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宴
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うたげ
ふりがな文庫
“
宴
(
うたげ
)” の例文
現に関白殿の花の
宴
(
うたげ
)
のゆうべに、彼は自分と玉藻との語らいをぬすみ聴いていたらしく、それを白状せよと迫って
土器
(
かわらけ
)
をしい付けた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
險しき
梯
(
はしご
)
を登りて、烟突の傍なる小部屋に入り、こゝにて食を饗せられき。我心にては、國王の
宴
(
うたげ
)
に召されたるかとおぼえつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
元旦の
宴
(
うたげ
)
には
屠蘇
(
とそ
)
、
干鮑貝
(
くしがい
)
、
干海鼠
(
ほしなまこ
)
、
丸餅
(
まるもち
)
の味噌汁などが、それぞれに用意され、祝日に忙しい歳暮が筒井の眼の前にあった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
だが彼の心は、瞬間明るくなって、先年
三形王
(
みかたのおおきみ
)
の御殿での
宴
(
うたげ
)
に
誦
(
くちずさ
)
んだ即興が、その時よりも、今はっきりと内容を持って、心に浮んで来た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
含羞
(
はなじろ
)
む
瞼
(
まぶた
)
を染めて、玉の
項
(
うなじ
)
を
差俯向
(
さしうつむ
)
く、ト見ると、
雛鶴
(
ひなづる
)
一羽、松の羽衣
掻取
(
かいと
)
って、
曙
(
あけぼの
)
の雲の上なる、
宴
(
うたげ
)
に召さるる風情がある。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
ただ
微
(
かす
)
かに伝わって来るような、淋しい場所にたたずんでは、この遥かな
宴
(
うたげ
)
の騒音の中から、お前の高らかな声を聞き分けようとしたことがある。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
娘たちの
宴
(
うたげ
)
らしく、いろどりの華やかな
膳部
(
ぜんぶ
)
に酒が出た。夫人たちほどではないが、みんな盃を手にし、この家の三人の待女が給仕をしてまわった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その水の上へむかしの
泉殿
(
いずみどの
)
のようなふうに床を高くつくって
欄杆
(
らんかん
)
をめぐらした座敷がつき出ておりまして五、六人の男女が
宴
(
うたげ
)
をひらいておりました
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
杯
(
さかずき
)
に触れなば思い起せよ、かつて、そは、King Hiero の
宴
(
うたげ
)
にて、森蔭深き
城砦
(
じょうさい
)
の、いと古びたる円卓子に、将士あまた招かれにし——私は
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
午
(
ひる
)
ごろ大隊長とともにグリンマというところの銃猟仲間の会堂にゆきて演習見に来たまいぬる国王の
宴
(
うたげ
)
にあずかるべきはずなれば、正服着て待つほどに
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
下人
(
しもびと
)
の
憧
(
あこが
)
れる、華かな
詩歌管絃
(
しいかかんげん
)
の
宴
(
うたげ
)
も、彼にとっては何でしたろう? 移ろい
易
(
やす
)
い
栄華
(
えいが
)
の世界が彼にとっては何でしたろう? 花をかざして練り歩く
大宮人
(
おおみやびと
)
の中に
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
行幸輦
(
みゆきぐるま
)
は、ふた夜も、
三夜
(
みよ
)
もとどめられるので、相互の
陪従
(
ばいじゅう
)
のお
主
(
あるじ
)
に供する二人も、その間じゅうは、花の闇で、忍び会いもし、または昼は昼で、花ふぶきの
宴
(
うたげ
)
の
莚
(
むしろ
)
や
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれらはむかしの
宴
(
うたげ
)
のテーブルの愉快なしきたりを守ろうと欲するが、その声はしゃがれ、沈んだおごそかなものになって、はしゃぐ気分をそこない、酒も味をうしなって
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
そうして甲府の城下では、あの豪快な信玄公が、観桜の
宴
(
うたげ
)
をひらいているかも知れない。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
緋でも、紅でも、黄でも、紫でも、碧でも、凡そ色と云う色皆
焔
(
ほのお
)
と燃え立つ夏の日の花園を、
経木
(
きょうぎ
)
真田
(
さなだ
)
の帽一つ、真裸でぶらつく彼は、色の
宴
(
うたげ
)
、光の
浴
(
バス
)
