“すば”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
素晴36.1%
素破22.2%
素張13.9%
素派11.1%
5.6%
素早5.6%
素生2.8%
素速2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ねえ、汚點しみよごれもない追憶といふものは素晴すばらしい寶玉ですね——んでも盡きない清らかな元氣囘復のみなもとですね。さうぢやありませんか。
今までは形容詞ばかりで聞いていた正木博士の頭脳のホントウの素破すばらしさが、こうした何でもない諧謔かいぎゃくの中からマザマザと輝やき現われるのを感じた一刹那せつな
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、この男はまだ芸術家になりきらぬ中、香具師やし一流ののぞみまかせて、安直に素張すばらしい大仏を造ったことがある。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
従ってどっち側の道も平凡であるを免れないが、上州側は谷川連峰の素派すばらしい赭色の岩崖を仰ぎながら上下することを得るのがせめてもの心遣りであろう。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そこからは智的な熱情が、まるで羚羊かもしかのようなすばしこさで迸出はしりだしてくるのだけれども、それにはまた、彼女の精神世界の中にうずくまっているらしい、異様に病的な光もあった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
校長は眼尻のしわを深めてそっと周囲の壁を一瞥いちべつする。子供たちの顔もそれにつれて素早すばやく一廻転する。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
背丈せたけは伸びても顔はまだ子供子供した宗太にくらべると、いつのまにかお粂の方は姉娘らしくなっている。素朴そぼくで、やや紅味あかみを帯びた枝の素生すばえに堅くつけた梅の花のつぼみこそはこの少女のものだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
子供だと思ってたが……素速すばしこい奴だ。しかし、出来るなら、美伃の方から先にしてほしいな。順序だ。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)