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ふりがな文庫
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魂消
(
たまげ
)” の例文
魂消
(
たまげ
)
た気の毒な顔をして、くどくど
詫
(
わび
)
をいいながら、そのまま、
跣足
(
はだし
)
で、雨の中を、びたびた、二町ばかりも道案内をしてくれた。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それには実に各界名士の署名が
綺羅星
(
きらぼし
)
の如く並んでいて、よくもかく万遍なく
天路歴程
(
てんろれきてい
)
が出来たものだと二人とも
魂消
(
たまげ
)
てしまった。
西隣塾記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
しかし、熊城の苦笑は半ば消えてしまい、側のルキーンを
魂消
(
たまげ
)
たように
瞶
(
みつ
)
めていたが、やがて法水の説明を聴き終ると
容
(
かたち
)
を作って
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ところが、何気なく、彼の部屋へ一歩足を踏み込んだ時、私はアッと
魂消
(
たまげ
)
てしまった。部屋の様子が余りにも異様だったからだ。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「殿下が女にも子供にも御挨拶のあったには私
魂消
(
たまげ
)
た。競馬で人の出たには——これにも魂消た。君も競馬を
終局
(
しまい
)
まで見物しましたかい」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
ところが傍へ寄ってよくよく見れば、確かにイワン・ペトローヴィッチなのだ!『へへえ!』と諸君は内心で
魂消
(
たまげ
)
るだろう……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
丈夫
(
ぢやうぶ
)
なこたあ、
魂消
(
たまげ
)
る
程
(
ほど
)
丈夫
(
ぢやうぶ
)
だが
何
(
なん
)
でも
自分
(
じぶん
)
の
好
(
す
)
きなら
働
(
はたら
)
く
容子
(
ようす
)
で、
其處
(
そこ
)
らほうつき
歩
(
ある
)
いちや
小遣錢位
(
こづけえぜねぐれえ
)
はとつてんだな
鹽梅
(
あんべえ
)
しきが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彌作も
魂消
(
たまげ
)
て息を殺していると、𤢖は
鶏舎
(
とや
)
の中から一羽を
握
(
つか
)
み出して、ぎゅうと
頸
(
くび
)
を
捻
(
ねじ
)
って、
引抱
(
ひっかか
)
えて
何処
(
どこ
)
へか行って
了
(
しま
)
ったと云いますよ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
全く
魂消
(
たまげ
)
た元三はおずおず近附いて言葉をふるわせた。だがそれはとぎれとぎれで丸で呟きのように小さく唸っただけだった。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
清「
己
(
おれ
)
は今通り
掛
(
がゝ
)
って雨に
遇
(
あ
)
って逃げる処がねえのに、
雷様
(
らいさま
)
が鳴って来たから
魂消
(
たまげ
)
てお
前
(
めえ
)
らが
家
(
うち
)
へ駈込んで、今囲炉裡へ麁朶ア
一燻
(
ひとくべ
)
したゞ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕はそっちへ曲りこんで、ブラブラと約百メートルも行ったかと思われる頃、何者とも知れず、キャーッと
魂消
(
たまげ
)
る悲鳴を発したものがあった。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いかめしい向ふ鉢巻をして、立っ付け袴を穿いた男が十人許り宛、舞台の上に三列に並んで、其三十人が悉く抜き身を
携
(
さ
)
げて居るには
魂消
(
たまげ
)
た。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
きのう張飛の姿を見て、きゃっと
魂消
(
たまげ
)
て逃げた娘も、その娘の恋人の隣家の息子も、ほかの家族も、大勢して手伝いにきた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
健が
平生
(
へいぜい
)
人に
魂消
(
たまげ
)
られる程の喫煙家で、職員室に入つて来ると、
甚麽
(
どんな
)
事があらうと先づ
煙管
(
キセル
)
を取上げる男であることは、孝子もよく知つてゐた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私はすつかり
魂消
(
たまげ
)
てしまつた。香川は私の初恋の娘雪子の姉の子供であつた。私は大急ぎで自分の室を片附け、手足を洗つて香川を招じ上げた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「あゝ、おつ
魂消
(
たまげ
)
た。」
農夫
(
ひやくしやう
)
は眼をこすり/\言つた。「
俺
(
おら
)
はあ、何にも知んねえだよ。お
前
(
めえ
)
様のやうな
女子
(
あまつこ
)
