トップ
>
存外
>
ぞんぐわい
ふりがな文庫
“
存外
(
ぞんぐわい
)” の例文
沢山ならこれで切り上げるが、世間には自分の如く怪しげな書画を
玩
(
もてあそ
)
んで無名の天才に敬意を払ふの士が
存外
(
ぞんぐわい
)
多くはないかと思ふ。
鑑定
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
尤
(
もつと
)
も
元
(
もと
)
は
一面
(
いちめん
)
の
竹藪
(
たけやぶ
)
だつたとかで、それを
切
(
き
)
り
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
に
根丈
(
ねだけ
)
は
掘
(
ほ
)
り
返
(
かへ
)
さずに
土堤
(
どて
)
の
中
(
なか
)
に
埋
(
うめ
)
て
置
(
お
)
いたから、
地
(
ぢ
)
は
存外
(
ぞんぐわい
)
緊
(
しま
)
つてゐますからねと
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
凡
(
およ
)
そ其半なるを
確
(
たしか
)
めたり、利根山奥は
嶮岨
(
けんそ
)
人
(
ひと
)
の入る能はざりし
為
(
た
)
め、
漫
(
みだ
)
りに其大を
想像
(
さう/″\
)
せしも、一行の探検に拠れば
存外
(
ぞんぐわい
)
にも其
狭
(
せま
)
きを
知
(
し
)
りたればなり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
心掛候に付き
間
(
ま
)
も
隔
(
へだて
)
候へども伊豆守御役宅に於て天一坊樣御面部を
竊
(
ひそか
)
に拜し奉りしに御目と
頬
(
ほゝ
)
の間に
凶相
(
きようさう
)
あり
此
(
こ
)
は
存外
(
ぞんぐわい
)
なる
工
(
たく
)
みあるの相にて又
眼中
(
がんちう
)
に
赤筋
(
あかすぢ
)
有
(
あつ
)
て
瞳
(
ひとみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
多日
(
たじつ
)
病
(
やまひ
)
と
稱
(
しよう
)
して
引籠
(
ひきこも
)
り、
人知
(
ひとし
)
れず
諸家
(
しよか
)
に
立入
(
たちい
)
り、
内端
(
うちわ
)
の
樣子
(
やうす
)
を
伺
(
うかゞ
)
ひ
見
(
み
)
るに、
御勝手
(
ごかつて
)
空
(
むな
)
しく
御手許
(
おてもと
)
不如意
(
ふによい
)
なるにもかゝはらず、
御家中
(
ごかちう
)
の
面々
(
めん/\
)
、
分
(
わ
)
けて
老職
(
らうしよく
)
の
方々
(
かた/″\
)
はいづれも
存外
(
ぞんぐわい
)
有福
(
いうふく
)
にて
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
髭
(
ひげ
)
のないと
思
(
おも
)
つたのに、
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やしてゐるのと、
自分
(
じぶん
)
なぞに
對
(
たい
)
しても、
存外
(
ぞんぐわい
)
丁寧
(
ていねい
)
な
言葉
(
ことば
)
を
使
(
つか
)
ふのが、
御米
(
およね
)
には
少
(
すこ
)
し
案外
(
あんぐわい
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一般
(
いつぱん
)
の種々な物事を見てゐても、日本では
革命
(
かくめい
)
なんかも、
存外
(
ぞんぐわい
)
雑作
(
ざふさ
)
なく行はれて、外国で見る様な流血革命の
惨
(
さん
)
を見ずに済む様な気がする。
拊掌談
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
も
厭
(
いと
)
はず
夕
(
ゆふ
)
申刻過
(
なゝつすぎ
)
より右の寺へ參り暫時物語等致し居
存外
(
ぞんぐわい
)
遲
(
おそ
)
なはり夜
亥刻
(
よつどき
)
近
(
ちか
)
き
頃
(
ころ
)
上伊呂村迄歸り來りし時河原にて何やらに
跪
(
つまづ
)
きたれども
宵闇
(
よひやみ
)
なれば物の
文色
(
あいもん
)
は分らず
只
(
たゞ
)
人の樣子ゆゑ
酒
(
さけ
)
に
醉
(
ゑひ
)
し者の
臥
(
ふせ
)
り居し事と心得氣の
急
(
せく
)
まゝ能も
糺
(
たゞ
)
