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悪
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にく
ふりがな文庫
“
悪
(
にく
)” の例文
旧字:
惡
非常に素直で内気な、どんな事があつても、余程意地くね悪い人でゝもなければ彼女を
悪
(
にく
)
むことは出来ない程善良な人でありました。
背負ひ切れぬ重荷
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
野を焼くを
悪
(
にく
)
む発想に到らないはずはない。「今日はな焼きそ」の一種叙事詩化した以前、既に幾多の怨み歌が出てゐたに違ひない。
古代民謡の研究:その外輪に沿うて
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
でも博士は
悪
(
にく
)
んでも悪んでも悪み足りない人です。わたし、すっかり申し上げますから、どうぞ新聞に書くことだけは許して下さい。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
若
(
も
)
しこの歌が止んだなら全く浮世と繋がる一筋の糸も断ち切られてしまうので、
悪
(
にく
)
むべき敵ながら、その歌う歌の調子に涙ぐまれた。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「音に聞えし真柄殿、
何処
(
どこ
)
へ行き給うぞや、引返し勝負あれ」と呼びければ、「引くとは何事ぞ、
悪
(
にく
)
い男の言葉
哉
(
かな
)
。いでもの見せん」
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
源氏の縁坐で
斯様
(
かやう
)
の事も出来たのであるから、
無暗
(
むやみ
)
に将門を
悪
(
にく
)
むべくも無い、一族の事であるから
寧
(
むし
)
ろ
和睦
(
わぼく
)
しよう、といふのである。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
また内乱の源を尋ぬれば、もと人の不人情を
悪
(
にく
)
みて起こしたるものなり。しかるにおよそ人間世界に内乱ほど不人情なるものはなし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
今までにどこか罪な想像を
逞
(
たく
)
ましくしたという
疚
(
や
)
ましさもあり、また
面
(
めん
)
と向ってすぐとは云い
悪
(
にく
)
い皮肉な
覘
(
ねらい
)
を付けた自覚もあるので
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人並んでは歩き
悪
(
にく
)
いほどのきわめて狭い横穴が長々と延びているだけであったが、左右の岩壁に平行して岩棚が二筋作られてあり
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
漢の鄒陽の上書中に、燕人蘇秦が他邦から入りて燕に
相
(
しょう
)
たるを
悪
(
にく
)
み讒せしも燕王聞き入れず、更に秦を重んじ
駃騠
(
けってい
)
を食わせたとある。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
まだまだずゐぶんひどく
悪
(
にく
)
まれ口もきゝ耳の痛い筈なやうなことも云ひましたが誰も気持ち悪くする人はなく話が進めば進むほど
税務署長の冒険
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
さう云ふ時のさびしい、たよりのない心もちは、
成人
(
おとな
)
になるにつれて、忘れてしまふ。或は思ひ出さうとしても、容易に思ひ出し
悪
(
にく
)
い。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「うううむ。これは意外千万な事を聞くものじゃ。あれ程の大家の娘が、あられもない賭博なんどとは……ちと受取り
悪
(
にく
)
いが……」
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
見合わせ
悪
(
にく
)
いものだが、われわれはお互いに先覚者である。私は君にこれから一つ打ち明けて話をしよう。私は私の哲学を持っている。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
以前から父親の悪行を
悪
(
にく
)
んでいたのですが、今夜こそ、もう耐らなくなって、いっそ父親を警察へ引渡そうと決心したのでしょう。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして彼等は、何よりも浪漫派の女らしい、涙っぽい、ぐにゃぐにゃした自由主義の精神と、その甘たるくメロディアスな美を
悪
(
にく
)
んだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
博士は国文学者には珍しい気焔家だけに、
布哇
(
ハワイ
)
やカリフオルニヤでは日本人を集めて、国語教育について随分
悪
(
にく
)
まれ
口
(
ぐち
)
を利いたものだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし斯ういうのは殊に答え
悪
(
にく
)
い。まさかその通りとも言えないし、安いと褒めれば今度は高くするに
定
(
きま
)
っている。そこでお母さんは
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
小「ヤイ大野、其の方は卑怯な奴であるぞ、何うあっても汝の首を提げて屋敷へ帰らねば武道がたゝぬ、実に
悪
(
にく
)
むべき奴であるぞ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おかみさんは
黒人
(
くろと
)
の出の人だとかで、短気な、気に入り
悪
(
にく
)
い
方
(
かた
)
であつた。それへ大勢のお子たちがあつたりして、勤め辛かつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
平常
(
つね
)
の美登利ならば信如が難義の
体
(
てい
)
を指さして、あれあれあの意久地なしと笑ふて笑ふて笑ひ抜いて、言ひたいままの
悪
(
にく
)
まれ口
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昨夜二更一匹の
狗子
(
くし
)
窓下に来ってしきりに
哀啼
(
あいてい
)
す。
筆硯
(
ひっけん
)
の妨げらるるを
悪
(
にく
)
んで窓を開きみれば、
一望月光裡
(
いちぼうげっこうり
)
にあり。
寒威惨
(
かんいさん
)
として
揺
(
ゆる
)
がず。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
然レドモ人ト
為
(
な
)
リ気ヲ
尚
(
とうと
)
ビ、
厳峻
(
げんしゅん
)
ヲ以テ自ラ
厲
(
はげま
)
ス。
頗
(
すこぶ
)
ル
偏窄
(
へんさく
)
ニシテ少シク意ニ愜カザルヤ
輙
(
すなわ
)
チ
咄咄
(
とつとつ
)
トシテ
慢罵
(
まんば
)
ス。多ク人ノ
悪
(
にく
)
ム所トナル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
よく似た話だがこれも神霊がこれを
悪
(
にく
)
むのか否かは分らぬ。内地の小豆飯はむしろこの類の神の好むところと考えられている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この
感覚
(
かんかく
)
の
中
(
うち
)
において
人生
(
じんせい
)
全体
(
ぜんたい
)
が
含
(
ふく
)
まっているのです。これを
苦
(
く
)
にすること、
悪
(
にく
)
むことは
出来
(
でき
)
ます。が、これを
軽蔑
(
けいべつ
)
することは
出来
(
でき
)
んです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
高潔崇高なる詩人哲学者は
悉
(
こと/″\
)
く、戦争の邪念を
悪
(
にく
)
む、
而
(
しか
)
して英雄中の英雄なる基督に至りては堅く万民の相戦ふを禁じたり。
想断々(1)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
子供の頃から頭の中にある、悪いことばかりしていて、その割に
悪
(
にく
)
めない八戒の姿そのままがひょっくり出て来たので、大変なつかしかった。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
それから、これは一寸お嬢様には申し上げ
悪
(
にく
)
いことなのですが、お姉様のおやすみになった寝台には何者か男性がいたことが確認されました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
昨晩、江戸城内を抜け出して来た七兵衛の頭では、
公方様
(
くぼうさま
)
は決して
悪
(
にく
)
むべきお方ではなく、むしろかわいそうなお方である。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
井沢香央の人々、
七四
彼
(
かれ
)
を
悪
(
にく
)
み
此
(
これ
)
を
哀
(
かなし
)
みて、
専
(
もは
)
ら
七五
医
(
い
)
の
験
(
しるし
)
をもとむれども、
七六
粥
(
もの
)
さへ日々にすたりて、よろづにたのみなくぞ見えにけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
(あの男は俺を逃げて来た口だろうと言ったが、あれは単に
悪
(
にく
)
まれ口か、それとも俺の態度から何かを嗅ぎ出したのか?)
