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悪戯
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いたづら
ふりがな文庫
“
悪戯
(
いたづら
)” の例文
旧字:
惡戲
事によると Invitation au Voyage の曲も、この沼の精が
悪戯
(
いたづら
)
に、おれの耳を
欺
(
だま
)
してゐたのかも知れない。
沼
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分はもと洛中を騒がした鬼だが、余り
悪戯
(
いたづら
)
が過ぎるとあつて
貴方
(
あなた
)
の御先祖安倍晴明殿のために、この橋の下に
封
(
ふう
)
ぜられて
了
(
しま
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
之
(
これ
)
は審査員に対する遺恨と云ふ様な事で無く、
其
(
その
)
画がよくよく気に
入
(
い
)
らなかつた為だと云ふ。
悪戯
(
いたづら
)
の
主
(
ぬし
)
は
未
(
ま
)
だ
捕
(
つかま
)
らない。(四月十四日)
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
然し与次郎が何の
為
(
ため
)
に、
悪戯
(
いたづら
)
に等しい
慝名
(
とくめい
)
を用ひて、彼の
所謂
(
いわゆる
)
大論文をひそかに公けにしつつあるか、
其所
(
そこ
)
が三四郎には
分
(
わか
)
らなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
悪戯
(
いたづら
)
つぽさと
羞
(
はにか
)
みとのまざり合つてゐる様子だの、そのすべてが、何かしら微妙な、手で触れにくい、不思議な物として見えたのだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
▼ もっと見る
だが、再度の失敗にもめげず、狡獪な悪魔はその
悪戯
(
いたづら
)
をやめなかつた。やがて、不意に駈けよりざま、彼は両手で月を掴んだ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
咲子は押入の前にある電話機に駈けよつて、畳につく
這
(
ば
)
ひながら、
悪戯
(
いたづら
)
さうな表情で受話機を耳のところへ持つて行つた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
蟻
(
あり
)
の穴に小便をしたり、蛇を殺してその
口中
(
こうちゆう
)
に
蛙
(
かへる
)
を無理におし込んだり、さういふ
悪戯
(
いたづら
)
をしながら、時間が迫つてくると皆学校まで駈出して行つた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
やがては
墨染
(
すみぞめ
)
にかへぬべき
袖
(
そで
)
の色、
発心
(
ほつしん
)
は腹からか、坊は親ゆづりの勉強ものあり、
性来
(
せいらい
)
をとなしきを友達いぶせく思ひて、さまざまの
悪戯
(
いたづら
)
をしかけ
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
籾山のうろたへる顔がちよつと見たいのだ。復讐なんて、けちな
真似
(
まね
)
をするつもりはない。
悪戯
(
いたづら
)
のしをさめだ。
クロニック・モノロゲ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ゆき子は、
悪戯
(
いたづら
)
をした子供のやうな無邪気さで、六十万円の、教会の金を盗んで家を飛び出してきた話をした。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
あんまり
穏和
(
おとな
)
しすぎるので、もうちつと
悪戯
(
いたづら
)
をしてくれればよいと思つてゐる位の栄蔵が、そんな大それたことを
仕出来
(
しでか
)
したといふのは、わけが解らなかつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
が、あゝそれが何と云ふ悪魔の
悪戯
(
いたづら
)
だらう! 母達は、だん/\美奈子のゐる方へ歩み寄つて来るのであつた。彼女の心は当惑のために張り裂けるやうだつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
『それあ解つてますよ。——
老人
(
としより
)
達があんな子供らしい
悪戯
(
いたづら
)
をするなんて、可笑いぢやありませんか?』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此文書は何者の手に出でたか、同志の
干
(
あづか
)
り知らぬものであつたが、其文章を推するに、例の落首などの如き
悪戯
(
いたづら
)
ではなく、全く同志を
庇護
(
ひご
)
しようとしたものと見えた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
どこからやつてきたのか、アフリカからでも海を越えてきたのか、悪魔が一つ現れて、夜、海岸の
淋
(
さび
)
しいところなんかを歩いてる人たちに、いろんな
悪戯
(
いたづら
)
をしました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
父は煙草を喫はないので、家には
煙管
(
きせる
)
も煙草もなかつたが、或る時弥市といふ老水夫が煙草入を忘れて行つたので、私は
悪戯
(
いたづら
)
半分に二三服喫つて見たのが
因
(
もと
)
であつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
其
(
そ
)
の
悪戯
(
いたづら
)
に
多
(
いた
)
く
機嫌
(
きげん
)
を
損
(
そこ
)
ねた
形
(
かたち
)
、あまり
子供
(
こども
)
がはしやぎ
過
