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乃公
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おれ
ふりがな文庫
“
乃公
(
おれ
)” の例文
そして果せる哉、
本統
(
ほんとう
)
に伊勢鰕のように真赤な顔になった。
乃公
(
おれ
)
は困ったと思うと、富田さんが
突然
(
いきなり
)
乃公の手を捉えたのには
喫驚
(
びっくり
)
した。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼等はきょうお金を握ると急に閻魔面になった。
乃公
(
おれ
)
は実際見るのもいやだ。金は要らない、役人もやめだ。これほどひどい屈辱はない
端午節
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
と云ふ詩なぞを
掲
(
かか
)
げてゐるが、此れ等は何処となく、黙阿弥劇中に散見する
台詞
(
せりふ
)
「
今宵
(
こよひ
)
の事を知つたのは、お月様と
乃公
(
おれ
)
ばかり。」
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
朝鮮の忠臣柳成竜は之を見て、二十万なぞとは嘘だと云うと、「汝が国人がそう告げたのだから、事実は
乃公
(
おれ
)
の知った事じゃない」
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「風呂場で
夫婦喧嘩
(
めをとげんくわ
)
すると、
乃公
(
おれ
)
が困るやないか。……駒、お前一寸京子の番してて呉れ。定はん、そんなら一つ焚いてんか。頼む。」
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
丁度
(
ちょうど
)
自分の学校から出た生徒が実業に
着
(
つい
)
て自分と同じ事をすると同様、
乃公
(
おれ
)
がその
端緒
(
たんちょ
)
を開いたと云わぬ
計
(
ばかり
)
の
心持
(
こころもち
)
であったに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
などゝいふから、
益々
(
ます/\
)
国王
(
こくわう
)
は
得意
(
とくい
)
になられまして、
天下
(
てんか
)
広
(
ひろ
)
しと
雖
(
いへ
)
ども、
乃公
(
おれ
)
ほどの
名人
(
めいじん
)
はあるまい、と思つてお
在
(
いで
)
になりました。
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「スペンサア奴、
怪
(
け
)
しからん奴ぢや。早く邸から追ひ立ててしまふがよい。もつと読んで往つたら、
乃公
(
おれ
)
は身代限りをせざあなるまい。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
快活
(
くわいくわつ
)
なる
水兵
(
すいへい
)
の
一群
(
いちぐん
)
は
其
(
その
)
周圍
(
まわり
)
を
取卷
(
とりま
)
いて、『やあ、
可愛
(
かあひ
)
らしい
少年
(
せうねん
)
だ、
乃公
(
おれ
)
にも
借
(
か
)
せ/\。』と
立騷
(
たちさわ
)
ぐ、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
は
右手
(
めて
)
を
擧
(
あ
)
げて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
殊
(
こと
)
に変わったのは梅子に対する
挙動
(
ふるまい
)
で、時によると「馬鹿者! 死んで
了
(
しま
)
え、
貴様
(
きさま
)
の
在
(
あ
)
るお蔭で
乃公
(
おれ
)
は死ぬことも出来んわ!」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
また
乃公
(
おれ
)
も、妙でないやうに、考へる処もあるなれば、いつそ
外家
(
ほか
)
へ行つてくれた方が、かへつて世話がしよからふと、思ひ付いたからの事。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「ハハハハハ。
無手
(
むて
)
で、このピストルに立向うつもりかい。いくら、日本の少年でも、そいつはいけねえ。
乃公
(
おれ
)
に降伏しろ」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
どうも
乃公
(
おれ
)
は、ときどき頭が変になるので困るよ。
年齢
(
とし
)
のせいでもあるまいのに、いろんなことを取り違えて困るのだよ。
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
既にシャーターが
宰相
(
さいしょう
)
に任ぜられた時分に、前の法王であったテーモ・リンボチェが、ああもう
乃公
(
おれ
)
の寿命もこれで
極
(
きわま
)
ったといったそうですが
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
精を尚ぶことをせぬ徒の、やゝもすれば口にすることは、句讀訓詁の學なぞは、
乃公
(
おれ
)
は敢てせぬといふのが一つである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ピータ はて、
樂人
(
がくじん
)
さん、
何故
(
なぜ
)
と
言
(
い
)
うて、
今
(
いま
)
、
乃公
(
おれ
)
の
心
(
こゝろ
)
の
中
(
なか
)
では「
予
(
わし
)
の
心
(
こゝろ
)
は
悲哀
(
かなしみ
)
に……」が
始
(
はじ
)
まってゐる
最中
(
さいちゅう
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
してやってれば、つけあがって、
乃公
(
おれ
)
に向って唇を
反
(
そら
)
すとはなんだ、乃公が黙ってれば、いい気になりやがって
陳宝祠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
近頃は文三に対しては気に障わる事
而已
(
のみ
)
を言散らすか、さもなければ同僚の非を数えて「
乃公
(
おれ
)
は」との自負自讃、「人間
地道
(
じみち
)
に事をするようじゃ役に立たぬ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「そんな無茶を言うものでない。お前も坊主なら
乃公
(
おれ
)
も坊主だ。坊主同士だから仲よくしようじゃないか」
章魚の足
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
「いやじゃないが、」魚容は
狼狽
(
