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摩
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す
ふりがな文庫
“
摩
(
す
)” の例文
米国の黒人は兎脳を生で食えば脳力を強くしまたそれを
乾
(
ほ
)
して
摩
(
す
)
れば歯痛まずに生えると信ず(一八九三年版『
老兎巫蠱篇
(
オールド・ラビット・ゼ・ヴーズー
)
』二〇七頁)
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「どこへ行くのです」と云うと、「じきそこの柔術の先生の所へ行くのだよ。例のはいずれそのうち」と云って
摩
(
す
)
り抜けて行った。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
引寄せられし宮はほとほと
仆
(
たふ
)
れんとして椅子に支へられたるを、唯継は鼻も
摩
(
す
)
るばかりにその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
きて余念も無く見入りつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
白樺の木どもは、これから起って来る、珍らしい出来事を見ようと思うらしく、互に
摩
(
す
)
り寄って、
頸
(
くび
)
を長くして、声を立てずに見ている。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
余が立つて居る岬角を
摩
(
す
)
つて、また下手對岸の蒼黒い巖壁にぶつかると、全川の水は捩ぢ曲げられた樣に左に折れて、また滔々と流して行く。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
「ようございますよ。ようございますよ。」かう云ひながら、女はセルギウスの側を
摩
(
す
)
り抜けるやうにして中に這入つた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
そうして
土山
(
つちやま
)
から出た人物の
中
(
うち
)
では、
千両函
(
せんりょうばこ
)
を
摩
(
す
)
り
替
(
か
)
えて
磔
(
はりつけ
)
になったのが一番大きいのだと云う一口話をやはり友達から聞いた通り繰り返した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(マッチを探す。ようようマッチの箱を見出し、マッチを一本取りて
摩
(
す
)
る。また戸を叩く音す。うるさがる様子にて。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
ドルフはリイケの傍へ
摩
(
す
)
り寄つて、臂をリイケの腋に廻した。「なに、己は好い人でも悪い人でも無い。只お前を心から可哀く思つてゐる丈さ。」
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
製法
(
せいはう
)
は自然の
扁平石
(
へんへいせき
)
の小さきものを
採
(
と
)
り、又は石を打ち
缺
(
か
)
き
摩
(
す
)
り减らして斯かる形と爲し、其上に
燧石抔
(
ひうちいしなぞ
)
の尖りたる角にて切り目を付けしものならん
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
孝「
少
(
ちい
)
さい時分に別れましたから、事に寄ったら往来で
摩
(
す
)
れ違った事もございましょうが、逢った事はございません」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それもスコッチの毛の
摩
(
す
)
れてなくなった
鳶色
(
とびいろ
)
の古背広、上にはおったインバネスも
羊羹色
(
ようかんいろ
)
に黄ばんで、右の手には犬の頭のすぐ取れる安ステッキをつき
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
其一番後から降りやうとする子供を芳公は力まかせに突き落したのです。子供は其の為めに足を挫き、彼方此方
摩
(
す
)
りむいてひどい目に遇つたと云ふのです。
白痴の母
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
第二には、最近まで貧しい平民であった翁の前に、皇子や大臣が「娘を我にたべと伏し拝み手を
摩
(
す
)
り」て頼む。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
わたしは彼に、君はそんなにはげしい開墾の仕事をしているから厚い長靴と丈夫な着物が入り用になり、しかもそれはじきにひどくなり
摩
(
す
)
り
切
(
き
)
れてしまう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
一部は橋の
袂
(
たもと
)
から突出た
巌
(
いわ
)
に
礙
(
さまた
)
げられてこゝに
淵
(
ふち
)
を
湛
(
たた
)
え、余の水は其まゝ押流して、余が立って居る
岬角
(
こうかく
)
を
摩
(
す
)
って、また下手対岸の蒼黒い
巌壁
(
がんぺき
)
にぶつかると
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
己は木の下に歩み寄つた。一箇処繩で
摩
(
す
)
られて、木の皮が溝のやうに窪んでゐた。そして木の根にはちぎれた繩が落ちてゐた。樵夫はそれを拾つて
嚢
(
ふくろ
)
