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鼎
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かなへ
ふりがな文庫
“
鼎
(
かなへ
)” の例文
鼎
(
かなへ
)
の湯のやうに沸き立つ
喧
(
やかま
)
しい近郷近在の評判や取々の沙汰に父は面目ながつて暫らくは一室に幽閉してゐたらしいが其間も屡便りを送つて來た。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
下
(
した
)
にゐた
人
(
ひと
)
が
綱
(
つな
)
をひきそこなつて、
綱
(
つな
)
がぷっつりと
切
(
き
)
れて、
運
(
うん
)
わるくも
下
(
した
)
にあつた
鼎
(
かなへ
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
ちて
眼
(
め
)
を
廻
(
まは
)
しました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
周の
鼎
(
かなへ
)
の文字や、秦漢六朝の金石の文字にあつたことはいふまでもなく、
晉
(
しん
)
の王羲之この方の一字一字に神経のゆきとどいた、繊細な味はひのある書を
秋艸道人の書について
(新字旧仮名)
/
吉野秀雄
(著)
音羽町へ
遣
(
やり
)
たりしが此時
已
(
すで
)
に家主は殺され
父子
(
おやこ
)
は
行衞
(
ゆくゑ
)
の
知
(
しれ
)
ぬとて長家は
鼎
(
かなへ
)
の
沸
(
わく
)
が如く
混雜
(
こんざつ
)
なせば
詮方
(
せんかた
)
なく立返へりつゝ云々と
三個
(
みたり
)
に告て
諸共
(
もろとも
)
にお光の
安否
(
あんぴ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私等は奥の院の裏手に廻り、提灯を消して
暗闇
(
くらやみ
)
に腰をおろした。
其処
(
そこ
)
は暗黒であるが、その向うに大きな
唐銅
(
からかね
)
の
鼎
(
かなへ
)
があつて、
蝋燭
(
らふそく
)
が幾本となくともつてゐる。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
と
問返
(
とひかへ
)
すうちにも、
一層
(
いつそう
)
、
妙
(
めう
)
な
夢路
(
ゆめぢ
)
を
辿
(
たど
)
る
心持
(
こゝろもち
)
のしたのは、
其
(
そ
)
の
差配
(
さはい
)
と
云
(
い
)
ふのは、こゝに三
軒
(
げん
)
、
鼎
(
かなへ
)
に
成
(
な
)
つて、
例
(
れい
)
の
柳
(
やなぎ
)
の
樹
(
き
)
を
境
(
さかひ
)
に、
同
(
おな
)
じくたゞ
垣
(
かき
)
一重
(
ひとへ
)
隔
(
へだ
)
つるのみ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとへば昔仁和寺の法師の
鼎
(
かなへ
)
をかぶつて舞つたと云ふ「つれづれ草」の喜劇をも兼ねぬことはない。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もし、この二人が坂田に敗れるとすれば、折角争ひ
獲
(
と
)
つた名人位も有名無実なものとなつてしまふだらう。つまりは、坂田対両八段の対局は名人位の
鼎
(
かなへ
)
の軽重を問ふものであつた。
聴雨
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
そこは丁度お通夜で、家中が
抹香
(
まつかう
)
臭くなつてをりました。一とわたり家の中の空氣を見ると、平次は若主人の半次郎と、妹のお梅を別室に呼び入れ、
鼎
(
かなへ
)
になつて靜かな話を始めました。
銭形平次捕物控:128 月の隈
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今、
朕
(
われ
)
汝の人と
為
(
な
)
りをみるに、
身体
(
むくろ
)
長大
(
たかく
)
、
容貌
(
かほ
)
端正
(
きらきらし
)
、力能く
鼎
(
かなへ
)
を
扛
(
あ
)
ぐ、猛きこと
雷電
(
いかづち
)
の如く、向ふ所かたきなく、攻むる所必ず勝つ。即ち知る、形は則ち我が子にて、実は即ち
神人
(
かみ
)
なり。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それは
興行
(
こうげう
)
のためにと
香港
(
ホンコン
)
へ
赴
(
おもむ
)
かんとて、
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乘組
