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困
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くるし
ふりがな文庫
“
困
(
くるし
)” の例文
香以はまた負債に
困
(
くるし
)
められて、猿寺の収容陣地から更に退却しなくてはならなくなった。これが香以の四十一歳になった年である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
智勇
交
(
こもご
)
も
困
(
くるし
)
むの極所に際し、かえって
暴虎
(
ぼうこ
)
馮河
(
ひょうが
)
、死して悔なき破壊的作用のために、天荒を破りて革新の明光を捧げ来るものあり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
或
(
ある
)
ひは
一一二
山
賤
(
がつ
)
の
椎柴
(
しひしば
)
をおほひて雨露を
凌
(
しの
)
ぎ、
終
(
つひ
)
に
擒
(
とら
)
はれて此の嶋に
謫
(
はぶ
)
られしまで、皆
義朝
(
よしとも
)
が
姦
(
かだま
)
しき
計策
(
たばかり
)
に
困
(
くるし
)
められしなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
倦
(
う
)
み、
困
(
くるし
)
み、疲れた冬の
一日
(
ひとひ
)
は次第に暮れて行くのである。其時
白衣
(
びやくえ
)
を着けた二人の僧が入つて来た。一人は住職、一人は寺内の若僧であつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そのために後日、向山という所大いに崩れ、住民
困
(
くるし
)
んで
祠
(
ほこら
)
を建て神に
祀
(
まつ
)
ったが、今も倉科様てふ祠ある(『郷土研究』四巻九号五五六頁、林六郎氏報)
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
暖かそうな小屋に近づけば、其処に飼われて居る犬が、これも同じように饑渇に
困
(
くるし
)
められては居ながら、その家の飼犬だというので高慢らしく追い払う。
犬
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
子思
(
しし
)
は「あるいは生れながらにこれを知り、あるいは学んでこれを知り、あるいは
困
(
くるし
)
んでこれを知る」
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
其庇廂の大和がき結ひに吹きさらされて疝癪も起すことある職人風情は、
何
(
どれ
)
ほどの悪い業を前の世に為し置きて、同じ時候に他とは違ひ悩め
困
(
くるし
)
ませらるゝものぞや
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
始の程は何者の
美形
(
びけい
)
とも得知れざりしを、医員の中に例の
困
(
くるし
)
められしがありて、
名著
(
なうて
)
の
美人
(
びじ
)
クリイムと
洩
(
もら
)
せしより、いとど人の耳を驚かし、目を
悦
(
よろこば
)
す種とはなりて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これも
定業
(
じょうごう
)
の尽きぬ故なら仕方がない、これじゃ次の世に人間に生れても、病気と貧乏とで一生
困
(
くるし
)
められるばかりで、到底ろくたまな人間になる事は出来まい、とおっしゃった
犬
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
その何のためにせしやを知らず、血気に任せて
行
(
ふるま
)
いたりし事どもは、今に到りて
自
(
みず
)
からその意を
了
(
りょう
)
するに
困
(
くるし
)
むなり。昼間黒壁に
詣
(
いた
)
りしことは両三回なるが故に、地理は
暗
(
そらん
)
じ得たり。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
沼猶
見
(
み
)
えず、又次の高山に
登
(
のぼ
)
る
猶
(
なほ
)
見
(
み
)
えず、
斯
(
か
)
くして
遂
(
つゐ
)
に
最高
(
さいこう
)
の山に
上
(
のぼ
)
る、欝樹猶眼界を
遮
(
さへぎ
)
る、衆大に
困
(
くるし
)
み
魑魅
(
りみ
)
の
惑
(
まどは
)
す所となりしかを疑ふ、喜作
直
(
ただ
)
ちに高樹の
頂
(
いただき
)
に
攀
(
よ
)
ぢ
上
(
のぼ
)
り驚て曰く
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
山川
(
さんせん
)
相繆
(
あひまと
)
ヒ、
鬱乎
(
うつこ
)
トシテ
蒼々
(
そうそう
)
タリ、此レ孟徳ガ周郎ニ
困
(
くるし
)
メラレシトコロニアラズヤ……
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は
渾
(
すべ
)
て柔和に渾て忠実なるに我は
幾度
(
いくたび
)
か厳酷にして不実なりしや、これを思えば余は地に恥じ天に恥じ、報ゆべきの彼は失せ、
免
(
ゆるし
)
を乞うの人はなく、余は悔い能わざるの後悔に
困
(
くるし
)
められ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
然るに実母だからといって復讐の取扱が出来ぬというは
如何
(
いか
)
にも不条理のように思われ、裁断に
困
(
くるし
)
むとの御意にて、
直
(
すぐ
)
に
御儒者
(
ごじゅしゃ
)
林大學頭様をお召しになり、
御直
(
ごじき
)
に右の次第をお申聞けの上
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
男達
(
おとこだて
)
梅の由兵衛
古主
(
こしゅう
)
の息子
金谷
(
かなや
)
金五郎に、その情婦にて元は由兵衛の古主にちなみある芸者小さんを
身受
(
みうけ
)
して添はせんため、百両の金の工面に
困
(
くるし
)
みし折しも、由兵衛の妻小梅の弟なる長吉が
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
揚
(
あげ
)
て
困
(
くるし
)
む事大方ならず後藤は夫で
好々
(
よし/\
)
最
(
もう
)
寛
(
ゆる
)
して
遣
(
やれ
)
と聲をかけサア汝