に恍惚とした酔人である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
殯宮
(
ひんきゆう
)
に
通夜
(
つや
)
をしてゐるやうな
赤楊
(
はんのき
)
よ、おまへの王樣は崩御になつた、
赤楊
(
はんのき
)
の民よ、靜かな
水底
(
みなぞこ
)
に
冠
(
かんむり
)
の光を探しても、
夜
(
よ
)
の
宴
(
うたげ
)
の
歌舞
(
かぶ
)
の響を求めても、詮ない事になつて
了
(
しま
)
つた、
赤楊
(
はんのき
)
の王樣、今
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
西八條の
屋方
(
やかた
)
に花見の
宴
(
うたげ
)
ありし時、人の
勸
(
すゝ
)
めに
默
(
もだ
)
し難く、舞ひ終る一曲の春鶯囀に、
數
(
かず
)
ならぬ身の
端
(
はし
)
なくも人に知らるゝ身となりては、
御室
(
おむろ
)
の
郷
(
さと
)
に靜けき
春秋
(
はるあき
)
を
娯
(
たの
)
しみし身の
心
(
こゝろ
)
惑
(
まど
)
はるゝ事のみ多かり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
あはれにも
宴
(
うたげ
)
あらけてめづらしき異國の酒の香のみ殘れる
吉井君の歌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
宴
(
うたげ
)
に幾夜をも飲み明そうとする時などがそれです。205
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
雪見とは
愛
(
かな
)
しき独りの
宴
(
うたげ
)
かもまばたきをする
目
(
まみ
)
の冷き
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
すると、僧都は(
宴
(
うたげ
)
の松原へ行って月見をしたい)
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
山上憶良臣
(
やまのうえのおくらのおみ
)
宴
(
うたげ
)
を
罷
(
まか
)
る歌一首という題がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ふりしきる雪は深夜に
婚姻飛揚
(
ヴオル・ニユプシアル
)
の
宴
(
うたげ
)
をあげ
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
裁
(
た
)
ちて縫はさむかこの
巾
(
きれ
)
を、
宴
(
うたげ
)
のをりの
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
小鳥たちは別れの
宴
(
うたげ
)
をはっていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
命の
宴
(
うたげ
)
に酒盛りをしていたが
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
宴
(
うたげ
)
の歌も 消えうせつ
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
宴
(
うたげ
)
にいそぐ風情かな
艸千里
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
宴
(
うたげ
)
あり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
またそればかりでない。近い頃にも関白殿の花の
宴
(
うたげ
)
に、玉藻のからだから不思議の光りを放って暗い夜を照らしたという噂もある。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
始まってから、やっと半時も経ったか経たないかくらいなのに、
宴
(
うたげ
)
のにぎやかさは、もう思う存分に募り切っていた。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
だが彼の心は、瞬間明るくなつて、去年六月、三形王のお屋敷での
宴
(
うたげ
)
に
誦
(
くちずさ
)
んだ即興が、その時よりも、今はつきりと内容を持つて、心に浮んで来た。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
水郷
(
すいごう
)
の貞時の家、そしてきらびやかな正月の
宴
(
うたげ
)
も、筒井が去っては
催物
(
もよおしもの
)
の数々が控えられたことであろう、しんせつな父君、
額
(
ひたい
)
の若い貞時に永い三年を待たせたことなど
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
按
(
あん
)
ずるに、火の
原因
(
おこり
)
は、昼、
初春
(
はる
)
の
宴
(
うたげ
)
に、たくさんな
花籃
(
はなかご
)
が持ち込まれており、上には、蝶花の祭り
簪
(
かんざし
)
がたくさん
挿
(
さ
)
してあったが、
籃
(
かご
)
の底には、
硫黄
(
いおう
)
、
焔硝末
(
えんしょうまつ
)
、火薬玉などが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この日は
