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仇敵
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かたき
ふりがな文庫
“
仇敵
(
かたき
)” の例文
太政大臣のことをよい
親戚
(
しんせき
)
を持ったようにあなたは喜んでいらっしゃいますが、私には前生にどんな
仇敵
(
かたき
)
だった人かと思われます。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
原来彼の黄金丸は、われのみならず
畏
(
かしこ
)
くも、大王までを
仇敵
(
かたき
)
と
狙
(
ねら
)
ふて、
他
(
かれ
)
が
足痍
(
あしのきず
)
愈
(
いえ
)
なば、この山に
討入
(
うちいり
)
て、大王を
噬
(
か
)
み
斃
(
たお
)
さんと計る由。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「白々しいこと、えい、申すな! 主人の姫を
唆
(
そそのか
)
し、人もあろうに
仇敵
(
かたき
)
の子と、不義
三昧
(
ざんまい
)
に落ち入らせた事、罪に非ずと抗弁するか!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と私の差し出した茶碗を
仇敵
(
かたき
)
のごとくに持ち扱いながら、一口飲んでは首を振ったり顔を背けたり、無理やりに飲み下していた。
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
(封建時代とはちがつた仕方で、今の資本主義の世の中にも、孝子の
仇敵
(
かたき
)
討ちがふだんに行はれて居ることを知るべきである。)
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
それからツヤ子さんの
仇敵
(
かたき
)
と思って、いつもジロジロ様子を見ていてやったわ。また、誰か殺しに来たに違いないと思って……。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……憎ければとて、浅ましければとて、
気障
(
きざ
)
なればとて、たとい
仇敵
(
かたき
)
なればと申して、約束はかえられませぬ、誓を破っては相成りませぬ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの基督の
仇敵
(
かたき
)
が言ふことといへば、一つ残らず嘘偽りぢや! 奴のところにやあ、真実といふものは、一文がとこもあることぢやない!」
ディカーニカ近郷夜話 後篇:05 呪禁のかかつた土地
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ばかに交通巡査を眼の
仇敵
(
かたき
)
にしてるようだが、全くこんなふうなんだから、自動車にはいつだって
轢
(
ひ
)
かれるほうが悪いんで
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
(菊龍じゃない、あなたはほんのはしくれ、
仇敵
(
かたき
)
のはしくれ)と何処か底に囁くものが彼女を再び沈鬱な柔順に返らしめた。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
仇敵
(
かたき
)
を持つ身——芝居や
戯作
(
げさく
)
では面白いが、さて、現実に自分がそれになってみると、あんまり気もちのいいものではない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
第三の瞬間は
直
(
ただ
)
ちに動揺を伴って来た。彼は先刻からの
仇敵
(
かたき
)
様に憎んで居た年増の婦人の
袂
(
たもと
)
へ、今紳士から抜取った二つの品を押込んで了った。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
『さう、
眞箇
(
ほんとう
)
に!』
怖
(
おそ
)
れて
尻尾
(
しツぽ
)
の
先
(
さき
)
までも
顫
(
ふる
)
へてゐた
鼠
(
ねずみ
)
が
叫
(
さけ
)
びました。』
若
(
も
)
し
私
(
わたし
)
が
斯麽
(
こんな
)
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
したが
最期
(
さいご
)
!
