トップ
>
類
>
たぐい
ふりがな文庫
“
類
(
たぐい
)” の例文
で、あのひどく
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
な「黄金仮面」の風説も、やっぱりその、五十年百年に一度の、社会的狂気の
類
(
たぐい
)
であったかも知れないのだ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
イギリスが海上で覇をなしたのはああいう
類
(
たぐい
)
の人がいたればこそだと言って、彼に敬服するような顔をする連中さえもいたのである。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
こはかれが家の庭を流れてかの
街
(
ちまた
)
を貫くものとは異なり、遠き大川より引きし水道の
類
(
たぐい
)
ゆえ、幅は三尺に足らねど深ければ
水層
(
みずかさ
)
多く
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
暁方
(
あけがた
)
近くなって、お絹をはじめ踊りに出た連中が帰って見た時分には、土蔵も、本宅も、物置の
類
(
たぐい
)
も、すっかり焼け落ちていました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
当世人
(
とうせいじん
)
の趣味は大抵日比谷公園の老樹に電気燈を点じて奇麗奇麗と叫ぶ
類
(
たぐい
)
のもので、
清夜
(
せいや
)
に月光を賞し、
春風
(
しゅんぷう
)
に梅花を愛するが如く
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
一の宮に特殊な神事という
鶏毛打
(
とりげうち
)
の古楽にはどのくらいの氏子が出て、どんな
衣裳
(
いしょう
)
をつけて、どんな
鉦
(
かね
)
と太鼓を打ち鳴らすかの
類
(
たぐい
)
だ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「君の説も一応は
道理
(
もっとも
)
の
様
(
よう
)
に聞えるが、五個の庄の住民は
矢
(
や
)
はり普通の人間で、決して𤢖や山男の
類
(
たぐい
)
では無いと云うじゃアないか。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
有りふれた例をあげてみれば、当時
相対死
(
あいたいし
)
と言った情死をはかって、相手の女を殺して、自分だけ生き残った男というような
類
(
たぐい
)
である。
高瀬舟
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
雀
(
すずめ
)
化
(
か
)
して
蛤
(
はまぐり
)
の
類
(
たぐい
)
にもれず、あらかた農を捨てて本職の煙火師に化けてしまったというのが伝えられているこの郷土沿革なのである。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時の唇薄き群臣どもは、この事実を
以
(
もっ
)
て、アグリパイナの
類
(
たぐい
)
まれなる才女たる証左となし、いよいよ、やんやの
喝采
(
かっさい
)
を惜しまなかった。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
冬向は一切
浴客
(
よっかく
)
はありませんで、
野猪
(
しし
)
、狼、猿の
類
(
たぐい
)
、
鷺
(
さぎ
)
の
進
(
しん
)
、
雁九郎
(
かりくろう
)
などと云う珍客に明け渡して、旅籠屋は泊の町へ引上げるくらい。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ロセツの申出はついに
行
(
おこな
)
われざりしかども、彼が日本人に信ぜられたるその
信用
(
しんよう
)
を利用して利を
謀
(
はか
)
るに
抜目
(
ぬけめ
)
なかりしは
凡
(
およ
)
そこの
類
(
たぐい
)
なり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
取りあえず亀の井別荘の
亀楽園
(
きらくえん
)
に憩う。この別荘は
瀟洒
(
しょうしゃ
)
たる小さい別荘であるが、
竹縁
(
たけえん
)
に腰を下ろして仰ぐ由布の尖峰は
類
(
たぐい
)
なく美しい。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
人々はこれを伝え聞いて、「左内が金をためているのは
貪婪
(
どんらん
)
強欲
(
ごうよく
)
というような
類
(
たぐい
)
ではないのだ。ただ当世にはめずらしい一奇人なのだ」
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
元より薄色の袿と申しましても、世間に
類
(
たぐい
)
の多いものではございますが、もしやあれは
中御門
(
なかみかど
)
の姫君の御召し物ではございますまいか。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
楠浦の弥兵衛以下二千人、上津浦の一郎兵衛、下津浦の治右衛門、島子の弥次兵衛以下三千七百人、部将皆郷士豪農の
類
(
たぐい
)
である。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかしメルキオルは、他人が期待してることやまた自分みずからが期待してることとは、常に反対のことを行なうような
