蕗問答ふきもんどう
寒森新九郎は秋田藩士である。 食禄は八百石あまりだが佐竹では由緒のある家柄で、代々年寄役として重きをなしていた。年寄役とは顧問官のようなもので、閑職ではあるが重臣だけが選ばれる顕要な地位である。彼は二十五歳で父亡き跡を襲い、以来五年のあいだ …