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享
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う
ふりがな文庫
“
享
(
う
)” の例文
平次は
諄々
(
じゆん/\
)
として説き聞かせました。が、お美乃は涙にひたり乍らも、頑固に頭を振つて、平次の言葉を
享
(
う
)
け容れようともしません。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちょうど政友会の放漫政策の後を
享
(
う
)
けて、緊縮政策の浜口内閣の出現した時であった。ふと庸三の耳に総理大臣の放送が入って来た。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
簾形日除
(
すだれがたひよ
)
け、銅製ポンプ、
発条錠
(
ばねじょう
)
、便利な地下室、その他の多くのものの利益を
享
(
う
)
ける権利が彼にあたえられる、というのである。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
我が
享
(
う
)
けたるこのひとつのいのちは全宇宙的絶対値を荷うており、初めなく、又終りなくすなわち限りなきいのちの流れの水粒であり
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
勤王運動の実践に桂が
奔命
(
ほんめい
)
し出してからは、常に、密書を交わして、江戸の消息を彼に与え、また
京洛
(
みやこ
)
の消息を彼から
享
(
う
)
けていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
有
(
も
)
った御前は仕合せである。しかしその仕合を
享
(
う
)
ける前に御前は既に多大な犠牲を払っている。これから先も御前の気の付かない犠牲を
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然し此処は永く眠るべき場所である。一夜の死を
享
(
う
)
く可き場所ではない。余は墓地から追い出されて、また本願寺前の広場に出た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
分を越えて親を祭るのは、親の靈をして非礼を
享
(
う
)
けしめることになるのじゃ。のみならず、大丈夫の非礼はやがて天下を
紊
(
みだ
)
るもとになる。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
われわれが神の恩恵を
享
(
う
)
け、われわれの信仰によってこれらの不足に打ち勝つことができれば、われわれは非常な事業を遺すものである。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
走るさまは、「コルソオ」の競馬にも似ずや。我家にゆき着かば、樂しき世を送らせん。神の使もえ
享
(
う
)
けぬやうなる
饗應
(
もてなし
)
すべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
寛政十一年の
生
(
うまれ
)
で、抽斎の生れた文化二年には七歳になっていた。歿したのは文久元年十二月十五日で、年を
享
(
う
)
くること六十三であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
春廼舎を
慊
(
あきた
)
らなく思っていたには違いないが、訪問したのは先輩を
折伏
(
しゃくぶく
)
して快を取るよりは疑問を晴らして益を
享
(
う
)
くるツモリであったのだ。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そはかしこにては、我等の
所有
(
もちもの
)
と
稱
(
とな
)
ふる者愈〻多ければ、
各自
(
おの/\
)
の
享
(
う
)
くる
幸
(
さいはひ
)
愈〻多く、かの僧院に燃ゆる愛亦愈〻多ければなり。 五五—五七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
お笑いになると困りますが、私はこう見えても
生
(
は
)
え抜きのモスコー育ちで、旧
露西亜
(
ロシア
)
の貴族の血を
享
(
う
)
けている人間なのです。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
信念、信仰によってこれを
享
(
う
)
くるものは尽きせぬ動力を供給せられ、労せずして根気も敏活も働きの上に上るのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さて皆さん、今も申した通り全国各地に食道楽会が
勃興
(
ぼっこう
)
して食物問題の研究が
盛
(
さかん
)
になれば
我邦
(
わがくに
)
の人は将来何ほどの利益を
享
(
う
)
けるか知れません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そして私たちが、それを澤山
享
(
う
)
けた時に、その幾分を人に與へることは、感情に、異常な
沸騰
(
ふつたう
)
のはけ口を與へることである。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
折角
稀
(
たま
)
に落ちて来るやつを待ち構へて口に
享
(
う
)
けて見ると、それは水ではなくて熱い酒なので情なかつた、さう思へばあの月は、色も怪しい……。
