清潔きれい)” の例文
第六 毎日まいにち一度いちど冷水ひやみづあるひ微温湯ぬるゆにて身體からだ清潔きれいぬぐひとり、肌着はだぎ着替きかへべし。入浴ふろは六七日目にちめごとなるたけあつからざるるべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
かれ鬼怒川きぬがは高瀬船たかせぶね船頭せんどう衣物きものかとおもやうくも/\ぎだらけな、それも自分じぶんつくろつて清潔きれいあらざらした仕事衣しごとぎ裾長すそなが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
到るところ清潔きれいになつて、しかも幸に俗趣味にもせぬ公園的の美に仙郷的の幽を兼ねた土地と發達したのを見て、愉悦の情に堪へぬ氣がした。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それは私に同情してではなくて、清潔きれい好きな彼女にとつて、私のきたない手が見苦しいからだ、と私はそんな風に邪推した。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
足りずば上杉さまにて御立かへを願ひ、諸事清潔きれいにして御帰りなさるべく、金ゆゑに恥ぢをおきなされては金庫の番をいたす我等が申わけなく候
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一旦庭を清潔きれいに掃き浄めた後、一つの見識を以て、あらためてひと散し木の葉を撒いたので、そこで芸術になりました。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
手水ちょうずを取るのに清潔きれいだからと女中が案内をするから、この離座敷はなれに近い洗面所に来ると、三カ所、水道口みずぐちがあるのにそのどれをひねっても水が出ない。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところが、マヴラの奴めが飛んでもない時に床を洗ひはじめたものさ。どうも芬蘭フィンランド女といふ奴は馬鹿が多くて、とかく清潔きれいずきも場違ひで困りものだ。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
それを夫人がタオルで清潔きれいくと、女中が着物をせるといふ手順で子供達をそつくり湯を済ます時分には、親はげんなりと草臥くたびれてしまふといふ事だ。
「山羊は手數も金もかからない。清潔きれいで、臭くない、おとなしいいい奴ですぜ。あんさん一つ樂しみに飼つて見なすつたら。乳を飮みや養生にもなるし。」
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
庭の清潔きれいなこと、赤松の一と抱えもあるのがあり、其の下に白川御影しらかわみかげ春日燈籠かすがどうろうがあり、の木の植込うえご錦木にしきゞのあしらい、下草の様子、何やかや申分もうしぶんなく
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
折角の安さんの親切も、無駄であった。然し剃刀そりがあった処で、あの安さんの清潔きれいな手では全く恐れ入る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
熱田の町の清潔きれいさ。その朝は街道筋も塵一つない。小溝こみぞの水までが美しく底を見せていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清潔きれい洋盃カツプれ』と帽子屋ばうしやくちれて、『みんなでひと場所ばしよ取交とりかへやうぢやないか』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
清潔きれいずきで、身綺麗だった祖母に愛されたとはいえ、祖母はもう七十三歳にもなっていたので、抱きかかえての愛ではなく、そしてまた、祖母の昔気質から、もろもろのことをはばまれもしたり
それではこれ/\の処に菊水という、桜木ほどに清潔きれいではないが、私の気の置けないちさい家があるから、と、約束をして、私は、ものの一と月も顔を見なかったような、急々せかせかした心持をしながら
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
髮をすつかりよくかして、黒い上衣うはぎ——まるでクェイカー教徒みたいだが、少くともきちんと合つてゐるといふだけの價値ねうちはあつた——を着て、そして清潔きれいな白いレースの襟をつけた時には、私は
親鸞 わしのからだは清潔きれいだね。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
かれいへかへつたのはおしなんだときでも、それから三年目ねんめぼんときでもいへ空洞からり清潔きれいつててそれほど汚穢むさかんじはあたへられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なるべく清潔きれい褞袍どてらを選んで持って来さしたり、自分の預品を使ってコヽアを溶いて作るように命じたりしました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「お聞きなさいよ。何とかウイスキイてんでしょう。びんをさ、——余り清潔きれいじゃあない手巾ハンケチせたまんまで、……仰向あおむいてその鼻が、鼻が、ほほほ。」
