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可哀
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かあい
ふりがな文庫
“
可哀
(
かあい
)” の例文
そして駅には
古
(
いにしえ
)
もかわらぬ
可哀
(
かあい
)
い女がいただろうから、そこで、「妹が
直手
(
ただて
)
よ」という如き表現が出来るので、実にうまいものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
田崎が事の次第を聞付けて父に密告したので、お悦は
可哀
(
かあい
)
そうに、馬鹿をするにも程があるとて、厳しいお
小言
(
こごと
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
した始末。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大杉氏は言ふ、あの茶話に、今の大杉に香奠で無くて、百円と
纏
(
まとま
)
つた金が入つて来るわけがないとあつたが、あれは
可哀
(
かあい
)
さうだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
もう消え消えな燈芯の灯の中に浮きだしている次郎吉の額へは、
可哀
(
かあい
)
や物の怪にでも
憑
(
つ
)
かれたかのようにベットリ脂汗が滲みだしてきていた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
ラランのやつに
欺
(
だま
)
されたと
気
(
き
)
づいても、
可哀
(
かあい
)
さうなペンペはその
抉
(
えぐ
)
られた
両方
(
りやうほう
)
の
眼
(
め
)
から
血
(
ち
)
を
滴
(
したた
)
らすばかりだつた。もうラランの
名
(
な
)
も
呼
(
よ
)
ばない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
▼ もっと見る
何
(
ど
)
うも
可哀
(
かあい
)
さうな事をしましたな、
私
(
わたし
)
も長らく
一緒
(
しよ
)
に
居
(
を
)
つたが
喰
(
く
)
ふ物も
喰
(
く
)
はずに
修業
(
しゆげふ
)
して歩き、
金子
(
かね
)
を
蓄
(
ため
)
た人ですから少しは
貯金
(
こゝろがけ
)
がありましたらう。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お婆さんは、
可哀
(
かあい
)
そうに、眼が見えないものですから、一銭の苞の代りに、二銭の苞を取られたことに、気が付きません。吉公から、一銭受け取ると
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
唯
(
ただ
)
可哀
(
かあい
)
そうなのはお
政
(
まさ
)
さんだ(
節蔵
(
せつぞう
)
氏の内君)、ソレ
丈
(
だ
)
けは生きて居られるように世話をして
遣
(
や
)
る、足下は何としても
云
(
い
)
う事を聞かないから仕方がない
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
大方
(
おおかた
)
これは
前世
(
ぜんせ
)
の罪でもあったのでしょう。私はそう
諦
(
あきら
)
めて居ります、といって居ったが実に
可哀
(
かあい
)
そうであった
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そんなことを言出さうものなら、どんなに
慍
(
おこ
)
られるだらうと、それが見え透いてゐるから、
漫然
(
うつかり
)
した事は言はれずさ、お前の心を察して見れば
可哀
(
かあい
)
さうではあり
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ところが
茲
(
ここ
)
にごく偏狭な
陰気
(
いんき
)
な考の人間の一群があって、動物は
可哀
(
かあい
)
そうだからたべてはならんといい、世界中にこれを
強
(
し
)
いようとする。これがビジテリアンである。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
波打際から随分遠い所に、波に隠れたり現われたりして、
可哀
(
かあい
)
そうな妹の頭だけが見えていました。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
己なんぞの目ぢやあ、色の浅黒い
痩
(
やせ
)
つぽちの小花より女は
遙
(
はるか
)
兼ちやんが上だ、清こうは
慥
(
たし
)
か二十五でお前には一つ二つの弟、
可哀
(
かあい
)
がられて夢中になつた日には小花には気の毒なれど
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その
私
(
わたし
)
を
可哀
(
かあい
)
さうに
思
(
おも
)
つて、
親狐
(
おやぎつね
)
は
私
(
わたし
)
の
言
(
い
)
ふなりに
育
(
そだ
)
てゝ
呉
(
く