環魚洞風景
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
さうして、日光を
享
(
う
)
けることの出来なくなつた枝は日に日に細つて行つた。一本の小さな松は、杉の下で赤く枯れて居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
それにしてもこの厭味のない温かさをどう
享
(
う
)
け入れよう。(ああ、それにしても、一つ蚊帳に寝ながら、ある一事を強いられないうれしさよ。)
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
安芸
(
あき
)
の宮島の
女夫
(
めおと
)
烏は、一年に一度しか祭を
享
(
う
)
けぬことになっているが、時々は七浦回りの信心者の船が供えものをする。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自らその罪を責めて、甘んじて
享
(
う
)
くべき
縲紲
(
るいせつ
)
を、お鶴のために心弱り、
獄
(
ひとや
)
の
暗
(
やみ
)
よりむしろつらい、身を暗黒に葬ったのを、
秘
(
ひそか
)
に知るは夫人のみ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
し
勘次
(
かんじ
)
自身
(
じしん
)
には
如何
(
どん
)
な
種類
(
しゆるゐ
)
の
物
(
もの
)
でも
現在
(
げんざい
)
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
與
(
あた
)
へ
得
(
う
)
る
滿足
(
まんぞく
)
の
程度
(
ていど
)
は、
失
(
うしな
)
うたお
品
(
しな
)
を
追憶
(
つゐおく
)
することから
享
(
う
)
ける
哀愁
(
あいしう
)
の十
分
(
ぶん
)
の一にも
及
(
およ
)
ばない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さりながら彼らの孝道は畢竟かくのごとくに
生
(
せい
)
を
享
(
う
)
け、かくのごとくに生をつづけてることをもつて無上の幸福とする感謝のうへにおかれてゐる。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
三
春
(
しゅん
)
の
長閑
(
のどか
)
なる、咲く花に
囀
(
さえず
)
る鳥は人工のとても及ばぬものばかりで、
富者
(
ふしゃ
)
も
貧者
(
ひんじゃ
)
も共に
享
(
う
)
けて共に喜ぶ権利は
異
(
ことな
)
らない
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
雪之丞は、この世に
享
(
う
)
けたいのちを、呪わしく怨じつづけている身ながら、思いやりの深い、師匠、心友の
情
(
なさけ
)
を想えば、うれしさに涙ぐまれて来る。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
歌を望みない方へ誘う力は、私だけの考えでも、
尠
(
すくな
)
くとも三つはある。一つは、歌の
享
(
う
)
けた命数に限りがあること。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
凡そ
其後
(
そののち
)
今日までに私の
享
(
う
)
けた苦痛といふものは、すべての空想家——責任に対する極度の卑怯者の、当然一度は
享
(
う
)
けねばならぬ性質のものであつた。
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
家を
衛
(
まも
)
り盗を
捍
(
ふせ
)
ぎ、風雨に苦しんで残食と骨ばかり
享
(
う
)
け、時としては何一つ食わず、それに猫は常に飽食して
竈辺
(
かまどべ
)
に安居するは不公平ならずやと怒る。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
二人は手を引き合って、舟の
繋
(
つな
)
いである小屋の方へ歩いて行った。二人ともなんだか当然
享
(
う
)
けるはずの幸福を享けるような心持ちがしているのである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
婦
(
をんな
)
の徳をさへ
虧
(
か
)
かでこの
嬋娟
(
あでやか
)
に生れ得て、しかもこの富めるに
遇
(
あ
)
へる、天の
恵
(
めぐみ
)
と世の
幸
(
さち
)
とを
併
(
あは
)
せ
享
(
う
)
けて、残る
方
(
かた
)
無き果報のかくも
痛
(
いみじ
)
き人もあるものか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
よろしくこの
家
(
や
)
にとどまってこの家運を守り給えば
長
(
とこしな
)
えに
龍王
(
ルー
)
の
享
(
う
)
け給うべき幸福は尽きることはございますまい
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼らが
千荊万棘
(
せんけいばんきょく
)
を
蹈
(
ふま
)
えた艱難辛苦——中々
一朝一夕
(
いっちょういっせき
)
に説き尽せるものではない。明治の今日に生を
享
(
う
)
くる我らは維新の志士の苦心を十分に
酌
(
く
)
まねばならぬ。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