私
(
わたし
)
の一
家族
(
かぞく
)
は
殘
(
のこ
)
らず
猫
(
ねこ
)
を
仇敵
(
かたき
)
に
念
(
おも
)
ふ。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そうでなくてさえ
況
(
ま
)
して年を取った親心には、可愛い
生
(
うみ
)
の娘に長い間、苦労をさした男は、訳もなく唯、
仇敵
(
かたき
)
よりも憎い。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
今夜、広海屋というのに逢えば、それで
仇敵
(
かたき
)
という仇敵の顔が、すっかり見られるわけ。その上で、きっぱり仇討ちの手立てを立てねばならぬ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
刀の
在所
(
ありか
)
、
仇敵
(
かたき
)
の
匿家
(
かくれが
)
まで教えて呉れた其の功に
愛
(
め
)
でゝ、永く苦痛をさするも
不便
(
ふびん
)
ゆえ、この小三郎が介錯して取らせるぞ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「何を仰有るのです。まだ蠅男との戦いは終って居ないではありませんか。そんな弱気を出しては、貴女のお父さんの
仇敵
(
かたき
)
はとても打てませんよ」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
食堂の食卓にはサレーダインの
仇敵
(
かたき
)
が島をめざして一陣の突風のように来襲した時既に晩飯の用意が出来ていたのだ。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
さなきだに作品を産出できなかった天才大川は、
仇敵
(
かたき
)
米倉三造の盛名日に日にあがるのを見つつ、こうやって惨劇以来の半年を送って来たのであった。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
仇敵
(
かたき
)
のように憎んで居た夫の佐良井には、生前はどうしても自由にさせなかった巨万の富を、此世で一番慕って居た
義兄
(
あに
)
の私には、赤鉛筆で印を付けた
死の舞踏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ドバルですか、
仇敵
(
かたき
)
ですか? いやあれは実に立派な人間です。二十年この方私の宅にいて正直な男でした。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
それのみならず、にくい良人の
胤
(
たね
)
であるかと思うと、お腹の子までが自分の
仇敵
(
かたき
)
のように思われてなりません。
印象
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
かまれて
暖簾
(
のれん
)
に
見
(
み
)
る
恥
(
はぢ
)
は
誰
(
た
)
れゆゑぞ
原
(
もと
)
を
正
(
たゞ
)
せば
根分
(
ねわ
)
けの
菊
(
きく
)
親子
(
おやこ
)
の
中
(
なか
)
に
知
(
し
)
らぬといふ
道理
(
だうり
)
はなしよし
知
(
し
)
らぬにせよ
知
(
し
)
るにせよそれは
其方
(
そなた
)
の
御勝手
(
ごかつて
)
なり
仇敵
(
かたき
)
の
子
(
こ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
幼かつたとき話にきいた、あの
仇敵
(
かたき
)
を探す武士も、こんな風に旅していつたのだ、と良寛さんには思はれた。しかし、その武士の探してゐたのは仇敵だつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
(
仮令
(
たとい
)
、そうであるにしても——妾には、月丸様が、憎めない。
仇敵
(
かたき
)
とは、仇敵のお息子とは思えない)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
これは神を
嘲弄
(
ちょうろう
)
するものであり、人間に対する
冒涜
(
ぼうとく
)
です、私にもしも親の
仇敵
(
かたき
)
があって、そいつを八つ裂きにしてやりたい、と思うほど憎んでいる、としてもですね
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
祖父
(
そふ
)
は弟のする事は何をしても叱らないで、自分ばかりを
仇敵
(
かたき
)
のやうにがみ/″\いふのである。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
それから彼はいちいち几帳面に
仇敵
(
かたき
)
に、それ相応の復讐を遂げ、自分はわざと恋人の兄の刃にかかって死にます。因果応報の道具にだけこの世に生れて来たような青年です。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
其の心の
裡
(
うち
)
の喜びも
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
で、
苦痛
(
くるしみ
)
の矢は
忽
(
たちま
)
ち私の胸に立つたのです、其れは貴女も御聞き及びになりましたやうに、私の父と篠田
様
(
さん
)
とが、
仇敵
(
かたき
)
の如き関係になつたことです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『
現世
(
げんせ
)
で
怨
(
うら
)
みが
晴
(
は
)
らせなかったから、
良人
(
おっと
)
と
二人
(
ふたり
)
力
(
ちから
)
を
合
(
あ
)
わせて
怨霊
(
おんりょう
)
となり、せめて
仇敵
(
かたき
)
を
取
(
と
)
り
殺
(
ころ
)
してやりたい……。』——これが
神
(
かみ
)
さまに
向
(
むか
)
ってのお
願
(
ねが
)
いなのでございますから
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ロミオ 二
度
(
ど
)
と
問
(
と
)
はれいでも
話
(
はな
)
しませう。
仇敵
(
かたき
)
の
家
(
いへ
)
で
酒宴
(
しゅえん
)
の
最中
(
さいちゅう
)
、だまし
撃
(
うち
)
に
予
(
わし
)
に
創
(
きず
)
を
負
(
お