さず早々歸宅仕り其夜は
直樣
(
すぐさま
)
打臥
(
うちふし
)
翌朝
(
よくてう
)
起
(
おき
)
出門の戸を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
甚
(
はなはだ
)
失礼な申し分ながら、どうも速水氏や何かの画を作る動機は、
存外
(
ぞんぐわい
)
足もとの浮いた所が多さうに思はれてならぬのである。(十一月一日)
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小六
(
ころく
)
に
一寸
(
ちよつと
)
した
好奇心
(
かうきしん
)
の
出
(
で
)
たため、
二人
(
ふたり
)
の
會話
(
くわいわ
)
は
存外
(
ぞんぐわい
)
素直
(
すなほ
)
に
流
(
なが
)
れて
行
(
い
)
つた。
御米
(
およね
)
は
裏
(
うら
)
の
家主
(
やぬし
)
の十八九
時代
(
じだい
)
に
物價
(
ぶつか
)
の
大變
(
たいへん
)
安
(
やす
)
かつた
話
(
はなし
)
を、
此間
(
このあひだ
)
宗助
(
そうすけ
)
から
聞
(
き
)
いた
通
(
とほ
)
り
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこがこの頃になつて見ると、だんだんあいつの気になり出したんだ。あれで君、見かけよりや
存外
(
ぞんぐわい
)
神経質な男だからね。
南瓜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
借家
(
しやくや
)
は或実業家の別荘の中に建つてゐたから、
芭蕉
(
ばせう
)
が
軒
(
のき
)
を
遮
(
さへぎ
)
つたり、広い池が見渡せたり、
存外
(
ぞんぐわい
)
居心地のよい
住居
(
すまひ
)
だつた。
身のまはり
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もしあの盛衰記の島の記事から、
辺土
(
へんど
)
に対する都会人の恐怖や
嫌悪
(
けんを
)
を除き去れば、
存外
(
ぞんぐわい
)
古風土記
(
こふうどき
)
にありさうな、愛すべき島になるかも知れない。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし当人の男ぶりは紋服たると
燕尾服
(
えんびふく
)
たるとを問はず独立に美醜を論ぜらるべきである。「女と影」に対する世評は
存外
(
ぞんぐわい
)
この点に
無頓着
(
むとんぢやく
)
だつたらしい。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
第一の幽霊 (さもがつかりしたやうに、
朦朧
(
もうろう
)
と店さきへ姿を現す。)
此処
(
ここ
)
にも古本屋が一軒ある。
存外
(
ぞんぐわい
)
かう云ふ所には、品物が揃つてゐるかも知れない。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
麦藁帽を
冠
(
かぶ
)
つた労働者の
一人
(
ひとり
)
は
矢張
(
やは
)
り槌を動かしたまま、ちよつと僕の顔を見上げ、
存外
(
ぞんぐわい
)
親切に返事をした。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、実際は
存外
(
ぞんぐわい
)
、女の誘惑する場合も……言葉で誘惑しないまでも、
素振
(
そぶり
)
で誘惑する場合が多さうである。
世の中と女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かう云ふ階級は
存外
(
ぞんぐわい
)
狭い。おそらくは、西洋よりも一層狭いだらう。僕は今、かう云ふ事実の善悪を論じてゐるのではない。唯事実として
一寸
(
ちよつと
)
話すだけである。
小説の読者
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
亜米利加
(
アメリカ
)
にはポオやホウソオンがあるが、幽霊——或は一般に
妖怪
(
えうくわい
)
を書いた作品は今でも
存外
(
ぞんぐわい
)
少くない。
近頃の幽霊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鈴木三重吉
(
すずきみへきち
)
、
久保田万太郎
(
くぼたまんたらう
)
の愛読者なれども、近頃は余り読まざるべし。風采
瀟洒
(
せうしや
)
