“きれい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
綺麗72.8%
奇麗11.8%
5.3%
清潔4.4%
美麗2.5%
清浄0.9%
沂嶺0.1%
紀霊0.1%
娟好0.1%
鬼隷0.1%
奇䴡0.1%
奇魔0.1%
寄麗0.1%
愧麗0.1%
氣沴0.1%
清冽0.1%
清純0.1%
美女0.1%
美貌0.1%
華麗0.1%
鮮麗0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「地下鉄会社が買入れた独逸ドイツ製の穴掘り機械だ。地底の機関車というやつだ。三トンもある重い機械が綺麗きれいになくなってしまったんだ」
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
奇麗きれいなすきとおった風がやってまいりました。まずこうのポプラをひるがえし、青の燕麦オートなみをたてそれからおかにのぼって来ました。
おきなぐさ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
秀夫はそのじょちゅうにビールの酌をしてもらいながら、琵琶びわいていたきれいな婢のことを聞こうと思ったが、それはまりがわるくて聞けなかった。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かれ鬼怒川きぬがは高瀬船たかせぶね船頭せんどう衣物きものかとおもやうくも/\ぎだらけな、それも自分じぶんつくろつて清潔きれいあらざらした仕事衣しごとぎ裾長すそなが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「あいよ。」とおかあさんがって、はこなかから美麗きれい林檎りんごして、おんなにやりました。そのはこにはおおきな、おもふた頑固がんこてつじょうが、ついていました。
それからと言ふものは、雀は清浄きれいな米や粟を、啄木鳥は、腐れた木から虫を探して喰べるやうになりました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
「お……。ここはふもとの降り道か。じつアな土地ところの衆、ゆうべ沂嶺きれいの上で、連れていたおらの大事なおふくろを、虎にい殺されてしまってさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沂嶺きれいの往来を悩ました虎族は退治されるし、あげくに、お尋ね者の黒旋風こくせんぷうをお召捕りくだすって、町のものにとっちゃ、こんなありがたいことはございません。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今だっ」と、勢いを得て、敵の中央に備え立てている紀霊きれい雷薄らいはく陳紀ちんきなどの諸陣を突破して、またたくまに本営に迫った。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて、玄徳のほうでは、留守の徐州にそんな異変が起ったとは知るはずもなく、敵の紀霊きれいを追って、その日、淮陰わいいんの河畔へ陣をすすめていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白い面長な娟好きれいな顔が見えた。南はその顔が何人か知っている人の顔に似ているように思った。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何の好奇ものずきに土百姓の汚い女なんかに、手を出すものですか、金は唸るほどあるし、女が欲しけりゃ、いくらでも娟好きれいな女が手に入るじゃありませんか、こんなことになったのも、あんな土百姓にでも
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今更云うまでもない事だが、鬼狐の談に富んだ支那の小説では、城隍じょうこうを始め下廻りの判官や鬼隷きれいも暇じゃない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いぬの肉さえ供物にすれば、悪人の味方もすると云う、賊城隍がある位だから、人間の女房を追い廻した報いに、肘を折られたり頭を落されたり、天下に赤恥を広告する判官や鬼隷きれいも少くない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「ああ、どんなに奇䴡きれいでせう?」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
彼様あんな猛悪な心が、此の胸に潜んで居るのかと思ふと、自分ながら恐ろしくてたまりませんもの、——私は剛さん、奇魔きれいに死ぬことと覚悟して居たんです、彼様あんな乱暴しようとは、夢にも思やしませんよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
雖然けれども顏の寄麗きれいなのと、體格の完全くわんぜんしてゐるのと、おつとりした姿と、うつくしいはだとに心をチヤームせられて、賤しいといふ考をわすれて了ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それにしても相手が碧い眼の金髪の見あげれば見あげるほど愧麗きれいな人形と化して止め度もなく、私は正しくピグメリアンの痴想に惑乱されて、息も絶え絶えであつた。
タンタレスの春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
いまだ浹辰せふしんを移さずして、氣沴きれいおのづから清まりぬ。すなはち牛を放ち馬をいこへ、愷悌がいていして華夏に歸り、はたを卷きほこをさめ、儛詠ぶえいして都邑に停まりたまひき。
あいちやんはうかしてこのくらあなからて、うつくしい花壇くわだんや、清冽きれいいづみほとり徜徉さまよひたいとしきりにのぞみました、が其戸口そのとぐちからはあたますことさへも出來できませんでした、可哀相かあいさうあいちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
何事だろうと、布目を覗く若いをたしなめて、内の障子より清純きれいだというのに、卓子掛てえぶるかけの上へ真新しいのをまた一枚敷いて、その上をしなった指で一のし伸して
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「やっぱり可いんでしょう。ね、それ御覧なさい。美女きれいだからだよ。坊ちゃんは小親さんにれたのね。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そうでない、胴を離れたお通の首を見てからじっと考えてみるがよいわさ。美貌きれいがなんじゃあ……美しい女子おなごも死ねば白骨……色即是空しきそくぜくうを目に見せて進ぜよう」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先刻さっき申上もうしあげたとおり、わたくし小娘こむすめみちびかれて、あの華麗きれい日本間にほんまとおされ、そして薄絹製うすぎぬせいしろ座布団ざぶとんあたえられて、それへすわったのでございますが、不図ふと自分じぶん前面まえのところをると
「はい、」と潤んだ含声の優しいのが聞えると、ぱッ摺附木マッチる。小さな松火たいまつ真暗まっくらな中に、火鉢の前に、壁の隅に、手拭のかかった下に、中腰で洋燈ランプ火屋ほやを持ったお雪の姿を鮮麗きれいてらし出した。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)