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鰌
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どぜう
ふりがな文庫
“
鰌
(
どぜう
)” の例文
與吉
(
よきち
)
は
時々
(
とき/″\
)
鰌
(
どぜう
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
た。おつぎは
衣物
(
きもの
)
の
泥
(
どろ
)
になるのを
叱
(
しか
)
りながらそれでも
威勢
(
ゐせい
)
よく
田圃
(
たんぼ
)
へ
出
(
だ
)
してやつた。
其
(
そ
)
の
度
(
たび
)
に
他
(
ほか
)
の
子供等
(
こどもら
)
の
後
(
うしろ
)
から
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
鰌
(
どぜう
)
一尾
(
いつぴき
)
獲物
(
えもの
)
は
無
(
な
)
い。
無
(
な
)
いのを
承知
(
しやうち
)
で、
此処
(
こゝ
)
に
四
(
よ
)
ツ
手
(
で
)
を
組
(
く
)
むと
言
(
い
)
ふのは、
夜
(
よ
)
が
更
(
ふ
)
けると
水
(
みづ
)
に
沈
(
しづ
)
めた
網
(
あみ
)
の
中
(
なか
)
へ、
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へない、
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
が
映
(
うつ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さうしてとうとうしまひに、それが、
喉仏
(
のどぼとけ
)
の下を、無理にすりぬけたと思ふと、今度はいきなり、
鰌
(
どぜう
)
か何かのやうにぬるりと暗い所をぬけ出して、勢よく外へとんで出た。
酒虫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中禪寺の
幽凄
(
いうせい
)
でもなく、霞が浦の
淡蕩
(
たんたう
)
でもなく、大沼は要するに水を淡水にし松を楢白樺其他の雜木にした松島である。沼尻は
瀑
(
たき
)
になつて居る。沼には鯉、鮒、
鰌
(
どぜう
)
ほか産しない。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
こんな子はきつと、一日一ぱいでも、柳の下の
鰌
(
どぜう
)
を見張つてゐるに違ひありません。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
そして万が一にも柳の下に
鰌
(
どぜう
)
がゐて、此の映画が再び洋行する事が出来たなら、その時こそ、多少なりとも、日本の美しい心が判つて貰へるやうにと、願ひ且つ心掛けてゐるのである。
日本趣味映画
(新字旧仮名)
/
溝口健二
(著)
汲
(
くみ
)
米を
炊
(
かし
)
ぎ村方大半
呼寄
(
よびよせ
)
ての
大饗應
(
おほふるまひ
)
故村の
鎭守
(
ちんじゆ
)
諏訪
(
すは
)
大明神の
神主
(
かんぬし
)
高原備前
(
たかはらびぜん
)
并びに醫師
玄伯等
(
げんぱくら
)
を上座に居て料理の
種々
(
くさ/″\
)
は
興津鯛
(
おきつだひ
)
の
吸物
(
すひもの
)
鰯
(
いわし
)
に
相良布
(
さがらめ
)
の
奴茹
(
ぬた
)
の大
鮃濱燒
(
ひらめはまやき
)
鰌
(
どぜう
)
の
鼈煑
(
すつぽんに
)
などにて
酒宴
(
さかもり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
即ち鍋上に
穴
(
あな
)
を
穿
(
うが
)
てる
布片
(
きれ
)
を
覆
(
お
)
ひ、内に
餌
(
え
)
を
入
(
い
)
れて之を沼中に
投
(
とう
)
じたるなり、「どろくき」と
称
(
しやう
)
する魚十余尾を
得
(
え
)
たり、形
鰌
(
どぜう
)
に非ず「くき」にも非ず、一種の
奇魚
(
きぎよ
)
なり、衆争うて之を
炙
(
あぶ
)
り
食
(
しよく
)
すれど
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
鰌
(
どぜう
)
はいま
赫耀
(
かくやく
)
燦爛
(
さんらん
)
たる光に住む。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
泣
(
な
)
かさねえでよきことも
連
(
つ
)
れでつてくろうな」といふおつぎの
聲
(
こゑ
)
が
追
(
お
)
ひ
掛
(
か
)
けるのであつた。
僅
(
わづか
)
な
鰌
(
どぜう
)
は
味噌汁
(
