出会でっくわ)” の例文
旧字:出會
ところでこれからどうすれば、この国に大騒動を起させて、珍しい事や面白い事に出会でっくわす事が出来るか。赤鸚鵡よ、考えてくれ。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
けれどもこの水々しい年増と美しい娘とが奥へ通ったあとで、一同は吹き出さなければならないことに出会でっくわしてしまいました。
一枚二枚は余所目よそめを振らず一心に筆を運ぶが、其中そのうち曖昧あやふやな処に出会でっくわしてグッと詰ると、まず一服と旧式の烟管きせるを取上げる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「何、温泉宿の夜中に、寂しい廊下で出会でっくわすのは、そんなお化に限るんだけれど、何てたって驚きましたよ——馬鹿々々しいほど驚いたぜ。」
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今更追腹おいばらも気乗がせず、諸国を医者に化けて廻っているうちに、相模さがみ三増峠みませとうげの頂上において行倒れの老人に出会でっくわした。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
仙「此ん畜生、旦那此の春わっち重三じゅうざさんと安という駕籠舁かごかきを連れて、松戸へ刀の詮議に往った時に出会でっくわしたさむれえなんで」
が、掘り拡げても、掘り拡げても、なお、そのさきに、黄銅鉱がきら/\光っていた。経験から、これゃ、巨大な鉱石の大塊に出会でっくわしたのだと感じた。
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
なん面白おもしろ人間にんげんだろう。』と、院長いんちょう自分じぶんへやほうかえりながらおもうた。『ここへてから何年振なんねんぶりかで、こうともかたられる人間にんげんはじめて出会でっくわした。 ...
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
思いがけない剛敵ごうてき出会でっくわして、東京者も弱った。与右衛門さんは散々並べて先方せんぽうこまらせぬいた揚句あげく、多分の賠償金ばいしょうきん詫言わびごとをせしめて、やっと不承ふしょうした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
盗人が幽霊の真似をするとは全く例のない事ではない、余は誰かの話に聞いた、併し実際出会でっくわしたは初めてだ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
さびしい男性は、時として途上に出会でっくわした売春婦に大きな秘密を打ち明けるものだ。時としてまた、そういう女たちは、身をもって男の秘密を守ろうとする。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「否、器量は別問題としてあれぐらい要領を得たのは未だ出会でっくわしたことがない」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
自分の若い職人が一人、順吉というお島の可愛がって目をかけている小僧と一緒に、熱い仕事場の瓦斯ガスの傍を離れて、涼しい夜風を吸いに出ているのに、ふと観月橋のたもとのところで出会でっくわした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
今にその浪江という奴に出会でっくわしたら、この刀で横腹よこっぱら抉って父さまの仇ァ討たんければなんねえ、ええか、(中略)こんなに錆びているだが、このほうが一生懸命ならこれだって怨は返せる、己
処がそうしている内に、遂々とうとう一人の女に出会でっくわした。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
お玉はいま、女から受取った手紙と金とを懐中に入れて、しきりに犬を尋ねて、備前屋のまわりを廻ると夜番に出会でっくわします。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
人身御供ひとみごくう出会でっくわせば、きっと男が助けるときまつたものなの……又、助けられる事に成つて居るんですもの。ね、うなさい。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「教えて下さい……先生。どうぞ、お願いですから……僕はもう、これ以上不思議な事に出会でっくわしたら死んでしまいます」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
森「ちげえねえ、己もそう思っている、だがね旦那と揃う娘がねえ、器量は揃っても旦那と了簡の出会でっくわせる女がねえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やはり毎朝まいあさのようにこのあさ引立ひきたたず、しずんだ調子ちょうし横町よこちょう差掛さしかかると、おりからむこうより二人ふたり囚人しゅうじんと四にんじゅううて附添つきそうて兵卒へいそつとに、ぱったりと出会でっくわす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
余は兎に角も秀子の様子を見届けねば成らぬと思いお浦の姿の見えなくなるを待って、多分秀子が潜んで居るだろうと思う盆栽室へ、そっと行った、茲でも矢っ張り容易ならぬ事に出会でっくわした。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「嘘は一つつくとそれをまっとうするために幾つもつかなければならないと言うが、真正ほんとうだね。君のがれるといけないから、矢っ張り早稲田の友人の家へ行った帰りに偶然出会でっくわしたことにして置くぜ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それから三四十日経った或る蒸し暑い晩の事、私は東中洲ひがしなかすのカフェーで偶然に私服を着た大塚警部に出会でっくわした。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「何か、お前が出会でっくわした——黒門に逗留とうりゅうしてござらしゃるわけえ人が、手鞠てまりを拾ったちゅうはどこらだっけえ。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
表徳は御免をこうむなかへ往ってチョン/\格子か何かで自腹遊びをする積りで御免を被って師匠に逢おうと思ってると、此処で出会でっくわすなんざア不思議でしょう
夜更よふけから暁方あけがたへかけて、こうして扮装みなりを変えて毎夜のように尋ねてみるが、ついぞ出会でっくわし申さぬ。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かれ何時いつ囚人しゅうじん出会でっくわせば、同情どうじょう不愉快ふゆかいかんたれるのであるが、そのはまたどううものか、なんともわれぬ一しゅのいやな感覚かんかくが、つねにもあらずむらむらといて
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
だッて君目「いや/\僕は今まで色々な奴に出会でっくわしたゞけ容易には少しの事を ...
