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幻影
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げんえい
ふりがな文庫
“
幻影
(
げんえい
)” の例文
しかし、その
訴
(
うった
)
えに答えてくれるものもなければ、クロの
幻影
(
げんえい
)
さえも見えてこない。かれはまたぼんやりと加茂の流れをみつめていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「静御前」と云う一人の
上﨟
(
じょうろう
)
の
幻影
(
げんえい
)
の中に、「祖先」に対し、「主君」に対し、「
古
(
いにし
)
え」に対する
崇敬
(
すうけい
)
と
思慕
(
しぼ
)
の情とを寄せているのである。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
物
(
もの
)
堅
(
がた
)
い
良人
(
おっと
)
の
方
(
ほう
)
でも、うわべはしきりに
耐
(
こら
)
え
耐
(
こら
)
えて
居
(
お
)
りながら、
頭脳
(
あたま
)
の
内部
(
なか
)
は
矢張
(
やは
)
りありし
昔
(
むかし
)
の
幻影
(
げんえい
)
で
充
(
み
)
ち
充
(
み
)
ちているのがよく
判
(
わか
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
といいはじめる
幻影
(
げんえい
)
を、三ども四ども、はっきり見たのだった。耳がじいんとなって、両手にあせをにぎっていた。
川
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
園
(
その
)
はもの
狂
(
ぐる
)
はしいまで、
慌
(
あはたゞ
)
しく
外套
(
ぐわいたう
)
を
脱
(
ぬ
)
いだ。トタンに、
其
(
そ
)
の
衣絵
(
きぬゑ
)
さんの
白
(
しろ
)
い
幻影
(
げんえい
)
を
包
(
つゝ
)
むで
隠
(
かく
)
さうとしたのである。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
貴方様は京浜国道で、自動車を電柱に衝突なさいまして、
御頓死
(
ごとんし
)
遊ばしましたのですぞ。貴方様は
幽界
(
ゆうかい
)
にお入りになって、
唯今
(
ただいま
)
から
幻影
(
げんえい
)
を御覧になっています。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こういうと、
乙
(
おつ
)
は、がっかりとして、
自分
(
じぶん
)
の
体
(
からだ
)
を
砂
(
すな
)
の
上
(
うえ
)
に
投
(
な
)
げて
泣
(
な
)
きだしました。
彼
(
かれ
)
は、
疲
(
つか
)
れた
頭
(
あたま
)
に、いろいろの
幻影
(
げんえい
)
を
見
(
み
)
ました。
夜中
(
やちゅう
)
、うなされつづけました。
幽霊船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鳥海
(
ちようかい
)
又
(
また
)
は
阿蘇
(
あそ
)
の
噴火
(
ふんか
)
に
大蛇
(
おろち
)
が
屡
(
しば/\
)
現
(
あらは
)
れるのも、
迷信
(
めいしん
)
から
起
(
おこ
)
つた
幻影
(
げんえい
)
に
外
(
ほか
)
ならないのである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
……
幻影
(
げんえい
)
とか
幻聴
(
げんちょう
)
とか云う奴さ、……小野! 僕はもう全く疑う余地はないと思うんだ! 石ノ上ノ文麻呂は時々このあやしげな幻覚に悩まされているんだぜ! 昨日も昨日で
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
彼
(
かれ
)
の
作品
(
さくひん
)
と
彼
(
かれ
)
の
盛名
(
せいめい
)
と
彼
(
かれ
)
の
手紙
(
てがみ
)
、
乃至
(
ないし
)
は
写真
(
しやしん
)
のやうなものから
想像
(
さうざう
)
された
年少作家
(
ねんせうさくか
)
大久保
(
おほくぼ
)
が、
何
(
ど
)
んなに
美
(
うつく
)
しい
幻影
(
げんえい
)
と
憧憬心
(
あこがれごころ
)
の
多
(
おほ
)
い
彼女
(
かのぢよ
)
の
情熱
(
じやうねつ
)
を
唆
(
そゝ
)
つたかは、
竹村
(
たけむら
)
にも
大凡
(
おほよ
)
そ
想像
(
さうざう
)
ができるのであつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
夢
(
ゆめ
)
同樣
(
どうやう
)
に
價
(
あたひ
)
の
乏
(
とぼ
