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高鼾
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たかいびき
ふりがな文庫
“
高鼾
(
たかいびき
)” の例文
流石
(
さすが
)
の太宰さんも
温和
(
おとな
)
しく
高鼾
(
たかいびき
)
。急迫したような息苦しさと紙一重の、笑いたいような気持ち。何か、心のときめきを覚える夕べであった。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
と其の夜は根岸の
家
(
うち
)
へ泊込み、
酒肴
(
さけさかな
)
で御馳走になり
大酩酊
(
おおめいてい
)
をいたして
褥
(
とこ
)
に就くが早いかグウクウと
高鼾
(
たかいびき
)
で寝込んで
了
(
しま
)
いました。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かみさんが大の字になってグウグウと
高鼾
(
たかいびき
)
の
体
(
てい
)
、観者の内の一百姓「ホンに貴公のこの牝豕ほど酔うたのは生来一度も見ない」
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「へエ——、昨夜此處に居たのは、私と、この吉三郎だけで——、朝から飮み續けて、日の暮れる頃はもう
高鼾
(
たかいびき
)
でした、何にも存じませんよ」
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それとは反対に、宅助は、
冷酒
(
ひや
)
を
酌
(
く
)
んで、五、六杯も盗み飲みをした揚句、いつか、裏土間の
藁
(
わら
)
の上へ、
高鼾
(
たかいびき
)
をかいて居眠ってしまった様子。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
銀之助は直にもう
高鼾
(
たかいびき
)
。どんなに丑松は傍に枕を並べて居る友達の寝顔を
熟視
(
みまも
)
つて、その
平穏
(
おだやか
)
な、
安静
(
しづか
)
な
睡眠
(
ねむり
)
を羨んだらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
すぐに
高鼾
(
たかいびき
)
で眠ってしまう彼女の横で、私は苦しくてならぬ。これでは明日も、明後日も、永遠に仕事ができぬであろう。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
いや、黒服の
狂犬
(
やまいぬ
)
は、まだ
妾
(
めかけ
)
の膝枕で、ふんぞり返って
高鼾
(
たかいびき
)
。それさえ見てはいられないのに、……その手代に違いない。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一、此の頃の主膳は晝間の働きに疲れ切っているらしく、倒れたら最後
高鼾
(
たかいびき
)
をかいてぐっすり眠り通すのである。尤もそれは主膳ばかりではなかった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妻も女中も、雷なんぞ、
鵜
(
う
)
の毛で突いたほども、感じてはおらぬ。子供二人はグウグウと、
高鼾
(
たかいびき
)
で眠っている。
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
農奴としての宇治山田の米友はと見れば、庵の後方なる穴蔵の中に、
菰
(
こも
)
を打ちしいて、
高鼾
(
たかいびき
)
で寝ております。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
洗ふ波の音は狼みの
遠吼
(
とほぼえ
)
と
倶
(
とも
)
に
物凄
(
ものすご
)
くお里は
頻
(
しき
)
りに氣を
揉
(
もめ
)
ども九郎兵衞は前後も知らず
高鼾
(
たかいびき
)
折から川の向よりザブ/\と水を
分
(
わけ
)
此方
(
こなた
)
へ來る者ある故お里は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
つまり、内角が外角に変ってしまうのですが、いまあの生物は引ん曲った溝を月の山のようにくねらせて、それは
長閑
(
のどか
)
な、憎たらしい
高鼾
(
たかいびき
)
をかいておりますの。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
更に内職の針仕事に骨の髄迄疲れ果ててぐらぐら
高鼾
(
たかいびき
)
を掻いて前後不覚に寝入って居る筈であります。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
中には酩酊して、自分たちの室へ帰ると
直
(
す
)
ぐに
高鼾
(
たかいびき
)
で寝てしまった者もあった。あるいは満腹だから少し散歩して来るという者もあった。私も容易に眠られなかった。
はなしの話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
やがて
酔
(
えい
)
も十二分にまはりけん、
照射
(
ともし
)
が膝を枕にして、前後も知らず
高鼾
(
たかいびき
)
、
霎時
(
しばし
)
は
谺
(
こだま
)
に響きけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
一学は自分の部屋へ入ると、ごろりと横になり、そのまま
高鼾
(
たかいびき
