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辱
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はずかし
ふりがな文庫
“
辱
(
はずかし
)” の例文
「くそっ」と、反抗を研ぎ「おれは足利殿の家来だ。なんで新田の陣所へなど曳かれようか。のみならず、よくもいまは、
辱
(
はずかし
)
めたな」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とうとう腹を決めて、細君が
傍
(
そば
)
へ来ると口ぎたなく
罵
(
ののし
)
った。細君はその
辱
(
はずかし
)
めに堪えられないで、泣きながら死のうとした。景はいった。
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「主君の
辱
(
はずかし
)
められたとき、
誅奸
(
ちゅうかん
)
のとき、おのれの武名の立たぬとき、——こんなくだらぬ喧嘩に刀を抜くほど、おれは腰ぬけではない」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
多くの美徳を
具
(
そな
)
えた人達を祖先に持った岸本の家の子孫に自分のような不都合なものの生れて来たことは、祖先を
辱
(
はずかし
)
める次第であるが
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
余が如きは
不肖
(
ふしょう
)
ながら、一旦外患の迫るにおいては、一死以て君に
酬
(
むく
)
い、武門の面目を
辱
(
はずかし
)
めざるべし。この心日光廟も、弓矢八幡も照覧あれ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
が、その婦人は、恨を物の見事に
跳
(
は
)
ねつけてしまったのです。そればかりでなく、死んだお兄さんを
辱
(
はずかし
)
めるようなことまでも云ったのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
家来としては君
辱
(
はずかし
)
められるのが一番おそろしい。同級生は何々君と君づけで呼びあうが照彦様だけは花岡さんで通っている。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
輝祖は開国の大功臣たる
中山王
(
ちゅうさんおう
)
徐達
(
じょたつ
)
の子にして、
雄毅
(
ゆうき
)
誠実、父
達
(
たつ
)
の風骨あり。
斉眉山
(
せいびざん
)
の
戦
(
たたかい
)
、
大
(
おおい
)
に燕兵を破り、前後数戦、
毎
(
つね
)
に良将の名を
辱
(
はずかし
)
めず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
現にこのウスノロのために、自分があられもない
辱
(
はずかし
)
め(?)を蒙った苦い体験があるに
拘
(
かかわ
)
らず、本来そんなにこの先生を憎んではいないのです。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
間道を取れば強盗及び猛獣の難あり、公道を取れば
縲紲
(
るいせつ
)
の
辱
(
はずかし
)
めを受くる恐れあり、いずれの道を取れば無事に目的地に着く事が出来ましょうか。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
辱
(
はずかし
)
められ、踏みにじられ、
揚句
(
あげく
)
の果にその身の恥をのめのめと明るみに
曝
(
さら
)
されて、それでもやはり
唖
(
おし
)
のように黙っていなければならないのだから。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蘇武
(
そぶ
)
の答えは問うまでもなく明らかであるものを、何もいまさらそんな勧告によって蘇武をも自分をも
辱
(
はずかし
)
めるには当たらないと思ったからである。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
何故
(
なぜ
)
意久地がないとて叔母がああ
嘲
(
あざけ
)
り
辱
(
はずかし
)
めたか、
其処
(
そこ
)
まで思い廻らす暇がない、唯もう
腸
(
はらわた
)
が
断
(
ちぎ
)
れるばかりに悔しく口惜しく、恨めしく腹立たしい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
というのは、
女故
(
おんなゆえ
)
の
辱
(
はずかし
)
さが、裸体で飛び出す
軽率
(
けいそつ
)
を
憚
(
はば
)
からせたのと、一人ぽっちの空気が、隣の事件を決して重大に感ぜしめなかったものらしかった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
政府はこれを任命しないとしても、これを
推薦
(
すいせん
)
するのであるから自分の国民を
辱
(
はずかし
)
めるような人を出すはずはない。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
第二条 心身の独立を全うし、
自
(
みず
)
から其身を尊重して、人たるの品位を
辱
(
はずかし
)
めざるもの、之を独立自尊の人と云ふ。
修身要領
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
、
慶應義塾
(著)
すると父から非常にしかられて、
早速
(
さっそく
)
今夜あやまりに行けと命ぜられ長者を
辱
(
はずかし
)