に入れた。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
『
貴女
(
あなた
)
は小説はお嫌ひですか?』と、信吾は少し
突然
(
だしぬけ
)
に問うた。其の時はモウ肩も
摩
(
す
)
れ/\に並んでゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
が、
咄嗟
(
とっさ
)
な場合、二人は下帯を脱して、櫂を両方の
舷
(
ふなべり
)
へ
縛
(
しば
)
り付けた。が、半町と漕がないうちに、弱い木綿は、櫂と舷との強い摩擦のために
摩
(
す
)
り切れてしまった。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何かいやな臭いのする路地を通って、台所口へ回り、外さなければ開かないような建付の悪いガラス戸を開けると、朝野のらしい
摩
(
す
)
り切れた下駄がそこにあった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
私の
脛
(
すね
)
へひやりととまったり、両脚を挙げて腋の下を
掻
(
か
)
くような
模
(
ま
)
ねをしたり手を
摩
(
す
)
りあわせたり、かと思うと弱よわしく飛び立っては絡み合ったりするのである。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
勇は打ち損ねて、自分の独楽は
地面
(
じべた
)
を
摩
(
す
)
って空廻りをする、今度は勇が先に廻さなければなりません。
百合の花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
馬は耳へ水を入れられると死ぬ、お前は折を狙って『
東雲
(
しののめ
)
』の耳に水を入れ、馬のお上手でない相沢様を落馬させて、御墨付の文箱を
摩
(
す
)
り替えるつもりだったろう。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
独
(
ひと
)
りごちし時、
総身
(
そうしん
)
を心ありげに震いぬ。かくて温まりし掌もて心地よげに顔を
摩
(
す
)
りたり。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
梶棒と梶棒とを
摩
(
す
)
れ/\にして、何か知ら
符牒
(
ふてふ
)
で暫く話し合つてゐる中に、忽ち纏りが付いて、千代松と竹丸とは向うから來た車に乘せられ、若い男と女とは
此方
(
こつち
)
の車に乘つて
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
幸いに杖があったものですからその杖で踏み
堪
(
こた
)
えた訳ですがさて進むことが出来ない。後に引き返そうとしますと大分向うへ
摩
(
す
)
れ落ちて居るのでどうも後に帰ることが出来ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
庵室の中で、しきりと、さっきから
燧打石
(
ひうちいし
)
を
摩
(
す
)
っていたべつな僧が、舌打ちして
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
車のゆきかふこと隙間なく見ゆるに、その餘せる地にはうれしげなる面持したる人肩
摩
(
す
)
るほどに集へり。歩まむとする人は、車と車との隙を行くより外すべなし。音樂の聲は四面より聞ゆ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
だから、早く云って見れば、文学と接触して
摩
(
す
)
れ摩れになって来るけれども、それが始めは文学に入らないで、先ず社会主義に入って来た。つまり文学趣味に激成されて社会主義になったのだ。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
笠ヶ岳の長い尾根が高く
列
(
つら
)
なっているのと向い合って、右俣谷の上を截ち切るように、高く
繞
(
め
)
ぐっているのは、槍ヶ岳から穂高岳、岳川岳へとかけた岩石の大屏風で、両方とも肩を
摩
(
す
)
れ
摩
(
す
)
れにして
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
さう言つて学生に別れた岩村男は、控室に帰つて
角々
(
かど/\
)
の
摩
(
す
)
り切れた
例
(
いつも
)
の
紙挟
(
ポートフオリオ
)
を小脇に
挟
(
はさ
)
むだと思ふと、直ぐ表通りへ飛び出した。そして物の二十分と経たぬ
間
(
ま
)
に会堂
側
(
わき
)
の牛飯屋の店先に立つてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
母なる人の友、菊枝、上手より来りてこの
母子
(
おやこ
)
に
摩
(
す
)
れちがひ
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
その家へ往くには、あなた余程深く
摩
(
す
)
り込むのです。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
なきがらを
沙
(
いさご
)
に
摩
(
す
)
るか。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
下駄を脱ぎすてて台所にあがったお豊さんは、壁に吊ってある竿の手拭いで手をふいている。そのそばへご新造が
摩
(
す
)
り寄った。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さうして
土山
(