)
れましたとか。
私
(
わたし
)
は
他
(
ひと
)
の
言
(
い
)
ふことなぞを
聞
(
き
)
かないで、
自分
(
じぶん
)
のしたい
事
(
こと
)
をしました。
鷄
(
にはとり
)
が
食
(
た
)
べたければ、
鷄
(
にはとり
)
を
盜
(
ぬす
)
んで
來
(
き
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
気をつけて見れば見るほどどうも
可怪
(
おかし
)
いようにも思われたので、私はいっそ本人に
対
(
むか
)
って
打付
(
うちつけ
)
に
問
(
と
)
い
糺
(
ただ
)
して、その疑問を解こうかとも思ったが、
可哀
(
かあい
)
そうだからお
止
(
よ
)
しなさいと妻はいった。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
磯
(
いそ
)
は、
可哀
(
かあい
)
そうな人形を抱きあげて、
頬
(
ほお
)
ずりして喜びました。
博多人形
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
取られても知らずに居るのです。
可哀
(
かあい
)
そうなものです。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
といひかけて
笑
(
わら
)
ひ
消
(
け
)
す
詞
(
ことば
)
何
(
なに
)
としらねどお
施
(
ほどこ
)
しとはお
情深
(
なさけぶか
)
い
事
(
こと
)
さぞかし
可哀
(
かあい
)
さうのも
御座
(
ござ
)
いませうと
思
(
おも
)
ふことあれば
察
(
さつ
)
しも
深
(
ふか
)
し
花子
(
はなこ
)
煙草
(
たばこ
)
は
嫌
(
きら
)
ひと
聞
(
きゝ
)
しが
傍
(
かたはら
)
の
煙管
(
きせる
)
とりあげて
一服
(
いつぷく
)
あわたゞしく
押
(
おし
)
やりつそれはもうさま/″\ツイ
二日計前
(
ふつかばかりまへ
)
のこと
極貧
(
ごくひん
)
の
裏屋
(
うらや
)
の
者
(
もの
)
が
難産
(
なんざん
)
に
苦
(
くるし
)
みまして
兄
(
あに
)
の
手術
(
しゆじゆつ
)
に
母子
(
ふたり
)
とも
安全
(
あんぜん
)
では
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
可哀
(
かあい
)
や我故
身形
(
みなり
)
も
構
(
かま
)
はず
此寒空
(
このさむそら
)
に
袷
(
あはせ
)
一ツ寒き樣子は見せねども此頃は苦勞の故か
面痩
(
おもやせ
)
も見えて
一入
(
ひとしほ
)
不便に思ふなり今宵は
何方
(
いづかた
)
へ行しにや最早
初更
(
しよや
)
近きに
戻
(
もど
)
り
來
(
こ
)
ねば晝は身
形
(
なり
)
の
窶然
(
みすぼらし
)
く金の
才覺
(
さいかく
)
にも出
歩行
(
あるか
)
れぬ故夜に入て才覺に出行しか女の夜道は
不用心
(
ぶようじん
)
若
(
もし
)
惡者
(
わるもの
)
に
出會
(
であ
)
はぬか
提灯
(
ちやうちん
)
は持ち行しか是と云も皆我が身の
在
(
ある
)
故なり
生甲斐
(
いきがひ
)
もなき身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もう寂しくなって人も余り居らないこの旧都に残って居ります私に、
可哀
(
かあい
)
そうにも恋死をさせるおつもりですか、とでもいうのであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「旦那様、亭主が
長
(
なが
)
の
病
(
わづら
)
ひで
食物
(
たべもの
)
さへ咽喉を通らなくなつて
居
(
を
)
ります。
可哀
(
かあい
)
さうだと
思召
(
おぼしめ
)
して、一度診てやつて下さいませ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此の重二郎はそれらの為に
斯
(
か
)
くまでに
零落
(
おちぶ
)
れたか、
可愛
(
かわい
)
そうにと、
娘気
(
むすめぎ
)
に
可哀
(
かあい
)
そうと云うのも
可愛
(
かわい
)
そうと云うので、
矢張
(
やはり
)
惚
(
ほ
)
れたのも同じことでございます。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
またいろいろ人からくれた物などがあると、殊に老人は
可哀
(
かあい
)
そうですから
沢山
(
たくさん
)
遣るようにして居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それから
多細胞
(
たさいぼう
)
の
羊歯
(
しだ
)
類
顕花
(
けんか
)
植物と
斯
(
こ
)
う連続しているからもし動物がかあいそうなら生物みんな
可哀
(
かあい
)
そうになれ、顕花植物なども食べても切ってもいかんというのですが
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
貧乏なお婆さんと見え、冬もボロボロの