)
をかいて眠ってしまった。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
その三晩目に、姫を寝所から引っさらうことは、案外に赤子の首をひねるよりた
易
(
やす
)
いことが分った。手順は立派に調った。そなたなんどは
高鼾
(
たかいびき
)
のうちに手際よくやってのけられる。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
霙
(
みぞれ
)
がびしょびしょ降って寒い
狐
(
きつね
)
の啼き声の聞える晩に、背戸へ締出しを喰わしておいて、自分は暖かい
炬燵
(
こたつ
)
に
高鼾
(
たかいびき
)
で寝込んでいたような父親に、子供は子供なりの反抗心も持って来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私と甥とが足音を
偸
(
ぬす
)
み偸み、静にその小屋の前を通りぬけました時も、
蓆壁
(
むしろかべ
)
の
後
(
うしろ
)
にはただ、
高鼾
(
たかいびき
)
の声が聞えるばかり、どこもかしこもひっそりと静まり返って、たった
一所
(
ひとところ
)
焚き残してある
芥火
(
あくたび
)
さえ
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大尉は、すでにぐうぐう
高鼾
(
たかいびき
)
です。
貨幣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高鼾
(
たかいびき
)
である。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ヘエ——、昨夜ここに居たのは、私と、この吉三郎だけで——、朝から飲み続けて、日の暮れる頃はもう
高鼾
(
たかいびき
)
でした、何にも存じませんよ」
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
湿気払いを飲んで、
羅漢
(
らかん
)
の
雑魚寝
(
ざこね
)
のように
高鼾
(
たかいびき
)
になった寄子部屋の隅っこで、左次郎だけはマジマジと眼をあいていた。
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「哲学者」と綽名のあるこの人は莚の上に
高鼾
(
たかいびき
)
だ。若いものよりも反ってこの人の方がよく眠っているらしかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
中には酩酊して、自分たちの
室
(
へや
)
へ帰ると直ぐに
高鼾
(
たかいびき
)
で寝てしまった者もあった。あるいは満腹だから少し散歩して来るという者もあった。私も容易に眠られなかった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昔
(
むかし
)
彼
(
か
)
の
文覺
(
もんがく
)
と
云
(
い
)
ふ
荒法師
(
あらほふし
)
は、
佐渡
(
さど
)
へ
流
(
なが
)
される
船路
(
みち
)
で、
暴風雨
(
あれ
)
に
會
(
あ
)
つたが、
船頭水夫共
(
せんどうかこども
)
が
目
(
め
)
の
色
(
いろ
)
を
變
(
か
)
へて
騷
(
さわ
)
ぐにも
頓着
(
とんぢやく
)
なく、
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
なりに
寢
(
ね
)
そべつて、
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
き
高鼾
(
たかいびき
)
ぢや。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
深山に棲み眼大にして光り深紅の舌と二寸ばかりの小さき耳あり、物を食えば
高鼾
(
たかいびき
)
して
睡
(
ねむ
)
る由(『和漢三才図会』)、何かの間違いと見え近頃一向かかる蛇あるを聞かず。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
前後も知らぬ
高鼾
(
たかいびき
)
で、さも心持
快
(
よ
)
さそうに寝ておりますから、
〆
(
し
)
めた! おのれ画板め、今
乃公
(
おれ
)
が貴様の角を、残らず取り払ってやるからにわ、もう
明日
(
あした
)
からわ角なしだ
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
勘八は早くも
高鼾
(
たかいびき
)
、兵馬もやがて眠りにつき、お銀様もうとうととして夢路に入りましたが、肉体は疲労によってあくまで休息を求めるのに、神経は夜来の刺戟によって
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そっと客間の障子を
開
(
ひら
)
き中へ
入
(
い
)
り、十二畳一杯に釣ってある蚊帳の
釣手
(
つりて
)
を切り払い、
彼方
(
あなた
)
へはねのけ、グウ/\とばかり
高鼾
(
たかいびき
)
で
前後
(
あとさき
)
も知らず
眠
(
ね
)
ている源次郎の
頬
(
ほう
)
の
辺
(
あた
)
りを
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その三晩目に、姫を寝所から引つさらふことは、案外に赤子の首をひねるよりた
易
(
やす
)
いことが分つた。手順は立派に調つた。そなたなんどは
高鼾
(
たかいびき
)
