何を云つてやがるんだい
競馬の日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「ちっと昔しを考えて見るが
可
(
い
)
いんだ。お前さんだって好いことばかりもしていないだろう。
旧
(
もと
)
を洗ってみた日には、
余
(
あんま
)
り大きな顔をして表を歩けた義理でもないじゃないか」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お前さん、
余
(
あんま
)
りじゃないの、一体どうしたっていうんだろう。また居酒屋へ寄ったね。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
二時となり三時となっても話は綿々として尽きないで、
余
(
あんま
)
り遅くなるからと
臥床
(
ねどこ
)
に横になって、蒲団の中に
潜
(
もぐ
)
ずり込んでしまってもなおこのまま
眠
(
ね
)
てしまうのが惜しそうであった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
まあ!
貴君
(
あなた
)
、何をそんなにお怒り遊ばしたの、何か
妾
(
わたくし
)
が
貴君
(
あなた
)
のお気に触るやうなことをいたしましたの。折角いらして下すつて、直ぐお帰りになるなんて、
余
(
あんま
)
りぢやありませんか。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そうしてね、
余
(
あんま
)
り可哀そうですから、頂き残りの御飯粒で、モト通りに貼ってやりましょうと思った
序
(
ついで
)
に、何の気も無しに、その
切端
(
きれはし
)
の新聞記事を読んでみたらビックリしちゃったの。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「お父様、それは
余
(
あんま
)
りで御座います。高城さんが
何時
(
いつ
)
泥棒をしました」
女記者の役割
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
耳が
無
(
ね
)
いのか、お
前
(
めえ
)
の目にや、
私
(
わたし
)
と云ふものが何と見えるんだ、——
何処
(
どこ
)
の者とも知れねエ乞食女の
行倒
(
ゆきだふれ
)
の側に、ヒイ/\泣いてる生れたばかりの女の児が、
余
(
あんま
)
り可哀さうだつたから拾ひ上げて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
調べて何になりますかっ、
余
(
あんま
)
りな仕打ですぞ
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
余
(
あんま
)
り可愛がり過ぎたもんだで……
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
悪事をする
中
(
うち
)
にも時々思い出すと、
余
(
あんま
)
り
好
(
い
)
い心持じゃアありません……ナアお瀧、手前も時々
魘
(
うな
)
された事もあったな、手前も死処だぜ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お叱んなさるも、あれの身の為めだから、いいけれども、只まだ
婚嫁前
(
よめいりまえ
)
の
事
(
こっ
)
てすから、あんな
者
(
もん
)
でもね、
余
(
あんま
)
り
身体
(
からだ
)
に
疵
(
きず
)
の……」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
腹の立った事さえござんせん、
余
(
あんま
)
り果報な
身体
(
からだ
)
ですから、
盈
(
みつ
)
れば
虧
(
か
)
くるとか申します通り、こんな恐しい目に逢いましたので。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
然
(
そ
)
うさ。毎日海岸をブラ/\歩いている。しかし何処へ行っても若い丈夫な人間がノラクラしていると思うと、
余
(
あんま
)
り好い心持はしないね」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それまで大事を取つてをりながら、かう一も二も無く奇麗にお
謝絶
(
ことわり
)
を受けては、私実に
面目
(
めんぼく
)
無くて……
余
(
あんま
)
り
悔
(
くやし
)
うございますわ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
余
(
あんま
)
りだわ」と云ふ声が
手帛
(
ハンケチ
)
の
中
(
なか
)
で聞えた。それが代助の聴覚を電流の如くに冒した。代助は自分の告白が
遅
(
おそ
)
過ぎたと云ふ事を切に自覚した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その通りだ、
安普請
(
やすぶしん
)
をするとその通りだ。原などは
余
(
あんま
)
り経費がかかり過ぎるなんて
理窟
(
りくつ
)
を並べたが、こういう実例が上ってみると文句はあるまい。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
聡明なる読者諸君の
中
(
うち
)
にも、この物語に対して「
余
(
あんま
)
り嘘らしい」という批評を下す人があるかも知れぬ。
否
(
いな
)
、足下自身も
或
(
あるい
)
は
其一人
(
そのいちにん
)
であるかも知れぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
余
(
あんま
)
り御前が
温順
(
おとな
)
し過るから
我儘
(
わがまま
)
がつのられたのであろ、聞いたばかりでも腹が立つ、もうもう
退
(
ひ
)
けてゐるには及びません、身分が何であらうが父もある母もある
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
まあ!