つちやま
)
から
出
(
で
)
た
人物
(
じんぶつ
)
の
中
(
うち
)
では、
千兩凾
(
せんりやうばこ
)
を
摩
(
す
)
り
替
(
か
)
へて
磔
(
はりつけ
)
になつたのが
一番
(
いちばん
)
大
(
おほ
)
きいのだと
云
(
い
)
ふ
一口話
(
ひとくちばなし
)
を
矢張
(
やは
)
り
友達
(
ともだち
)
から
聞
(
き
)
いた
通
(
とほ
)
り
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その路に処々大木の皮摩損するものあり。土地の掘れたる処あり。これ土あるいは木脂を身に
摩
(
す
)
り
傅
(
つ
)
けて堅くするなり。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「と申しても、どこに隠されたやら、誰が
摩
(
す
)
り替えたやら、
掻暮
(
かいくれ
)
見当も付きません。平次様、お助け下さいまし、
外
(
ほか
)
に頼るところもない親子、主従の難儀でございます」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
石を
摩
(
す
)
り截るには木の
小枝抔
(
せうしなど
)
を採り、其の一端へ
堅
(
かた
)
き
砂
(
すな
)
を付けて之を握り墨を
摺
(
す
)
る時の如くに手を
前後
(
ぜんご
)
に
動
(
うご
)
かし、一面より摩り初めて凹みの
深
(
ふか
)
さ石の厚さの
半
(
なかば
)
に達したる
頃
(
ころ
)
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
お文と源太郎とは、人込みの中を抜けて、
褄
(
つま
)
を取つて行く
紅白粉
(
べにおしろい
)
の濃い女や、
萌黄
(
もえぎ
)
の風呂敷に箱らしい四角なものを包んだのを掲げた女やに
摩
(
す
)
れ違ひながら、
千日前
(
せんにちまへ
)
の方へ曲つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
体を安楽椅子に深く
凭
(
よ
)
せて、そこにあるロシア煙草を一本取つてマツチを
摩
(
す
)
つた。
時子
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
まるで幽霊のようにすうッと身体を前に進ませていたが、幽霊と違うのは、
摩
(
す
)
り切れて
草履
(
ぞうり
)
のような下駄から発せられるところの、シャッシャッという一種快適なリズミカルな音であった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
のみならず、波はすでに組織された物体を一定の形にととのえるよりは、むしろその形を
摩
(
す
)
りへらすものではないかとわたしは思う。それらは乾かしておくといつまでもそのままの形をたもつ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
誠に
穏
(
おだや
)
かな海上でありましたが、
夜
(
よ
)
の
更
(
ふけ
)
るに従って浪はます/\
烈
(
はげ
)
しく、ざぶり/\と舟の中に汐水が入りますのみか、最早
小縁
(
こべり
)
と
摩
(
す
)
れ/\になりまして、今にも
覆
(
くつがえ
)
りそうな有様でございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
摩
(
す
)
れあへる肩のひまより
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
もし抽斎がわたくしのコンタンポランであったなら、二人の
袖
(
そで
)
は
横町
(
よこちょう
)
の
溝板
(
どぶいた
)
の上で
摩
(
す
)
れ合ったはずである。ここにこの人とわたくしとの間に
暱
(
なじ
)
みが生ずる。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
動く
度
(
たび
)
に舌の
摩
(
す
)
れ合う音でもあろう微かな声が出る。微かではあるが只一つの声ではない、
漸
(
ようや
)
く鼓膜に響く位の静かな音のうちに——無数の音が交っている。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
以上の骨器角器牙器は燧石の角にて
疵付
(
きづつ
)
くる事と、砥石の類に
摩
(
す
)
り
付
(
つ
)
くる事とに由りて
作
(
つく
)
り上げしならん。圖中に
畫
(
ゑが
)
きたる石器骨器角噐牙噐は皆理科大學人類學教室の藏品なり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
と
摩
(
す
)
り寄ると
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夕
(
ゆうべ
)
の昌平橋は
雑沓
(
ざっとう
)
する。内神田の
咽喉
(
いんこう
)
を
扼
(
やく
)
している、ここの
狭隘
(
きょうあい
)
に、おりおり捲き起される冷たい
埃
(
ほこり
)
を浴びて、影のような
群集
(
ぐんじゅ
)
が
忙
(
せわ
)
しげに
摩
(
す
)
れ違っている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
摩
常用漢字
中学
部首:⼿
15画
“摩”を含む語句
摩擦
筑摩
摩西
薩摩芋
大薩摩
薩摩
揣摩
達摩
維摩経
筑摩川
摩尼
薩摩琵琶
相摩
摩睺羅伽
脚摩乳
摩周
摩天楼
手摩乳
紫摩黄金
安摩
...