みそしる
)
へ
入
(
い
)
れて
箸
(
はし
)
で
骨
(
ほね
)
を
扱
(
しご
)
いて
與吉
(
よきち
)
へやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
温泉場
(
をんせんば
)
に
普請
(
ふしん
)
でも
有
(
あ
)
る
時
(
とき
)
には、
下手
(
へた
)
な
大工
(
だいく
)
の
真似
(
まね
)
もする。
閑
(
ひま
)
な
日
(
ひ
)
には
鰌
(
どぜう
)
を
掬
(
しやく
)
つて
暮
(
くら
)
すだが、
祖父殿
(
おんぢいどん
)
は、
繁昌
(
はんじやう
)
での、
藩主様
(
とのさま
)
さ
奥御殿
(
おくごてん
)
の、お
雛様
(
ひなさま
)
も
拵
(
こさ
)
へさしたと……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「だが、
癪
(
しやく
)
にさはる野郎ぢやないか。この平次を
鰌
(
どぜう
)
と間違へやがつて」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
土地
(
とち
)
ではそれを
目掘
(
めぼ
)
りというて
居
(
ゐ
)
る。
與吉
(
よきち
)
には
幾
(
いく
)
ら
泥
(
どろ
)
になつても
鰌
(
どぜう
)
は
捕
(
と
)
れなかつた。
仲間
(
なかま
)
の
大
(
おほ
)
きな
子
(
こ
)
はそれでも一
匹
(
ぴき
)
位
(
ぐらゐ
)
づつ
與吉
(
よきち
)
の
笊
(
ざる
)
にも
入
(
い
)
れて
遣
(
や
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
鯉
(
こひ
)
とも
思
(
おも
)
ふが、
木
(
き
)
が
小
(
ちつこ
)
い。
鰌
(
どぜう
)
では
可笑
(
をかし
)
かんべい。
鮒
(
ふな
)
を
一
(
ひと
)
ツ
製
(
こさ
)
へて
見
(
み
)
せつせえ。
雑
(
ざつ
)
と
形
(
かたち
)
で
可
(
え
)
え。
鱗
(
うろこ
)
は
縦横
(
たてよこ
)
に
筋
(
すぢ
)
を
引
(
ひ
)
くだ、……
私
(
わし
)
も
同
(
おな
)
じに
遣
(
や
)
らかすで、
較
(
くら
)
べて
見
(
み
)
るだね。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
野川
(
のがは
)
で
鰌
(
どぜう
)
を
突
(
つ
)
くのであらう。
何処
(
どこ
)
かで、かんてらの
火
(
ひ
)
が
一
(
ひと
)
つ、ぽつと
小
(
ちひ
)
さく
赤
(
あか
)
かつた。
火
(
ひ
)
は
水
(
みづ
)
に
影
(
かげ
)
を
重
(
かさ
)
ねたが、
八重撫子
(
やへなでしこ
)
の
風情
(
ふぜい
)
はない。……一つ
家
(
や
)
の
鬼
(
をに
)
が
通
(
とほ
)
るらしい。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ほたり/\と
落
(
お
)
ちて、ずるりと
硝子窓
(
がらすまど
)
に
流
(
なが
)
るゝ
雫
(
しづく
)
は、
鰌
(
どぜう
)
の
覗
(
のぞ
)
く
気勢
(
けはひ
)
である。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
松
(
まつ
)
杉
(
すぎ
)
、
田芹
(
たぜり
)
、すつと
伸
(
の
)
びた
酸模草
(
すかんぽ
)
の
穂
(
ほ
)
の、そよとも
動
(
うご
)
かないのに、
溝川
(
みぞがは
)
を
蔽
(
おほ
)
ふ、たんぽゝの
花
(
はな
)
、
豆
(
まめ
)
のつるの、
忽
(
たちま
)
ち一
所
(
しよ
)
に、さら/\と
動
(
うご
)
くのは、
鮒
(
ふな
)
、
鰌
(
どぜう
)
には
揺過
(
ゆれす
)
ぎる、——
昼
(
ひる
)
の
水鶏
(
くひな
)
が
通
(
とほ
)
るのであらう。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“鰌(ドジョウ)”の解説
ドジョウ(泥鰌、鰌、鯲、学名: Misgurnus anguillicaudatus)は、コイ目ドジョウ科に分類される淡水魚の一種。日本の平野部の水田や湿地、農業用水路、泥底の流れの緩やかな小川などに全国的に生息している。中国大陸、台湾、朝鮮半島にも分布するほか、日本をはじめとした東アジア地域では食用魚としての養殖も盛んに行われている。
(出典:Wikipedia)
鰌
漢検1級
部首:⿂
20画
“鰌”を含む語句
泥鰌
鰌汁
鰌掴
鰌桶
鰌屋
鰌髭
泥鰌汁
土鰌
泥鰌鬚
骨抜鰌
鰌取
鰌掬
鰌突
鰌髯
鰌魚
鰌鯰