ろうばい
)
して、「
乃公
(
おれ
)
にはちゃんと女房があります。浮気は君子の慎しむところです。あなたは、乃公を邪道に誘惑しようとしている。」
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
主婦が仙さんの
素生
(
すじょう
)
を尋ねかけたら、「
乃公
(
おれ
)
に喧嘩を売るのか」と仙さんは血相を変えた。ある時やるものが無くて
梅干
(
うめぼし
)
をやったら、斯様なものと顔をしかめる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
良人の其人も目は泣きながら、嬉しそうに
首肯
(
うつむ
)
かれたのでした。『
乃公
(
おれ
)
はもう何んにも思い置く事はねえよ。村に帰ったら、皆さんへ宜敷く云って呉れるがいい。』
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
外国人に対して
乃公
(
おれ
)
の国には富士山があるというような馬鹿は今日はあまり云わないようだが、戦争以後一等国になったんだという高慢な声は随所に聞くようである。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前後も知らぬ
高鼾
(
たかいびき
)
で、さも心持
快
(
よ
)
さそうに寝ておりますから、
〆
(
し
)
めた! おのれ画板め、今
乃公
(
おれ
)
が貴様の角を、残らず取り払ってやるからにわ、もう
明日
(
あした
)
からわ角なしだ
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
然し、元はと言えば
乃公
(
おれ
)
の
過
(
あやま
)
りさ。あれが来てから一年と経たない内に、もう乃公は飽いて了った。その
筈
(
はず
)
だろう——あれとは年も違い、考も違う。まるで
小児
(
ねんねえ
)
も同然だ。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
若山、君は家を造るさうだが、その設計は
乃公
(
おれ
)
がしてやるから一切任せろ、といふ文面です。
金比羅参り
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
ヤンガー・ゼネレエション拍手
喝采
(
かっさい
)
というところであるが、
発声撮影
(
トーキー
)
でないのが遺憾の極み。へん、当代太宰治の声色を使わせたら、活殺自在の舌
捌
(
さば
)
き、まず
乃公
(
おれ
)
の右に出る者はあるまいて。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
そこは
乃公
(
おれ
)
も察しているから相談ずくで、新しい人形を一つお前たちに貸してやる、これは鎌倉の右大将米友公という人形で、形は小さいが出来は丈夫に出来ている、ただいまのお喋り坊主と違って
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何か他の方法といっても、
乃公
(
おれ
)
は『筆の上では
筆耕生
(
ひっこうせい
)
にもなれないし、腕力では消防夫にもなれない』、別にどうしようもない」
端午節
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「中学校だつけね、
乃公
(
おれ
)
は子供を持つた事がねえから
当節
(
たうせつ
)
の学校の事はちつとも
分
(
わか
)
らない。大学校まで行くにやまだ
余程
(
よほど
)
かゝるのかい。」
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
馬鹿言え、
乃公
(
おれ
)
は国に帰りはせぬぞ、江戸に行くぞと云わぬばかりに、席を
蹴立
(
けた
)
てゝ出たことも、
後
(
のち
)
になれば
先方
(
さき
)
でも
知
(
しっ
)
て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
気がついた時には、
乃公
(
おれ
)
は
藁火
(
わらび
)
の傍に大勢に取巻かれていた。大方乃公が死んだと思って火葬にする積りだったのだろう。気の早い奴等だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
乃公
(
おれ
)
なんかは
近
(
ちか
)
い
内
(
うち
)
に
大仕事
(
おほしごと
)
があるのだ、
其
(
その
)
仕事
(
しごと
)
の
爲
(
ため
)
に
今
(
いま
)
此
(
この
)
港
(
みなと
)
へ
來
(
き
)
て、
明後晩
(
めうごばん
)
にはまた
此處
(
こゝ
)
を
出發
(
しゆつぱつ
)
するのだが、
其
(
その
)
一件
(
いつけん
)
さへ
首尾
(
しゆび
)
よく
行
(
い
)
けば
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
手品師め、手品には
失敗
(
しくじ
)
つたが、
巧
(
うま
)
い事を言つたもので、少将と蕃山と左源太とは、
各自
(
めいめい
)
腹のなかでは、「その偉い器量人は多分
乃公
(
おれ
)
だな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ははは
乃公
(
おれ
)
か、乃公はそんな
脆弱
(
ひよわ
)
い身体でない。いはばこれも道楽の、好きでする仕事に、疲れなんぞ出るものなら、とうに死んでゐる筈なり。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「だって、本船には、最初からあんな老人が乗組んでなかったはずだ。……そ、それに、
乃公
(
おれ
)
ア見たが、あの老人には、足が無かったようだぜ」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
どこそこの華族さんに今度お子達が出来たがそのお子達は生れながら
乃公
(
おれ
)
はどこの何というラマであるというたとか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
『帰つたつて
可
(
い
)
いじやアないか。
乃公
(
おれ
)
は出るから』と言ひ放つて、何か思ひ着いたと見え、
急速
(
いそ
)
いで二階に
上
(
あが
)
つた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「なんでもいいから早く社長を探してくれ。急ぎの原稿があるんだ。社長に早く見せないと、
乃公
(
おれ
)
は
馘
(
くび
)
になるんだ」
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
カピ長
南無三
(
なむさん
)
、やりをるわい。おもしろい
下司野郎
(
げすやらう
)
め!
