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頂辺
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てっぺん
ふりがな文庫
“
頂辺
(
てっぺん
)” の例文
旧字:
頂邊
………ソノ時僕ハ第四次元ノ世界ニ突入シタトイウ気ガシタ。タチマチ高イ高イ所、
忉利天
(
とうりてん
)
ノ
頂辺
(
てっぺん
)
ニ登ッタノカモ知レナイト思ッタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
や、鴉だなと私は向うの電柱の
頂辺
(
てっぺん
)
を眺める。無数の白い
碍子
(
がいし
)
と輝く電線、それに漆黒の鴉が四、五羽も留っている。紫に見える。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「それから時々、この杉の
頂辺
(
てっぺん
)
へ天狗が来て巣を食い、おりおり下界から人を
浚
(
さら
)
って来てこの杉の枝へ突っかけて置くということじゃ」
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「なに、海から……毎夜海から上がって、裏の防堤に来る……」と顎骨をガクガク鳴らせながら、検事は頭の
頂辺
(
てっぺん
)
まで痺れゆくのを感じた。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
漸
(
ようや
)
く
山林地帯
(
さんりんちたい
)
を
出抜
(
でぬ
)
けると、そこは
最
(
も
)
う
山
(
やま
)
の
頂辺
(
てっぺん
)
で、
芝草
(
しばくさ
)
が一
面
(
めん
)
に
生
(
は
)
えて
居
(
お
)
り、
相当
(
そうとう
)
に
見晴
(
みはら
)
しのきくところでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
学校を
怠
(
ずる
)
けて、船で淡島へ渡って、鳥居前、あの
頂辺
(
てっぺん
)
で弁当を食べるなぞはお茶の子だったものですが、さて、この三津、重寺、口野一帯と来ますと
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
曲者は蝋燭を吹消さずに逃去りしと見え燭台の
頂辺
(
てっぺん
)
に
氷柱
(
つらゝ
)
の如く垂れたる
燭涙
(
しょくるい
)
は黒き汚れの色を帯ぶ、
個
(
こ
)
は蝋燭の自から燃尽すまで
燃居
(
もえい
)
たるしるしなり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「ソラ、天狗様の御立腹だ」と、一同は眼玉を
円
(
まる
)
くする。ヌット
雲表
(
うんぴょう
)
に
突立
(
つった
)
つ高山の
頂辺
(
てっぺん
)
の地震、左程の振動でもないが、余り
好
(
い
)
い気持のものでもない。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
また頭の
頂辺
(
てっぺん
)
へ剃り残したものを『お芥子』と称える。なお少し年が行くと前へも髪を貯えて『
前髪
(
まえがみ
)
』と言う。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
白くかえした其段だらの
腹
(
はら
)
を見ると、彼の勇気は頭の
頂辺
(
てっぺん
)
からすうとぬけてしもうて如何しても足が進まぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
三段位ずつ飛びあがって、
頂辺
(
てっぺん
)
のガアデン・ルウムに入ろうとすると、ぴったり足がとまりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
村の鎮守の、
大樟
(
おおくすのき
)
の
頂辺
(
てっぺん
)
に、大きな国旗が、掲げられた。村の「木昇りの
甚
(
じん
)
さん」が決死の覚悟で、危ないところの頂辺まで
上
(
あが
)
って、その
大旗
(
おおはた
)
を結びつけたのであった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
うち
俯
(
ふし
)
すぎて、
兜
(
かぶと
)
の
頂辺
(
てっぺん
)
を射られるな。水のうえにて身づくろいすな。物の具に
透間
(
すきま
)
あらすな。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところどころ
縞
(
しま
)
の消えかかった着物の上に、細帯を一筋巻いたなりで、
乏
(
とも
)
しい髪を、大きな
櫛
(
くし
)
のまわりに巻きつけて、
茫然
(
ぼんやり
)
と、枝を
透
(
す
)
かした梧桐の
頂辺
(
てっぺん
)
を見たまま立っている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「頭の毛なんか薄いんでしょう……」と、のび上って頭の
頂辺
(
てっぺん
)
をのぞきに来た。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一色の青のうちに平らに見える海が、一町ばかりの沖の方から大きな波に高まって、やがて白い波頭をふり立てながらざざざざと寄せてくるかと思うまに、
頂辺
(
てっぺん
)
からどっと崩れて捲き返した。
月明
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その冬らしい表徴とは妙に矛盾した、夏の花でその着物を飾っていた。が、その幽霊の身のまわりで一番不思議なものと云えば、その頭の
頂辺
(
てっぺん
)
からして明煌々たる光りが噴出していることであった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
こうして、私たちは国境の天測点へと、草ばかりの一つの丘の
頂辺
(
てっぺん
)
を目ざして、