斯
(
かう
)
印
(
しるし
)
を付て遣はすにより以來心を改め
眞實
(
まこと
)
の人間になるべし萬一又々
惡心
(
あくしん
)
萌
(
きざし
)
たなれば其時其
小鬢
(
こびん
)
の
入墨
(
いれずみ
)
を
水鏡
(
みづかゞみ
)
に
寫
(
うつ
)
し今日の事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
吾
(
われ
)
始
(
はじ
)
め
困
(
くるし
)
む
時
(
とき
)
、
嘗
(
かつ
)
て
鮑叔
(
はうしゆく
)
と
(八)
賈
(
こ
)
し、
財利
(
ざいり
)
を
分
(
わか
)
つに
多
(
おほ
)
く
自
(
みづか
)
ら
與
(
あた
)
ふ。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
困
(
くるし
)
められ、
憎
(
にく
)
まれて、
何
(
なん
)
の
罪
(
つみ
)
もなうて
殺
(
ころ
)
されてしまうたのぢゃ! あさましい
惡日
(
あくにち
)
め、
何
(
なん
)
で
汝
(
おのれ
)
は
吾家
(
わがや
)
へは
來
(
き
)
をったぞ、
此
(
この
)
めでたい
式
(
しき
)
を
殺
(
ころ
)
さうとて、
此
(
この
)
めでたい
式
(
しき
)
を
殺
(
ころ
)
さうとて! おゝ、
女
(
むすめ
)
よ! おゝ
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
山陽が二十一歳から二十六歳に至る間の事である。
疇昔
(
ちうせき
)
より山陽の伝を作るものは、皆此幽屏の前後に亘る情実を知るに
困
(
くるし
)
んだ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この嶋に
謫
(
はぶ
)
られて、
九一
高遠
(
たかとほ
)
が松山の家に
困
(
くるし
)
められ、日に三たびの
九二
御膳
(
おもの
)
すすむるよりは、まゐりつかふる者もなし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
野猪は鈍物でも殺されるのを合点して忍従する訳は無いから、逃れようともすれば、抵抗もする。終に
敵
(
かな
)
わずして変な声を出して哀しみ
困
(
くるし
)
んで死んでしまうのであった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
毒蛇が
窘
(
くるし
)
められた時思い切って自分の身を咬んで絶命するという事しばしば聞いたが、毒蛇を酒精に浸すと
困
(
くるし
)
んで七転八倒し、怒って自分の体に咬み付いたまま死ぬ事あり
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
道無きに
困
(
くるし
)
める折、左右には水深く、崖高く、前には
攀
(
よ
)
づべからざる石の
塞
(
ふさが
)
りたるを、
攀
(
よ
)
ぢて
半
(
なかば
)
に到りて進退
谷
(
きはま
)
りつる、その石もこれなりけん、と肩は
自
(
おのづ
)
と
聳
(
そび
)
えて、久く
留
(
とどま
)
るに
堪
(
た
)
へず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
(やあ
父
(
おとっ
)
さん——
彼処
(
あすこ
)
に
母
(
おっか
)
さんと、よその姉さんが。……)——
後々
(
のちのち
)
私は、何故、あの時、その船へ
飛込
(
とびこ
)
まなかったろうと思う事が
度々
(
たびたび
)
あります。世を
儚
(
はかな
)
む時、病に
困
(
くるし
)
んだ時、恋に離れた時です。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人夫中の一人喜作なるもの両三日前より
屡々
(
しば/\
)
病の為めに
困
(
くるし
)
み、一行も大に
憂慮
(
いうりよ
)
せしが、文珠岩を
発見
(
はつけん
)
するや
否
(
いな
)
直
(
ただ
)
ちに再拝して
飯
(
めし
)
一椀、鰹節一本とを
捧呈
(
ほうてい
)
し、
祈祷
(
きとう
)
に
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
し
了
(
おは
)
りて
忝
(
かたじけ
)
く其飯を
喫
(
きつ
)
す
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
抽斎が岡西氏
徳
(
とく
)
に
生
(
うま
)
せた三人の子の
中
(
うち
)
、ただ
一人
(
ひとり
)
生き残った次男優善は、
少時
(
しょうじ
)
放恣
(
ほうし
)
佚楽
(
いつらく
)
のために、
頗
(
すこぶ
)
る渋江
一家
(
いっか
)
を
困
(
くるし
)
めたものである。優善には
塩田良三
(
しおだりょうさん
)
という
遊蕩
(
ゆうとう
)
夥伴
(
なかま
)
があった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一三八
治承
(
ちしよう
)
三年の秋、
平
(
たひら
)
の重盛
病
(
やまひ
)
に
係
(
かか
)
りて世を
逝
(
さ
)
りぬれば、
一三九
平相国
(
へいさうこく
)
入道、
一四〇
君をうらみて
一四一
鳥羽
(
とば
)
の
離宮
(
とつみや
)
に
籠
(
こ
)
めたてまつり、かさねて
一四二
福原の
茅
(
かや
)
の宮に
困
(
くるし
)
めたてまつる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
父のなくなった
翌年
(
あくるとし
)
、祖母と二人、その日の糧にも
困
(
くるし
)
んでいた折から。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて島田驛の人は定めて普門寺へ十念を受けに往くであらう。苾堂の
親戚
(
しんせき
)
が往く時
雜遝
(
ざつたふ
)
のために
困
(
くるし
)
まぬやうに、手紙と切手とを送る。最初に往く親戚は手紙と切手とを持つて行くが好い。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
困
常用漢字
小6
部首:⼞
7画
“困”を含む語句
困難
困苦
困憊
困却
困厄
困窮
困迫
困惑
疲労困憊
貧困
困悶
疲弊困憊
困頓
困阨
困蹶
艱難困苦
窮困
敗殘困憊
貧困人
困馬
...