類
(
たぐい
)
の男であった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
妖怪変化、悪魔の
類
(
たぐい
)
が握っているのだか、何だか
彼
(
か
)
だかサッパり分らない
黒闇〻
(
こくあんあん
)
の中を、とにかく
後生
(
ごしょう
)
大事にそれに
縋
(
すが
)
って
随
(
したが
)
って歩いた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
例えば、我は越後の者なるが、何月何日の夜、この
山路
(
やまみち
)
にて若き女の髪を
垂
(
た
)
れたるに逢えり。こちらを見てにこと笑いたりという
類
(
たぐい
)
なり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
こういう
類
(
たぐい
)
の演奏はもともと邪道ではあるけれども、数ある中には捨て難いものもあるから、これらは「室内楽・雑」という類に入れる。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
いつしか
私
(
わたくし
)
のことを
世
(
よ
)
にも
類
(
たぐい
)
なき
烈婦
(
れっぷ
)
……
気性
(
きしょう
)
も
武芸
(
ぶげい
)
も
人並
(
ひとなみ
)
すぐれた
女丈夫
(
じょじょうぶ
)
ででもあるように
囃
(
はや
)
し
立
(
た
)
てたらしいのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
読物の
類
(
たぐい
)
は行われて居りますけれども、その他は寺でない限りはほとんど普通人民の子供は教育されるということはないのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
荷物と云っても、ビール
箱
(
ばこ
)
で造った
茶碗
(
ちゃわん
)
入れと
腰
(
こし
)
の高いガタガタの
卓子
(
テーブル
)
と、
蒲団
(
ふとん
)
に風呂敷包みに、与一の絵の道具とこのような
類
(
たぐい
)
であった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
後にて弟子たちが「我らいかなれば逐い出しえざりしか」とお尋ねしたところ、「この
類
(
たぐい
)
は祈りによらざれば、いかにすとも出でざるなり」
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「しからばさよう致しましょうか。たとい凶と出ようとも、ただ斬り払って通るまで。もしまた狐狸の
類
(
たぐい
)
ならば退治して災を除くまでじゃ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もっとも昔と違って今日は開明の時節であるから
槍
(
やり
)
、
薙刀
(
なぎなた
)
もしくは飛道具の
類
(
たぐい
)
を用いるような
卑怯
(
ひきょう
)
な振舞をしてはなりません。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「江戸なる
哉
(
かな
)
、江戸なる哉、天明三年吉原松葉屋今の瀬川を千五百両にて身請せし大尽あり、諸侯の
類
(
たぐい
)
かと聞くに
不然
(
しからず
)
、尋常の町家なりとぞ」
傾城買虎之巻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
一、土鍋 土鍋があれば一番よいが、なければ銀鍋、鉄鍋の
類
(
たぐい
)
でもいい。その用意もなければ瀬戸引き、ニュームなどで我慢するほかはない。
美味い豆腐の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
パンアメリカニズムとかいうの
類
(
たぐい
)
は、すべてこの民族的国家が帝国主義を行わんとする思想を説明したるものに外ならぬ。
文明史上の一新紀元
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
墓地の四辺を取り囲む深い木立は皆一様に蒼空高く梢を窄めた、欅、樅、樫、ポプラアの
類
(
たぐい
)
ばかりで、又中に侘しげな柿があり無花果があつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ノートの
類
(
たぐい
)
が荷物になるので、田中さんに上げたが、田中さんは「これは預っておきます。その気になったら、いつでも帰っていらっしゃい。」
西隣塾記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
淫靡
(
いんぴ
)
、精根、
類
(
たぐい
)
の無い饒舌の珍らしさに、後から後からと黒山のように
群
(
たか
)
って、盛んに拍手し喝采もしていた聴衆も、あまりの目まぐるしさに
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
中の君は非常に美しい盛りの
容貌
(
ようぼう
)
を、まして今夜は周囲の人たちによってきれいに
粧
(
よそお
)
われていたのであったから、また
類
(
たぐい
)
もない麗人と思われた。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
など云う
類
(
たぐい
)
の
楓
(
かえで
)
や
銀杏
(
いちょう
)
は、深く浅く鮮やかにまた
渋
(
しぶ