たるにも
関
(
かかは
)
らず、
存外
(
ぞんぐわい
)
喧嘩
(
けんくわ
)
には負けぬ所あり。支那に
棉
(
わた
)
か何か植ゑてゐるよし。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから廊下に接した南側には、
殺風景
(
さつぷうけい
)
な
鉄格子
(
てつがうし
)
の西洋窓の前に大きな
紫檀
(
したん
)
の机を据ゑて、その上に
硯
(
すずり
)
や筆立てが、
紙絹
(
しけん
)
の類や
法帖
(
ほふでふ
)
と一しよに、
存外
(
ぞんぐわい
)
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく並べてある。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世の中には嘘のやうな話、
存外
(
ぞんぐわい
)
あるものなり。皆
小穴一遊亭
(
をあないちいうてい
)
に聞いた。(七月二十三日)
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かう云ふ日米関係は、英吉利語文学が流行しないだけに
存外
(
ぞんぐわい
)
見落され勝ちのやうである。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
実際また、女のミカドといふものは、
古今
(
ここん
)
に少くはないのである。たしかに日本の女の位置は、家畜や奴隷のやうに売買されるにも
拘
(
かかは
)
らず、
存外
(
ぞんぐわい
)
辛抱
(
しんばう
)
の出来る点もないではないらしい。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは或は半ば以上、
天賦
(
てんぷ
)
の才能によるものかも知れない。いや、精進の力などは
存外
(
ぞんぐわい
)
効のないものであらう。しかしその浄火の熱の高低は直ちに或作品の価値の高低を定めるのである。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「子供の時に大きいと思つたものは
存外
(
ぞんぐわい
)
あとでは小さいものですね。」
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この時も高が
風邪
(
かぜ
)
なれど、東京、大阪、下の関と三度目のぶり返しなれば、
存外
(
ぞんぐわい
)
熱も容易には
下
(
さが
)
らず、おまけに手足にはピリン
疹
(
しん
)
を生じたれば、女中などは少くとも
梅毒患者
(
ばいどくかんじや
)
位には思ひしなるべし。
病牀雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕は懐中時計を置き
火燵
(
ごたつ
)
の上に置き、
丁寧
(
ていねい
)
に針を十時へ戻した。それから又ペンを動かし出した。時間と云ふものはかう云ふ時ほど、
存外
(
ぞんぐわい
)
急に過ぎることはない。掛け時計は今度は十一時を打つた。
春の夜は
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
家具家財の荷づくりをなすも、運び難からんことを察すればなり。人慾
素
(
もと
)
より
窮
(
きは
)
まりなしとは云へ、
存外
(
ぞんぐわい
)
又あきらめることも容易なるが如し。
夜
(
よ
)
に入りて発熱三十九度。時に○○○○○○○○あり。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
勿論文体
即
(
すなはち
)
作品と云ふ理窟なければ、文体さへ然らばその作品が常に
新
(
あらた
)
なりとは云ふべからず。されど文体が作品の
佳否
(
かひ
)
に影響する限り、
絢爛
(
けんらん
)
目を奪ふ如き文体が
存外
(
ぞんぐわい
)
古くなる事は、
殆
(
ほとんど
)
疑なきが如し。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“存外”の意味
《名詞》
存外(ぞんがい)
思いの外。想定外。意外。
(context、dated)もってのほか。無礼。
《形容動詞》
存外(ぞんがい)
思いの外。想定外に。意外に。
(出典:Wiktionary)
存
常用漢字
小6
部首:⼦
6画
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“存外”で始まる語句
存外六