)
はした
者
(
もの
)
があったを、
此方
(
こち
)
からも
手
(
て
)
を
負
(
お
)
はした。
二人
(
ふたり
)
の
受
(
う
)
けた
創
(
きず
)
は
貴僧
(
こなた
)
の
藥力
(
やくりき
)
を
借
(
か
)
れば
治
(
なほ
)
る。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
はらはらしながら竹二郎が、
撥
(
ばち
)
を合せて行くうちに、
一調一高
(
いっちょういっこう
)
、又七の笛は彼の三味を
仇敵
(
かたき
)
にしていることが解って来た。そして、満座の中で何度となく彼は糸を切らせられたのである。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼
(
あ
)
の仮髪事件から乃公を目の
仇敵
(
かたき
)
のように思っているらしい。乃公が焼棄てたればこそ、校長は
彼
(
あ
)
んな新しい奴を買ったのじゃないか。その恩も忘れて唯訳も分らずにがみがみ言っている。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ト、一日手を離さぬので筆が
仇敵
(
かたき
)
の樣になつてるから、手紙一本書く氣もしなければ、
書
(
ほん
)
など見ようとも思はぬ。
凝然
(
ぢつ
)
として
洋燈
(
ランプ
)
の火を見つめて居ると、
斷々
(
きれ/″\
)
な事が
雜然
(
ごつちや
)
になつて心を掠める。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それが、俺が正直に告白をして了うと、もう俺を
仇敵
(
かたき
)
の様に憎み恐れるのか
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれど、良人は、神仏を
仇敵
(
かたき
)
のように呪っている人である。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あいつ泥棒やがな、俺の
仇敵
(
かたき
)
やがな!」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「さもこそあらめ、よくぞいひし。其方がいはずば
此方
(
こなた
)
より、
強
(
しい
)
ても勧めんと思ひしなり。
思
(
おもい
)
のままに武者修行して、天晴れ父の
仇敵
(
かたき
)
を討ちね」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
そして、こうして自分が乾雲丸を所持していない以上は、もはや栄三郎とも
仇敵
(
かたき
)
同士に別れてねらいあう意味のないこと。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あなたの
仇敵
(
かたき
)
は討たれたのです。あなたの姿、あなたの容貌、あなたそっくりの女によって。ですからあなたが手を下して、敵を討ったと同じです。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
というわけは、大川竜太郎と米倉三造とは恐らく永久に手を握りあうことのできぬ
仇敵
(
かたき
)
同士であったからである。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
眼病も大きに全快の
端緒
(
こぐち
)
に
赴
(
おもむ
)
き、少しずつは見えるように相成ったが、その八橋周馬とか申して堀切村に
居
(
い
)
る奴は、全く
仇敵
(
かたき
)
の大野惣兵衞に相違ないか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仇敵
(
かたき
)
のように思われ、殊に祖母と別れてから数年間、世の荒浪にもまれて、散々苦労をしたので、
遂
(
つい
)
には、世を呪う心が抑えきれぬようになったのだそうです。
遺伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
(許して、とか、殺してくれ、とか、月丸と、割無き仲になっているのではないか?
仇敵
(
かたき
)
の倅と——)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
つづまるところ、油断をしてはならぬだけの力のある、一人の敵が、自分がつけ狙う
仇敵
(
かたき
)
の味方に立った——と、いうことを、覚悟すれば、それでいいわけなのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
武士の家のしきたりでは、兄さんが殺されると、弟が兄さんの
仇敵
(
かたき
)
を討たねばならないのだつた。さういふわけで、その弟は仇敵を討つための旅をしてゐたのである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
しかしお光さん、お前さんだけは、わたしが一生涯かかって今日のこの屈辱の復讐をするために
仇敵
(
かたき
)
を逃がさないように、仇敵と共に逃げたことを知っていて下さい。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
不運は天にありて身から出たる罪にもあらぬを親なし子と落しめる奴原が心は鬼か蛇か、よし我等が頭に宿り給ふ神もなく佛もなき世なるべし、世間は我等が
仇敵
(
かたき
)
にして
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
でも……でも、
白堊館
(
はくあかん
)
の中には、全然あたくしの
仇敵
(
かたき
)
ばかり居るわけでもないのです。そういう方々のお力によって、多分あたくしは平凡なる理由で辞職できるかも知れません
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうして今も云ったように、吾輩を君の
不倶戴天
(
ふぐたいてん
)
の
仇敵
(
かたき
)
と思い込ませて、その事実を公式に言明させよう……彼の思い通りに引き
歪
(
ゆが
)
めた事件の真相を社会に曝露させてやろう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“仇敵”の意味
《名詞》
あだ、かたき。
(出典:Wiktionary)
仇
漢検準1級
部首:⼈
4画
敵
常用漢字
小6
部首:⽁
15画
“仇敵”で始まる語句
仇敵視
仇敵討
仇敵同士