“きれい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
綺麗71.5%
奇麗11.9%
5.9%
清潔4.9%
美麗2.6%
清浄0.8%
奇䴡0.2%
奇魔0.2%
娟好0.2%
寄麗0.2%
(他:11)1.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
煤掃すすはきも済み餅搗もちつきも終えて、家の中も庭のまわりも広々と綺麗きれいになったのが、気も浮立つ程嬉しかった。
守の家 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
御坊はこの頭蓋骨と頬骨と外に二つ三つの大きな骨を残して、「あとは綺麗きれいふるって持って参りましょう」と云った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
奇麗きれいでしたろう」とつける。奇麗でしたろうは詩人として余り平凡である。口に出した当人も、これはひどいと自覚した。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
論より証拠しょうこ発奮して死ぬものは奇麗きれいに死ぬが、いじけて殺されるものは、どうもうまく死に切れないようだ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時泉水に面したへや障子しょうじいて、そこから三十位に見える洋髪ようはつきれいな女の顔が見えた。
藤の瓔珞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
来る時に男の頭の見えていた隣の室では男と女の笑う声がしていた。秀夫はあのきれいな婢は隣にでもいるだろうかと思いながら、
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それも自分じぶんつくろつて清潔きれいあらざらした仕事衣しごとぎ裾長すそなが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それは私に同情してではなくて、清潔きれい好きな彼女にとつて、私のきたない手が見苦しいからだ、と私はそんな風に邪推した。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「あいよ。」とおかあさんがって、はこなかから美麗きれい林檎りんごして、おんなにやりました。
三十がらみでちょっと美麗きれいな女であったが、どこか横柄に、武蔵へ向って、子供へものをいいつけるように、
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからと言ふものは、雀は清浄きれいな米や粟を、啄木鳥は、腐れた木から虫を探して喰べるやうになりました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
裏の崖境がけざかいには、清浄きれいなのが沢山あるから、御休息かたがた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ああ、どんなに奇䴡きれいでせう?」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
けれどネ、剛さん、彼様あんな猛悪な心が、此の胸に潜んで居るのかと思ふと、自分ながら恐ろしくてたまりませんもの、——私は剛さん、奇魔きれいに死ぬことと覚悟して居たんです、彼様あんな乱暴しようとは、夢にも思やしませんよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
女はその時顔をあげた。白い面長な娟好きれいな顔が見えた。南はその顔が何人か知っている人の顔に似ているように思った。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そんなことがあってたまるものですか、あんな世家の旦那が、何の好奇ものずきに土百姓の汚い女なんかに、手を出すものですか、金は唸るほどあるし、女が欲しけりゃ、いくらでも娟好きれいな女が手に入るじゃありませんか、こんなことになったのも、あんな土百姓にでも、ちょっとした恩になると
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
雖然けれども顏の寄麗きれいなのと、體格の完全くわんぜんしてゐるのと、おつとりした姿と、うつくしいはだとに心をチヤームせられて、賤しいといふ考をわすれて了ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
——それにしても相手が碧い眼の金髪の見あげれば見あげるほど愧麗きれいな人形と化して止め度もなく、私は正しくピグメリアンの痴想に惑乱されて、息も絶え絶えであつた。
タンタレスの春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
いまだ浹辰せふしんを移さずして、氣沴きれいおのづから清まりぬ。
「お……。ここはふもとの降り道か。じつアな土地ところの衆、ゆうべ沂嶺きれいの上で、連れていたおらの大事なおふくろを、虎にい殺されてしまってさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、大変だわ大変だわ。沂嶺きれいの虎を四匹、しかも、たった一人でこの通り退治した豪傑が、この村を通らっしゃるぞ。そうの大旦那のおやしきへもすぐ知らせておけ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清冽きれいいづみほとり徜徉さまよひたいとしきりにのぞみました、が其戸口そのとぐちからはあたますことさへも出來できませんでした
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
何事だろうと、布目を覗く若いをたしなめて、内の障子より清純きれいだというのに、卓子掛てえぶるかけの上へ真新しいのをまた一枚敷いて、その上をしなった指で一のし伸して、
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「今だっ」と、勢いを得て、敵の中央に備え立てている紀霊きれい雷薄らいはく陳紀ちんきなどの諸陣を突破して、またたくまに本営に迫った。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
袁術の幕将の一人たる紀霊きれいがその指揮にあたり、兵員十万、長駆して小沛の県城へ進軍中と聞えた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やっぱり可いんでしょう。ね、それ御覧なさい。美女きれいだからだよ。坊ちゃんは小親さんにれたのね。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そうでない、胴を離れたお通の首を見てからじっと考えてみるがよいわさ。美貌きれいがなんじゃあ……美しい女子おなごも死ねば白骨……色即是空しきそくぜくうを目に見せて進ぜよう」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先刻さっき申上もうしあげたとおり、わたくし小娘こむすめみちびかれて、あの華麗きれい日本間にほんまとおされ
今更云うまでもない事だが、鬼狐の談に富んだ支那の小説では、城隍じょうこうを始め下廻りの判官や鬼隷きれいも暇じゃない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
——と云うと好い事ばかりのようだが、いぬの肉さえ供物にすれば、悪人の味方もすると云う、賊城隍がある位だから、人間の女房を追い廻した報いに、肘を折られたり頭を落されたり、天下に赤恥を広告する判官や鬼隷きれいも少くない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小さな松火たいまつ真暗まっくらな中に、火鉢の前に、壁の隅に、手拭のかかった下に、中腰で洋燈ランプ火屋ほやを持ったお雪の姿を鮮麗きれいてらし出した。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)