貴君
(
あなた
)
、何をそんなにお怒り遊ばしたの、何か
妾
(
わたくし
)
が貴君のお気に触るようなことをいたしましたの、折角いらして下すって、
直
(
す
)
ぐお帰りになるなんて、
余
(
あんま
)
りじゃありませんか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一体ならば迎ひなど受けずとも此天変を知らず顔では済まぬ汝が出ても来ぬとは
余
(
あんま
)
りな大勇、汝の御蔭で
険難
(
けんのん
)
な使を吩咐かり、忌〻しい此瘤を見て呉れ、笠は吹き攫はれる
全濡
(
ずぶぬれ
)
にはなる
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「だって
余
(
あんま
)
りではありませんか。自分で上坂さんの奥さんの悪口をさんざん云っておいて、それを皆私が云ったように上坂さんの奥さんの所で饒舌ったんですもの。腹が立つ位はあたりまえですわ。」
田原氏の犯罪
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「そうですね。がさがさしてる癖に、
余
(
あんま
)
り好い気持はしませんね」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「だが
余
(
あんま
)
り逢わねえがいい、今じゃ身分が
異
(
ちが
)
うんだからな」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『……
余
(
あんま
)
り不思議です、貴女と僕の事が。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
菊「早くお前の部屋へおいで
何
(
なん
)
ぼ私が年が
往
(
い
)
かないと云って、
余
(
あんま
)
り人を馬鹿にして、さ、出て行っておくれよ、本当に呆れてしまうよ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
余
(
あんま
)
り早いねと母がいういのを、
空耳
(
そらみみ
)
潰
(
つぶ
)
して、
衝
(
つ
)
と外へ出て、ポチ来い、ポチ来いと呼びながら、近くの原へ一緒に遊びに行く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「叱ったって
次第
(
わけ
)
でもありませんが、新太郎君が
余
(
あんま
)
りいつまでも帰って来ないものだから、伯父さんの御機嫌が悪いんです」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いえ、なに、私は脳が
不良
(
わるい
)
ものですから、
余
(
あんま
)
り物を
瞶
(
みつ
)
めてをると、どうかすると
眩暈
(
めまひ
)
がして涙の出ることがあるので」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
(もういい時分じゃ、また
私
(
わし
)
も
余
(
あんま
)
り
遅
(
おそ
)
うなっては道が困るで、そろそろ青を引出して
支度
(
したく
)
しておこうと思うてよ。)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
否
(
いい
)
や、
母上
(
おっか
)
さんに会って取返えして来る。
余
(
あんま
)
りだ、
余
(
あんま
)
りだ。親だってこの事だけは黙っておられるものか。然しどうしてそんな浅ましい心を起したのだろう……」
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「何、
昨夜
(
ゆうべ
)
から飲み続けて、
余
(
あんま
)
り頭が重いから、表へ
些
(
ちっ
)
と出て見たのさ。」と、お葉は
懶
(
ものう
)
げに答えた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「今迄
待
(
ま
)
つてゐたけれども、
余
(
あんま
)
り
遅
(
おそ
)
いから
迎
(
むかひ
)
に
来
(
き
)
た」と美禰子の
真前
(
まんまへ
)
に立つた。
見下
(
みおろ
)
して笑つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“余”の解説
余(よ)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
余
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
“余”を含む語句
余程
残余
余光
剰余
余沫
有余
余裕
余燼
余波
零余子
磐余
余部
自余
余戸
余韻
持余
余計
余所行
余人
紆余曲折
...