“素生”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すばえ37.5%
すじやう25.0%
すじょう12.5%
すぢやう12.5%
すば12.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二尺にも三尺にも及ぶほど勢いこんで延びてきているようなその素生すばえを見たばかりでも、おい先こもる少女の命を思わせるものがあります。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
既にして夜行太やぎやうた等は、お夏がたぐひ多からぬ美女たるをもて、ふかく歓び、まづその素生すじやうをたづぬるに、勢ひかくの如くなれば、お夏は隠すことを得ず、都の歌妓うたひめなりける由を、あからさまにげしかば
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
主婦が仙さんの素生すじょうを尋ねかけたら、「乃公おれに喧嘩を売るのか」と仙さんは血相を変えた。ある時やるものが無くて梅干うめぼしをやったら、斯様なものと顔をしかめる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その詩集の作者は晩年はパリに来てモンマルトル区の中の倫落の空気の中にその身を終つたが、最後までその枕頭に侍してゐた女は、余りに素生すぢやうの好いものではなかつたといふことであつた。
路傍の小草 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
背丈せたけは伸びても顔はまだ子供子供した宗太にくらべると、いつのまにかお粂の方は姉娘らしくなっている。素朴そぼくで、やや紅味あかみを帯びた枝の素生すばえに堅くつけた梅の花のつぼみこそはこの少女のものだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)