(
す
)
ぎると、
若
(
わか
)
い
母様
(
おふくろ
)
には
得
(
え
)
てある
図
(
づ
)
ぢや
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
事柄が事柄だ。根も葉も無い蔭口が新聞へ麗々しく出たのでそれを湯村の
悪戯
(
いたづら
)
と察して怒つただけだ。日を腐らした上、
此方
(
こちら
)
から謝つて行けば何の事なく収るに相違ない。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
悪戯
(
いたづら
)
なくせに、
大飯食
(
おほめしぐら
)
ひばかり揃つて居て——はゝゝゝゝ、まあ君だから
斯様
(
こん
)
なことまでも御話するんだが、まさか親の身として、
其様
(
そんな
)
に食ふな、三杯位にして
節
(
ひか
)
へて置け
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
程無く内儀は環を
捜得
(
さがしえ
)
て
帰来
(
かへりき
)
にけるが、
誰
(
た
)
が
悪戯
(
いたづら
)
とも知らで
耳掻
(
みみかき
)
の如く
引展
(
ひきのば
)
されたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
本当に悪い
悪戯
(
いたづら
)
をしやがるな。十字架をおつ
樹
(
た
)
つといて猫の死骸をほじくらせやがる。それつてえも役人共が死んぢまつた者の棺桶をほじくり返へして迄検べるやうなしつつこいマネを
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
駱駝に跨つてゐる、
悪戯
(
いたづら
)
ざかりの
女狐
(
めぎつね
)
の子。みよ。カメレオンは強烈なチアノーゼに罹つた。ラレグル猿は跳ねてゐる。⦅補欠の跳躍選手!⦆だがこれらは、およそ時世粧であることが判る。
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
わたくしは白井と木場とがまた
悪戯
(
いたづら
)
を初めたなと思ふと共に、このまゝ
放棄
(
うつちや
)
つて置いたら、今にどんな
大
(
だい
)
それた事をしでかすかも知れないと、いよ/\恐怖の念を深くするに至つたのである。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
和蘭陀
(
オランダ
)
の
風車
(
かざぐるま
)
小屋の沢山並んだ野を描いた褐色の勝つた風景画は誰が
悪戯
(
いたづら
)
をしたのか下の四分通りが引きちぎられてました。私の父はまた
色硝子
(
いろがらす
)
をいろいろ交ぜた障子を造つて
縁
(
えん
)
へはめました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
猪のおツ母さんは、
頻
(
しき
)
りに坊やを
褒
(
ほ
)
めてゐましたが、いつの間にか、うと/\と眠つてしまひました。
悪戯
(
いたづら
)
ツ
児
(
こ
)
の坊やは、おツ母さんの眠つてゐる間に、そうつと、山を下の方へ降りて行きました。
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
「ふん、面白い。このチビごけが、どんな
悪戯
(
いたづら
)
をするかしらんて?」
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
ふと異しい物音がした、キキと何かを引つ掻くやうな、……と思ふとまた性急に、然し
怖々
(
おづおづ
)
と、否寧ろ時折は
粗雑
(
がさつ
)
に
四肢
(
よつあし
)
で引つ掻きちらす
悪戯
(
いたづら
)
な爪の響——それが絶間もなくキキとキキと続いてくる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
悪戯
(
いたづら
)
つ
子
(
こ
)
のやうに、先生は私に片眼をつぶつて見せました。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
東京の
悪戯
(
いたづら
)
つ
児
(
こ
)
斎藤
緑雨
(
りよくう
)
は右に森先生の西洋の学を借り、左に幸田先生の和漢の学を借りたものの、
畢
(
つひ
)
に批評家の域にはいつてゐない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
若い門弟は一寸令嬢の一人に
悪戯
(
いたづら
)
がして見たくなつた。実をいふと、その門弟は
大分
(
だいぶん
)
前から二人のうちの姉さんを想つてゐたのだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
保雄は相変らず自分に対する新聞雑誌記者の無責任な
悪戯
(
いたづら
)
は
己
(
や
)
まないのだなと思つた。茶の間の前桐の箪笥の前に立つた山田は
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
彼は房一の
悪戯
(
いたづら
)
の共謀者でもあれば手下でもあつた。彼の単純な胸の中には、いまだにその頃の房一に対する尊敬の念が残つてゐるのである。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
「
悪戯
(
いたづら
)
も
好加減
(
いゝかげん
)
に
休
(
よ
)
すかな」と云ひながら立ち
上
(
あ
)
がつて、縁側へ
据付
(
すゑつけ
)
の、
籐
(
と
)
の安楽
椅子
(
いす
)
に腰を掛けた。夫れ
限
(
ぎ
)
りぽかんと何か考へ込んでゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
モ少し何とか優しい事を云つてからでなくちやならん筈だ。余り
性急
(
せつかち
)
にやつたから悪い。それに今夜は俺が酔つて居た。酔つた上の
悪戯
(
いたづら
)
と許り思つたのかも知れぬ。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