多「踏抜きはしやせん、踏抜きをしねえように朝くれえうちに貝殻や小さい砂利だの瀬戸物の砕片かけがあると、ほじくって置き、清潔きれいに掃きやんすから平坦てえらになって居りやす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
イマニユエル王は子供のやうにねむさうな顔を、半分ばかし寝床から持ち上げて見た。入つて来たのは宿の亭主で、胸には折目のついた清潔きれい上布シイツを大事さうに抱へてゐた。
おやおや、とんでもない時に、清潔きれいずきな気まぐれを起したもんだよ! つひぞお前さんが顔なんか洗つたためしがありますかね? そら、手拭をあげますよ、これでその御面相を
冷水ひやみずで洗ったような清潔きれいな腹をもって居ると他にも云われ自分でも常々云うていたおまえが、今日に限って何という煮えきれない分別、女の妾から見ても意地の足らないぐずぐず思案
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
郵便爲替にて證書面のとほりお送り申候へども、足りずば上杉さまにて御立かへを願ひ、諸事清潔きれいにして御歸りなさるべく、金故に恥ぢをお掻きなされては金庫の番をいたす我等が申わけなく候
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勘次かんじ依然いぜんとして俛首うなだれたまゝつひとなり主人しゆじんもんくゞつた。燒趾やけあといしずゑとゞめて清潔きれいはらはれてあつた。中央ちうあうおほきかつた建物たてものうしなつてには喬木けうぼくかこまれてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この店の女房が、東京ものは清潔きれいずきだからと、気を利かして、正札のついた真新しい湯沸ゆわかし達引たてひいてくれた心意気に対しても、言われた義理ではないのだけれど。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これから見ると富藏とみぞうばアさんなぞは五十八で身体が利かねえって、ヨボ/\して時々もらしますから、の人の事を思えば達者だ……是は汚いが茶碗は清潔きれいなのと取換えておくれよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まあ其辺そこら塵埃ごみの無さゝうなところへ坐つて呉れ、油虫が這つて行くから用心しな、野郎ばかりの家は不潔きたないのが粧飾みえだから仕方が無い、おれおまへのやうな好い嚊でも持つたら清潔きれいに為やうよ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
といふのは外でもない、秋山氏は井口氏のやうな清潔きれい好きでは無かつたから。
郵便爲替いうびんかはせにて證書面しようしよめんのとほりおおくり申候へども、りずば上杉うへすぎさまにて御立おたてかへをねがひ、諸事しよじ清潔きれいにして御歸おかへりなさるべく、かねゆへぢをおきなされては金庫きんこばんをいたす我等われらが申わけなく候
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
足袋のことをいうから次手に云っておく。近来は汚れた白足袋を穿いて居るものが多い。敢えて新しいのを買えとはいわぬ。せつせつ洗えば、それで清潔きれいになるのである。
白い下地 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まあそこらの塵埃ごみのなさそうなところへ坐ってくれ、油虫がって行くから用心しな、野郎ばかりの家は不潔きたないのが粧飾みえだから仕方がない、おれおまえのような好いかかでも持ったら清潔きれいにしようよ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
俺も、こんな口を利いたって、ちっとも偉い男ではない。お互に人間の中の虫だ。——虫だが、書物ばかり食っている、しみのような虫だから、失礼ながら君よりは、清潔きれいだよ。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まあ出来るだけの世話は為たつもり、然し恩に被せるとおもふて呉れるな、上人様だとて汝の清潔きれいな腹の中を御洞察おみとほしになつたればこそ、汝の薄命ふしあはせを気の毒とおもはれたればこそ今日のやうな御諭し
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
冷水で洗つたやうな清潔きれいな腹を有つて居ると他にも云はれ自分でも常〻云ふて居たおまへが、今日に限つて何といふ煮切ない分別、女の妾から見ても意地の足らない愚図〻〻思案、賞めませぬ賞めませぬ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まあできるだけの世話はしたつもり、しかし恩にせるとおもうてくれるな、上人様だとて汝の清潔きれいな腹の中をお洞察みとおしになったればこそ、汝の薄命ふしあわせを気の毒とおもわれたればこそ今日のようなお諭し
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)