みたいな男初めて見ただからの。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
監督がぶっ倒れると菊池技師は、
魂消
(
たまげ
)
た係長とお品を連れて、立ち騒ぐ坑夫たちを尻目にかけ、
炭車
(
トロ
)
に乗って開放された片盤坑へはいって行った。
坑鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「キャッ!」と
魂消
(
たまげ
)
るような悲鳴を揚げ、廊下へ飛び出して、バタバタと馳け出したかと思うと気を失って倒れた。
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
伝馬町の獄門台へ
豚尾
(
とんび
)
のついた
梟首
(
さらしくび
)
を
押載
(
おしの
)
せてやるから待っておれ……何を
魂消
(
たまげ
)
たような顔でおれの面を見ている。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
さながらしんとして幾千
尋
(
じん
)
の淵に臨んだ気持がする。私は驚きと怖れに
魂消
(
たまげ
)
て、覚えず激烈な臭いのため顔を背けた。町や、
沙山
(
すなやま
)
は目の下になっている。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「アッハッハッハッハッ。ヒドク
吃驚
(
びっくり
)
しているじゃないか。アハハハハハ。何もそう
魂消
(
たまげ
)
る事はないんだよ。君は今、飛んでもない錯覚に陥っているんだよ」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一度後に
退
(
しりぞ
)
いて了ふと、私は、この
遲鈍
(
ちどん
)
な、口を開けて
魂消
(
たまげ
)
てゐる、
土臭
(
つちくさ
)
い子供らの幾人かゞ、十分に敏感な機智のある娘として眼を醒したのに氣が附いた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
見るより忽ち出で來りて浦嶋太郎の腰を掛けた岩があれで向ふのが猿が踊を
跳
(
をど
)
ツた古跡だなどゝ茶かした
云立
(
いひたて
)
に一人前五厘と掴み込む田舍の道者
魂消
(
たまげ
)
た顏にて財布を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
だから、——私はそうして浅草の盛り場の近くの部屋から偶然見た雁の姿に、ほう雁だというのと、なんてまあ
魂消
(
たまげ
)
たところにといった二重の強い印象を与えられた。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
東京を笠に被て、二百万の御威光で叱りつくる長屋のかみさんなど、
掃除人
(
そうじにん
)
の家に往ったら、土蔵の二戸前もあって、
喫驚
(
びっくり
)
する様な立派な住居に
魂消
(
たまげ
)
ることであろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「何を婆やは
魂消
(
たまげ
)
てるんだい? お嬢さまの着物を持ってきてあげろ。
外套
(
がいとう
)
でもなんでもいい」
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「さようでございます。わしも
於兎吉
(
おときち
)
どんから聞いて
魂消
(
たまげ
)
ておりますところでございますが」
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そしてまたその様子は!
襟飾
(
えりかざ
)
りも、帽子も、上衣も着ていなさらない。知らない人だったら
魂消
(
たまげ
)
てしまいますよ。まあこの節は聖者たちも何と妙なことをなさることやら。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
観念して、恐ろしさを堪えていた私は、その
魂消
(
たまげ
)
たような「いた! いた!」と云う絶叫を聞くと水でも浴びたように震えた。走っている列車からは、逃げるにも逃げられない。
私の覚え書
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
何
(
な
)
んて
魂消
(
たまげ
)
た話しだ!」と多助は青い顔をして太郎右衛門を見ると、太郎右衛門は今までこんな大金を見たことがないので、
胆
(
きも
)
をつぶしてしまって、がたがたふるえていました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
暫くすると、表からドヤドヤと人々が帰って来た。「あ、
魂消
(
たまげ
)
た、
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたわい」と三浦は
歪
(
ゆが
)
んだ笑顔をしていた。……警報解除になると、往来をぞろぞろと人が通りだした。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
山鹿が、彼に
似合
(
にあわ
)
ぬ
魂消
(
たまげ
)
るような叫びをあげると、ガタンとカンテラを取り落した。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
きっとおれの姿を見てひどく
魂消
(
たまげ
)
るだろうと思っていると、それでも何の音沙汰もないのだ。手に持っていた書物をぱたりと落とした音で、あべこべにこちらがびっくりしたくらいだった