十一、各事件を通じて、その死によって直接財物上の利益を
享
(
う
)
けたる者は被告にして、かつ被告一人なること。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
冥交契合の長短は、霊韻を
享
(
う
)
くるの多少なり。霊韻を享くるの多少は、後に産出すべき詩歌の霊不霊なり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私が自然に草木が好きなために、私はどれ程利益を
享
(
う
)
けているか知れません。私は生来ようこそ草木が好きであってくれたとどんなに喜んでいるか分りません。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
世の中には宗旨を信心して未来を祈る者あり。その目的は死後に極楽に往生していわゆる「パラダイス」の幸福を
享
(
う
)
けんとの趣意ならん。深謀遠慮というべし。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
憲法という法典さえ発布になれば、我々は一転して黄金世界に入る事が出来る。議会さえ開くれば我々は一躍して十二分の幸福を
享
(
う
)
くることが出来ると考えた。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
その結果がどうであらうと、それはもう甘んじて
享
(
う
)
け
容
(
い
)
れるよりほかはない。彼女はひそかに天に祈つた——どうかこの惨めな私に正しい道を踏ませて下さい。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
すべてこれらの父に関する記憶が旅にある岸本の胸に
纏
(
まと
)
まって来た。早く父に別れた彼は多くの他の少年が
享
(
う
)
け得るような慈愛もろくろく享けず
仕舞
(
じまい
)
であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかも江戸の血を
享
(
う
)
けた人は、これに依て江戸を安全ならしめようと苦心した徳川幕府の
当路者
(
とうろしゃ
)
と、彼ら自身の祖先とに対して、努力の労を感謝せねばなるまい。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
むしろ世にも幸福なる生を
享
(
う
)
けているものであることを信じて、家族は決して、嘆くことなく、幸福なる道を
辿
(
たど
)
るよう、適切なる処置を御仰ぎ下さいますならば
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
城持ちの諸侯ではなかったが、名将の血を
享
(
う
)
けた
後裔
(
こうえい
)
というところから、捨て
扶持
(
ぶち
)
二万石を与えられて、特に客分としての待遇をうけている特別扱いの一家でした。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
諸
(
もろもろ
)
の
仁者
(
じんしゃ
)
掌
(
て
)
を合せて至心に聴き給へ。我今
疾翔大力
(
しっしょうたいりき
)
が威神力を
享
(
う
)
けて梟鵄救護章の一節を講ぜんとす。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その眼は無気味な燐光を放ち、その
牙
(
きば
)
は野獣のごとく鋭く、その舌は猫属のささくれを持つ怪物「人間豹」が、いかにしてこの世に生を
享
(
う
)
けたかという疑問である。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
秩父から
享
(
う
)
ける感じは女性的であると私はいうた。それを味わうにふさわしい季節はどうしても春でなければならない。其春も五月下旬新緑の頃が最も好いのである。
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
これがために人類の
享
(
う
)
ける幸福は単に母として妻としてのみの時よりも非常に倍加する訳でしょう。
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ところが、飢えたる者は人の
美饌
(
びせん
)
を
享
(
う
)
くるを見ては愈々飢の
苦
(
くるしみ
)
を感ずる道理がある。
飽
(
あ
)
ける者は人の
饑餓
(
きが
)
に臨めるを見ては、余計に之を哀れむの情を催す道理がある。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
気分のいい日には、妻は自然の恵みを一人で
享
(
う
)
けとっているかのように静臥椅子で沈黙していた。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
百万の
烝民
(
じようみん
)
善
(
よ
)
くこの神を拝するときは死後生を波羅葦増雲の楽園に
享
(
う
)
く。然るに、耳目あれども此神を知らず、
猥
(
みだ
)
りに神徳を
害
(
そこな
)
ふものは、即ちいんへるのの苦淵に沈む。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
享
常用漢字
中学
部首:⼇
8画
“享”を含む語句
貞享
享保
享樂
享和
延享
享有
享和年間
享徳
享楽
享受
享年
享入
永享
享楽者
元享療牛馬駝集
嘉享
咸享酒店
享楽生活
如享太牢
村山享書
...