朝
(
あした
)
の珈琲を部屋にて飲み、
午
(
ひる
)
頃大隊長と
倶
(
とも
)
にグリンマといふところの銃猟仲間の会堂にゆきて演習見に来たまひぬる国王の
宴
(
うたげ
)
にあづかるべきはずなれば、正服着て待つほどに
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
募
(
つの
)
らせていたところ父親九兵衛が老後の用意に
天下茶屋
(
てんがぢゃや
)
の
閑静
(
かんせい
)
な場所を選び
葛家葺
(
くずやぶき
)
の
隠居所
(
いんきょじょ
)
を建て十数株の
梅
(
うめ
)
の古木を庭園に取り込んであったがある年の
如月
(
きさらぎ
)
にここで梅見の
宴
(
うたげ
)
を
催
(
もよお
)
し
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
道了塚を巡って、
酣
(
たけなわ
)
の春は、華麗な
宴
(
うたげ
)
を
展開
(
ひら
)
いていた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われも亦
聖
(
せい
)
なる
宴
(
うたげ
)
に
列
(
つらな
)
りて、わが歡樂は飮みほしぬ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
休息はかれらの
宴
(
うたげ
)
、すべては心のおもむくままなり
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
ハチム王
宴
(
うたげ
)
ひらけよ——そも何ぞ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
乾
(
ほ
)
しけり
宴
(
うたげ
)
の度毎に。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「玉藻の
御
(
ご
)
か」と、清治は声をかけると、あたりは急に明るくなった。その光りは花の
宴
(
うたげ
)
のゆうべに、玉藻の身から輝いたのと同じように見えた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
旅行
(
りよこう
)
をした
先
(
さき
)
で、いつも
新
(
あたら
)
しく
小屋
(
こや
)
がけをして、それに
宿
(
やど
)
りました。さうしてかならず、その
小屋
(
こや
)
をほめ
讃
(
たゝ
)
へる
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
んで、
宴會
(
えんかい
)
を
開
(
ひら
)
きました。これを、
新室
(
にひむろ
)
の
宴
(
うたげ
)
といひます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
華やかに
扮装
(
いでた
)
った鉄騎五百人と軍楽隊との“
元宵
(
げんしょう
)
の行列”にまもられて城中の“
初春
(
はる
)
の
宴
(
うたげ
)
”から
退
(
さ
)
がってきた
梁中書
(
りょうちゅうしょ
)
の通過を、男女の見物人とともに見送っていたものらしいが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此蠅ですら宇宙の
宴
(
うたげ
)
に
参与
(
あづか
)
る一人で、自分のゐるべきところをちやんと心得てゐる。
愛の詩集:03 愛の詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
自分の加わらなかった
宴
(
うたげ
)
に、彼は酔っていた。そして
嫉妬
(
しっと
)
のために疲れていた。以前の通り、まったく以前の通りだったのである。自分は顔をほてらせながら、暗い所にたたずんでいた。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
わが十二の時、王宮の
冬園
(
ふゆその
)
に夜会ありて、二親みな招かれぬ。
宴
(
うたげ
)
闌
(
たけなわ
)
なる頃、国王見えざりければ、人々驚きて、
移植
(
うつしう
)
ゑし熱帯
草木
(
そうもく
)
いやが上に茂れる、
硝子
(
ガラス
)
屋根の下、そこかここかと捜しもとめつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ゆめ、な語りそ、人の世は
悦
(
よろこび
)
おほき
宴
(
うたげ
)
ぞと。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
靈
(
たま
)
燻
(
く
)
ゆる海の色、
宴
(
うたげ
)
のゑまひ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
宴
(
うたげ
)
にまれ、踊にまれ
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
“宴”の意味
《名詞》
(うたげ、エン)宴会。酒宴。
(出典:Wiktionary)
宴
常用漢字
中学
部首:⼧
10画
“宴”を含む語句
宴会
饗宴
酒宴
宴楽
宴會
祝宴
肆宴
盛宴
後宴
歓宴
小宴
魔宴
御宴
夜宴
大饗宴
宴樂
宴席
小酒宴
大酒宴
披露宴
...