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見咎
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みとが
ふりがな文庫
“
見咎
(
みとが
)” の例文
が、ここらで
見咎
(
みとが
)
められてはならぬと思うから、言われたとおりに、すぐに左へ折れて、総長屋の前をぶらりぶらりと歩いて行った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
他の人に
見咎
(
みとが
)
められなば一大事と二足三足
去
(
さり
)
掛
(
かけ
)
しが又振返りさし
覗
(
のぞ
)
き
嗚呼
(
あゝ
)
我ながら
未練
(
みれん
)
なりと心で心を
勵
(
はげ
)
ましつゝ思ひ極めて立去けり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
繁みからソロソロ匍いだした大隅学士は、幸いに誰に
見咎
(
みとが
)
められもしない様子に安心をして、宏大なる邸内の探険にとりかかった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お登和嬢
見咎
(
みとが
)
められじと
一旦
(
いったん
)
は引込みしがさりとてそのままに隠れんともせず、何か機会ありて先方より捜し出さるるを待つ如し。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
立って、そうして茂太郎が前後と左右と、遠近と高低とを見廻したけれど、月の夜の河原に
見咎
(
みとが
)
め得べきなにものもありません。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
それから彼女の眼ざしはときどきひとりでに、何か気に入らないものを
見咎
(
みとが
)
めでもするように、長いこと
空
(
くう
)
を見つめたきりでいたりした。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ようやく三重目の
城砦
(
やぐら
)
へ帰り着き、不思議な入口から廊下へ出、鳳凰の間へはいった時まで幸いに誰にも
見咎
(
みとが
)
められなかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
多吉の方じゃあよくも覚えていなかったんですが、国蔵の方じゃあ多吉の顔を
識
(
し
)
っていて、ここで手先に
見咎
(
みとが
)
められちゃあ大変だと思って……。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ウッカリ持ち出すと反逆者の下役人に
見咎
(
みとが
)
められる
虞
(
おそ
)
れもありますので、ソックリそのまま
寝間着
(
ねまき
)
に使っていたのでした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
秘めかくした恋を
見咎
(
みとが
)
められて、
身縁
(
みよ
)
りのこの家に、追放された当座の身を
潜
(
ひそ
)
めているあの道弥とお登代の二人だった。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
わたくしは
見咎
(
みとが
)
められまいと橋の勾配の蔭に身を伏せたときから、女は材木店のご新造とは承知しましたが、女に何か嘆きの美しい姿があるまゝに
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
見咎
(
みとが
)
められると直ぐに外すが、間もなくまた私達の
卓子
(
テエブル
)
へヂロ/\と戻つて來た。何の意味だらうと私は
訝
(
いぶか
)
つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
三塔の大衆と同じように頭へ
袈裟巻
(
けさまき
)
をし、入道杖を持っていたが、なにか挙動のうえで
見咎
(
みとが
)
められてしまったのであろう、吉水の弟子僧たちと相談して
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
福子に
見咎
(
みとが
)
められないやうに、物置小屋の棚の上に押し上げて置いたのであるが、お袋には見当がついてゐた筈だから、出して渡してやつたのかも知れない。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし時代後れの御荷物を丁寧に二人まで
背負
(
しょ
)
って、幅の
利
(
き
)
かぬ過去と同一体だと当世から見られるのは、ただ見られるのではない、
見咎
(
みとが
)
められるも同然である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
開墾地
(
かいこんち
)
に
近
(
ちか
)
い
小徑
(
こみち
)
を
走
(
はし
)
つて
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
の
慌
(
あわたゞ
)
しい
容子
(
ようす
)
を
見咎
(
みとが
)
めて
彼
(
かれ
)
は
始
(
はじ
)
めて
其
(
その
)
火
(
ひ
)
を
知
(
し
)
つた。それが
東隣
(
ひがしどなり
)
の
主人
(
しゆじん
)
の
家
(
いへ
)
に
起
(
おこ
)
つたことを
聞
(
き