泥濘
(
ぬかるみ
)
のひどい小径をうねりうねりして登りにかかったのである。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
兎
(
と
)
にも
角
(
かく
)
にも、すらりとした、背の高い彼の女の総身は、
栗色
(
くりいろ
)
の髪の
頂辺
(
てっぺん
)
から純白の絹の靴の先まで、
鱗
(
うろこ
)
のようにきらきらと閃めく物が
鏤
(
ちりば
)
めてある。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
所が、その椅子にかけて、緩く廻って居りますうちに、いきなり私の身体が
慄
(
ぞっ
)
と凍り付いて、頭の
頂辺
(
てっぺん
)
にまで、動悸がガンガンと鳴り響いて参りました
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それから清澄の茂太郎が、
逸早
(
いちはや
)
くメイン・マストの
頂辺
(
てっぺん
)
に打ちのぼって、本船を離れて行く船長と白雲の一行を、視覚の及ぶ限り監視の役をつとめている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余は殆ど堪え兼て
傍
(
かたわら
)
より問を発し「
若
(
も
)
し夫だけの事ならばお前が確に藻西太郎と認めたとは云われぬじゃ無いか」老女は
最
(
いと
)
怪
(
あやし
)
げに余を頭の
頂辺
(
てっぺん
)
より足の先まで
隈
(
くま
)
なく見終り
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ぼくも、杏の実を
握
(
にぎ
)
りしめ、くるくると
鉄梯子
(
てつばしご
)
をあがって、
頂辺
(
てっぺん
)
のボオト・デッキに出ました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
私
(
わたくし
)
は
覚
(
おぼ
)
えず
坐席
(
ざせき
)
から
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
って、
呆
(
あき
)
れて
上方
(
うえ
)
を
見上
(
みあ
)
げましたが、その
時
(
とき
)
はモー
天狗
(
てんぐ
)
さんの
姿
(
すがた
)
が
頂辺
(
てっぺん
)
の
枝
(
えだ
)
の
茂
(
しげ
)
みの
中
(
なか
)
に
隠
(
かく
)
れて
了
(
しま
)
って、どこに
居
(
い
)
るやら
判
(
わか
)
らなくなって
居
(
い
)
ました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
肩でこう
捻向
(
ねじむ
)
いて高く上を視る処に、耳はねえが、あのトランプのハアト形に
頭
(
かしら
)
を
押立
(
おった
)
った
梟
(
ふくろ
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
、梟、梟と一口に
称
(
とな
)
えて、何嶽と言うほどじゃねえ、丘が
一座
(
ひとくら
)
、その
頂辺
(
てっぺん
)
に
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それでも
露西亜人
(
ロシアじん
)
だけあって、眼にあまる山のことごとくに砲台を構えて、その砲台のことごとくに、馬車を
駆
(
か
)
って
頂辺
(
てっぺん
)
まで登れるような広い
路
(
みち
)
をつけたのは感心ですとA君が語られる。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
草色の体躯に黄色い尻尾、頭の
頂辺
(
てっぺん
)
から
萵苣
(
ちしゃ
)
のようなものを
生
(
は
)
やして。あすこに鸚鵡がいるよ。可哀そうなロビン・クルーソーと、彼が小船で島を一周りして帰って来た時、その鸚鵡は喚びかけた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
頭の
頂辺
(
てっぺん
)
から足の
爪先
(
つまさき
)
まで
慾気
(
よくけ
)
満々
(
まんまん
)
として寸分のタルミも無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
乳緑の葉っぱ、茎、枝、みな水々しく、そして毛ばだっている。咲きかけの折り目のついた紅い
蕾
(
つぼみ
)
がそれらの
頂辺
(
てっぺん
)
にある。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
カーテンの
頂辺
(
てっぺん
)
へ登つて行つて綱渡りのやうな軽業をした仔猫の動作が、つい昨日のことのやうに眼に残つてゐる庄造は、腰のあたりがゲツソリと痩せて
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いちばん
頂辺
(
てっぺん
)
にまで出ると、
遥
(
はる
)
かサンピイドロの海が眼下にかすみ、沖にはキャバレエになっているという
豪華船
(
ごうかせん
)
——当時は
禁酒法
(
ドライ
)
でしたから——が
豆
(
まめ
)
のように、ちいさい。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それから、鐘の横軸を支えている鉄棒は、
頂辺
(
てっぺん
)
まで伸びて大十字架になっているんですよ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
頭髪
(
おぐし
)
は
頭
(
あたま
)
の
頂辺
(
てっぺん
)
で
輪
(
わ
)
を
造
(
つく
)
ったもので、ここにも
古代
(
こだい
)
らしい
匂
(
におい
)
が
充分
(
じゅうぶん
)
に
漂
(
ただよ
)
って
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
腹が空くと、電信の針がねに一座ずらりと出て、ぽちぽちぽちと