(
のりく
)
んで
居
(
を
)
つた
伊太利
(
イタリー
)
の
曲馬師
(
きよくばし
)
の
虎
(
とら
)
が
檻
(
おり
)
を
破
(
やぶ
)
つて
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した
事
(
こと
)
で、
船中
(
せんちう
)
鼎
(
かなへ
)
の
沸
(
わ
)
くが
如
(
ごと
)
く、
怒
(
いか
)
る
水夫
(
すゐふ
)
、
叫
(
さけ
)
ぶ
支那人
(
シナじん
)
、
目
(
め
)
を
暈
(
まは
)
す
婦人
(
ふじん
)
もあるといふ
騷
(
さは
)
ぎで
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
山本
鼎
(
かなへ
)
がホテルの湯に
入
(
はひ
)
りに来ては
真面目
(
まじめ
)
に
手解
(
てほど
)
きをして
呉
(
く
)
れる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
各種各色の議論は
恰
(
あたか
)
も
鼎
(
かなへ
)
の沸くが如く沸けり。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
村はやがて
鼎
(
かなへ
)
の
沸
(
わ
)
くやうに騒ぎ出した。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
桃
(
もも
)
の花の代りに
蓮
(
はす
)
の花を咲かせ、古風な
侍
(
さむらひ
)
の女房の代りに王女か何か舞はせたとすれば、毒舌に富んだ批評家と
雖
(
いへど
)
も、
今日
(
こんにち
)
のやうに敢然とは
鼎
(
かなへ
)
の軽重を問はなかつたであらう。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蛇
(
くちなは
)
の
料理
(
れうり
)
鹽梅
(
あんばい
)
を
潛
(
ひそ
)
かに
見
(
み
)
たる
人
(
ひと
)
の
語
(
かた
)
りけるは、(
應
(
おう
)
)が
常住
(
じやうぢう
)
の
居所
(
ゐどころ
)
なる、
屋根
(
やね
)
なき
褥
(
しとね
)
なき
郷
(
がう
)
屋敷田畝
(
やしきたんぼ
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
銅
(
あかゞね
)
にて
鑄
(
い
)
たる
鼎
(
かなへ
)
(に
類
(
るゐ
)
す)を
裾
(
す
)
ゑ、
先
(
ま
)
づ
河水
(
かはみづ
)
を
汲
(
く
)
み
入
(
い
)
るゝこと
八分目
(
はちぶんめ
)
餘
(
よ
)
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
差出し郡奉行其外
掛役々
(
かゝりやく/\
)
へは出立の儀申渡す等其
混雜
(
こんざつ
)
鼎
(
かなへ
)
の
沸
(
わく
)
が如くなり茲に又九助は引廻しの馬の上に
縛
(
くゝ
)
られ既に
相良
(
さがら
)
の城下
外
(
はづれ
)
まで引れ來り今
刑場
(
けいぢやう
)
へ
臨
(
のぞ
)
まんとする時江戸の方より來りし
早打
(
はやうち
)
の
侍士
(
さむらひ
)
に
引止
(
ひきとめ
)
られ檢使の役人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
然
(
しか
)
り、
銀
(
ぎん
)
の
鼎
(
かなへ
)
を
捧
(
さゝ
)
げた
時
(
とき
)
、
園
(
その
)
は
聖僧
(
せいそう
)
の
如
(
ごと
)
く、
身
(
み
)
も
心
(
こゝろ
)
も
清
(
すゞ
)
しかつた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
得て惡婆のお定と
鼎
(
かなへ
)
に
成
(
なり
)
其巧
(
そのたく
)
みにぞ及びけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼
(
かれ
)
は
銀
(
ぎん
)
の
鼎
(
かなへ
)
と
言
(
い
)
ふ……
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“鼎”の解説
鼎(かなえ、てい)は、中国古代の器物の一種。土器あるいは青銅器であり、龍山文化期に登場し、漢代まで用いられた。
(出典:Wikipedia)
鼎
漢検準1級
部首:⿍
13画
“鼎”を含む語句
鼎座
鼎足
鼎蔵
三鼎
王鼎
窯鼎
周鼎漢彝玉器
鼎形
鼎坐
鼎立
九鼎
鼎沸
鼎足的
鼎彝
鼎鑊
趙鼎
贋鼎
生方鼎斎
石鼎
彝鼎
...