木の葉に露がたまつてゐるのだと気がついても、彼女はもうそれを鬼頭の
悪戯
(
いたづら
)
にしてしまふことができないのである。いきなり、身をかはして、奥へ逃げ込まうとした。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
若
(
わけ
)
え
旦那
(
だんな
)
、
祖父殿
(
おんぢいどん
)
が
事
(
こと
)
は
私
(
わし
)
も
知
(
し
)
らんで、
何
(
なに
)
か
言
(
い
)
はつしやりますやうな
悪戯
(
いたづら
)
を
為
(
し
)
たかも
分
(
わか
)
らねえ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
くれないどころか、この子供は
悪戯
(
いたづら
)
をするのだと感違ひして、棒でもつて追つぱらふだらう。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
どうして
其様
(
そん
)
な
悪戯
(
いたづら
)
するんだい。女の児は女の児らしくするもんだぞ。
真個
(
ほんと
)
に、どいつもこいつも碌なものはありやあしねえ。自分の子ながら
愛想
(
あいそ
)
が尽きた。見ろ、まあ、進を。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
切られぬ縁の血筋といへば有るほどの
悪戯
(
いたづら
)
を尽して
瓦解
(
ぐわかい
)
の暁に落こむはこの
淵
(
ふち
)
、知らぬと言ひても世間のゆるさねば、家の名をしく我が顔はづかしきに惜しき
倉庫
(
くら
)
をも開くぞかし
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼女は幸福さうだつたが、違つた環境の
寂
(
さび
)
しさが段々しみて来た。
悪戯
(
いたづら
)
は出来ないし、
柄
(
がら
)
にあふ女達も近所にはなかつた。行儀や言葉づかひを直されるのも、
気窮
(
きづま
)
りで仕方がなかつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
妾
(
わたし
)
が、たゞホンの
悪戯
(
いたづら
)
のために、ホンの意地の為めに、宝石にも換へがたい貴女の純な感情を蹂み躙つてゐようとは、思ひ出す
丈
(
だけ
)
でも、
妾
(
わたし
)
の心は張り裂けるやうです。美奈さん! 許して下さい。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
職人は暫くそんな
悪戯
(
いたづら
)
をしてゐたが、最後に
袂
(
たもと
)
を探つて、マツチを取り出したと思ふと、ぱつと火を
磨
(
す
)
つて虱の背に当てがつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
伴
(
つれ
)
ああ云ふ
莫迦者
(
ばかもの
)
は女と見ると、
悪戯
(
いたづら
)
をせぬとも限りません。幸ひ近くならぬ内に、こちらの路へ切れてしまひませう。
往生絵巻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、微笑した、
悪戯
(
いたづら
)
つ子のやうな目つきで、ぢつと房一の顔をのぞきこんだ。それは驚くほど巧みな打明けだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
与次郎は愛すべき
悪戯
(
いたづら
)
ものである。向後も此愛すべき
悪戯
(
いたづら
)
ものゝ
為
(
ため
)
に、自分の運命を
握
(
にぎ
)
られてゐさうに思ふ。風がしきりに吹く。慥かに与次郎以上の風である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
といつて
笑顔
(
ゑがほ
)
をなすつたが、これは
私
(
わたし
)
の
悪戯
(
いたづら
)
をして、
母様
(
おつかさん
)
のおつしやること
肯
(
き
)
かない
時
(
とき
)
、ちつとも
叱
(
しか
)
らないで、
恐
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
しないで、
莞爾
(
につこり
)
笑
(
わら
)
つてお
見
(
み
)
せの、
其
(
それ
)
とかはらなかつた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何日であつたか、二年生の女生徒共が、何か授業中に
悪戯
(
いたづら
)
をしたといつて、先生は藤野さんを例に引いて誡められた事もあつた様だ。上級の生徒は、少しそれに不服であつた。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と、いくぶん
悪戯
(
いたづら
)
な眼付で、彼女は鬼頭の顔をみつめながら、こんなことを云ひだした。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
猫を飼つて鼠を捕らせるよりか、自然に任せて養つてやるのが慈悲だ。なあに、
食物
(
くひもの
)
さへ
宛行
(
あてが
)
つて
遣
(
や
)
れば、
其様
(
そんな
)
に
悪戯
(
いたづら
)
する動物ぢや無い。
吾寺
(
うち
)
の鼠は
温順
(
おとな
)
しいから御覧なさいツて。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
“悪戯”の解説
悪戯(いたずら、あくぎ、prank, mischief, practical joke)とは、悪ふざけ、人を担ぐこと。度を超した悪戯を「悪ふざけ」という。相手を不快にさせた場合は「嫌がらせ」になる。また、女性に性的な刺激を与える行為も悪戯といえる。
(出典:Wikipedia)
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
“悪戯”で始まる語句
悪戯者
悪戯盛
悪戯児
悪戯好
悪戯心
悪戯気
悪戯書
悪戯小僧
悪戯子
悪戯事