袷
(
あわせ
)
を重ねて、
足袋
(
たび
)
もはいていないような、
可哀
(
かあい
)
そうな姿をしておりました。そして、納豆の
苞
(
つと
)
を、二三十持ちながら、あわれな声で
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「おおおお
可哀
(
かあい
)
そうに
何処
(
どこ
)
を。本当に悪い兄さんですね。あらこんなに眼の下を
蚯蚓
(
みみず
)
ばれにして兄さん、
御免
(
ごめん
)
なさいと
仰有
(
おっしゃ
)
いまし。仰有らないとお母さんにいいつけますよ。さ」
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
僕が人にお前を
奪
(
と
)
られる無念は
謂
(
い
)
ふまでも無いけれど、三年の後のお前の後悔が目に見えて、
心変
(
こころがはり
)
をした憎いお前ぢやあるけれど、やつぱり
可哀
(
かあい
)
さうでならんから、僕は真実で言ふのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
少女「まあ、
可哀
(
かあい
)
そうね。兄さんどうしたら
好
(
い
)
いでしょう」
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
『そりやさうだ。とにかく
可哀
(
かあい
)
さうなやつよ。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
聴衆
(
きゝて
)
はそれを聞くと、どつと一度に笑ひ出した。
可哀
(
かあい
)
さうに冷かしを言つた男は地獄の住民にされてしまつたのだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
美しく
可哀
(
かあい
)
らしいあの娘は、誰の妻になって、食事の器を持つだろう、御飯の世話をするだろう、というのだが、やはりつまりはおれの妻になるのだということになる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「喰べたくはないんだけれど、
可哀
(
かあい
)
そうな納豆売のお婆さんがいるから。」と言いました。
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
元来私どもの感情はそう無茶苦茶に間違っているものではないのでありましてどうしても本心から起って来る心持は全く客観的に見てその通りなのであります。動物は全く
可哀
(
かあい
)
そうなもんです。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
然し内の浜路は困る、信乃にばかり気を
揉
(
もま
)
して、余り憎いな、そでない
為方
(
しかた
)
だ。これから手紙を書いて思ふさま言つて
遣
(
や
)
らうか。憎いは憎いけれど病気ではあるし、病人に心配させるのも
可哀
(
かあい
)
さうだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「母様、駒鳥は
可哀
(
かあい
)
そうねエ」
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「まあ、
可哀
(
かあい
)
さうに。こんなに縛られてゐて、どんなにか苦しからうよ。さあさあ
緩
(
ゆつ
)
くり息をつくといい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ほんとうに
可哀
(
かあい
)
そうだねえ、穂吉さんは、けれども泣いちゃいないよ。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
可哀
(
かあい
)
さうなはこの子でござい
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
「
俺
(
わし
)
が一日怠けでもしようもんなら、京の奴ら、
悉皆
(
みんな
)
ぐしよ濡れになるやらう。
可哀
(
かあい
)
さうなもんや。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「はい。」と床屋は
腰骨
(
こしぼね
)
を蹴飛ばされたやうに、飛上つて帰つて来た。
可哀
(
かあい
)
さうに床屋の耳には世界中が仙台平の袴になつたやうに、
其辺
(
そこら
)
がきゆう/\
喧
(
やかま
)
しく鳴り出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
可哀
(
かあい
)
さうに生埋にしたのださうな。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
可哀
(
かあい
)
さうに
生活
(
くらし
)
が
難
(
むつ
)
かしいんだわ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
哀
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
“可哀”で始まる語句
可哀想
可哀相
可哀気
可哀氣