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
あらぬ思いに胸を焦がして、罪もない人を
嫉
(
ねた
)
んだり、また
悪
(
にく
)
しんだりしたことのあさましさを私はつくづく情なく思うた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
いつ見ても、
悪
(
にく
)
めないのはこの人です。早く人目に懸らぬうちと、私は歯医者を勝手口から忍ばせて、木戸を閉めました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仲麿は即ち
恵美押勝
(
えみのおしかつ
)
であるが、橘奈良麿等が仲麿の専横を
悪
(
にく
)
んで事を
謀
(
はか
)
った時に、仲麿の奏上によってその徒党を
平
(
たいら
)
げた。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
是非善悪を
弁
(
わきま
)
えて居る者はひそかにその挙動の憎むべき事、その業の社会、国家を害することを
悪
(
にく
)
んで、彼は悪魔である
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
少し藻西を
悪
(
にく
)
む者は実際より倍も二倍も悪く言い又
悪
(
にく
)
みも好みもせぬ者は
成
(
な
)
る
可
(
べ
)
く何事も云うまいとするから本統の事は到底聞き出す事が出来ぬ
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
さはいえ阿Qは承知せず、一途に彼を「偽
毛唐
(
けとう
)
」「外国人の犬」と思い込み、彼を見るたんびに
肚
(
はら
)
の中で
罵
(
ののし
)
り
悪
(
にく
)
んだ。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
村尾は愷をして犬塚某の養子たらしめた。某の妻愷を
悪
(
にく
)
んで虐遇すること甚しかつた。愷は犬塚氏を去り、鎌倉の寺院に寓し、写経して口を糊した。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
富子は顔をあげて「古き
契
(
ちぎり
)
を忘れ給いて、かくことなる事なき人を時めかし給うこそ、こなたよりまして
悪
(
にく
)
くなれ」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
然し、そうなると、鍵をかけようとした時に、ガス管を蹴飛ばして、ガスの洩れるのも知らないで寝て終うという事も、同じように考え
悪
(
にく
)
い事になる。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
此蹴綱に
転機
(
しかけ
)
あり、
全
(
まつた
)
く
作
(
つく
)
りをはりてのち、穴にのぞんで
玉蜀烟艸
(
たうがらしたばこ
)
の
茎
(
くき
)
のるゐ
熊
(
くま
)
の
悪
(
にく
)
む物を
焚
(
たき
)
、しきりに
扇
(
あふぎ
)
て
烟
(
けふり
)
を穴に入るれば熊烟りに
噎
(
むせ
)
て大に
怒
(
いか
)
り
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
人民の利益はもっとも忌むべき
悪
(
にく
)
むべき外交政略ちょう妄想のためにこれを犠牲に供し、国光国栄の妄想を主として一般人民の真実なる利益を
蹂躙
(
じゅうりん
)
せり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
貫一のこの人に向ひて親く物言ふ今夜の如き
例
(
ためし
)
はあらず、彼の物言はずとよりは、この人の
悪
(
にく
)
み
遠
(
とほざ
)
けたりしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
婚家に伝はる仏教に帰依し、諦らめを知り、覚めるがゆえに夢を
悪
(
にく
)
み、傷つくがために不羈独立の志操をきらひ、市井の因循細心な安危の世界に感動した。
母を殺した少年
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
而
(
しか
)
も
尤
(
もっと
)
も哀れな男の標本も寄生者たることを
悪
(
にく
)
む、否、少なくとも寄生者であると知られることを憎んでゐる。
結婚と恋愛
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
二度目には鶏冠谷の入口から左岸に路のあることを知って、広河原まで二時間許りで行くことを得た。然し此路も去年より一層分り
悪
(
にく
)
くなったようである。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
さうすると剣突を喰つて、「どうも褌を洗ひに行きますと云ふのは、何だか申上げ
悪
(
にく
)
いから黙つて出ました。」
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
貧
(
まず
)
しきと
賤
(
いや
)
しきとは人の
悪
(
にく
)
むところなりとあらば、いよいよ貧乏がきらいならば、自ら金持ちにならばと求むべし、今わが論ずるところすなわちその法なり
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
そのまたお松というのは、不きりょうで無口で、ちょいと扱い
悪
(
にく
)
い女、こんなのがお銀の持っているらしい、暗い秘密の保持には必要なのかもわかりません。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでも私はその谿谷が
悪
(
にく
)
くなく、よく小さな
焚木
(
たきぎ
)
を拾いがてらずんずん下の方まで降りていったりする。
卜居:津村信夫に
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
“悪”の解説
悪(あく)は、一般的な意味では、善の反対または欠如である。非常に広い概念であることもあるが、日常的な使い方では、より狭い範囲で深い邪悪さを表現することが多い。それは一般的に、複数の可能な形をとると考えられている。例えば、悪と一般的に関連している個人的な道徳的悪、または非個人的な自然的悪(自然災害または病気の場合のように)の形や、宗教的思想においては悪魔的または超自然的/永遠的な形などである。
(出典:Wikipedia)
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
“悪”を含む語句
悪戯
悪魔
悪漢
悪口
憎悪
悪寒
悪気
悪業
悪鬼
悪性
醜悪
好悪
折悪
悪霊
悪感
邪悪
悪戯盛
悪狡
悪徒
悪戯気
...