中空
(
なかぞら
)
高く順に並ぶ。中でも
音頭取
(
おんどとり
)
が、電柱の
頂辺
(
てっぺん
)
に一羽
留
(
とま
)
って、チイと鳴く。これを合図に、
一斉
(
いっとき
)
にチイと鳴出す。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒の着物に小倉の袴で、
高足駄
(
たかあしだ
)
を穿き、鉄扇を持った壮士。小刀の短いわりに、刀は四尺もあらんと思われる大きなのを横に差し、頭の
頂辺
(
てっぺん
)
から竜之助を見下ろして進んで来たので
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
カーテンの
頂辺
(
てっぺん
)
へ登つて行つて綱渡りのやうな
軽業
(
かるわざ
)
をした仔猫の動作が、つい昨日のことのやうに眼に残つてゐる庄造は、腰のあたりがゲツソリと痩せて
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その下流の右岸には秀麗な
角錘形
(
かくすいけい
)
の山(それは
夕暮
(
ゆうぐれ
)
富士だと
後
(
あと
)
で聞いたが)山の
頂辺
(
てっぺん
)
に細い
縦
(
たて
)
の裂目のある小松色の山が、白い
河洲
(
かわす
)
の
緩
(
ゆる
)
い
彎曲線
(
わんきょくせん
)
と
程
(
ほど
)
よい近景を
成
(
な
)
して
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「この道を歩いて行くとあのお山の
頂辺
(
てっぺん
)
に出るのだよ。一郎に歩けるかしら」、「そうね、あのお山に登るの」、「うん、そうだとも。だけれど登れるかな」、「登れるヨ」、「きっとだね」
箱根の山
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それがいつもの通り、口を
屹
(
き
)
っと結んでいて、その
※
(
いりやま
)
形の
頂辺
(
てっぺん
)
が殆んど顔の真中辺まで上って来ているのだが、その幾分もたげ気味にしている目窪の中には、異様に輝いている点が一つあった。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
鼻の下をなお
伸
(
のば
)
して、もう一息、
兀
(
はげ
)
の
頂辺
(
てっぺん
)
へ扇子を
翳
(
かざ
)
して
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
カーテンの
頂辺
(
てっぺん
)
へ登って行って綱渡りのような軽業をした仔猫の動作が、つい昨日のことのように眼に残っている庄造は、腰のあたりがゲッソリと
痩
(
や
)
せて
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それから、階段廊を離れて、上層の階段を上って行ったが、その時何を思いついたのか、法水は突然
奇異
(
ふしぎ
)
な動作を始めた。彼は中途まで来たのを再び引き返して、もと来た大階段の
頂辺
(
てっぺん
)
に立った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そうして彼女が櫛の峰を以て首の
頂辺
(
てっぺん
)
を打ち叩くとき、自分が叩かれているように考える、———すると、彼の快感は絶頂に達して、脳が
痺
(
しび
)
れ、体中が
顫
(
ふる
)
えるのであった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
滝流しの
浴衣
(
ゆかた
)
を着た
与茂七
(
よもしち
)
が現われると、舞台は陰惨の極から、華麗の
頂辺
(
てっぺん
)
に飛び上り、まさに南北特有の
生世話
(
きせわ
)
だんまり、あのおどろおどろしい声や、蒼白い顔や、引き包まんばかりの物影などは
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
とうとう足を蹈み外して
頂辺
(
てっぺん
)
から転げ落ち、急にしくしく泣き出したことがありましたのは。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし、スリッパの跡はどこまでも消えずに彼等を導いていった。その足許には、雪を踏みしだくような感じで埃の堆積が崩れ、それを透かして、
檞
(
かし
)
の冷たい感触が、頭の
頂辺
(
てっぺん
)
まで滲み透るのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
鉄棒が済むと今度は階段の
頂辺
(
てっぺん
)
から倒立ちをして飛び下りたり、一丈に余る竹竿を杖に庭の松の樹の梢より高く跳ね上ったり、………その Jumping の見事な有様は
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一つ、一番
頂辺
(
てっぺん
)
に出しておくれ——って
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
(立て直す時テーブルが泥に埋まって重くなっていて、足に
絡
(
から
)
み着いた)窓の
頂辺
(
てっぺん
)
のカーテンの金具をしっかり握っていたが、
纔
(
わず
)
かに首だけが水面から出ている程度であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
若草山の
麓
(
ふもと
)
まで行って、何しろこの前の時と
違
(
ちご
)
て薄曇った暑い日でしてんけど、びっしょり汗
掻
(
か
)
きながら
頂辺
(
てっぺん
)
まで登って行って、そいから山の上にある茶店で休んでるうちに
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
頂
常用漢字
小6
部首:⾴
11画
辺
常用漢字
小4
部首:⾡
5画
“頂”で始まる語句
頂
頂戴
頂上
頂板
頂点
頂戴物
頂邊
頂點
頂部
頂門