)
く、紅、黄、
褐
(
かち
)
、
茜
(
あかね
)
、紫さま/″\の色に出で、気の重い
常緑木
(
ときわぎ
)
や気軽な
裸木
(
はだかぎ
)
の間を
彩
(
いろ
)
どる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
○この
類
(
たぐい
)
の与聞(耶蘇教諸国の間につきていう)の特理は、これを
至要
(
しよう
)
の諸盟約中に
加
(
くわ
)
う。これをもって一定の権力を生じたり。〈同五百十八葉〉
「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)
(新字新仮名)
/
ロバート・フィリモア
(著)
「いき」の形式化的抽象を行って、西洋文化のうちに存する類似の現象との共通点を求めようとするのもその
類
(
たぐい
)
である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
この三人の中の誰一人も、自分の見たことからは、他の二人のどちらかがどういう
類
(
たぐい
)
の人物であるか言えなかったろう。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
こうした
類
(
たぐい
)
のできごとはドイツではきわめて普通のことで、多くのよく確かめられた物語が立証している通りなのだ。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
或る家では地所を拡げるために境界の石をこつそり一尺ほど外に置き換へたのだといふ
類
(
たぐい
)
にいたるまで通暁してゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
彼は恐るべきまた驚くべき
色魔
(
しきま
)
なのだ。一切の穢濁を断じて
聖浄
(
せいじょう
)
の楽土に住む
得道出家
(
とくどうしゅっけ
)
の身にてありながら、
徒
(
いたずら
)
にただ肉を追う餓鬼畜生の
類
(
たぐい
)
なのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
寄木細工
(
モザイク
)
の広い廻り階段を導かれて登り、一つの部屋に到ると、開かれた
扉
(
とびら
)
から、その部屋の
類
(
たぐい
)
なき壮麗さが全くぎらぎらと
燦
(
きらめ
)
いて突然眼前に現われ
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
それを成就し得た人こそは世に
類
(
たぐい
)
なく幸福な人だ。私は見ようと欲しないではなかった。然し見るということの本当の意味を
弁
(
わきま
)
えていたといえようか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
凹路
(
おうろ
)
の
災厄
(
さいやく
)
は彼らの大半を失わせたが、彼らの勇気を減じさせることはできなかった。彼らはその数を減ずればますます勇気を増す
類
(
たぐい
)
の勇士であった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
あるいは今日にありて斬新なりとてもてはやさるる詩文小説も、後世に至り同様の意匠を為す者多からば
終
(
つい
)
には陳腐として厭嫌せられんが如き
類
(
たぐい
)
なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
彼はその触れる物象に対して
類
(
たぐい
)
まれなほど活発に反応する。そうしてその美を新鮮な味わいにおいてすくい取る。
享楽人
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
頬には一週間も
剃刀
(
かみそり
)
を当ぬかと思うばかりに
贅毛
(
むだけ
)
の延たれど
個
(
こ
)
は死人に
能
(
よ
)
く有る例しにて死したる
後
(
のち
)
急に延たるものなる可く余は
開剖室
(
かいぼうしつ
)
などにて同じ
類
(
たぐい
)
を
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
私自身も紀行の
類
(
たぐい
)
を書きながら、こういうものを一体誰が読むだろう、そう思って自信を失ったおぼえがある。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
兄妹としていつまでも愛して頂戴などという
類
(
たぐい
)
のたわごとが、三十代の壮年資本主義国に適用するはずがない。
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
また、船底につく海藻は、アオサ、ノリの
類
(
たぐい
)
が多い。貝では、カキ、カメノテ、エボシ貝、フジツボなどで、フジツボが、ふつういちばんたくさんにつく。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
而
(
しこう
)
して英国革命の演劇は、実にこの二人の役者に
由
(
よ
)
りて演ぜられたり。松陰の事むしろこの
類
(
たぐい
)
なる
莫
(
な
)
からんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
類
常用漢字
小4
部首:⾴
18画
“類”を含む語句
衣類
種類
魚類
獸類
親類
人類
類型
生類
書類
類似
比類
縁類
此類
類人猿
爬虫類
類稀
同類
鳥類
着類
肉類
...