成就じやうじゆ)” の例文
以て此證據の品にもとづき事成就じやうじゆ致すやう深慮しんりよの程こそ願はしとのべければ伊賀亮は欣然きんぜんと打笑ひ左こそ有べし事を分てたのむとあれば義を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
のみならず万一成就じやうじゆするとしても縊死よりも苦痛は多いわけである。轢死れきしも僕には何よりも先に美的嫌悪を与へずにはゐなかつた。
或旧友へ送る手記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
以上いじやう大島小學校おほしませうがくかう由來ゆらい御座ございます。けれどもはたして池上權藏いけがみごんざうこゝろざし學校がくかうてたばかりで、成就じやうじゆしましたらうか。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
様子やうすけば、わし言托ことづけとほり、なにか、内儀ないぎ形代かたしろ一心いつしんきざむとく、……それ成就じやうじゆしたと昨夜ゆふべぢや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それではどうか心配しんぱいしててやらうといはれて勘次かんじかほ蘇生いきかへつたやうにつた。かれなんでも主人しゆじん盡力じんりよくしてれゝば成就じやうじゆするとおもつてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あなたは前後八ヶ月の日子につしつひやして思ひ立つた翻譯を成就じやうじゆしたとつてむしその長きに驚ろかれるやうだが、私はかへつてその迅速じんそくなのに感服したいのです。
『伝説の時代』序 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
翌日あくるひはわれアヌンチヤタが爲めに百千もゝちの計畫を成就じやうじゆし、百千の計畫を破壞して、終には身の甲斐かひなさを歎くのみなりき。嗚呼、われはとカムパニアの野の棄兒なり。
目下弁護事務にてすこぶる有望の事件を担当し居り、この事件にして成就じやうじゆせば、数万すまん報酬はうしうを得んこと容易なれば、其上そのうへにてすべて花々しく処断すべし、何卒なにとぞ暫しの苦悶を忍びて
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
これで熊井熊五郎の百軒から一萬兩盜む大願は成就じやうじゆする。伊勢屋幸右衞門へは三年前に一度押入り、居候浪人白井某と隣の仕立屋駒吉を斬つたが、此方も縮尻しくじつて一文も申受けなかつた。
○さて戯場しばゐ造作ざうさく成就じやうじゆしても春の雪ふりつゞきて連日れんじつはれを見ず、興行こうぎやうの初日のびる時は役者になりたる家はさら也、此しばゐを見んとて諸方に逗留とうりうきやくおほく毎日そらをながめてはれまちわび
じんすけもとより吾助ごすけ贔負びいきにて、此男このをとこのこと一も十も成就じやうじゆさせたく、よろこかほたさの一しんに、これまでのふみ幾通いくつう人目ひとめれぬやうとヾこほりとヾけ、令孃ひめこヽろらず返事へんじをとめしが
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ほんとに貴女あなたこそ幸福ねエ——何故ツて?——貴女は愛を成就じやうじゆなされたぢやありませんか、現今いまの貴女は只だ小波瀾の中に居なさるばかりです、銀子さん何卒どうぞ、私を可哀さうだと思つて下ださい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
貴下きか委任いにんけたる紀念塔きねんたふ建立けんりつは、首尾しゆびよく成就じやうじゆしたれども、その歸途きと吾等われらみづかまねきたるわざはひによりて、貴下きかすまへる海岸かいがんより、東方とうほう大約おほよそ三十山中さんちうにて、おそすなすべりのたに陷落かんらくせり
殊に最後の一篇は嫉妬のおににならんと欲せる女、「こはありがたきおつげかな。わがぐわん成就じやうじゆとよろこび、其まま川へとび入りける」
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
相觸あひふれらる此度は玄關迄伊豆守殿初め御役人殘らず見送りなればいとゞ威光ゐくわう彌増いやましたり是にて愈々いよ/\謀計ぼうけい成就じやうじゆせりと一同安堵あんどの思ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○さて戯場しばゐ造作ざうさく成就じやうじゆしても春の雪ふりつゞきて連日れんじつはれを見ず、興行こうぎやうの初日のびる時は役者になりたる家はさら也、此しばゐを見んとて諸方に逗留とうりうきやくおほく毎日そらをながめてはれまちわび
しか伸一先生しんいちせんせい老先生らうせんせいうるはしき性情せいじやうけてさらにこれをあたらしくみがげた人物じんぶつとして此小學校このせうがくかう監督かんとく我々われ/\第二だいに權藏ごんざうとなつて教導けうだうされたのです。權藏ごんざうこゝろざしもつと完全くわんぜん成就じやうじゆされました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
宗助そうすけはたゞ惘然ばうぜんとした。自己じこ根氣こんき精力せいりよくらないこと齒掻はがゆおもうへに、夫程それほど歳月さいげつけなければ成就じやうじゆ出來できないものなら、自分じぶんなにしにこのやまなかまでつてたか、それからがだい一の矛盾むじゆんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
加へ新規しんき建添たてそへなどし失費もいとはず人歩をまして急ぎければわづかの日數にて荒増あらまし成就じやうじゆしたれば然ばとて一先歸國すべしと旅館へは召し連下男一人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)