)
しい
幻影
(
げんえい
)
に
過
(
す
)
ぎなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何か奇怪な
幻影
(
げんえい
)
のようなものが頭の隅にこびりついていて、それが少しずつ
髣髴
(
ほうふつ
)
とよみがえって来、朝の光が次第に明るさを増すのにつれて
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
吹雪
(
ふぶき
)
の空を見あげて、くろい
大鷲
(
おおわし
)
の
幻影
(
げんえい
)
をえがいたのは、
法師野
(
ほうしの
)
いらい、その
行方
(
ゆくえ
)
をたずね歩いている
鞍馬
(
くらま
)
の
竹童
(
ちくどう
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アクチニオ四十五世も、ロザレや霊魂第十号の
幻影
(
げんえい
)
も、同時にかき消すように消え失せた。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
作
(
さく
)
の
出来栄
(
できばえ
)
を
予想
(
よさう
)
して、
放
(
はな
)
つ
薫
(
かほり
)
、
閃
(
ひら
)
めく
光
(
ひかり
)
の
如
(
ごと
)
く
眼前
(
がんぜん
)
に
露
(
あら
)
はれた
此
(
こ
)
の
彫像
(
てうざう
)
の
幻影
(
げんえい
)
は、
悪魔
(
あくま
)
が
手
(
て
)
に、
帯
(
おび
)
を
奪
(
うば
)
はうとして、
成
(
な
)
らず、
衣
(
きぬ
)
を
解
(
と
)
かうとして、
得
(
え
)
ず、
縛
(
いまし
)
められても
悩
(
なや
)
まず、
鞭
(
むちう
)
つても
痛
(
いた
)
まず
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『そんな
時代
(
じだい
)
もあったかナ……』
遠
(
とお
)
い
遠
(
とお
)
い
現世
(
げんせ
)
の
出来事
(
できごと
)
などは、ただ一
片
(
ぺん
)
の
幻影
(
げんえい
)
と
化
(
か
)
して
了
(
しま
)
います。
現世
(
げんせ
)
の
話
(
はなし
)
は
大概
(
たいがい
)
これで
宜
(
よろ
)
しいでしょう。
早
(
はや
)
くこちらの
世界
(
せかい
)
の
物語
(
ものがたり
)
に
移
(
うつ
)
りたいと
思
(
おも
)
いますが……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この物凄い光景を見た瞬間、帆村の
頭脳
(
あたま
)
の中に電光のように
閃
(
ひらめ
)
いた
幻影
(
げんえい
)
があった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
されば佐助は当夜枕元へ駈け付けた
瞬間
(
しゅんかん
)
焼け
爛
(
ただ
)
れた顔をひと眼見たことは見たけれども正視するに
堪
(
た
)
えずしてとっさに面を
背
(
そむ
)
けたので燈明の灯の
揺
(
ゆら
)
めく蔭に何か人間離れのした
怪
(
あや
)
しい
幻影
(
げんえい
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と
思
(
おも
)
ふばかりで、
何故
(
なぜ
)
と
云
(
い
)
ふ
次第
(
しだい
)
は
民也
(
たみや
)
にも
説明
(
せつめい
)
は
出來
(
でき
)
ぬと
云
(
い
)
ふ。——
何
(
な
)
にしろ、
遁
(
のが
)
れられない
間
(
あひだ
)
と
見
(
み
)
えた。
孰方
(
どつち
)
か
乳母
(
うば
)
の
兒
(
こ
)
で、
乳※妹
(
ちきやうだい
)
。
其
(
それ
)
とも
嫂
(
あによめ
)
と
弟嫁
(
おとよめ
)
か、
敵同士
(
かたきどうし
)
か、いづれ
二重
(
ふたへ
)
の
幻影
(
げんえい
)
である。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「おお
憎
(
にく
)
むべき
幻影
(
げんえい
)
よ。わが前より消えてなくなれ。消えてなくなれ!」
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
幻影
(
げんえい
)
の
静止仏
(
せいしぶつ
)
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“幻影”の意味
《名詞》
幻 影(げんえい)
実在しないものが実在するかのように見えるもの。
心の中に描き出される形。
(出典:Wiktionary)
幻
常用漢字
中学
部首:⼳
4画
影
常用漢字
中学
部首:⼺
15画
“幻”で始まる語句
幻
幻象
幻想
幻燈
幻覚
幻滅
幻像
幻術
幻想的
幻術師