餘程よつぽど)” の例文
新字:余程
してゆくはう餘程よつぽどよう御座いますアノ久兵衞さんが何時いつもと違つて藤助さんの所へゆくときには莞爾々々にこ/\して饅頭まんぢうだの羊羹やうかんだの又錢だのと種々いろ/\な物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御米およねおれしやう餘程よつぽどわるいとえるね。うやると大抵たいていうごくぜ」と下齒したばゆびうごかしてせた。御米およねわらひながら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あるひくるまのはやりはじめのころかもれない。微醉ほろよひはるかぜにそよ/\かせて、身體からだがスツとやなぎえだちうなび心持こゝろもちは、餘程よつぽどうれしかつたものとえる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「お前んとこは、おかめちやんを奉公に出したから餘程よつぽど氣輕になつたぢやねえか。乳呑ちのはなし、お前んとこは、これから樂が出來るばつかりだよ。」
玉の輿 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
『だッて、わたしさツきには斯麽こんなちひさかなかつたんですもの、なかつたんですもの!眞箇ほんと餘程よつぽどひどいわ、さうよ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それを思ふと斯兒は朝晩保護の役目を引受けて呉れた親類の姉さん達や下婢をんな餘程よつぽど御禮を言はねば成りません。
折角せつかくうめさけでえなしにして可惜物あつたらもんだな、らこんで餘程よつぽどえゝさけだぞ」などといふこゑ雜然ざつぜんとしてきこえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
貴孃あなた齋藤さいとう阿關おせきさん、面目めんもく此樣こん姿なりで、背後うしろければなんもつかずにました、れでも音聲ものごゑにもこゝろづくべきはづなるに、わたし餘程よつぽどどんりましたとしたいてはぢれば
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『チヨツうるさ畜生ちきしやうだね。いくら啼いたつて、もううちにや米なんざ一粒だつて有りやしないよ。お前よりか、此方こつち餘程よつぽどひもじいや。』と呶鳴どなりながら、火鉢と三味線の外、なんにもないうへへ上つて行く。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『今日は餘程よつぽど道が融けましたねす。』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
わしにはこれまでんだ御經おきやうより、餘程よつぽど難有ありがたくてなみだた。まことに善知識ぜんちしき、そのおかげおほきにさとりました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、今は入江の魚が減つて、岩のあたりで釣魚をしたつて、雜魚ざこ一匹針にはかゝつて來ないらしい。山や海の景色もあの時分は今よりも餘程よつぽど美しかつたやうに思はれる。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
なんでも石油せきゆいて、それでふね自由じいうにする器械きかいなんださうですが、いてると餘程よつぽど重寶ちようはうなものらしいんですよ。それさへければ、ふね手間てままるはぶけるとかでね。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしかなしいことには、ちひさなまたしまつてゐて、ちひさな黄金こがねかぎ以前もとのやうに硝子ガラス洋卓テーブルうへつてゐました、『まへより餘程よつぽど不可いけないわ』とこのあはれなあいちやんがおもひました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
なんでえゝことあるもんか、うちへなんざあ滅多めつたられやしねえんだぞ、そんであさから晩迄ばんまでみつしら使つかあれて、それどこぢやねえ病氣びやうきつたつて餘程よつぽどでなくつちや葉書はがきもよこさせやしねえ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「この男の人は餘程よつぽどお金持なんでせうね。」と、お梅は夫に繪端書を見せて行つた。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
勘次かんじさんおもひのほかだつけな、まあだあと餘程よつぽどあんべえか」といつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まァ今日けふ餘程よつぽど奇妙きめうよ!昨日きのふなんこともなかつたんだのに、昨夜ゆふべうちわたしうかなつたのかしら?さうねえ、今朝けさきたときにはなんともなかつたかしら?、なんだかちつへんなやうでもあるし
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
出拂ではらつた……うか。……餘程よつぽどあるかい。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)