祭の夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ところが、たったいま引込んだ関守の組子が、
得物
(
えもの
)
を携えて関屋の前後からバラバラと現われたかと見ると、弁慶の前後をとりかこんでしまったから、道庵が、またもあっと
魂消
(
たまげ
)
ました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あつと
魂消
(
たまげ
)
て逃入る襟がみを、つかんで引出す横町の一むれ、それ三五郎をたたき殺せ、正太を引出してやつてしまへ、弱虫にげるな、団子屋の
頓馬
(
とんま
)
も唯は置かぬと
潮
(
うしほ
)
のやうに沸かへる騒ぎ
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
伯母は、内心恐れきつてゐたものを面と見せられたやうに眼を円くし、
魂消
(
たまげ
)
たやうに裕佐の顔とこんたすとを見比べたなり、小皺だらけの耳の根迄赭くして、歯のない口をモグ/\と動かした。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「ヒャア、こいつあぶっ
魂消
(
たまげ
)
た。でけえ穴が掘ってあるでねえか!」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「あゝ、ほんとに
魂消
(
たまげ
)
えやした、雪も、どうして馬鹿にならない」
雪
(新字旧仮名)
/
津村信夫
(著)
早くも団兵衛をみつけた手下の一人が、
魂消
(
たまげ
)
た声で
呶鳴
(
どな
)
った。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれども小鬼どもだからいよいよ
魂消
(
たまげ
)
ました。
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
こりやまた事だと
魂消
(
たまげ
)
払つて見てやあした。
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
魂消
(
たまげ
)
たか。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
谷川
(
たにがは
)
から
上
(
あが
)
つて
来
(
き
)
さしつた
時
(
とき
)
、
手足
(
てあし
)
も
顔
(
かほ
)
も
人
(
ひと
)
ぢやから、おらあ
魂消
(
たまげ
)
た
位
(
くらゐ
)
、お
前様
(
まへさま
)
それでも
感心
(
かんしん
)
に
志
(
こゝろざし
)
が
堅固
(
けんご
)
ぢやから
助
(
たす
)
かつたやうなものよ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
他の客や女はみな驚いて目を
瞠
(
みは
)
りこの異様な光景に
魂消
(
たまげ
)
た。内地人をそんなふうにして果していいのだろうかと気味悪くさえ思うのである。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「座間君、カークが僕になにを見せようというのだね。僕が、アッと
魂消
(
たまげ
)
るようなものというから船を下りたんだが……」
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
『あれッ!』『あれッ、新坊さんが!』と
魂消
(
たまげ
)
つた
叫聲
(
さけびごゑ
)
が女兒らと智惠子の口から迸つた。五歳の新坊が足を浚はれて、
呀
(
あつ
)
といふ間もなく流れる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
男「はっ……あー
恟
(
びっく
)
りした、はあーえら
魂消
(
たまげ
)
やした、あゝ
怖
(
おっ
)
かねえ……何かぽく/\
黒
(
くれ
)
え物が居ると思ったが、こけえらは
能
(
よ
)
く
貉
(
むじな
)
の出る処だから」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そんなことでもしてみたまえ。爺さん、おっ
魂消
(
たまげ
)
て死ぬかも知れないぞ。あれは御覧の通りの善人で、唯もう仕事大事に勤めているんだからね。」
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そのとき、谷底から、
魂消
(
たまげ
)
るような悲鳴がきこえて来た。二人はそれは谷底におちて岩角に頭をうちつけたらしい怪塔王の最期の声であると知った。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
核
(
たね
)
までがり/\
噛
(
かぢ
)
つちやつたな、
奇態
(
きたい
)
だよそんだが
桃
(
もゝ
)
噛
(
かぢ
)
つてつと
鼻
(
はな
)
ん
中
(
なか
)
さ
埃
(
ほこり
)
へえんねえかんな、
俺
(
お
)
れが
齒
(
は
)
ぢや
誰
(
た
)
れでも
魂消
(
たまげ
)
んだから
眞鍮
(
しんちう
)
の
煙管
(
きせる
)
なんざ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
魂
常用漢字
中学
部首:⿁
14画
消
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
“魂”で始まる語句
魂
魂魄
魂胆
魂祭
魂切
魂膽
魂呼
魂合
魂棚
魂塚