素張すば)” の例文
大きな、素張すばらしく美事な焼芋で、質のよい品を売ったので大繁昌はんじょうだった。三ツの大釜おおがまが間に合わないといった。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
が、この男はまだ芸術家になりきらぬ中、香具師やし一流ののぞみまかせて、安直に素張すばらしい大仏を造ったことがある。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ドス黒い雲が重く垂れている渓の入口に素張すばらしい岩山が右から突き出しているのが目を惹く。爺さんに聞くと鶏冠とさか山だと教えてれる。恐ろしい山だと思った。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
森の樹々が、木枯しに吹かれて一日一日、素肌をあらわし、魔法使いの家でも、そろそろ冬籠ふゆごもりの仕度に取りかかりはじめた頃、素張すばらしい獲物がこの魔法の森の中に迷い込みました。
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そこの前の大飾りは素張すばらしい鏡餅かがみもちが据えてあった。海老えびもピンとはねていた。