めたというので懇々説諭された。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「ならぬ!」と威厳のある老人の声! 「わしはいいのだ、わしなどはな! だがあの方を
辱
(
はずかし
)
めてはならぬ」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
戯作者という低さの自覚によって、思想性まで低められ卑しめられ
辱
(
はずかし
)
められるが如くに考えるのであろう。
大阪の反逆:――織田作之助の死――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
曩日
(
さき
)
に政府は卑屈無気力にして、かの辮髪奴のために
辱
(
はずかし
)
めを受けしも、民間には義士烈婦ありて、国辱をそそぎたりとて、大いに外交政略に関する
而已
(
のみ
)
ならず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
子游曰く、君に
事
(
つか
)
えて
数
(
せ
)
(責)むれば
斯
(
すなわ
)
(則)ち
辱
(
はずかし
)
められ、朋友に(交わりて)
数
(
せ
)
むれば
斯
(
すなわ
)
ち
疏
(
うと
)
んぜらる。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
而も屍骸に忍ぶべからざる
辱
(
はずかし
)
めを受けたことを知っていたので、心中筑摩家に対し釈然たらざるものがあったのだが、兎に角、表面は他意なき
体
(
てい
)
に取りつくろい
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あの四方に
使
(
つかい
)
して君命を
辱
(
はずかし
)
めずということがございましたね。あれを一つお講じ下さいますまいか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
圖「何だ
手前
(
てまえ
)
は、何をする、斯様なる
怪
(
けし
)
からん事をして何と心得て居る、何だ此の女を
辱
(
はずかし
)
めんとするのか、捨置き難い奴だが
今日
(
こんにち
)
は信心参りの事だから許す、
行
(
ゆ
)
け/\」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人を
辱
(
はずかし
)
めるような賞賛の仕方をしてるわ。どんな大根役者が演ずるのを見ても、やはり同じようにうれしがってるわ。
軽蔑
(
けいべつ
)
すべき馬鹿者と同様に私たちを取り扱ってるわ。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
皆
痴情
(
ちじょう
)
のためにその身を亡し親兄弟に歎をかけ友達の名を
辱
(
はずかし
)
めたる事
時人
(
じじん
)
の知るところなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『三国志』に名高い呉に使して君命を
辱
(
はずかし
)
めなんだ蜀漢の
鄧芝
(
とうし
)
は、才文武を兼ねた偉物だったが、黒猿子を抱いて樹上にあるを
弩
(
ど
)
を引いて射て母に中てしにその子ために
箭
(
や
)
を抜き
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
日本軍の中には赤十字の義務を
完
(
まっとう
)
して、敵より感謝状を送られたる国賊あり。しかれどもまた
敵愾心
(
てきがいしん
)
のために
清国
(
てきこく
)
の病婦を
捉
(
とら
)
へて、犯し
辱
(
はずかし
)
めたる愛国の軍夫あり。委細はあとより。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
期限が来て農夫から葡萄園の地代を受け取るために
僕
(
しもべ
)
をその許に
遣
(
つか
)
わしたのに、彼らはこれをとらえて打ち叩き、
空手
(
むなで
)
にて帰らしめた。またほかの僕を遣わしたのに、その
首
(
こうべ
)
に傷つけ、かつ
辱
(
はずかし
)
めた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
かくの如く、他国に征して、他国にわが名を
辱
(
はずかし
)
めた不届き者は、諸人の見せしめ、各営門を曳き廻した上、死罪にせよ、と厳命した。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「『
君
(
きみ
)
辱
(
はずかし
)
めらるれば
臣
(
しん
)
死
(
し
)
す』ということさえある。臣が君より上席に坐れば、とりもなおさず臣が君を辱めることになる」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
おどろくばかり柔順なのは駒井甚三郎で、これらの暴言に対して、最初から怒るの風がないのみならず、甘んじてその
辱
(
はずかし
)
めをうけて慎しむの
体
(
てい
)
です。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
諸侯方を
辱
(
はずかし
)
めてお
心遣
(
こころや
)
りを遊ばすなどとは、太守の御身分としてまことに軽々しきお振舞い、……かようなことでは御家風にも障るでござりましょう
蕗問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
されば恐らく、えるされむは広しと云え、
御主
(
おんあるじ
)
を
辱
(
はずかし
)
めた罪を知っているものは、それがしひとりでござろう。罪を知ればこそ、呪もかかったのでござる。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼是