何
(
なん
)
ぢゃ、
薪
(
まき
)
を
見
(
み
)
る
眼
(
め
)
ぢゃ?
乃公
(
おれ
)
ゃまた
薪目
(
まきめ
)
くらかと
思
(
おも
)
うた。……はれやれ、
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けたわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
なにね
新入
(
しんまい
)
の
乞食
(
こじき
)
が
参
(
まゐ
)
りまして、ソノ
負傷
(
けが
)
をしたからお
煙草
(
たばこ
)
の
粉末
(
こな
)
を
頂
(
いたゞ
)
きたいつて……。主「
然
(
さ
)
うか、
乞食
(
こじき
)
か……
待
(
ま
)
ちな/\、
今
(
いま
)
乃公
(
おれ
)
が見て
遣
(
や
)
るから……。 ...
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこで前田殿を除いては、といふ再度の質問が起つて、それに答へては
乃公
(
おれ
)
がと云つた。そこで又氏郷の眼中に徳川氏無きを訝つて、徳川殿はといふ質問が起つた。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
四十二の厄年が七年前に濟んだ
未
(
ひつじ
)
の
八白
(
はつぱく
)
で、「あんたのお
父
(
とつ
)
つあんと同い年や」と言つてゐるが、父に聞くと、「やいや、
乃公
(
おれ
)
は
亥
(
ゐ
)
の
四緑
(
しろく
)
で、千代さんより四つ下や」
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
乃公
(
おれ
)
があの
林
(
やぶ
)
で
雉
(
きじ
)
や
兎
(
うさぎ
)
をとったと云ったね、その時分じゃ、ある時、林の中へ往ってみると、
昨日
(
きのう
)
までなかった処に、土を掘りかえして、物を埋めたような処ができて
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「これは
乃公
(
おれ
)
の病気だから
止
(
や
)
められない」と、
能
(
よ
)
く御自分でも承知していらっしゃるのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いつまでもこのような
惨
(
みじ
)
めな暮しを続けていては、わが立派な祖先に対しても申しわけが無い。
乃公
(
おれ
)
もそろそろ三十、
而立
(
じりつ
)
の秋だ。よし、ここは、一奮発して、大いなる声名を
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大いに面目を失いましたが、しかし心の
中
(
うち
)
でわ、まだ負惜しみという奴があって、おのれ生意気な画板め、余計な角を
持
(
もっ
)
て来やがって、よくも
乃公
(
おれ
)
に赤恥をかかせやがったな。
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
又この間の鸚鵡の時のように、鏡を
乃公
(
おれ
)
から奪いに来たのか。鏡は
最早
(
もはや
)
疾
(
とっ
)
くの昔に受け取りの儀式を済まして、居間の壁に取り付けてあるぞ。それとも他に用事でもあるのか。早く云え
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「さあ、また
乃公
(
おれ
)
の出る幕になった」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「中学校だっけね、
乃公
(
おれ
)
は子供を持った事がねえから
当節
(
とうせつ
)
の学校の事はちっとも分らない。大学校まで行くにゃまだよほどかかるのかい。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“乃公”の意味
《名詞》
吾が輩。俺様。
(出典:Wiktionary)
乃
漢検準1級
部首:⼃
2画
公
常用漢字
小2
部首:⼋
4画
“乃公”で始まる語句
乃公等
乃公達