)
かされて
彼
(
かれ
)
はおつぎを
促
(
うなが
)
して
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三斎屋敷
闖入
(
ちんにゅう
)
を決心、がに股のちび助、吉公に打ちあけて、
諫
(
いさ
)
めるのを振り切って、忍び込んだのだったが、その晩、あの雪之丞に
見咎
(
みとが
)
められ、それがきっかけで
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
自分ひとりで勝手な考えばかりしてる父はおとよの顔色などに気はつかぬ、さすがに母は
見咎
(
みとが
)
めた。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
堀大主典がそれを
見咎
(
みとが
)
めた。灰色がかった彼の顔に目に見えてかッと血の気がのぼったのである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
その間も人が来やしないかとびくびくしましたが、とうとう恐ろしくなり、さいわいにだれにも
見咎
(
みとが
)
められずに五階へ来ました。その時ふと贋造紙幣のことを考えたのです。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
或る日本人は馬車の中で寺院の写真を見ていた処を警吏に
見咎
(
みとが
)
められて十日間抑留された。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
平八郎等の舟がそれに
雑
(
まじ
)
つて
上
(
のぼ
)
つたり
下
(
く
)
だつたりしてゐても、誰も
見咎
(
みとが
)
めるものはない。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それは女房が忍んで親元へまいる処をお前に
見咎
(
みとが
)
められて、
浅手
(
あさで
)
を負うたようであるが、気にする程のことはないから、このことは他へは
口外
(
こうがい
)
してはなりませぬ、上様は落馬以来
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私は
見咎
(
みとが
)
められないように窓の下を放れて、私の家へ帰りましたが、そのからんとした空家……もうこれでお別れかと思うと、
梁
(
はり
)
にかけられた
蜘蛛
(
くも
)
の巣までに愛着が感じられたのです。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
それを
見咎
(
みとが
)
めて一つ
喚
(
わめ
)
く、とがたがたと、
跫音
(
あしおと
)
高く、
駈
(
か
)
け
退
(
の
)
いたのは御亭どの。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼を
識
(
し
)
れりし者は定めて
見咎
(
みとが
)
むべし、彼の
面影
(
おもかげ
)
は
尠
(
すくな
)
からず変りぬ。愛らしかりしところは皆
失
(
う
)
せて、
四年
(
よとせ
)
に余る悲酸と憂苦と相結びて常に解けざる色は、
自
(
おのづか
)
ら暗き陰を成してその
面
(
おもて
)
を
蔽
(
おほ
)
へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
平四郎その
方
(
ほう
)
へ追い行かんとせしが、ふと伝三の舌を
吐
(
は
)
きたるを
見咎
(
みとが
)
め
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしわたくしたち二人、二十一、二の男に十六、七の娘が
更
(
ふ
)
け渡る夜の寒さと寂しさとに、おのずから身を
摺
(
す
)
り寄せながら行くにもかかわらず、唯の一度も巡査に
見咎
(
みとが
)
められたことがなかった。
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこで源三は川から二三
間
(
けん
)
離
(
はな
)
れた大きな岩のわずかに
裂
(
さ
)
け
開
(
ひら
)
けているその間に身を
隠
(
かく
)
して、
見咎
(
みとが
)
められまいと
潜
(
ひそ
)
んでいると、ちょうど前に我が休んだあたりのところへ腰を下して
憩
(
やす
)
んだらしくて
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は誰にも
見咎
(
みとが
)
められず侵入し誰にも見咎められず立去ったのです。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
剥出し
吠付
(
ほえつく
)
にぞお菊は驚き思はずも裏口の障子を
引明
(
ひきあけ
)
駈込
(
かけこま
)
んと
爲
(
する
)
に臺所に居たる男共
見咎
(
みとが
)
め誰だ/\と言ながら立出
窶然
(
みすぼらし
)
き姿を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして女湯の
扉口
(
ドアぐち
)
へ行こうとした、ちょうどその時彼は其処で湯屋の女房とばったり
鉢合
(
はちあわ
)
せをしたのみか、ちょっと
見咎
(
みとが
)
められたのであった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
偶然、通りかかった旅の豪傑が、悪者どもの