(
かれこれ
)
を考うれば、生が苦心は水の
泡
(
あわ
)
にして、
反
(
かえ
)
って君の名を
辱
(
はずかし
)
むる不幸の決果を来さんかとも危まれ候……
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
惟
(
おも
)
うに彼の君
辱
(
はずかし
)
められ臣死するの一時に際し、
靦然
(
てんぜん
)
として幕府に恭順を唱え、志士を
馘
(
くびき
)
りて幕軍の
轅門
(
えんもん
)
に致したる、俗論党の故郷として、充分の価値ありというべし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
宜
(
むべ
)
なる
哉
(
かな
)
、
縲絏
(
るいせつ
)
の
辱
(
はずかし
)
めを受けて獄中にあるや、同志よりは背徳者として
擯斥
(
ひんせき
)
せられ、牢獄の役員にも
嗤笑
(
ししょう
)
せられて、やがて公判開廷の時ある壮士のために傷つけられぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
また怒るということは馬鹿の性癖であると悟りまして私はその後
辱
(
はずかし
)
めに逢うても忍ぶという心を養成した訳でございます。こういう風で毎日六時間ずつ勉強して居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼らはあまりに多勢で、彼はどうともしようがなかった。彼らは彼を
辱
(
はずかし
)
め押しつぶしてやろうと——他の多くのことにはそれぞれ意見を異にしていながら——皆一致していた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あれほどまでにお勢
母子
(
おやこ
)
の者に
辱
(
はずかし
)
められても、文三はまだ園田の家を去る気になれない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
海はとゞろきわたりて、若き
牧神
(
フォーン
)
の
如
(
ごと
)
く吹く風は、
其手
(
そのて
)
に
押
(
おさ
)
ゆる
衣
(
ころも
)
を
剥
(
は
)
ぎて、路上に若き女を
辱
(
はずかし
)
めんとす。あたゝかく、うつら/\と暮れて行く
Basque
(
バスク
)
の里の夕まぐれ。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
自分や雪子が
嘗
(
かつ
)
てない
辱
(
はずかし
)
めを受けたと云う感がするのであったが、それにも
優
(
ま
)
して、今は妹の
容貌
(
ようぼう
)
に
否
(
いな
)
みようのない
瑕
(
きず
)
が出来たと云うこと、取るに足らない
些細
(
ささい
)
なものであったにしても
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
軟弱
(
かよわ
)
い娘を斯様な
淋
(
さみ
)
しい処へ連れて参り、
辱
(
はずかし
)
めようと致す
勾引
(
かどわかし
)
だな、許し難い奴なれども修行の身の上だから何事も神仏に免じて許して遣る、殺しても
宜
(
よ
)
い奴だが其の儘許して遣るから
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明治九年に国学者
阿波
(
あわ
)
の人某が、福沢の
著
(
あらわ
)
す所の『学問のすゝめ』を
駁
(
はく
)
して、書中の「
日本
(
にっぽん
)
は
蕞爾
(
さいじ
)
たる小国である」の句を以て祖国を
辱
(
はずかし
)
むるものとなすを見るに及んで、福沢に代って一文を草し
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
なぜッて、宗山がその夜の
中
(
うち
)
に、私に
辱
(
はずかし
)
められたのを
口惜
(
くや
)
しがって、
傲慢
(
ごうまん
)
な奴だけに、ぴしりと、もろい折方、憤死してしまったんだ。七代まで流儀に
祟
(
たた
)
る、と手探りでにじり
書
(
がき
)
した
遺書
(
かきおき
)
を残してな。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金を持っている自分達の生活を、否人格まで、散々に
辱
(
はずかし
)
めている。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
辱
(
はずかし
)
めをうけるより、日本人らしくたたかって、死のう。
太平洋魔城
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
使いして君命を
辱
(
はずかし
)
めずとは、侍奉公の身の当然にてもござれば、二年でも三年でも、お心にかなうまでは、お訪ねする覚悟でござる。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物を
盗
(
と
)
るのは
償
(
つぐな
)
いがつくが、女を
辱
(
はずかし
)
めるのは罪だ……というような気に制せられるのを、自分ながら不思議に思う。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「頭がいい。それでは実際問題として、
照彦
(
てるひこ
)
様が学校で他の生徒に
辱
(
はずかし
)
められた場合、きみはどうしますか?」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“辱”を含む語句
恥辱
侮辱
凌辱
屈辱
耻辱
醜辱
忍辱
汚辱
辱知
侮辱的
穢辱
屈辱的
御恥辱
栄辱
雪辱
国辱
寵辱
慈悲忍辱
柔和忍辱
國辱
...