春の夜ははるのよは
僕はコンクリイトの建物の並んだ丸の内の裏通りを歩いてゐた。すると何か匀を感じた。何か、?——ではない。野菜サラドの匀である。僕はあたりを見まはした。が、アスフアルトの往来には五味箱一つ見えなかつた。それは又如何にも春の夜らしかつた。 U—— …