狼藉
(
ろうぜき
)
を
見咎
(
みとが
)
めて、それを
遮
(
さえぎ
)
ってくれたものだろうと喜び勇んで来て見ると、その豪傑の強いこと。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「万一
見咎
(
みとが
)
められるようなことがありましょうとも、一命に懸けて御一同の難儀になるようなことはいたしませぬ」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
こうすれば妾はいつ
家
(
うち
)
の人に
見咎
(
みとが
)
められても美紅としか見えませぬ。けれども一番おしまいの晩にとうとう貴方——青眼先生に見付けられてしまいました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
福子に
見咎
(
みとが
)
められないやうに、物置小屋の棚の上に押し上げて置いたのであるが、お袋には見当がついてゐた筈だから、出して渡してやつたのかも知れない。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
岐阜
(
ぎふ
)
の里まで用事があって出向いたところ、すぐ木戸の役人に
見咎
(
みとが
)
められて
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ヤ
撲
(
ぶ
)
ったな。ああ、痛え。」「おお、痛え。済まねえやい、木や土で
造
(
こせ
)
えた
木偶
(
にんぎょう
)
じゃねえ。」「血のある人間だ、さあどうする。」とくってかかる混雑紛れ、お丹等老婦人を
見咎
(
みとが
)
められず
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分は母に
見咎
(
みとが
)
められるのを恐れて、その
夜
(
よ
)
はあえて
縁側
(
えんがわ
)
へ出なかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸い誰にも
見咎
(
みとが
)
められずに首尾よう念日様のお手で黒髪を切りおとし、このような尼姿に、いいえ、ひと目を
晦
(
くら
)
ます尼姿になることが出来ましたなれど、あの院代様に、さき程お争いのあの玄長様に
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かの女の顔色は女中に
見咎
(
みとが
)
められる程真青だった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
幸い誰も
見咎
(
みとが
)
める者はなかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
白髯の武士は
見咎
(
みとが
)
めた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あれを引っかけて行こうか知ら、あれなら、どうやら外聞が
繕
(
つくろ
)
えるが、気恥かしいばかりではない、
見咎
(
みとが
)
められた時の申しわけにも困りはしないか。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
福子に
見咎
(
みとが
)
められないように、物置小屋の
棚
(
たな
)
の上に押し上げて置いたのであるが、お袋には見当がついていた
筈
(
はず
)
だから、出して渡してやったのかも知れない。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仏像を背負って出て来た貫一を、やはり前四夜と同じように遠方から
見咎
(
みとが
)
めて駆付けて来る縞馬姿の刑事! 貫一はピストルを握って、刑事の首に覘いをつけた。
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
盜
(
ぬす
)
み
逃出
(
にげいだ
)
さんとせし
機
(
をり
)
五兵衞悴五郎藏に
見咎
(
みとが
)
められ候間
據
(
よんど
)
ころなく殺害致し
立退
(
たちのき
)
申候此儀は全く出來心に付何卒御慈悲に
命
(
いのち
)
ばかりは御助け願ひ奉つり候と
然
(
さ
)
も初心らしく申を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ちっとも恥ずるところはない。
咎
(
とが
)
められるところもない。ただ他人に
見咎
(
みとが
)
められさえしなければ……疑われさえしなければいいのだ。ちっとも構わない。何でもない事なのだ。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
倖いに神官が気づかないからよいようなものの、もし
見咎
(
みとが
)
められたら
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし何処へ往つたと
見咎
(
みとが
)
められると、こゝに不思議な話がある、
極
(
ごく
)
ないしよなんだけれども、
褌
(
ふんどし
)
を外して
袂
(
たもと
)
へ忍ばせて置くんで、
宜
(
よ
)
うがすか、何の為だと云ふと、其塾の傍に一筋の小川が流れて居る
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
咎
漢検1級
部首:⼝
8画
“見”で始まる語句
見
見惚
見出
見物
見下
見上
見送
見透
見做
見当