のうちに手際よくやつてのけられる。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
取て
故意
(
わざ
)
と腹に
周環
(
ぐる/\
)
卷
(
まき
)
たるまゝ
臥床
(
ふしど
)
に
入
(
いり
)
枕
(
まくら
)
に付や
否
(
いな
)
や前後も知らぬ
高鼾
(
たかいびき
)
に町人も半四郎の
側
(
そば
)
へ
臥
(
やす
)
みしかば家内の女子どもは酒肴の
道具
(
だうぐ
)
を
下
(
さげ
)
行燈
(
あんどう
)
へ油を
注足
(
つぎたし
)
御緩
(
おゆるり
)
と御休みなされましと
捨言葉
(
すてことば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今朝——駕籠で
祇園
(
ぎおん
)
の茶屋から帰って来ると、妻のお陸が着せかけた夜具も
刎
(
は
)
ね
退
(
の
)
け、羽織の襟を頭から
被
(
かぶ
)
ったまま、
高鼾
(
たかいびき
)
になってしまったものである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんて
出鱈目
(
でたらめ
)
に怒鳴るんですって、——コリャコリャと
囃
(
はや
)
してね、やがて
高鼾
(
たかいびき
)
、勿論
唯一人
(
ひとりッきり
)
。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春見は
煎餅
(
せんべい
)
のような薄っぺらな
損料蒲団
(
そんりょうぶとん
)
を掛けて
遣
(
や
)
る
中
(
うち
)
に、又作はぐう/\と
巨蟒
(
うわばみ
)
のような
高鼾
(
たかいびき
)
で前後も知らず、寝ついた様子に、春見は
四辺
(
あたり
)
を見廻すと、先程又作が
梁
(
はり
)
へ
吊
(
つる
)
した
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「別に何とも云いませんでした。度胸がいいのか、その晩は
高鼾
(
たかいびき
)
で寝ていました」
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
させ度くないと思ひ、
高鼾
(
たかいびき
)
で寢たところを、一と思ひに刺しました
銭形平次捕物控:317 女辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
早くも
高鼾
(
たかいびき
)
で納まり込んでいるかも知れない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
寝ると
高鼾
(
たかいびき
)
を響かせてねむってしまう。
アイヌ神謡集
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ごろりと、そこらへ横になると、
高鼾
(
たかいびき
)
をかいて眠ってしまう者があるし、大きな
囲炉裏
(
いろり
)
のそばにかたまって
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どれもどれも、
碌
(
ろく
)
でなしが、得手に帆じゃ。船は走る、口は
辷
(
すべ
)
る、
凪
(
なぎ
)
はよし、大話しをし
草臥
(
くたぶ
)
れ、嘉吉めは胴の
間
(
ま
)
の横木を枕に、
踏反返
(
ふんぞりかえ
)
って、ぐうぐう
高鼾
(
たかいびき
)
になったげにござります。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と少し
憤
(
いきどお
)
った気味で受合いましたから、大きにお竹も力に思って、床を
展
(
と
)
って
臥
(
ふせ
)
りました、和尚さまは枕に
就
(
つ
)
くと其の儘旅疲れと見え、ぐう/\と
高鼾
(
たかいびき
)
で正体なく寝てしまいました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところが、すこし時経つと、すぐこころよげな
高鼾
(
たかいびき
)
が洩れてくる。怪しんで覗いてみると、鎖も鉄の枷もこなごなに解きすて、左慈は、悠々と身を横にしていた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほかの教順や、
念名
(
ねんみょう
)
などは、その前から
高鼾
(
たかいびき
)
を掻いているのだった。……だが石念だけはいつまでも寝つかれないで、悶々と自分を持てあましているかに見えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、疲れた足を
蒲団
(
ふとん
)
の中にのばしながら、その疑惑に、寝入りばなの空想を囚われておりましたが、いつか、邪気のない
高鼾
(
たかいびき
)
をかいて、ぐっすりと寝込んでしまった様子です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手ぶらで来て、そこの五人分も飲んで、炉のそばへ、横になると、やがて
高鼾
(
たかいびき
)
である。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
満腹するなり、あとは
高鼾
(
たかいびき
)
の彼だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高
常用漢字
小2
部首:⾼
10画
鼾
漢検1級
部首:⿐
17画
“高”で始まる語句
高
高価
高輪
高尚
高麗
高野
高嶺
高原
高山
高邁