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
枕元に鞄がねえから其処に有合せた煙草入や時計をさらって表へ出ようとする途端に、手前に出会でっくわしたのよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
不意に出会でっくわした時もそうですが、沈んだあかるい、しかも陰気な、しかし冴えて、ひややかな、炎かくれないの雲かと思うような四辺あたりの光景にも因りましたろうが、すらりと、このな
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道庵は、よくそんなところへ出会でっくわせる男で、いつぞやも伊勢参りをした時に、やはり、こんなような鉢合せから始まって、宇治山田の米友という珍物を掘り出したのは、この先生の手柄であります。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わし真先まっさき出会でっくわした時はかさかぶって竹杖たけづえを突いたまま、はッと息を引いてひざを折ってすわったて。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何うしてもおめえしななくッちゃアいけねえのか………じゃア仕方がねえ、金ずくで人の命は買えねえ、己も無くッちゃアならねえ金だが、お前に出会でっくわしたのが此方こっち災難せえなんだから
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しめし合わせて駈落かけおちでもしたように思っているが、以ての外だ、なんらの関係はない、偶然に出会でっくわして、偶然の道づれになったまでのことなのだ、情実関係も、利害関係も、一切ありはしないのだよ
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何、妙なものに出会でっくわして気を痛めたに違いなかろう。むむ、思ったばかり罪はないよ、たとい、不思議なもののとがめがあっても、私が申請けよう。さあ、しっかりとつかまれ。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
の執念深いと申すのは恐しいもので、よく婦人が、嫉妬のために、ちらし髪で仲人の処へ駈けてく途中で、巡査おまわり出会でっくわしても、少しも巡査が目に入りませんから、突当るはずみに
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さてこの道中は、いろいろな珍らしいことに出会でっくわす。
黒島道へかかろうとする、横筋の小川のあぜをつたって来て、横ざまに出会でっくわした男がある。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それではいけねえと、一生懸命になって歩いてまいりましたが、旦那さまが笠をって、長いお刀へ手を掛けて、御立腹なすった時には、私も随分お武家方のお腹立にも出会でっくわしますが
おのぼりさんが出会でっくわした旅宿万年屋でござる。女中か、せいぜいで——いまはあるか、どうか知らぬ、二軒茶屋で豆府を切る姉さんぐらいにしか聞えない。嫋音じょうおん嬌声きょうせい、真ならず。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春部の彼奴あいつが若江という小姓と不義いたずらをして逃げたんで、其の逃げる時にお馬場口から柵矢来さくやらいの隙間の巾の広い処から、身体を横にしてわたくしが出ようと思います途端に出会でっくわして、実にどうも困りました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一年三百六十五日、のべつ、そんな処には出会でっくわしていたんだから、さしたる大事とは思わなかったし、何が何でも人殺の相談をしようなどとは、夢にも、この私にしたって思いませんや。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
甚「此方こっちへ来る土手でく人殺しに出会でっくわさなかったな」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あれッきり、座敷へなり、納戸なんどへなりのたくり込めば、一も二もありゃしない。それまでというもんだけれど、何処どこいたにとぐろでも巻いている処へ、うっかり出会でっくわしたら難儀なんぎだろう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
胸騒むなさわぎがしながら歩行あるいたけれども、不思議なものはの根にも出会でっくわさない、ただのこはれ/″\の停車場ステエションのあとへ来た時、雨露あめつゆさらされた十字の里程標りていひょうが、枯草かれくさの中に、横になつて居るのを見て
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「悪くするとかたき出会でっくわす。」と投首なげくびする。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何だい、出会でっくわしたなあ、犬か、人間か。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)